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今さら聞けないステルスマーケティングとは?違法性や事例も合わせて解説

2020年07月29日

ステルスマーケティング

口コミサイトやインフルエンサーを活用する際に浮上する問題にステルスマーケティングが存在します。ステルスマーケティングはその特性から消費者から批判を受けやすく、炎上に繋がりやすいマーケティング手法です。

意図せずステルスマーケティングを行っていたといったような事態を防ぐためにも、ステルスマーケティングとは何か、違法性はあるのかといった基本的な知識から、事例を通じて見えてくるステルスマーケティング防止のポイントを解説していきます。

ステルスマーケティングとは

宣伝や広告であることを隠し、中立的な立場を装って行われる宣伝活動がステルスマーケティングです。ステマ、アンダーカバーマーケティングと呼ばれる場合もあります。立場を偽って関心を引く悪質行為として嫌悪されており、発覚して炎上事件に発展したケースも少なくありません。

ステルスマーケティングが注目となったきっかけは、2012年の「ペニーオークション詐欺事件」です。ボットによる自動入札で金額を釣り上げる違法オークションサイト「ワールドオークション」の宣伝を、紹介料を渡された複数の芸能人が行っていたとして問題視されました。芸能人は宣伝であることを隠し「低価格で高額商品を落札できた」と紹介しましたが、実際には落札しておらず、いわゆるやらせの宣伝工作だったのです。

現在では「食べログ」や「トリップアドバイザー」といった口コミサイトおよびインフルセンサー(芸能人や有名人といった社会的影響力が高い人物)が、ステルスマーケティングの発信源となっています。例えば、以下のようなステルスマーケティングが実際に行われました。

・インフルエンサーが宣伝であることを隠しブログ・SNSで商品を紹介する
・企業から依頼された一般人が消費者を装って評価システム・口コミ投稿を行う

ステルスマーケティングが流行した要因は、口コミサイト・SNSを利用して情報収集するインターネットユーザーの増加です。20歳以上のインターネットユーザーを対象とした「口コミサイト・インフルエンサーマーケティングに関するアンケート調査」(※)では、商品・サービス購入時に重視する情報源として「口コミサイト」や「SNS」が上位に挙げられています。

ステルスマーケティングが発覚した場合、依頼した企業はもちろん、口コミサイトやインフルエンサーの信頼性にもダメージを与えてしまいます。消費者に対する周知を怠った結果ステルスマーケティングと誤解されるケースも存在するため、PR活動を行う際は常に注意しなければなりません。

※参考:口コミサイト・インフルエンサーマーケティングに関するアンケート結果

ステマの種類

ステルスマーケティングの手法は、大きく分けて2種類に分けられます。

なりすまし型

企業が消費者を装って宣伝行為を行うのが、なりすまし型です。関係者が自らの立場を隠し、自社サービスに対して好意的な口コミ・評価を行うのが主な手口となっています。

また、ライバル企業に対して悪評を書き込むケースも存在しますが、訴訟され罪に問われる可能性もある危険な行為です。口コミサイトでは、金銭を受け取って虚偽の口コミを投稿する代行業者も確認されており、運営側は対応に苦慮しています。

利益提供型

インフルエンサーに報酬を渡し、宣伝を依頼するのが利益提供型です。広告であることを明記すれば問題ありませんが、それを隠して宣伝を行った場合、ステルスマーケティングとなります。

商品をインフルエンサーのお気に入り・長年利用している愛用品のように錯覚させ購買を促す手法が多用され、多くのトラブル・炎上事件の原因となっています。

また、例え金銭の授受がなくても、インフルエンサーが宣伝であることを隠して行う宣伝行為はステルスマーケティングです。

ステマが問題になる理由

低コストで実行しやすい、通常の広告より高い効果が見込めることを理由として、数々のステルスマーケティングが実行されてきました。

しかし、それにより発生するデメリットや問題点を考慮した場合、実行するのはあまりにもハイリスクと言えるでしょう。

消費者を騙す行為である

消費者に誤った情報を与え、正確な判断を妨げているのが最大の問題です。「第三者の評価は信用できる」という消費者感情を逆手に取り、騙す行為であるとも言えます。第三者目線からの評価を前提としていえる口コミサイトの信頼性も毀損させるため、まさに誰も幸せにならない悪質行為です。

企業の印象に悪影響を及ぼす

ステルスマーケティングが発覚した場合、当然ながら批判の対象となります。悪評がSNSを通じて瞬時に拡散される現代では、大規模な炎上事件に発展しかねません。

企業の信頼性は地に堕ち、ブランドや業績にも悪影響を及ぼします。そのような事態に陥る可能性を考慮した場合、ステルスマーケティングはハイリスク・ローリターンな手法と言えるでしょう。

業界全体の信用問題に発展する

ステルスマーケティングを実行した企業だけでなく、関連する業界や企業の信用力まで低下するのも問題です。例えば、ネットショッピングサイトに出店した店舗の1つでステルスマーケティングが発覚した場合、ネットショッピングサイト全体に悪影響が及んでしまいます。

自社でステルスマーケティングを行わないのはもちろん、ステークホルダー(利害関係者)にそのような兆候がないか気を配りましょう。

ステルスマーケティングは違法なのか

悪質な行為であるステルスマーケティングは決して実行してはいけませんが、法律上どのように扱われるかは国によって違いがあります。複数ヶ国でビジネスを展開する場合は、ステルスマーケティングに関する法律を事前に確認するのがおすすめです。

日本の場合

日本では、ステルスマーケティングそのものを違法とする法律は存在しません。ですが、以下のケースでは違法行為と認定される可能性があります。

景品表示法に違反する可能性

企業が商品を宣伝する際のルールを定めたのが景品表示法です。商品の性能や効能を実際より優秀に見せかける「優良誤認表示」や価格を有利に見せかける「有利誤認表示」を禁止しています。

ステルスマーケティングでは、インフルエンサーに使ってもいない商品をお気に入りと偽って宣伝させる行為が「優良誤認表示」と認定されるケースが存在します。

その他ステマに関わる法律規制

その他にも、以下の法律に抵触する恐れがあります。

・ライバル会社に対する悪意のある口コミを行った場合は信用棄損罪や偽計業務妨害罪
・事業者間の公正な競争を確保する不正競争防止法
・健康食品などの誇大表示を禁じる健康増進法
・医薬品や医薬部外品の安全性を確保するための医薬品医療機器等法

特に生命に関わる健康や医療に関する広告は厳しい規制が設けられおり、広告出稿そのものが禁止されているケースも存在します。ステルスマーケティングではない広告の際にも、法律に抵触する箇所がないか、厳重なチェックが必要です。

海外の場合

法律抵触の可能性やガイドラインを示すだけに留まっている日本とは違い、欧米ではステルスマーケティングは完全に違法です。

アメリカでは2009年、連邦取引委員会(FTC)によって「広告における推奨及び証言の利用に関する指導」が改訂され、ステルスマーケティングは完全に違法であると規定されました。
それにより、PR活動では広告主との関係・金銭授受の有無を公開するよう義務付けられています。

ステルスマーケティングで問題になった事例2選

悪質であると再三指摘されながらも、ステルスマーケティングが発覚して問題となる事件は後を絶ちません。有名な2つの事例から、問題点を分析してみましょう。

食べログの問題

2012年、飲食店情報とユーザーの口コミが閲覧できる「食べログ」にて、代行業者によるやらせの評価・口コミが発覚し問題になりました。代行業者による営業を受けた飲食店が、運営側に通報したのです。

調査した結果、39業者が水面下で活動していたと判明しました。運営企業であるカカクコムは評価システムの刷新や評価システムのチェックによる対策を行いましたが、代行業者に対して処分を科すことはできませんでした。

法律整備が進んでいない日本でのステルスマーケティング対策が困難であると示した事件です。

参考:食べログ騒動で話題になった「ステマ」ってどういう意味? | 日経クロステック(xTECH)

アナと雪の女王2の問題

世界的なグローバル企業でも、ステルスマーケティングが発覚するケースが存在しています。2019年12月3日、ファンタジー映画「アナと雪の女王2」の感想漫画7本が一斉にツイッターで公開され、その不自然さからステルスマーケティングではないか?と物議を醸しました。

ウォルト・ディズニー・ジャパンは当初否定していましたが、12月5日に「PRと明記する予定だったがコミュニケーションが行き届いていなかった」と関与を認め、謝罪文を発表しています。

SNSによる拡散は有効なマーケティング手法ですが、ステルスマーケティングと誤解されないよう、慎重に進めなければなりません。

参考:なぜ「アナ雪2のステマ騒動」は起きたのか | 災害・事件・裁判 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

ステルスマーケティングを防ぐためのポイント

最後に、自社広告がステルスマーケティングになることを防ぎ、広告やPRを安全に行うポイントについて解説します。

広告主との関係を明示する

インフルエンサーにPRを依頼する場合は「PR」「広告」などのワードを記載し、広告であることをきちんと明記しましょう。動画の場合はタイトルに、SNSの場合はタグに表示されるケースが多いです。

また、責任を明確化するため、PRを依頼した広告主が誰であるかも明示しましょう。消費者が「インフルエンサーが広告主に依頼されて掲載した広告である」と一目で判別できる構造であれば、ステルスマーケティングと認定される恐れはありません。

事実を偽って情報を発信しない

また、商品を宣伝する際には、商品の性能や価格を偽った発信にならないよう、注意する必要があります。健康や医療に関する商品の場合は特に注意しましょう。消費者に情報を偽った広告であると判断されれば、SNSなどを通して悪評が拡散されてしまいます。

まとめ

インターネットの口コミは強い影響力を持っており、それを悪用して虚偽の宣伝を行うステルスマーケティングの温床となっています。

ステルスマーケティングは実施した企業だけでなく、協力してくれたインフルセンサーや同業他社の信頼性も失墜させる危険な行為です。

ステルスマーケティングの問題点をきちんと理解し、安全かつ効果的なPR活動を心がけましょう。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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