人事

失敗しないテレワーク導入のポイントとは?成功事例も含めて徹底解説

2020年09月09日

テレワーク働き方改革

以前から働き方改革の一環として謳われていたテレワークですが、新型コロナウイルスの影響によりあらゆる企業でテレワークの導入が急速に進みました。しかし同時に、様々な理由からテレワーク導入を失敗していると感じている方も多くいらっしゃるかと思います。

そこで今回の記事では、テレワーク導入のよくある失敗を解説していきます。失敗しないテレワーク導入のポイントや成功事例も紹介していきますので、「社内のテレワークの現状を改善したい」「今後テレワークを本格的に導入したい」といった方々の参考になれば幸いです。

テレワークとは

テレワークとはIT技術を利用して時間や場所を問わず働ける勤務形態です。リモートワークや在宅ワークとも呼ばれており、自宅や自分の部屋、もしくは有償及び無償のワーキングスペースを利用するなど、社外や組織外で働くことを意味します。

東京都が行った緊急調査の「テレワークを導入していますか」という問いに対し、「導入している」と答えた企業が2020年3月度は24.0%ですが、2020年4月度では62.7%と大幅に増大しており、様々な企業において加速度的にテレワークの導入が進んでいる状況と言えます。

参考元:東京都公式ホームページ - テレワーク「導入率」緊急調査結果

テレワークで考えられる効果

次にテレワークで考えられる効果を簡単に抑えておきましょう。

・通勤時間や通勤手当の削減
・公私ともに時間的な余裕が生まれる
・オフィススペースや社屋などの家賃の節約
・家庭環境や生活環境に合わせやすい勤務体系の提示
・通勤時や接客業務による感染リスクの低減

上記がテレワークで考えられる効果の一部です。主に時間や金銭的なコストに関する部分に効果的であることがわかります。

その他、諸事情により通勤+フルタイムでは働けないけれど、テレワークであれば働ける優秀な人材の雇用につながることも期待できるでしょう。

テレワークでよくある失敗パターン

前項でご紹介したテレワークで考えられる効果はメリットと言える部分ですが、テレワークにはデメリットとなる部分があるのも事実です。

具体的にどのようなデメリットがあるのか把握し、改善の指標とするためにテレワークでよくある失敗パターンを5つご紹介します。

社員のセキュリティリテラシー不足

社員のセキュリティリテラシー不足によって情報漏洩や不正ログインのようなセキュリティインシデントが発生する恐れがあります。社内や組織内であれば意識せずとも保たれていた個人情報の保護、業務上データの閲覧や取扱いが自宅やワークスペースで業務することで保たれなくなるからです。

社員のセキュリティリテラシーが不足している場合、自宅で業務する際、家族であってもディスプレイが見えない角度にすること、不在時や離席時に勝手にパソコンを触れないようにすることなどの簡単なことでも守られていない可能性があるということです。その他、ワーキングスペースにおいて、後ろから覗き見されるリスク、離席した際にパソコンそのものを盗まれるリスクも考えられます。

ネットワーク・セキュリティ環境が整っていない

テレワークするためのネットワーク・セキュリティ環境が整っていない場合もテレワークが失敗するパターンのひとつです。そもそも家にインターネット回線がない、パソコンやタブレットがない場合はテレワークできません。それらを補うために物理的なデバイスやネットワーク回線の貸与する体制や環境が必要になります。

また、無理に従業員の私的なインターネット回線やパソコンを利用する場合において、従業員のセキュリティリテラシーが不足していれば、セキュリティに関する脆弱性を排除できず、サイバー攻撃を受けてしまうなど、不要なリスクが増えてしまいます。

社内のコミュニケーション不足

社内のコミュニケーション不足もテレワークが失敗するパターンのひとつです。対面なら気軽に話せものの、文字や音声、ビデオによるチャットだと空気感がわからず、話しかけられなくなり、ちょっとした質問や確認、チェックしてほしいことなど些細なタスクを溜め込んでしまうことが挙げられます。

逆に対面であれば即答して終わるような内容であったとしても、画面上にタスクとして溜まってしまうことも考えられます。職場であれば人間関係を上手に利用しながら、スムーズに作業できる人であっても、テレワークでは実力を発揮できず、結果として業務全体の効率化が損なわれてしまう可能性も否めません。

社内制度が整っていない

テレワークを受け入れられる社内制度が整っていない場合もテレワークが失敗しがちです。例えば、テレワークにおける失敗でよく語られるのが「ハンコの文化」です。テレワークを導入したとしても、ハンコをもらうためだけに出社しなければならないのは不便です。そのため、テレワークに適した業務プロセスへと改善する必要があります。

その他にもシステムや業務プロセス的にテレワーク時の作業や業務の進捗や結果が可視化ができず、従業員ごとにちゃんと仕事をしているかわからない、逆に仕事しているのにきちんと評価されないなどの問題も発生します。

労働時間の管理がしにくい

テレワークでは出社や退社という物理的に拘束されることがないため、労働時間の管理がしにくいという課題があります。雇用する側としては従業員側の出社や退社の申請を信じるしかなく、実際に作業や業務しているかに関わらず、残業手当てを過剰に支払わなくてはならないということが考えられます。

働く側としても家事や育児、家族との時間などのオン・オフの切り替えが曖昧になり、ライフワークバランスが崩れる恐れもあります。実際に自宅で仕事をする場合、仕事の合間に家事、育児をしながら仕事という働く側にとって都合の良い働き方もできてしまうため、結果として心も体も休まらないような状況に自分自身で追い込んでしまうこともあるからです。

失敗しないテレワークの導入ポイントとは

次に失敗しないテレワークの導入ポイントについてご説明します。

①段階的に検討を重ねる

テレワークを導入する際、必ず対象業務を絞って段階的に検討を重ね、実務で運用可能か確認することをおすすめします。一気に全社で導入を進めてしまうと問題や課題が解決されないまま、新たな課題や問題が増え続けてしまうからです。試験導入を複数回重ねてその都度課題を洗い出して徐々に導入を進めていく形がベストです。

基本的にはテレワークで可能な業務や作業と、出社する必要がある業務や作業の洗い出しと、テレワーク時でも通常の業務と同じパフォーマンスが出せるような業務プロセスや作業手順の構築が必要となります。その他、各部門との連携、顧客やユーザーとのコミュニケーションなど、テレワーク時にマイナスの影響が出ないような配慮も怠らないようにしましょう。

②ツール・サービスの導入を検討する

現実問題としてテレワークと出社時の業務プロセスや手順、コミュニケーションを構築するというのは非常に難しい課題でもあります。その課題を解決するためにはテレワークに適したツールやサービスを導入を検討し、実際に導入するのがおすすめです。

実際にテレワーク時に適したツール・サービスにどのようなものがあるのか抑えておきましょう。

コミュニケーションツール

コミュニケーションツールとは主に文字ベースのチャット機能を備えたビジネスチャットツール・ソフトウエアを指します。業界や業種によっては社内SNSなども有効活用できるでしょう。

代表的なツールとしてSlackやChatWorkがあり、従業員ごとにアカウントを割り振り、個別での会話やチーム、グループごとに文字で会話できる体制を整えることに利用します。

テレワーク時におけるコミュニケーション不足の解消が期待できる点、同時に文字の情報が蓄積されることで企業や組織における情報資産の蓄積にも役立ちます。

また、文字だけでなく音声や動画によるコミュニケーションが可能なものもあるので、適宜タイミングに合わせて好みのコミュニケーションが取れる点もメリットです。

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グループウェア

グループウェアとは社内や組織内における情報共有を円滑にするツールです。代表的なツールとしてG SuiteやOffice 365、Kintoneが挙げられます。業務上必要なファイルやデータ、マニュアルなどの保存や閲覧、編集なども可能であり、社内や組織内における情報共有部分の強化も期待できます。掲示板やチャット機能、フィードバック機能によって、業務上必要なコミュニケーションの効率化も可能です。

また、お互いのタスクや作業状況、進捗の把握、カレンダー機能で予定及びスケジュールのチェック、プロジェクトにおける全体の進捗などを把握しやすくなります。その他、顧客情報管理や営業支援などの機能を備えている、もしくは外部マーケティングツールと連携可能であれば、さらに綿密な情報共有が可能となり、部門や部署を越えた横断的なデータ活用にもつながるでしょう。

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Web会議ツール

Web会議ツールはちょっとしたミーティングから多人数による会議も可能なコミュニケーションツールです。代表的なツールとしてZoomやSkype、Googleハングアウトが挙げられます。Webカメラで撮影したリアルタイムの動画による顔の見える会議や、社内外のプレゼンテーションやオンラインでの接客及び営業活動を可能とします。

また、Web会議ツールはテレワーク時における顔が見える作業環境を整えやすく、会議やプレゼンテーションでなくても稼働させておくことで、社内にいるかのような雰囲気を作ることにも効果的です。

動画だけでなく音声のみで会議する機能も備えているツールもあり、ご自宅などのプライバシーに配慮しながら対応できること、顔を出すのは嫌だけど音声だけならOKという方でも安心して利用できます。

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勤怠管理ツール

勤怠管理ツールはテレワーク時の出勤や退勤、残業や休日管理に役立つツールです。代表的なツールとして人事労務freeやマネーフォワードクラウド、jinjerなどが挙げられます。労務管理の機能を備えているものもあり、人事情報の把握や入社や退社の手続き、公的な申請をサポートしてくれるツールもあります。

また、給与計算や経理における機能を備えているものであれば人事や経理部門における事務作業の負担の軽減にもつながり、バックオフィス系の処理を一元管理、可視化やペーパーレス化も期待できます。

その他、勤怠とともに人事評価もしやすくなるため、テレワークにおいても適切な人材の評価、給与面でのフィードバックが可能となる点もこれからの時代に即していると言えるでしょう。

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リモートアクセスサービス

リモートアクセスサービスはテレワーク環境から社内や組織内のパソコンにアクセスし作業や業務を可能とするツールです。代表的なツールとしてTeamViewerやOneOfficeスマートコネクト、magicconnectが挙げられます。

リモートアクセスサービスを利用することで、社内や組織内のパソコンが活用できる他、セキュリティ性を損ねず業務が可能になります。並行して直接的に従業員のパソコンやタブレットなどにデータを残さないような作業手順や業務プロセスを構築することで情報漏洩のリスクも低減され、作業する側の安心感も高まるでしょう。

また、社内や組織内のネットワークに接続されているパソコンであれば一元管理もしやすくなり、OSやソフトウエアのアップデート、ウイルス対策ソフトの管理など、IT環境の統一や整備する際にも役立ちます。

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③社内制度を工夫する

テレワークの導入で失敗しないためには、社内制度による格差をなくす工夫をすることです。

・出社する人とテレワークする人で給与面における差を作らない
・テレワークする人に対する手当や経費を明確にする
・業務や作業の割り振りを偏らせない
・出社する人の通勤や接客に関するリスクに配慮を行う
・正当な人事評価を得られる仕組みを確立する
・社内や組織内及びシステム面での権限を見直す

上記のような形で出社する人とテレワークする人の両方がお互いに損・得を感じないよう工夫することを考えましょう。

特に給与面や人事評価に関する部分は不満を感じられてしまった時点で離職の可能性が高まります。テレワークだから給与が安い、または適切な権限が割り振られないなどの状況に偏らないことが大切です。

その他、経費やコストとなる部分を従業員個人に負担させないようにすること、逆に何でもかんでも経費で落とさせないよう明確に基準を儲けることを忘れないようにしましょう。

テレワークを成功させた企業事例

最後にテレワークを成功させた企業事例を3つご紹介します。

サイボウズ株式会社の事例

サイボウズ株式会社はサイボウズOfficeなどを提供するソフトウエア開発会社です。テレワーク導入初期は在宅勤務は月4回まで、全従業員が対象ではあるものの、リモートサービスの承認を得られた人のみというルールを設けて試験的にベータ版を開始しました。本格的な運用に移行する段階で在宅勤務は月4回までという基準も制限なしに変更、前日に申告し承認という流れも当日申告でも可という形に変化していきます。

また、在宅勤務の可否についても、柔軟に上長が判断する仕組みを取り、お互いが信頼することでテレワークができる社内環境や雰囲気の整備を行いました。結果としてお互いが信頼するため、信頼しているからこそしっかりとしたコミュニケーションが生まれるようになり、良い意味でお互いがさぼらず、きちんと仕事をする状況が整ったと言えます。

サイボウズでは信頼関係を前提としてルールを簡素化すること、グループウエアを活用することでテレワークを成功させた事例と言えるでしょう。

参考:サイボウズがテレワークをするまで──テレワークの運用は「信頼関係」が前提 | サイボウズチームワーク総研

カルビー株式会社の事例

カルビー株式会社は主にスナック菓子を製造、販売する食品メーカーです。カルビー株式会社ではフレックス制度の導入、社内フリーアドレス、定時帰宅や有休消化の奨励など、そして在宅勤務を推進してきました。

在宅勤務においてはトライアルを繰り返しながら、従業員の声を反映し正式に導入が決定されたとのことです。現在のルールでは前日までに上司に申告、週2回まで在宅勤務が可能、残業はなし、翌日までに作業報告が必要という形になっています。

カルビーでは目標管理という形で評価をしているため、在宅勤務だからと評価がされないようなこともなく、従業員側が自分の都合に合わせて取得できるという雰囲気や環境が整っています。

今後もさらに家庭環境や諸事情に合わせて柔軟な働き方ができるよう検討しているとのことであり、雇用する側が柔軟に多様な生き方や働き方を受け入れられる形でテレワークが成功した事例と言えます。

参考:社内フリーアドレスや在宅勤務を導入 トライアルを繰り返し社員の声を制度に反映ーカルビー株式会社

アフラック生命保険株式会社の事例

アフラック生命保険株式会社は生命保険を取り扱う企業です。全社員がテレワークできる環境を整備しており、フレックスも含めて柔軟な働き方ができるような取り組みを行っています。

具体的には社内システムに接続できるシンクライアント端末、専用のUSB機器、スマートフォンやタブレットの配布しており、適切な権限を割り振ることで個人情報の保護やセキュリティ性の確保がなされています。

その他、アフラックでは全国9ヶ所にサテライトオフィスを構えており、社外や自宅以外でも安全かつ落ち着いて仕事ができるスペースを確保しています。

保険会社として個人情報を取り扱うことが多いため、導入は慎重に行われました。まず、どの部署や部門、担当にどのような権限を割り振れば効率を落とさずに業務が回るのかを検討する必要がありました。複数回の検討を通じてひとつずつオペレーションやセキュリティの課題を洗い出し対策をしていくことで、結果としてセキュリティ性を損ねることなく誰でもテレワークが可能となる環境を整えることに成功ました。

参考:アフラックの働き方改革事例|全社員で創る、自由な働き方 - 働き方改革事例集

まとめ

今回はテレワークにおける基礎知識やよくある失敗するパターン、テレワークの導入に失敗しないためのポイント、そしてテレワークを成功させた企業事例についてご説明しました。

テレワークの導入や運用で失敗しないためには、テレワークする人と出社する人の両方が差異を感じることのないよう、企業や組織側が環境を整えることが不可欠です。出社した方が給料が良い、ITが整備されているとなれば、人によっては出社したくなるでしょう。逆もまた然りであり、テレワークの方が集中できるし、ライフワークバランスが最適だと感じる方もいらっしゃいます。

だからこそ、どちらの場合においても格差なく働けるようにすること、IT環境、セキュリティ、デバイス、社内制度など、時間も場所も問わずに柔軟に働けるような工夫を盛り込むことが大切です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事がテレワークを導入したい方、またはもっとテレワークを効率化させたい方のお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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