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小売業界のトレンドRaaSとは?先進事例や小売業界の未来について解説

2020年09月28日

RaaS

テクノロジーの進化によってSaaS(Software as a Service)やPaaS(Platform as a Service)といった概念が誕生し、耳にすることも多くなってきました。このようなXaaSと呼ばれる分野は多岐に展開しており、RaaS(Retail as a Service)もその一つになります。
今回の記事では、これからの時代の小売業を変えていくとされるRaaSについて詳しく解説していきます。先進事例から見えてきた今後のRaaSの展開などにも触れていきますので、「RaaSについて知りたい」「今後の小売業がどのように変わっていくのかを知りたい」といった方々の参考になれば幸いです。

RaaS(Retail as a Service)とは

RaaSとは小売りのサービス化という意味です。小売業者が蓄積していたノウハウやデータと、テクノロジー企業の技術をかけ合わせてサービスを作ること、あるいはサービスそのものを指します。
スマートフォンやECの台頭により、小売業界はデジタル化が進んでいます。ですが、ベンダーが小売業者に対してソリューションやクラウド環境を提供するという、ある種一方的な形式でした。RaaSの場合、デジタル化を進めてきた小売業界とベンダーが、対等な立場で協業するのが一般的です。それぞれの資産を掛け合わせることで、従来よりも大規模かつ顧客の細分化されたニーズに沿ったサービスが期待できます。

その他のRaaS

同じくRaaSと名がつくものでロボティクス・アズ・サービス(Robotics as a Service)が存在します。こちらは、ロボティクス機能をクラウドを経由して利用する概念です。従来長い時間をかけて開発していたロボットを、迅速なスピードで導入・運用できます。ただし、今回開設するRaaSとは直接関係がないので注意しましょう。今回は、小売業界のサービス化を意味するRaaSを中心に解説します。

RaaSの先進事例

それでは、RaaSの先進事例を3つ解説します。RaaSによってこれまで実現不可能だった大規模なシステムを開発可能となり、新たなビジネスモデル開拓や業務効率化を実現しました。

Amazonの事例

世界最大級のECサイトAmazon.comを運用するAmazonのRaaSとして知られているのが、レジなしショップ「Amazon Go」の導入です。スナックや軽食を中心としたテイクアウトに注力する予定で若者の多い地域に展開しており、コンビニエンスストアや軽食チェーンが競合となっています。
Amazon Goでの買い物の方法はシンプルで、専用アプリを開きながら入店し買いたいものを持って店を出ると、Amazonアカウントで代金が清算される仕組みとなっています。デジタル技術を駆使した新たな購買体験を提供している取り組みと言えるでしょう。
2018年に1号店が開店したのを皮切りに、2021年までには3000店舗まで増やす計画です。

Microsoftの事例

Microsoftは2019年、自社のクラウドコンピューティングMicrosoftAzureを利用して、アメリカの大手スーパーマーケットチェーン「Kroger」とデジタル小売戦略を展開すると発表しました。MicrosoftAzureを利用して商用RaaS製品を開発するだけでなく、他の小売業者にもソリューションとして売り込んでいきます。
この取り組みのひとつにデータ連携を可能とするスマートシェルフ「EDGE Shelf」の提供があります。EDGE Shelfは小売・流通業向けの商品棚とデジタルサイネージが一体型となったシステムです。Krogerが蓄積した知見をもとにマイクロソフトのAIがアルゴリズムを生成し、カメラで計測した顧客特性に応じた製品情報・不足製品に関するメッセージを表示するといった対応が可能です。
店頭での作業負荷を軽くしつつも販売促進の効果を狙えることから、注目を集めるRaaSの取り組みの一つです。

b8taの事例

サンフランシスコ発のベンチャー企業「b8ta」は、D2C(流通業者を通さずメーカーが直接販売を行う形態)製品などを扱う体験型ストアです。日本国内では新宿や有楽町で展開しています。
b8taは体験型ストアという名の通り、店舗で商品を販売するのがメインではなく、顧客に商品を体験してもらうスペースとなっています。そのため、商品を買うことも可能ですが、店舗側で売上に対するマージンは取っていません。天井についているカメラや什器のデバイスで収集した行動データ分析し、その結果を売上とともにメーカーに戻すというビジネス形態を取っています。
b8taの大きな魅力は、データと連携した体験の提供にあります。
店舗はメーカーと密接に連携を取っており、店頭のPR映像やディスプレイはリアルタイムでメーカーの要望にあわせて変更することが可能です。例えば店頭を訪れている客層や天候によって訴求の文言を変えるといったこともできます。
今まではECサイトなどオンライン上で行われていたD2Cでしたが、実店舗でも取り組むことができる仕組みとして注目されています。

RaaSの今後

RaaSの先進事例を紹介してきました。共通するポイントは、データと購買行動を結び付け、新たな購買体験を提供していくことにあります。
RaaSは今後も発展を続け、小売業界のスタンダードになっていくと予想されます。最後にRaaSによって予想される、今後の小売業界の展開を紹介します。

ベンダーと小売企業の連携が強まる

これまで、デジタルサービスとはベンダーが開発し、それを小売業者に販売するという形式でした。今後は、ベンダーと小売業者が互いの課題を共有し、協業してサービスを開発するようになるでしょう。MicrosoftとKrogerのように、開発したサービスを他企業へ販売することも予想されます。アンテナを張り、業界の情報をキャッチする必要があります。

リアル店舗でもD2Cが展開していく

流通業者を通さずメーカーが直接販売するD2Cも、Raasによって展開が加速します。これまでは小売店に商品がおけず知名度や売り上げを稼ぎにくいという問題がありましたが、b8taのように「商品を体験してもらう場所」として店舗を運用する企業が増加していけば、店舗を広告・プロモーションの場として利用可能です。今後はオンライン・オフラインの境界がより曖昧になった購買活動が活発になっていくことが予想されます。

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まとめ

小売業者とデジタル企業が対等な立場で協力し合う新しい形態が、RaaSです。IT技術の進化は、BtoCやBtoBといった既存ビジネスを塗り替えつつあります。付加価値やコストでお悩みの小売業者の方は、RaaSを研究してヒントを掴みましょう。

この記事を書いた人

QEEE編集部

QEEEmagazineはマーケター、人事、エンジニア、営業企画などの企画者に役立つコンテンツをそれぞれ領域のスペシャリストが発信していきます。

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