情報システム

金栗 一憲

<p>ERPとは、企業の根幹であるヒト・モノ・カネといった資源を司る情報システムのことです。本記事では、まずERPの語源や意味、歴史について学び、その後はERPの機能にはどういったものがあるのか紹介します。そして、ERPのメリットとデメリットを理解し、貴社が導入する際の予備知識としましょう。</p>



<h2>ERPとは</h2>



<p>それではまず、ERPとは何かについての理解を深めましょう。<br></p>



<h3>ERPの意味</h3>



<p><strong>ERPとは、「Enterprise Resources Planning」の略語で、日本語に訳すと企業資源計画という意味</strong>になります。もともとERPとは、企業の資源である<strong>ヒト・モノ・カネをばらばらではなく統合的に管理し、最適に配分するという概念や経営手法</strong>を指しています。</p>



<p>ERPの手法を実際に行うには、情報システムの活用が必須であり、ERPといえば情報システムそのものを指すようにもなっています。会計や人事などのシステムを基幹業務システムと呼んでおり、それらを統合する<strong>ERPは統合基幹システムと呼ばれることもあります</strong>。</p>



<p>パッケージソフトとして展開されている製品も多いためERPパッケージといわれることもあります。<br></p>



<h3>ERPの歴史</h3>



<p>ERPの歴史は、コンピュータが企業に普及され始めた1960年代にさかのぼります。その頃はまだ、「メインフレーム」と呼ばれる大型コンピュータが各業務の情報処理を担っていました。当時の各業務というのは主に、会計業務、受発注業務、購買業務といった事務系の基幹業務です。</p>



<p>その頃の「メインフレーム」では、業務ごとにシステムの仕様が異なっていたため、部門間のコンピュータ情報の連携は困難なものでした。</p>



<p>これらの分散した各業務の情報を、出し入れ可能な一つの収納庫にまとめれば部門や業務をまたいだ連携が可能になり、業務の効率化も高まります。こうした概念をITシステムとして現実化したのがERPです。最初に開発したのはドイツのSAP社で1973年に発表されました。</p>



<p>日本にERPが入ってきたのは1990年代になってからです。大企業向けの高額なシステムでしたが、クラウドERPが提供されるようになってからは手軽に導入でき、中小企業でも利用が進んでいます。</p>


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<h4>ERPの先行概念であるMRPとは</h4>



<p>ERPの概念のもとになったといわれるのがMRPです。MRPは「Manufacturing Resource Planning」「Material Requirements Planning」といわれます。日本語では資材所要量計画と訳され、生産管理における概念です。</p>



<p>生産おいて在庫を持ちすぎず欠品させないことは最重要事項です。MRPは、在庫について資材の調達から考え、生産にかかる時間やお金を正確に把握して、無駄な資材発注を最小限にする考え方です。このMRPを経営全般に広く生かそうとしたのがERPとなります。<br></p>



<h3>ERPの機能</h3>



<p>ERPは、以下の基幹系システムの機能を統合し、情報の一元化を実現します。<br><br></p>



<ul><li>会計</li><li>財務</li><li>予算</li><li>生産管理</li><li>販売管理</li><li>在庫管理</li><li>顧客情報</li><li>営業支援</li><li>プロジェクト管理</li><li>人事管理</li><li>BI（ビジネスインテリジェンス）</li></ul>



<p><br>ただ、ERPのシステムによって、上記全ての機能が備わっていない場合もあります。企業規模や業種によって必要な機能と不要な機能があり、それぞれに特化したERP製品もあるからです。<br>例えば、会計ソフトを母体とするERPの多くは、お金に関する機能を網羅して、在庫・販売関連や人事管理の機能はありません。不要な機能がなければ、その分安価で操作も簡単になります。<br>ERP導入の際には、導入範囲も検討する必要があります。<br></p>


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<h2>ERPを導入するメリットとは</h2>



<p>ここからは、システムとしてのERPを導入するメリットについて紹介していきます。<br></p>



<h3>統合データベースとなる</h3>



<p>ERPは、各部門の機能を統合したシステムなので、それ自体が統合データベースの役割を果たします。</p>



<p>そのため、ERPを導入すると必要な情報の検索や分析、可視化が容易になります。これらをもとに経営者や管理者はスピーディに判断が可能になるわけです。</p>



<p>また、それぞれの部門で働く人にとっても、他部門の情報をスピーディに得やすくなります。<br></p>



<h3>経営情報をリアルタイムで可視化する</h3>



<p>ERPは、統合データベースとしてリアルタイムに経営情報を把握することができます。</p>



<p>経営成績としての会計情報だけではなく、ヒト、モノ、カネについて「今現在、経営はどんな状況なのか」ということをオンタイムで可視化し、経営者の迅速な判断をサポートします。<br></p>



<h3>業務手順やプロセスを最適化する</h3>



<p>例えば会計業務のような国際的な基準などに合わせたほうがいい業務は、ERPを導入しそれに合わせた業務プロセスにすることで、いわゆるベストプラクティスやグローバルスタンダードに対応することができます。</p>



<p>また、ERPに情報を集めるということは、すなわち、別々の部署の人が同じ情報を入力するというムダが省けるということです。これにより、効率の良い業務手順や業務のプロセスが整えられます。<br></p>



<h3>内部統制やガバナンス強化</h3>



<p>ERPには、J-SOX法などに対応する機能を備えています。承認フローやデータ処理について、全社的にルールを適応できるため、内部統制やガバナンス強化が可能になります。</p>



<h3>整合した数字、データとなる</h3>



<p>ばらばらの独立したシステムでは、出力されるデータ形式が異なったり、反映しているデータの時点が異なることがあります。ERPに情報が集約されれば、全社で同じ情報を参照して業務を行うことができます。</p>



<p>また入力された全情報は、すべての部門の人が目を通します。これによって、より多くの人の目で情報の確認がされるので、入力ミスが削減され、整合した数字、データの完成をサポートします。<br></p>



<h3>開発期間・コストのメリット</h3>



<p>ERPとしてあらかじめ基幹系システムがパッケージ化されていれば、個別の開発やデータ連携の開発なども不要になり、その分開発期間を省略することができます。同時に、必要なカスタマイズに抑えることで、開発コストを抑えることができます。</p>



<p></p>



<h2>ERP導入で想定されるデメリット</h2>



<p>さて、ここまでERP導入におけるメリットを紹介しましたが、反対に、ERP導入におけるデメリットとしてどのようなことが想定されるかを見ていきましょう。<br></p>



<h3>導入失敗の懸念</h3>



<p>「ERPを導入したのはいいけれども、自社には向かないシステムだった」</p>



<p>そんな風に、せっかく導入したのに相性が合わなかったという失敗は、懸念材料の一つでしょう。</p>



<p>実際、2000年代前半にはそういった失敗が相次いだという事例もあるようです。失敗としては、下記のような事例があります。&nbsp;<br><br></p>



<ul><li>ITベンダーに提案されたはずの機能が備わっておらず、結果的に開発費用がかかってしまった</li><li>外資系のERPシステムの仕様が自社の運用形態にそぐわず、費用をかけたにもかかわらず、一部の機能しか使用せずに終わった&nbsp;</li></ul>



<p>参照元：<a rel="noreferrer noopener" aria-label="20年来の謎が解けた、日本企業のERP導入が軒並み失敗した本当の原因 (新しいタブで開く)" href="https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00138/072300335/" target="_blank">20年来の謎が解けた、日本企業のERP導入が軒並み失敗した本当の原因</a><br><br></p>



<p>導入で失敗しないためには、全ての業務をERPに合わせるのではなく、自社の強みとなっている方針ややり方は残すべきです。あらかじめテスト運用をし、現場の率直な意見に耳を傾ける必要があります。</p>



<p></p>



<h3>全社的なシステムの刷新が必要</h3>



<p>ERPの導入にあたっては、全社的なシステムの刷新が必要になります。そのため、導入には全社にわたっての検討と合意形成が必要になります。</p>



<p>またERP製品は種類が多く、その選定にも時間と知識を要します。全ての部門の要求を実現するのは予算やコストが見合わない可能性もあり、その点の判断も必要となります。</p>



<h3>セキュリティ</h3>



<p>全社のデータが集中するシステムのため、セキュリティ対策は厳重にする必要があります。クラウド型の場合、セキュリティは提供会社に任せることになるため、自社のセキュリティポリシーに沿っているか確認が必要です。</p>



<p>また内部からの情報持ち出しについても対策が必要となります。<br></p>



<h3>コストがかかる</h3>



<p>ERPは、比較的規模の大きいシステム導入であり、ある程度の費用が掛かります。パッケージの購入やカスタマイズ、初期導入、データ移行に関する費用などが発生します。</p>



<p>また、導入の準備にあたる人員のコストもあるでしょう。</p>



<p>導入後もクラウド型であれば月額利用料が、オンプレミスでもサーバー等の運用費用や人員確保、ライセンス更新料などがかかります。</p>



<p>しかし、システムに関するコストは部門別のシステムを導入してもかかるものであり、全体のコストメリットとして勘案する必要があります。</p>



<h3>導入後の運用体制の構築</h3>



<p>ERPを導入後の運用体制構築も、時間や労力がかかるという点でデメリットといえるでしょう。データ入力が適切に行われなければ、ERPが本来の機能を発揮できないからです。</p>



<p>運用体制を構築するためには、各部署の実務に携わる社員だけではなく、ERPを利用して経営に生かそうとしている管理者や経営者も巻き込んで行っていく必要があります。つまり、運用体制を構築するためには、経営者を含めた全社員の協力が必要になるのです。<br></p>



<h2>まとめ</h2>



<p>ここまで、ERPの意味と歴史を学んだ上で、その機能をご紹介してきました。</p>



<p>ERPは会計や財務、生産管理、顧客情報、営業支援などなど、各基幹系システムを統合した大掛かりなものです。その分、導入のメリットとしては、ERP自体が統合データベースとしての役割を果たしますし、経営情報をリアルタイムで可視化することも可能になります。また、業務手順やプロセスを最適化し、内部統制やガバナンス強化にも役立つものとなります。データとして整合した数字が得られることもメリットです。必要な機能があらかじめパッケージ化されていれば、開発費用やコストを最低限に抑えることも可能です。</p>



<p>一方、導入の失敗の事例があることが懸念材料になるほか、導入にあたって、全社的なシステムの刷新が必要なことがデメリットとして挙げられます。導入から運用に至るまでのコストもかかってきます。また、導入後も自社の運用体制を構築していかなくてはなりません。</p>



<p>ERPを導入するにあたっては、以上のようなメリットとデメリットを十分に洗い出した上で検討するようにしましょう。</p>



<p></p>

ERPとは？意味・機能・ERP導入のメリットとデメリット

<p>基幹システム（基幹系システム）は、企業内で利用されるシステム群のうち企業の根幹を担うものを指します。対義的な語として情報系システムまたは業務システムがあり、これらに比べて基幹システムは重要性が高く、障害や停止が企業活動に深刻なダメージを与えるという特徴があります。また、基幹システムは古くなったからと言って不要になることがなく、刷新やリプレースが必須で、近年ではERPへ置き換えるという選択肢もあります。<br>この記事では、基幹システムについてどのようなシステムか具体的に説明し、ERPに置き換える場合について併せて解説します。</p>



<h2>基幹システムとは</h2>



<p>基幹システムは、企業経営の根幹を支える基幹業務に関するシステムです。場合によっては「基幹系システム」と呼ばれることもあります。基本的には24時間停止することなく動き続けるので、余程のことがない限り止めることはできません。<br>同じ「基幹システム」といっても、業種によって指している機能はさまざまです。<br>一般的に、基幹システムと呼ばれるものには次のような種類があります。<br><br></p>



<ul><li>生産管理システム</li><li>販売管理システム</li><li>在庫管理システム</li><li>受注管理システム</li><li>財務・会計システム</li><li>勤怠管理システム</li></ul>



<p><br>基幹システムは「繰り返し行う作業についてはなるべくシステムを利用する」という時代の流れを汲んで開発され、重要かつ標準化できるバックオフィス業務を効率化するための役割を担っています。</p>



<h3>基幹システムの課題</h3>



<p>大手企業では、1990年代ごろから基幹システムからERPへの移行が始まりましたが、それでもすでに10年以上が経過しています。同じ基幹システムを古くから使い続けている企業も数多くあり、システムそのものの老朽化が進んでいるケースがあります。今後、運用や保守の担い手がいなくなり、運用コストが増大していく可能性も指摘されています。<br>企業の基幹システム全般が、使い勝手が良く運用効率の高い新システムに移行していかなければならない時期に差し掛かっていると言えるでしょう。</p>



<h2>情報系システムとは</h2>



<p>情報系システムは、基幹系システムの対になる言葉です。別名「業務系システム」と呼ばれることもあります。基幹システムが企業の柱となるシステムであるのに対して、情報系システムは効率的に事務作業を進めるためのツールです。<br>情報系システムは停止しても業務そのものに致命的な影響はなく、一般的には他のツールで代用できます。たとえば通信回線が遮断されてメールを送れなくなった場合は、電話を使うといった具合です。<br>代表的な情報系システムの例としては、次のようなものが挙げられます。<br><br></p>



<ul><li>メール</li><li>グループウェア</li><li>社内SNS</li><li>スケジュール管理ツール</li></ul>



<h2>ERPと基幹システムの違い</h2>



<p>ERPとは、Enterprise Resource Planningの略で、「効率よく経営を進めるために資源を有効利用する」という概念で、「企業資源計画」と訳されます。ERPは、MRP（Material Requirements Planning／資材所要計画）という製造業の生産管理の手法をもとに、一般企業が扱いやすい形で展開したものです。<br>企業資源とはいわゆる「ヒト・モノ・カネ」で、これらを統合的に管理して適切に配分していく取り組みやシステムを指し、一部では「統合基幹業務システム」と呼ばれることもあります。<br>ERPは生産、販売、在庫管理などの基幹システムに属する機能だけではなく、業務システムも統合的に提供しています。だからといって単に「基幹システム＋業務システム」というわけではなく、両者をスムーズに連携して、得られた結果を企業経営に活用できるのがERPの強みです。<br>ERPはオンプレミスだけではなく、クラウド型も登場しています。時代に取り残された基幹システムを、クラウドを活用したERPに置き換える動きも活発になってきています。</p>


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<h3>ERPのメリット</h3>



<p>ERPのメリットとしてまず挙げられるのは、データを統合的に扱える点です。複数のシステムに同じデータを重複して入力する必要がなく、一度データを入力されれば、必要に応じて自動的に反映されるのが一般的です。販売管理システムに受注情報を入力した後、請求発行のためだけに会計システムに同じ内容を入力するということがなくなります。<br>ERP一箇所にデータが集約されることによって、今まで見えにくかったさまざまな情報をリアルタイムで可視化できるというメリットもあります。基幹業務同士のデータを連携できないと、月に一度のデータ取り込みなどを行って一ヶ月ごとに販売実績などを確認しなければならない場合も少なくありません。ERPを使うと、あらゆるデータがリアルタイムに反映されるので、経営者は状況に応じた柔軟な判断を行えるようになります。<br>また、これまでは法改正があるとシステムごとに個別に対応しなければならず、時間もコストもかかり、迅速に対応し切れないケースもよくありました。ERPは基本的に1社のベンダーが構築するので、法改正でシステム対応が必要になっても、窓口を一本化できます。これにより、ITコストを削減できる可能性もあるでしょう。</p>



<h2>まとめ</h2>



<p>基幹システムについて、その概要や情報系システムとの対比、ERPとの違いやERPを導入するメリットなどについて解説してきました。基幹システムと情報系システムの機能を併せ持ったERPは、企業の資源配分について、統合的なリアルタイムのデータ活用を可能にして、経営方針をスピーディに決めていくことができます。<br>古くなった基幹システムを迅速に新システムに移行することは、企業にとって重要な課題です。データ活用が必須の時代となった今、ERPを積極的に検討すべき時期が来ていると言えるでしょう。</p>

基幹システムとは何か？特徴やERPとの違い、情報系システムとの違いとは

<p>ロードマップとは中長期的な目標を時系列に並べて管理する工程表を指します。このロードマップを作成することで今後のビジネスの展開を可視化することができ、一貫した戦略を打ち立てやすくなります。<br>今回の記事ではビジネスにおいて重要なロードマップについて、作成する目的から具体的なロードマップの作成方法まで詳しく解説します。</p>



<h2>ロードマップとは</h2>



<p>ロードマップとは、<strong>現時点の状況や環境をスタートに設定し、将来実現したい目標をゴールに設定してそれまでの過程を時系列で記した表</strong>を指します。スタートとゴールの間に具体的な目標を設定することで、最終的な目的を達成するために必要なことが可視化されるため、手順や段階的に何をすべきかわかりやすくなるのが特徴です。</p>



<p>ロードマップはプロジェクトや企画など「一定の成果が目的」となる場合だけに用いられるものではありません。例えば、営業活動において「顧客が必要とするものを目的」としながら、具体案を提案する場合にも用いることも可能です。それぞれの立場や環境、目的に応じて、柔軟に作成できることもロードマップの魅力と言えるでしょう。</p>



<h3>「ロードマップ」と「マイルストーン」の違い</h3>



<p><br>マイルストーンには距離標識の意味があり、ビジネスでは「最終的な到達点に向かう際に通過する、小さな到達点」を指します。ロードマップにおけるマイルストーンは、マーケティングで言う「KGI」に対する「KPI」のような関係性です。<br><br>ロードマップを制作する際、マイルストーンを設定すれば進捗を細かく管理可能になります。</p>



<h2>ロードマップを作成するメリット</h2>



<p>ロードマップを作成することで、以下のようなメリットを得ることができます。<br><br></p>



<ul><li>ビジネスの全体を把握するため</li><li>方向性のズレを修正するため</li></ul>



<p><br>それぞれについて解説していきます。<br></p>



<h4>ビジネスの全体を把握するため</h4>



<p>ロードマップはビジネスの全体を把握するために作成されます。例えば、「新商品を開発しよう」というだけでは、何をすべきか見えにくいですし、何よりも具体性や実現性に欠けます。<br><br>プロジェクトの目的を達成するまでのプロセスをロードマップとして細かく書き起こしていくことで、「何を目的とするのか」だけでなく、「具体的に実現するための手段や手順をどうするか」といった情報も含めて可視化することが可能です。そのため、経営者や投資家、顧客が判断する材料、納得してもらうための資料としても役立ちます。</p>



<h4>方向性のズレを修正するため</h4>



<p>ロードマップは方向性のズレを修正するためにも作成されます。特に目的が大まかで漠然としている場合、目的を達成するための中間的な目標にズレが生じることがあるからです。また、目的までの目標＝経路は様々な道筋を立てられる可能性があるため、本筋から脱線してしまうようなことも考えられます。<br><br>ロードマップによって目標達成に向かうための行動指針を定めることで、プロジェクトに携わる全ての人のアクションが具体的で実現性のあるものに変化します。<br>同時に、お互いが「どのような目的に沿って行動をしているのか」が分かりやすくなるため、問題点や課題の洗い出しもスムーズになります。解決策の模索についても具体性を帯びてくるので、方向性がズレた場合でも修正しやすくなるでしょう。 </p>



<h2>ロードマップの書き方</h2>



<figure class="wp-block-image"><img src="https://magazine.qeee.jp/wp-content/uploads/2021/10/ロードマップの事例-1024x576.png" alt="ロードマップの事例" class="wp-image-26091"/></figure>



<p>上記の図は、実際のロードマップの作例です。<br>ロードマップの書き方は「こうでなければならない」という形式やフォーマットは特にないため、自由に作成することができます。しかしその反面、「ロードマップってどう書けばいいの？」という状況に陥りがちです。<br>ここからは、ロードマップを作成する上で最低限知っておきたい要素や項目などについて、上記の図を用いながらロードマップの基本的な書き方をご紹介します。 </p>



<h3>最終目標と現状を明確にする</h3>



<p>まずはゴールである最終目標と現時点における現状を明確にします。目標と現状はなるべく数値で表現することを意識しましょう。また、目標を達成するまで継続するのではなく、必ず期限を定めることが大切です。<br><br>事例ではまず最終目標を「3月31日までにサイズのUU（訪問者）を月間2,000人にする」、初期段階を「1月1日にコーポレートサイトを制作して立ち上げたばかり（UUが0の状態）」としています。 </p>



<h3>時系列に沿って中間目標を策定する</h3>



<p>中間目標毎の課題とは、次の段階に進むための区切りとなる数値、もしくは解決すべき問題などが挙げられます。<br><br>事例では<br><br></p>



<ul><li>1月31日までに月間UU500人を達成</li><li>2月29日までに月間UU1,000人を達成</li></ul>



<p><br>といった中間目標を立てているのがポイントです。<br><br>このように、最終的な目標を実現するために、いつまでに問題を解決しなければならないのかを明確にする作業となります。<br><br>時系列に沿った中間目標を策定するためのステップを以下で解説していきます。</p>



<h4>最終目標達成のために達成すべき課題を洗い出す</h4>



<p>重要になるポイントを目標とする方法として、段階的に数値や数字を上げていく方法と、目的を達成するために必須及び重要である課題や問題の解決を目標とする方法があります。<br>例えば、現状100個の販売数を300個に増やすことが目的ならば、時系列における一定の区切りごとに120個、150個、200個、250個など段階的に増やしていきます。<br>課題や問題の解決も同様であり、特定の時点において、課題や問題を解決するために注力すべき具体的な事柄を定めることで、問題点や課題の解決しながら着実に目的に進めるようになります。</p>



<h4>洗い出した課題を元に期限を設ける</h4>



<p>目的と同様に中間的な目標についても数値化し、明確にすることが大切です。同時に数値化する手段についても前もって定めておきましょう。売上や利益などの数字の他、調査やアンケート、テストなどによって数値化＝データにすること、参照とするデータを定めることで、時系列で経過した時間ごとに達成した数値的な推移を把握しやすくなります。<br>例えば、「社内全体のセキュリティ意識を向上させたい」という目的があるのならば、中間目標として設定する数値はテストの正答率に設定すると段階的な中間目標を立てやすくなるでしょう。</p>



<h4 id="h5o-8">定量的な内容にする</h4>



<p>目的と同様に中間的な目標についても数値化し、明確にすることが大切です。同時に数値化する手段についても前もって定めておきましょう。売上や利益などの数字の他、調査やアンケート、テストなどによって数値化＝データにすること、参照とするデータを定めることで、時系列で経過した時間ごとに達成した数値的な推移を把握しやすくなります。<br>例えば、「社内全体のセキュリティ意識を向上させたい」という目的があるのならば、中間目標として設定する数値はテストの正答率に設定すると段階的な中間目標を立てやすくなるでしょう。</p>



<h3>課題解決のための施策を考える</h3>



<p>中間目標毎の課題の洗い出しが済んだら、次は課題解決のための施策を考える段階です。</p>



<p> 事例のように<br><br></p>



<ul><li>UU500を達成するにはSNS告知や週1ペースの記事投稿</li><li>UU1,000達成のために評判のフィードバック</li></ul>



<p><br>といったように、各目標へ到達するためにどんな施策を取るのかを記載して、矢印で各目標へつなげてみましょう。<br><br>その他にもスムーズに課題を解決するためにも、内的な施策として組織体制の強化、業務効率化や自動化なども課題に応じて具体策を考える必要があるでしょう。<br>重要なポイントとしては、この段階で決めた施策を絶対的なものとしないことです。ビジネスにおいては状況は様々な要素で変化するため、「どの時点までに解決すべきか」「解決できなかった場合の対応はどうするか」など様々な可能性を視野に入れながら、最終的な目的を達成するために柔軟に調整できる体制を整えておくことが重要です。</p>



<h2>まとめ</h2>



<p>今回はロードマップに関する基礎知識や書き方をご紹介しました。<br>ロードマップは目的を達成するために必要なことを可視化するツールと言えます。具体的かつ現実的な形で作成することで、目的を達成するために、それぞれが何をするべきかという役割が見えてくるため、それらに応じた作業、業務の割り振りから日常的な時間の分配もしやすくなります。<br>その他にもロードマップによって、お互いの意識や意志、視野や目線を共有することで、大幅なズレが生じることなく、スムーズに計画を進められるようになるでしょう。<br>また、ロードマップによって課題や問題の解決が可視化されることで、最終的な目的を達成しやすくなるのも事実です。企業や組織として、勢いやノリだけの曖昧な目的や目標を立てるのではなく、ロードマップによって達成を前提としたわかりやすい目的と具体性と実現性のある目標を立てることをおすすめします。<br>最後までお読みいただきありがとうございました。<br>この記事がロードマップに関する基礎知識や書き方について知りたかった方のお役に立てれば幸いです。</p>

【図解】目標管理に効果的なロードマップとは？書き方を徹底解説

<p>デジタルトランスフォーメーション（DX）という言葉をご存知でしょうか。2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン（DX推進ガイドライン）」を発表し、日本でも注目を集めました。新型コロナウイルスの影響も相まって今後DXの推進が加速していくことが予想される中、DXの意味を理解しておくことは大切です。<br><br>今回の記事では、DXの推進における現状を含めDXとは何かをわかりやすく解説していきます。<br></p>



<h2>DXとは</h2>



<p>DXは「Digital transformation／デジタルトランスフォーメーション」の略称で「デジタル変革」を意味し、元々はスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念となります。</p>



<p>経済産業省では、DXについては下記のように定義しています。</p>



<blockquote class="wp-block-quote"><p>企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。</p><cite>引用： <a href="https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener" aria-label="デジタルトランスフォーメーションを推進するための ガイドライン｜経済産業省 (新しいタブで開く)">デジタルトランスフォーメーションを推進するための ガイドライン｜経済産業省</a></cite></blockquote>



<p>この定義を嚙み砕いて説明すると、「AIやIoT、ビックデータなどといった最新の技術を活用することによって人々の生活を豊かにしていくこと」と言えるでしょう。 </p>



<h3> DXは私たちの暮らしを豊かにする</h3>



<p>例えば、銀行の口座開設や取引がオンライン上で完結するオンラインバンキング、映画や新幹線のチケットの予約などオンラインで手続きが完結するものが挙げられます。さらに身近なものと言えば、スマートフォンの普及です。ユーザーが気軽にIT技術の恩恵を受けやすいデバイスであり、利便性や生活の質が向上したことが実感できます。<br><br>このように、デジタル技術の活用は私たちの暮らしを根本から変える力があります。しかし一方で、DXとIT化は異なるということに注意しなければなりません。今まで行われてきたIT化は「生産性の向上や効率化」などを目的としたものに対し、DXは「社会・組織・企業の抜本的な改革」を目的としています。<br><br>つまりDXの推進においては、ITの導入は手段のひとつでしかないということを理解して「デジタル技術によってどのような価値を作り出していくのか」を意識する必要があるのです。<br></p>



<h3>DXは企業に何をもたらすのか</h3>



<p>DXはビジネスに下記のようなものをもたらすと考えられます。<br></p>



<div style="height:20px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<ol><li><strong>仕組みの見直しによる生産性の向上・業務効率化</strong></li><li><strong>環境改善による働き方改革</strong></li><li><strong>新たなサービスやビジネスモデルの創出</strong></li></ol>



<p><br>例えば経済産業省のDXでは、実務の効率化を目指すために、今までの紙ベースの書類や申請、手続きから脱却する方法として、電子化によって手続きを便利に、簡単にする方向で動き始めました。上記の例で言えば、①や②といったものを目指したDXと言えるでしょう。<br><br>一方、富士通では「一人でも多くの人々にテクノロジーを通じてしあわせをもたらすため」にサービスを通じて社会を変革していくことを目指した、③のようなDXビジネスを推進しています。<br><br>企業・組織でのデジタル技術の活用は急速に進んでおり、競争力を保つためには最低限の取り組みであると言っても過言ではありません。さらに言えば、今後は「デジタル技術を用いてどのような価値を提供していくか」といったことを中心に据えてサービスを開発し、優位性を確立していく必要があります。 </p>



<h2> 経済産業省が課題にあげる「2025年の崖」とは </h2>



<p>「2025年の崖」とは、このままDX推進が叶わなかった場合、2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が発生する可能性を指します。この2025年の崖が発生する理由は下記の2つが考えられます。</p>



<div style="height:20px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<ul><li>既存システムが事業部毎に構築され複雑化・ブラックボックス化しており、企業全体での横断的なデータ活用が出来ていない</li><li>上記の問題を解決するためには業務全体の改革も絡んでくるため現場の抵抗が大きい</li></ul>



<p><br>もし既存システムのブラックボックス化や属人化が解消されず時代に取り残されてしまった場合、変化の激しい市場への対応が遅れ「デジタル競争の敗者」になることが危惧されています。加えて既存システムの継承や維持に人的リソースを取られてしまうことになれば、維持管理コストが膨れ上がる一方で業務基盤の入れ替えや最新技術の活用にリソースを割く余裕はますます失われて行くでしょう。<br><br>IT人材の不足が今後も懸念されている中、既存システムの維持管理のためだけに貴重な人材を投入していくことになってしまえば、企業や組織として成り立たなくなる未来が充分に考えられます。これらのことからも、DX推進が火急の要件であることは過言ではありません。<br><br>参考：<a href="https://www.meti.go.jp/press/2018/09/20180907010/20180907010-1.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener" aria-label="DXレポート ～ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開～ (新しいタブで開く)">DXレポート ～ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開～</a></p>



<h2>DXの推進における現状</h2>



<p>次にDXの推進における現状を把握するために、世界の現状と日本の現状についてご説明します。</p>



<h3>世界の現状</h3>



<p>富士通が世界9ヶ国、意思決定権を持つ900人のビジネスリーダーを対象に行ったDX調査レポートによると全体の87％の企業がDXを検討・試行・実践したという結果出ました。87％の内訳は「実践して成果を挙げた」企業が36％、「実践中」の企業が39％、「試行中」の企業が10％、「検討中」の企業が2％です。<br>世界的な規模で考えると約9割の企業が何らかの形でDXを意識し、実践もしくは検討中の段階であることがわかります。同時に現時点で言えばDXで成果を出した割合が約4割ということを考えると、まだまだ成長や普及の段階であると言えるでしょう。<br>DXの進捗として、ネット企業が51％、非ネット企業が28％と乖離しており、元々ITに強い業種や企業の方がDXが進みやすいことがわかります。<br><br>参考：<a href="https://www.fujitsu.com/downloads/JP/vision/2019/download-center/FTSV2019_Survey_JP_1.pdf">富士通 - グローバル・デジタルトランスフォーメーション調査レポート 2019</a></p>



<h3>日本の現状</h3>



<p>日経BP総研が国内900社に対して行ったデジタル化実態調査（2019年7月～9月）ではDXの推進企業は36.5％という結果が出ました。国内では約4割がDXを推進、逆に約6割の企業が全く推進していないという結果が出ています。このことから日本国内ではDXがあまり推進されていないことが明白です。<br><br>参考：<a aria-label="日経BP総研、国内900社の「デジタル化実態調査」を発表｜日経BP (新しいタブで開く)" rel="noreferrer noopener" href="https://www.nikkeibp.co.jp/atcl/newsrelease/corp/20191125/" target="_blank">日経BP総研、国内900社の「デジタル化実態調査」を発表｜日経BP<br><br></a>また、IDC Japan株式会社が国内でDXに取り組んでいる企業150社に対して行ったDXの動向調査結果（2019年8月）によると、「現時点ではDXによる売上／利益増加の効果は見えていない」と答えた企業が37.3%という結果が出ました。DXを推進しているものの具体的な成果を得られていない企業が約4割であることを考えるとまだまだDXが普及している段階、または実用的な段階とは言えず、検討や模索しているような状況と言えます。<a aria-label="IDC Japan株式会社 - DX国内動向調査結果を発表 (新しいタブで開く)" rel="noreferrer noopener" href="https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ45464619" target="_blank"><br><br></a>世界的に見てもネット企業、非ネット企業の差があることを踏まえると、日本国内でもDXが推進しやすい企業、または推進しにくい企業など、企業格差が生まれることも想像に固くないと言えるでしょう。</p>



<h2> DXを成功させるには </h2>



<p>

ここまでは、DXの課題や国内外の現状について触れてきました。最後にDXを成功させビジネスを強化するためのポイントについて解説していきます。

</p>



<h3> 現場の意識改革 </h3>



<p>DXによる抜本的な改革は働き方や価値観の変化が求められるため、現場から理解を得らない場合があります。まずは経営者が主導となり「DXにより実現したい要望」を明確にしたうえで、社員全体の意識改革を行う必要があるでしょう。<br></p>



<ul><li>DXへの理解を深めるために社内教育を行う</li><li>DXに造詣の深い人材を現場責任者の近くに配置する</li></ul>



<p>などといった方法でDXへの取り組みや正しい知識を浸透させていくことが重要です。</p>



<h3> 全社一丸となって連携を取る </h3>



<p>現場からDXについての理解を得られても、方向性を示す経営者と実際にシステムの改革に取り組む社員との間に認識のズレがあれば現場を混乱させるだけの結果となってしまいます。<br>現場の社員やIT担当の疑問・不安に耳を傾けつつ、横だけでなく縦でもコミュニケーションを取り合い情報共有を行うことが重要です。<br></p>



<h2>まとめ</h2>



<p>今回はDXに関する基礎知識や現状についてご説明しました。<br><br>DXを推進するためには、既存のシステムや業務プロセスの再構築や企業や組織としての根幹から見直すことが求められます。言い換えれば企業や組織として「変化すること」が必要だということです。<br> DXを実現するためには現時点で稼働している既存システムの問題点を未来に先送りせず、変化を受け入れること、IT技術の進化に取り残されないことが大切です。<br><br>また、DXに成功している事例と自社の現状を照らし合わせ、応用できる部分がないか検討することも重要です。下記の記事では成功事例を紹介しておりますので、あわせてチェックしてみてください。</p>


<p>[sitecard subtitle=あわせて読みたい url=https://qeee.jp/magazine/articles/6284]</p>


<p><br>最後までお読みいただきありがとうございました。<br>この記事がDXについて知りたかった方のお役に立てれば幸いです。</p>



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<p><a href="https://boost-station.jp/course/ai/e-test-pro/" target="_blank" rel="noreferrer noopener" aria-label="[PR]【合格者続出！AIエンジニアの証：E資格試験】 手厚い学習サポート＋最安値水準の認定講座。無料体験はこちら！経験者対象 速習E資格コースなら、受講料55,000円！ (新しいタブで開く)">[PR]【合格者続出！AIエンジニアの証：E資格試験】 手厚い学習サポート＋最安値水準の認定講座。無料体験はこちら！経験者対象 速習E資格コースなら、受講料55,000円！</a></p>



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金栗一憲

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