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【業界別】ビッグデータの6つの活用事例と活用のポイントを解説

2020年09月09日

ビッグデータ

「デジタルトランスフォーメーション」を語る際、「AI」や「IoT」などといったキーワードとともに並べられるものとして「ビッグデータ」があります。現在ビッグデータを活用したビジネスが世界中で生まれており、私たちの社会生活がより便利なものになっているのを知っている方も多いでしょう。
今後デジタルトランスフォーメーションがより重要になってくると考えられる中、ビッグデータを活用したビジネスにはどのような事例があるのでしょうか。事前に理解しておくことで、将来的にあなたの企業のビジネスにも役立つかもしれません。
今回の記事ではビッグデータを活用し成果を挙げている事例を、業界ごとに詳しく解説していきます。活用のポイントにも触れていきますので、「自社で保有しているデータを上手くビジネスに結びつけたい」と考えている方の参考になれば幸いです。

ビッグデータとは

ビッグデータとは、「処理が困難であるほど巨大なデータの塊」です。ビッグデータは企業の大きな資産になる可能性を秘めており、データを収集、加工して分析することでさまざまなビジネスチャンスが発生します。
ただしビッグデータを活用するには日々膨れ上がる大量のデータを扱えるハードウェアやソフトウェア、加えてデータを扱える人員も用意する必要があります。

ビッグデータがもたらす効果

ビッグデータを活用すると、次のようなメリットがあります。

  • データ分析により人の経験値や勘に寄らない組織の現状把握が可能
  • 課題を細かくデータ分析して対策に必要な施策を練れるようになる
  • 多角的にデータを分析することで新商品やサービス展開のヒントを得られる


現状の把握や課題分析、ビジネスチャンスの創出までビッグデータの活用範囲は広いです。

ビッグデータの活用事例

ここからは各業界でのビッグデータ活用方法や先進事例をご紹介していきます。

金融業での活用

金融業はビッグデータが長年活用されている業種の一つです。

  • パーソナライズされたサービスの提供
  • クラスタリングを活用したポートフォリオの最適化

たとえば企業が保有する顧客データを分析して、保険サービスを提供するといったことが可能です。また「クラスタリング」といったデータ分析手法を用いて株価動向などに同じような傾向がある企業でグルーピングを行い、最適化されたサービスを提供するといった取り組みにビックデータが活用されています。

RisTechの事例

「三井住友海上火災保険」はコンサル業務を提供している「アクセンチュア」と組み、「RisTech(リステック)」というサービスを開始しました。
RisTechを使うと各企業のリスクが可視化され、課題解決を図れるようになります。リスク分析には三井住友海上火災保険が所有している各業界の事故や災害データといったビッグデータが活用され、アクセンチュアや提携先のデータサイエンティストがレポートの提供やリスクモデル開発などを行うのがポイントです。
三井住友海上火災保険ではRisTechを通して、従来の保険会社の枠組みにとらわれずに社会の課題解決を担っていきたいとしています。

参考:損害保険会社の社会貢献を見据えた新サービス「RisTech」~企業のリスクをビッグデータ解析で可視化・最適化し、課題解決を図る
https://thefinance.jp/insurtech/190926

流通・小売業での活用

流通・小売業ではビジネスチャンスを発見するために、ビッグデータが活用されています。

  • 売上・顧客データを活用したマーケティング活動の最適化
  • 効率的な供給を実現するための需要分析

たとえばECサイトに紐付いている売上データや顧客データなどを統合解析し顧客をセグメント分けを行うことで、効果的なマーケティング施策を行えるようになっています。またビッグデータを活用することで高精度な市場予測を行うことも可能となり、効率的に製品を市場投入するといった使い方がされているのもポイントです。

ダイドードリンコの事例

ユニークなCM放映でも有名な「ダイドードリンコ」では、消費者アンケートで集めたデータと「アイトラッキング・データ(ユーザーの自動販売機での目線の動きをデータ化したもの)」を活用しています。
アイトラッキング・データを分析したところ、「ユーザーの視線は左上からZ型で動いている」といった定説が覆る結果となりました。
これらのデータを参考に、自動販売機の人気製品の陳列の順番を左上ではなく左下に変更しました。結果売上が増加し、ビッグデータの有用性が証明されています。
今後は集計して利用するのに時間が掛かる販売データを、どうマーケティングに利用するかが課題となっています。

参考:総務省|平成27年版 情報通信白書|(3) 国内ビッグデータ活用事例
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/

製造業での活用

製造業はIoTの導入が進んでおり、その中でビッグデータの活用も盛んにおこなわれているのが特徴です。主な目的としては生産性の向上や品質管理に活用されています。

  • 工場設備の稼働状況の把握
  • 予実管理

たとえば、工場内設備の稼働状況をセンサーで把握して、異常があった場合早期に対策を行うといった使い方がされています。また予実管理では計画していた目標と実績をデータで突き合わせて問題点の洗い出しを行い、生産計画の改善に繋げるといった活用も行われています。

Intelの事例

半導体大手「Intel」では、チップの市場投入に関してビッグデータを活用しています。
ビッグデータを分析することでチップ製造の際の品質検査を一部のチップだけに絞って行えるようになり、製造コストが300万ドル削減されるといった高い費用効果を発生させました。
ビッグデータを活用した予測分析は、コスト削減にも一役買います。

参考:ビッグデータ活用でコスト削減--インテルなどの成功事例 - ZDNet Japan
https://japan.zdnet.com/article/35062222/

農業での活用

農業は第一次産業として、人の経験則や勘に頼る部分が大きかった分野です。安定的な生産とナレッジの共有のために下記のような取り組みが行われています。

  • IoTセンサーを用いて現実の気象状況を測定し、生産計画を可視化する
  • 気象データからリスクを予測して被害を抑える対策をする
  • 既存農家の経験をデータ化して新機能業者に提供する


このようにビッグデータ活用することで誰でも確実な農作物管理ができるようになりつつあり、参入へのハードルが低くなっています。

富士通の事例

パソコンメーカーとして有名な富士通はITの技術や経験を活かして、農業にも参入しています。
提供している農業経営サポートサービス「FUJITSU Intelligent Society Solution 食・農クラウド AkisaiPF」は、

  • 栽培成績の高かった作業をベストプラクティスとして活用
  • 気象データからビニールハウスコントロールを行い、コストを削減
  • 出荷状況のフィードバック

といった形で農家に活用されており、大口の予約相対取引の増加に繋がる取り組みとして期待されています。
今後は農業用の精度と耐久性を両立したセンサーを安く提供できるかが、課題になりそうです。

参考:総務省|平成27年版 情報通信白書|(3) 国内ビッグデータ活用事例
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc254330.html

公共事業での活用

政府の公共事業でもビッグデータの活用が進んでいます。

  • 地域・領域の課題を発見し政治判断の材料として活用
  • 行政が保有しているデータを民間に開放

たとえば政治的な意思決定を迅速に行うため、出生率や交通情報などのデータから対応が急がれる地域・領域を特定するといった取り組みがされています。一方で行政が保有しているビッグデータを企業に対して開示することで、ビジネスへの利活用を促そうという動きも起こっているのがポイントです。

埼玉県の事例

埼玉県は24時間の平均交通量が全国4位だったりと、交通量が伸びているのに道路整備が追い付いていない課題を抱えていました。そこで自動車メーカーの「ホンダ」と組み課題解決を図っています。
ホンダのカーナビシステムはリアルタイムで自動車に関する情報を収集可能で、これを活用して車の通過時間データや急ブレーキ発生データなどを分析しました。結果的に1 か月間の急ブレーキ数が70%減少、人身事故件数が20%減少など大きな成果を残しています。

参考:クリエイティブ ぼうそう 第88号ー特集「ビックデータとオープンデータの利活用」|千葉県市町村総合事務組合 千葉県自治研修センター
http://www.ctv-chiba.or.jp/jichi/jigyou-shoukai/kuribou/creative/pdf/88-13.pdf

教育業での活用

教育業とビッグデータも相性がよい組み合わせです。

  • パーソナライズされた教育の提供
  • 学生一人ひとりの特性の把握
  • 教材の最適化・改善


たとえば学習履歴を分析して一人一人に合わせた教育を行ったり、特性を把握して適した職業を判断するなどの取り組みが行われています。またこのような教育データを蓄積が学習教材の最適化・改善にも繋がっており、将来的には高品質で個々に適した教育を行えるような未来が見えています。

ベネッセの事例

教育事業大手の「ベネッセ」は今まで、アンケートや観察といった手段でユーザーのデータを集めていました。そして教育のデジタル化により収集されたビッグデータが将来的に活用できるか検証するために、デジタル教材の学習記録分析を開始しました。

  • 小学校から高校までの全12学年の子どもの学習記録を教材設計に役立てる
  • データを蓄積して子どもの将来の到達点を予測する


といった使い方がされています。
そして子どもの学習プロセスについて教育関係者がデータで広く確認できるように、公開を行っていくとしています。

参考:「ビッグデータを活用した教育研究の取り組み」について|ビッグデータを活用した教育研究│特集│ベネッセ教育総合研究所
https://berd.benesse.jp/special/bigdata/about_pj.php

ビッグデータ活用のポイント

ここからはビッグデータ活用のポイントを、分かりやすく解説していきます。

①目的を明確にしてデータを収集する

ビッグデータは活用できれば資産になりますが、そのまま何も加工をしなければただのデータの集まりです。まずは自社の目的を明確にして、どんなデータを収集したいかを決めてみてください。
たとえば「今年は去年より売上を30%向上させたい、そのためには市場へどういった販売手法を取れば目標に近づけるか確認したい」という場合は今年度の市場データや製品の販売状況のデータなどを収集して、施策を練っていきましょう。

②データ収集は3V(4V)を意識する

ビッグデータから必要なデータを収集する際は、3Vや4Vといったものを意識することも重要です。

まず、3Vとは下記の3つを示します。

  • Volume:膨大なデータ量
  • Velocity:データが発生する頻度
  • Variety:テキストや動画といったデータの多様性


4Vは上記3つに「Veracity:データの内容が正確かどうか」や「Value:データの有用性」などの定義が含まれたものになります。

ビッグデータの捉え方は企業や研究者で様々ではありますが、上記の3Vや4Vが主流な定義になります。
必要なデータカテゴリーを選定したうえで、3Vや4Vをクリアしているかを基準にしながらデータを収集・活用しましょう。

③データの活用は長期的な視点で行う

データの活用を一度で終わらせてはいけません。ビッグデータの活用結果がすぐに出るとは限らないからです。
実績が出たか内容を確認しながら、改善を洗い出し次のデータ収集および分析へ活かすという「PDCAサイクル」を意識することも必要です。何度もデータを収集して分析を行っていれば、自然とスムーズにビッグデータを活用できるようになるでしょう。結局はビッグデータを活用できるかは、人間のスキルに掛かっています。

④セキュリティを含め管理体制を整える

ビッグデータは部門に分けて管理するのではなく、集めて一元化して全社内で確認できるようにすることで真価を発揮します。まだデータが統合されていない場合は、システムを活用して一元化することを検討してみましょう。
ビッグデータを保存する際はセキュリティも重要なので、データ活用の際可用性が損なわれないようにセキュリティ対策を行ってみてください。

⑤客観的な視野でデータを見る

ビッグデータは膨大である上に、分析を行うのは大変です。しかし分析が大変でも自分の経験や勘に基づいて分析を行わないようにしてください。
あくまでデータ主体で何が起こっているのかを冷静に判断し、結果として記録に残しましょう。
また他社の事例に当てはめても自社の状況とは違うので、ずれが起きて分析が失敗する恐れがあります。何のために分析をしているのか最後まで忘れないようにしましょう。

まとめ

今回はビッグデータの各業界の活用事例や、活用のポイントなどを解説してきました。
ビッグデータには価値がありますが、人間側で適切に扱えないと意味がありません。自社の目的を明確にしてデータを収集して、加工した上で冷静な分析を行ってみてください。
ぜひビッグデータを活用して商品やサービスのビジネスチャンスを広げたり、課題解決を行ったりしてみてみましょう。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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