人事

今さら聞けないジョブ型雇用とは?新しい雇用形態の特徴・導入ポイントを解説

2020年09月09日

ジョブ型雇用

昨今の新型コロナウイルスの影響により、人々の暮らしや働き方も大きく変化しつつあります。特に欧米諸国では既に主流であったジョブ型雇用はコロナ以前から国内でも注目を浴びており、現在更にその存在感を強めています。
そこで今回の記事では日本国内では新しい雇用形態であるジョブ型雇用について解説していきます。企業側・求職者側から見たメリット・デメリットや導入時にポイントとなる点も触れていきますので、自社の雇用形態の見直しをされている方、ジョブ型雇用について知りたい方の参考になれば幸いです。

ジョブ型雇用とは

昨今テレワークやリモートワークが急速な広がりを見せるなかで、人々の働き方も大きく変化してきました。それに伴って、時代の変化とともに人材確保への採用方法も変化しつつあります。
そのなかで代表的なのが「ジョブ型雇用」です。ジョブ型雇用とは企業が求める特定の職務(ジョブ)があり、その仕事を遂行できる人材を募集する方法のことを言います。中途採用はこの「ジョブ型雇用」に近い方法であると考えられます。

国内外の働き方の現状

まずは国内外における現在の働き方について見ていきましょう。

日本ではメンバーシップ雇用が主流

ご存知の通り、日本ではこれまで「メンバーシップ雇用」と呼ばれる雇用制度が一般的でした。いわゆる新卒一括採用のことで、総合的なスキルが求められる方式です。もちろん今でも多くの企業がこの方法で採用を行っていますが、日立製作所や富士通などの大手企業が欧米諸国に倣って「ジョブ型雇用」を取り入れているというニュースが話題を呼びました。
日本では「新卒一括採用」や「年功序列」といった考え方が根強く、総合職として人材を採用することが多いのも事実です。入社当時から職種や仕事内容を限定せず、本人のキャリア希望を聴きながらジョブローテーションで総合的に長期的に人材を育成していくスタイルです。会社の仕様や状況に合わせる「会社基準」の雇用であると言えます。日本ではこうしたスタイルを用いながら長い間、定年までの雇用を約束する「終身雇用」によって離職や転職を防いできました。

欧米ではジョブ型雇用が主流

いっぽうで欧米では「ジョブ型雇用」が活用されています。このジョブ型雇用は成果主義的に見られることもありますが、究極的な適材適所の考え方が基盤にあると考えられます。年齢や性別、国籍など関係なく、職務や条件に最も適した人を採用することになるわけです。これからのダイバーシティー(多様性)にもマッチした採用方法であると言えるでしょう。

ジョブ型雇用が注目される背景

こうしたジョブ型雇用がクローズアップされる理由として、ここでは4つの背景をご紹介します。

企業の競争力の強化

1つ目が企業の競争力の強化を狙ってのことです。メンバーシップ型雇用では求められる人材がジェネラリストや総合職になるので、どうしても社員の専門性が高まりにくい傾向があります。人材育成をするとしても多くの時間と労力、コストがかかってしまいます。
こうした課題を解決するために、企業がジョブ型雇用を始めることで、専門性の高いスペシャリストを獲得しようとしているのです。

同一労働同一賃金制の導入

2つ目が同一労働同一賃金制の導入によるものです。2020年(中小企業では2021年)から同一労働同一賃金制ルールが導入されます。つまり「同じ仕事をしていれば、正社員・非正社員などの待遇に関係なく、同一の賃金が支給される」ということです。仕事の内容によって賃金が決定するため、勤続年数も関係なくなってきます。
こうした同一労働同一賃金制に対して、「メンバーシップ型雇用」は相反する要素をいくつか持ち合わせています。すでに現状においても、年功序列や終身雇用の制度は崩壊しつつあるため、さらに追い風のように「ジョブ型雇用」に移行していく可能性が高まるでしょう。

人材不足の解消

3つ目が人材不足の解消を目指すためです。昨今は第4次産業革命とも言われる技術革新が到来しています。具体例を列挙すれば、AIやドローン、ブロックチェーン、5Gなどがあります。それも伴い、ITやマーケティング分析関連の専門職へのニーズがより一層高まっています。
これまで専門職が必要とされるのは一部の企業や部署だけでしたが、こうした技術革新の広まりのために、今後は多くの企業で専門職に対するニーズが高まると考えられます。

新型コロナウイルスの影響

4つ目が新型コロナウイルスの影響があります。新型コロナウイルスによって在宅勤務やモバイルワークが普及しつつあります。その結果、各ビジネスパーソンの成果が目に見えてわかるようになりました。こうした成果物の見える化は社員の評価基準までをも変化させつつあります。
そもそも新型コロナウイルスによって、業界や企業によっては業績悪化の一途をたどっていることも少なくありません。このような影響もあり、企業がより優れた即戦力となる人材を求めようとするのは当然のことかもしれません。

ジョブ型雇用のメリット・デメリット

続いてジョブ型雇用のメリット・デメリットについて見ていきましょう。今回は企業側・求職者側に分けてご紹介します。

企業側のメリットデメリット

まずは企業側についてチェックしていきましょう。

メリット

企業側のメリットは次の2つが考えられます。

  • 雇用時のミスマッチ防止に繋がる
  • 専門性の高い人材を獲得できる 


ジョブ型雇用であれば、企業が求める職務を全うできる人材が採用される可能性が高いため、採用時のミスマッチを防げることにもつながります。さらに職務範囲を限定することによって、より専門的な人材を確保することにもつながります。

デメリット

いっぽうで企業側のデメリットとして、次の2つが考えられます。

  • 社内の人員整理・配置換えの柔軟性が低い
  • 転職される可能性がある 


従来の採用方式では職種転換が可能でしたが、ジョブ型雇用になるとそうもいきません。職務や勤務地を限定しているので、簡単には社員を転勤・異動させることができないのです。そのためジョブ型雇用によって採用された社員が更なるキャリアアップを検討する場合、転職されてしまう可能性もあるのです。

求職者側のメリット・デメリット

次に求職者側について見ていきましょう。

メリット

求職者側にとってのメリットは次の3つが考えられます。

  • 専門性を活かした仕事に就ける
  • 異動・転勤の心配がない
  • 成果に応じて給与が決まる


まず求職者は自分の専門性を活かすことができます。採用されればジョブローテーションがなく、異動や転勤などの心配もいりません。職務記述書や契約内容以外の職務に関して気にする必要がないので、安心して働くことができます。
また若くてもスキル・技術を持ち合わせていれば、スキルを保有していない先輩社員よりも給料が高くなることもあるでしょう。スキルを磨くことでさらに給与を上げることもできます。

デメリット

いっぽうで求職者側にとってのデメリットは次の2つが考えられます。

  • 自己研鑽が重要になる
  • 解雇のリスクがある 


第4次産業革命に関連する専門スキルはとくに日々進歩しています。専門職になるので誰かに教えてもらうのを待つのではなく、その技術の進歩を自分自身でフォローしつつスキルアップしていくことが重要となります。
また大きなデメリットのひとつとして、会社都合や社会情勢によっては、職務自体がなくなってしまう可能性もあります。ジョブローテーションや職種転換がないぶん、解雇や退職のリスクが付きものです。

ジョブ型雇用導入のポイント

次に企業がジョブ型雇用を導入するうえでのポイントについてご紹介します。

社内制度を整える

1つ目のポイントはモチベーション・エンゲージメントの向上を目的のために社内制度を整えることです。メンバーシップ型雇用で統一していた状態からジョブ型雇用を取り入れる際に、以下の点について検討する必要があります。

  • 働き方(フレックスやテレワーク制度など)
  • 業務プロセス
  • インフラ整備
  • 給与や報酬体系
  • 職務内容・責任
  • 評価制度
  • 採用(新卒・中途など)


これまでの体制・制度から変更が必要となる点はとくに見直し、社員が働きやすく、さらに社員のモチベーションが高まるような社内制度を整えていくのがベストでしょう。

職務内容を明確に定義する

2つ目のポイントは職務定義書(ジョブディスクリプション)を明確に定義することです。ジョブ型雇用は職務範囲を限定することになるので、採用された社員がなにをどこまでしなければならないのか明確になっている必要があります。
職務内容や勤務地、待遇、勤務時間帯だけでなく、役職や権限、責任などの役割まで決まっているのがベターでしょう。詳細なジョブディスクリプションを事前に用意しておくことで、求人掲載や選考もスムーズに進められます。

まとめ

本記事ではジョブ型雇用の定義、メリット・デメリット、現在の日本の採用状況、導入時のポイントについてご紹介しました。
暮らし方や働き方が大きく変化しつつある今、従来の方式では通用しない部分も出てきています。これからの時代や世界や日本の新しい労働環境から取り残されないために、ジョブ型雇用をひとつの契機にしながら雇用や採用のあり方を検討してみてはいかがでしょうか。
求職者の方はジョブ型雇用を取り入れている企業を探しながら、就職活動に臨むのもいいでしょう。ぜひ本記事を参考にしてみてください。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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