生産管理

OEMやODMの違いとは?混同されやすいEMSも解説

2020年08月05日

OEMODMEMS

製造業にまつわるビジネスシーンで耳にすることが多いOEMやODMですが、それらの違いが分かりにくいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。OEM・ODMは共通する部分もありますが、明確な違いも存在します。今回の記事ではOEM・ODMそれぞれの特徴や違いをひとつずつ丁寧に解説していきます。

OEM・ODMは生産形態のこと

販売したい製品の製造を他メーカーに委託する形態がOEM・ODMです(両者の詳細は後述)。家電・自動車・電子部品・コンピューター・食品などさまざま分野で採用されており、OEM・ODMを専門に行うメーカーも存在します。完成した製品は委託した側の自社ブランドとして販売可能なため、製造施設やノウハウを持たない企業でも自社製品の販売が可能です。製造を受託したメーカー側にも、製造施設の稼働率アップやノウハウ吸収ができるメリットが存在します。

OEMとODMの違いとは

OEMとODMの違いは以下の3つが大きなポイントとなります。

  • OEMは製造のみだがODMは設計や販売まで請け負うことも
  • ODMは全くノウハウが無くても製品開発が可能
  • ODMはクレームや不祥事が発生した時、受託側まで責任を問われることがある


OEMやODMは似た生産形態であるため混同されがちです。しかし製造を委託する際は、委託側・受託側が入念に協議を重ねたうえで双方の技術力や資本力に応じた適切な生産形態を選択する必要があります。
以降からは、OEMとODMについて詳しく解説していきます。

OEMとは

OEMはOriginal Equipment Manufacturingの略で、委託側が用意した製品の図面や設計をもとに、受託側が製造を請け負う形態です。日本語では、相手先ブランド名製造と翻訳されます。受託側がサンプルを委託側に提供し、品質に問題がなければ本格的な製造に移るケースが多いです。
スマートフォンのiPhoneは、OEM生産の代表例と言えます。委託企業のAppleはデザインと設計に特化しており、実際の製造はOEMを担当する下請けメーカーの担当です。製造されたiPhoneはAppleブランドとして出荷され、小売店やECサイトで販売されます。

OEMのメリット

委託側・受託側それぞれにメリットがあり、多数の企業でOEMを利用した製造が行われています。具体的に見ていきましょう。

委託側のメリット

  • 設備投資や人材の確保をしなくても自社ブランドを立ち上げられる
  • 製品のデザイン・設計にリソースを集中できる
  • 生産量を調整しやすいため在庫リスクが軽減される


製造にかかるコストを大幅にカットしつつ、販売によって得られる収益を最大化できます。万が一失敗した際の被害も最小限です。

受託側のメリット

  • 受託生産を通じてノウハウや技術を蓄積できる
  • 生産量が増加しコストダウン・収益率改善を見込める
  • 製造工場の稼働率がアップする


特に、委託側のノウハウや技術を蓄積できるのは大きなメリットです。競争力の増加に繋がるのはもちろん、自社ブランドの開発や製造を実現するためのヒントを得られます。

OEMのデメリット

OEMにはメリットだけでなく、デメリットも存在します。OEM製造を検討する際は、発生しうるリスクや問題点を事前に把握しておきましょう。

委託側のデメリット

  • ノウハウや技術が蓄積されない
  • 受託側にノウハウを吸収され競合となる可能性がある
  • 品質やコストのコントロールがうまくいかない場合も


自社の技術が弱体化しやすい点には、特に注意が必要です。せっかく製品がヒットしても、受託側に類似品を販売され、シェアを奪われるケースも報告されています。

受託側のデメリット

  • 下請けのため、自社のブランドや知名度がなかなか向上しない
  • 販売を担当しないため、消費者の動向を掴みにくい
  • 委託者によって価格や生産量がコントロールされるため、見込んだ利益を得られない場合も


委託側が主導権を持つため、利益を最大化する行動を取りづらいのが問題となります。特殊なノウハウを保有していない場合は他のOEMメーカーとの価格競争にも巻き込まれやすいので、自社の強みを明確化しなければなりません。

ODMとは

ODMはOriginal Design Manufacturingの略です。委託先が設計やデザインを決定するOEMとは違い、受託先が設計やデザインまで請け負います。受託先と委託先の技術レベルが同等、もしくは受託先の方が上回っているケースが多いです。メーカーによっては、マーケティング・流通・販売まで一貫して請け負います。
ただし、OEMとODMの境界は曖昧となっており、メーカー側の認識にもばらつきが見られます。OEM形式とODM形式両方を使い分けるメーカーも存在するため、分類する際は注意しましょう。

ODMのメリット

ODMにも委託側・受託側それぞれにメリットが存在します。

委託側のメリット

  • ノウハウや技術が一切なくても製品開発できる
  • 開発から製造に至るまで受託側に委任できるためコスト削減効果が高い


OEMは受託側にも設計やデザインなど一定の技術やノウハウが必要でしたが、ODMの場合はゼロの状態でも問題ありません。コンセプトやデザインが明確に固まっていなくても、受託側の協力の下製造から販売まで実現可能です。

受託側のメリット

  • 余力のあるリソースや製造施設を有効活用できる
  • 販売まで携わる場合はノウハウが大量に蓄積される


OEMより請け負う範囲が幅広いため、ある程度主導権を握りながら製造を実行できます。マーケティングや販売まで担当するODMメーカーの場合は、将来自社ブランドを立ち上げる際役立つノウハウを大量に吸収可能です。

ODMのデメリット

当然ながら、ODMにもデメリットは存在します。特にノウハウや技術をほとんど保有していない委託側は、注意が必要です。

委託側のデメリット

  • 完成した製品の価格が高騰しやすい
  • 生産企業として成長が全く見込めない


開発から製造までを委託しつつ利益も出す必要があるため、製品の価格は高止まりしてしまいます。付加価値が存在しない場合、他社製品との価格競争に敗北してしまうので注意しましょう。製造のみならず設計やデザインまで委託するので、受託側にノウハウを吸収される可能性も高くなります。

受託側のデメリット

  • 開発から販売まで担当する必要があるため、負担が大きくなる
  • 製品に対する問題が発生した場合責任を問われやすい


特に、クレームや不祥事が発生した時は責任を問われやすい点に注意が必要です。2015年、マンションの基礎工事でデータ改ざんが発覚した「くい打ちデータ偽装問題」の際は、販売を担当した不動産会社ではなく、下請けの建設会社にバッシングが集中しました。万が一そのような事態が発生したとき対処するため、専門の部署を用意する必要があります。

OEMやODMと混同されるEMSとは

第3の概念として存在するのが、EMS(electronics manufacturing service)です。1980年代のアメリカシリコンバレーで発展した生産形態であり、電子機器の受託生産を行うサービスあるいはメーカーを指します。基本的にOEM・OEDとは区別される概念なのですが、具体的にどのような点に違いがあるか見ていきましょう。

OEMとの違い

OEMとの違いは、委託側の要望で生産量をコントロールするのではなく、契約をもとにしたロット生産である点です。製造以外にも設計・部品調達・配送といった流通過程に入り込むケースが多く、独立性の高さが特徴と言えるでしょう。また、特定のEMSメーカーは委託生産だけでなく、蓄積したノウハウを用いた自社ブランド製品も販売しています。ホンハイやコンパル・エレクトロニクスなど、大手企業は台湾に集中しています。

ODMとの違い

どちらかと言えばODMに似ているEMSですが、EMSメーカーと委託企業の関係は、単純な下請け関係以上に深くなる傾向があります。デジタル化による技術進歩が著しい電子機器分野を、特定のEMSメーカーに完全委託してコストカットする戦略が主流となったからです。EMSの部品供給無しでは製造が立ち行かないメーカーも多く、特別な地位を築いています。

まとめ

今回は、混同されがちなOEM・ODMについて解説しました。莫大なコストが必要な製造業務を委託できる便利な形態ですが、自社の技術力弱体化や価格高騰をもたらす点には注意しましょう。
今後のOEMやODMは区別が難しくなり、より複雑化していくだろうと予測されています。メーカーとOEM・ODM形式で協業する場合は、双方の力関係を見極めつつ、業務を適切に分業する判断力が不可欠です。OEM・OEDをうまく利用して必要な業務にリソースを集中し、企業の利益を最大化しましょう。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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