法務

改めて知りたい電子署名とは?最新の政府見解も含めて徹底解説

2020年09月28日

電子署名

近年テレワークの推進によって電子署名に注目が集まる一方で、一部の法的解釈によって導入がなかなか進まないという課題もありました。しかし先日、政府が見解を示したことにより電子署名が利用しやすくなったのをご存知でしょうか。

そこで今回の記事では電子署名の基本的な知識を改めて解説し、先日発表された政府の見解についても触れていきます。電子署名について改めて知りたい、今後電子署名をどのように活用すればよいのか知りたいといった方の参考になれば幸いです。

電子署名とは

電子署名とは電子データ上で契約書や請求書の取り交わしを可能にする、法的効力をもった署名形態になります。

インターネットの普及とさまざまなシステムの登場により、今では文書をPDFファイル化して効率よく送受信する流れができています。しかしデジタル文書は作成後に物理的な署名を行うことができませんし、事前に署名をした文書をデジタル化しても簡単に改ざんされてしまうので有効性が心配です。そこで従来のサインや印鑑に代わる安全性の高い署名を可能にするため、電子署名では下記のような仕組みを採用しています。

・作成者と日時をタイムスタンプとして記録
・公開鍵・秘密鍵を利用した暗号化

このような技術によって、なりすましや改ざんを防止し、文書の真正を担保します。

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電子署名の仕組み

電子署名には「SSL(Webサイト通信を暗号化して安全にする技術)」と同じ「公開鍵方式」が利用されています。これはローカルで保存する「秘密鍵」とインターネット上で送信する「公開鍵」の2種類を使った暗号方式です。

電子署名の仕組み
電子署名の仕組み

電子署名の仕組みはこのような流れで行われます。

  1. 署名者はハッシュ関数でハッシュ値を作成する
  2. 署名者は秘密鍵で文書を暗号化する
  3. 署名者は電子署名をファイルに記載する
  4. 署名者はファイルを署名検証者に送信する
  5. 署名検証者はファイルからハッシュ関数でハッシュ値を作成する
  6. 署名検証者は公開鍵で電子署名のハッシュ値を復号する
  7. 署名検証者は作成したハッシュ値と復号したハッシュ値を比較する


秘密鍵は署名者のみが持っており、インターネットに流通もしません。秘密鍵がばれない限り万が一データを盗まれても改ざんできないのがメリットです。

電子署名の種類

電子署名には当事者型と立会人型が存在します。大まかな仕組みは同じですが、「誰が認証を行うか」という点において違いがあります。
それぞれ詳しく解説していきます。

当事者型

契約の当事者が電子証明書を発行して、書類の正当性を証明する方法です。認証サービスを提供している企業の審査を基に電子証明書が発行される仕組みです。

当事者型は本人が証明書を直接用意するタイプであり、文書の有効性を確実に証明できる方法として従来の電子署名法で想定されていた方式になります。その代わり電子証明書を自前で用意するのに時間や手間が掛かるのが難点です。

立会人型

立会人型とは、インターネット上の電子契約書を当事者ではなく当事者が認定した電子契約サービス提供者が正当だと証明する電子署名タイプです。

立会人型では当事者型とは違い、電子証明書を当事者同士がいちいち用意する必要がありません。双方が認定した第三者である事業者に書類を見せるだけで簡単に署名が完了します。当事者型よりも導入が簡単であり、ビジネスで一般的な手段になりつつあります。

ただし立会人型の署名方式は正当性の証明という観点から法的な有効性で解釈が分かれてしまうのが難点でした。

電子署名のメリット・デメリット

ここからは電子署名のメリットやデメリットをご紹介していきます。

メリット

電子署名には次のようなメリットがあります。

契約書のデータ化

契約書を単にデータ化するだけでなく署名も電子化できれば、完全なペーパーレス化が実現します。

現在コロナ禍の影響で広まったテレワークでは、「書類に印鑑を押すためだけに会社に戻る」といった問題も発生していました。電子署名を導入すれば完全にテレワークだけで書類の正当性を証明できます。

またペーパーレスが進むことで書類の管理面やコスト面でもよい影響が受けられます。

収入印紙代の削減

経済取引に関係する書類には印紙税が掛かり、記載の契約金額によって税率が変わってきます。ただし電子契約書は印紙税の対象外なので、電子署名を活用すると収入印紙代が削減可能です。

取引関係の書類作成が多いほど収入印紙代が削減されますし、紙代や印刷代といったコストがなくなる点も合わせるとかなりのコスト削減につながるでしょう。

業務効率が上がる

電子署名により手続きが簡便になり、業務効率があがります。従来の書面での取引では、

  1. 契約書をパソコンで作成する
  2. 印刷を行う
  3. 印を押して封入作業を行う
  4. 郵送する、あるいは取引先へ直接持って行く

といった手間が掛かっていました。

しかし電子署名により完全なペーパーレスが実現すると、

  1. 契約書をパソコンで作成する
  2. 電子署名を付けてデータを送信する

といった簡単なステップで取引が可能になり、これにより顧客の満足度アップも見込めます。また業務フローが改善されてスピーディーになれば、空いた時間は他の重要な作業に回すことも可能です。

デメリット

電子署名には次のようなデメリットがあります。

電子署名が活用できない契約がある

残念ながら電子署名は新しい書類証明方式であり、対応していない契約もあります。日本の法律では下記のような契約については従来通り紙で署名を行うように義務付けています。

・投資信託契約の約款
・定期借地契約 など

多くの書類では電子署名で契約が可能ですが、例外がある点には十分注意しておきましょう。将来的には紙署名が義務付けられている契約が電子署名できるようになるかもしれないので、政府の最新動向もチェックしてみてください。

取引先とのすり合わせが必要

「電子署名は不安だから、紙の署名のほうがよい」という取引先も出てくるかもしれません。データ化への不安を取り除くためにも、導入時には丁寧な説明が必要になるでしょう。

・電子署名は暗号化技術も組み合わさっているので安全
・テレワークの影響で電子署名のほうがスムーズに取引できる
・取引先も電子署名を利用すればコスト削減につながる

上記のようなメリットを説明しながら、すり合わせをしてトラブルが起きないようにするのもポイントです。

電子署名の法的効力

電子署名の法的効力は、2001年に策定された電子署名及び認証業務に関する法律(通称:電子署名法)によって認められています。
電子署名法とは、電子署名の定義や有効性などについて定めた法律のことです。今よりインターネットが普及していなかった時代に定められたものではありますが、電子署名の重要性が増している今注目すべき内容が記載されています。

電子署名法の中では、本人によって一定要件をクリアしている電子署名は有効性があり、署名された文書は本人の意思に基づき作成されたものとしています。また一定の基準をクリアした認証業務は、認定を受けられると定めてられています。
その一方で電子署名法の記述では当事者型と立会人型で解釈が分かれてしまい、完全なデジタル化・ペーパーレス化とまではいきませんでした。

立会人型電子署名の法的効力が認められた

上記のような背景があった電子署名法でしたが、最近政府により電子署名にとってプラスとなる見解が発表されました。

政府は「利用者の意思に基づいていることが明らかならば、本人が電子証明書を発行していなくても電子署名は要件を満たす」とし、従来有効性が微妙とされてきた立会人型のサービスにも有効性があると明示しています。

企業側は今まで有効性を心配し、主に行政関係の契約で立会人型の電子署名を使うことを避けてきました。今回政府公式で有効性が認められたことで、行政手続きのオンライン化が進むのではないかと思われます。また立会人型の電子署名が訴訟時に証拠となるという見解も発表されると見られており、企業の電子署名利用が加速しそうです。

参考:電子証明書ない「電子署名」も有効 政府見解、事前登録不要に  :日本経済新聞

まとめ

今回は電子署名の基本的な知識を改めて解説し、政府の見解についても触れてきました。

電子文書を正当と証明できる電子書類は、印鑑やペンでのサインといった従来の認証方式に変わる手法です。政府により立会人型の証明力が認定されたことで、今後より利用が広まると予想されます。

ぜひ電子署名をスタートさせて、柔軟に書類を証明できるような体制を作ってみてください。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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