マーケティング・広報

プライシングとは?価格設定の基本、代表的な価格戦略を紹介

2020年06月30日

プライシング

プライシングは文字通り価格を設定することです。価格が決まる基本は需要と供給ですが、売り手として価格を設定するために考慮するべき要素はさまざまで、多くの価格戦略が存在します。数年前には、ITとAIを用いて価格を動的に設定するダイナミックプライシングも話題になりました。
この記事では、プライシングの基本的な考え方と代表的な価格戦略、近年注目されるプライシングについて解説します。

プライシングとは

プライシングとはマーケティング戦略の一環として価格戦略の目標に対して価格設定することです。プライシングの様々な方法や考え方を知ることで、的確な価格を設定できるようになり、売上や利益を増やすことにつながります。
プライシングは顧客や競合他社の状況・製品や商品の性能・市場シェアの維持もしくは拡大・価格の安定化・流通や広告など、様々な要素と整合性を持たせたて行う必要があります。プライシングの設定を誤ると本来稼げるはずの利益が出ない、顧客が増えないといった問題が発生することになりかねません。
ここではまず、プライシングの概要について説明します。

利益が出る、需要がある価格をつける

プライシングには、利益は少ないが大量販売を目指す設定から、少量の販売でも利益を多く取る設定まで、幅広い選択肢が存在します。その中で、自社の利益と顧客の需要に合ったプライシングを行う事が重要です。
どれだけの利益と販売量を確保できるか予想することは非常に困難ですが、自社の商品価値を正しく認識し、利益と販売数を掛け合わせた結果が最大になる点を求めることがプライシングの理想です。

マーケティングミックスの一要素

マーケティングミックスとは、マーケティングの手段を組み合わせて実行することで、Product、Price、Place、Promotionの4Pを構成要素とするのが一般的です。プライシングはこのうちの一つに当たります。

Product   : 製品
市場に提供する製品やサービスのことを指します。マーケティング活動の基本となります。

Price : 価格
販売価格をいくらにするのかの価格戦略であり、ターゲットとなる顧客層や競合他社との比較、顧客が商品によってもたらされる価値に見合っているかどうかなどを戦略的に判断し、価格設定を行います。

Place : 流通
商品をどのように販売・流通させるかについての戦略を意味します。ターゲットとする顧客と販売する場所、例えば富裕層向けなのか一般消費者向けなのか、デパートで販売するのかコンビニで販売するのかと言った流通手段を意味します。

Promotion : プロモーション
ターゲットとする顧客に商品をどのように興味や関心を持ってもらい、購入につなげるのかと言うことを意味します。TVCMなどの広告やイベント等が挙げられます。

プライシングは3Cを考慮するのが基本

プライシングは3Cと呼ばれる「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の全てを考慮して設定することが基本です。
これらの考慮を欠いた場合、顧客の要求を優先し過ぎてコストが高くなり利益が稼げない、競合他社の価格より高く設定してしまい販売数が伸びない、市場の需要とマッチせず売上が伸びない、というように利益や売上を失うケースが考えられます。
売上や利益を確保するためには、一つの要因だけを基準にプライシングを行うのではなく、3Cをトータルに考慮した戦略的なプライシングを行うことが重要です。

プライシングの基本的な考え方

プライシングを行う際には、マーケティングミックスの一要素で、3Cを考慮するのが基本です。3Cのうち、「Company(自社)」は自社の基準であり、「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」は外部に存在する基準です。

自社の基準によるプライシング

プライシングにおける自社の要因はコストと利益です。

コスト・プラス方式

コスト・プラス方式は商品の生産もしくは仕入れコストと人件費等のコストを合わせたトータルコストに一定のマージン(利益)を上乗せすることによってプライシングを行う方法です。
メリットとしては一定の利益を見込めることですが、顧客の求める価値に合っているか、競合他社との価格差はどうなのか等が考慮されていないため、市場に受け入れられる価格であるかどうかは未知数です。

外部の基準によるプライシング

プライシングには、競合との比較や顧客の価値基準が反映されます。外部を基にプライシングを行う場合は、商品開発の段階から初期投資や調達原価、製造・流通コストを抑え、設定した販売価格で利益が上がるような体制を構築する必要があります。

競争、競合の価格に基づくプライシング

競合他社の価格を意識してプライシングを行う方法です。一般的に競合他社と同レベルもしくは低い価格設定を行うことで競合他社の顧客を奪う方法となります。
メリットは、ある程度の販売数が見込めることですが、価格競争に勝ち抜き利益を確保するためにはコストダウンが欠かせません。また、常に競合他社の価格をウオッチし、必要に応じて値下げを行う必要があります。企業規模や生産規模が大きいほうが有利になります。

顧客にある基準(予算、得られる価値)

商品やサービスに対して、どの程度の価格であれば顧客に受け入れられるかを意識してプライシングを行う方法です。
アンケートや市場調査などに基づいて事前に目標価格を決定するため、顧客ニーズを事前に把握できます。そのため顧客の予算や求める価値に合わせた商品の提供が可能になり、顧客のニーズにマッチした商品の供給が可能になることがメリットです。
ただし、競争・競合の価格同様に、目標価格で利益を出せるコストで商品開発や調達を行うことが必要になります。

戦略型のプライシング

上記のような自社や競合、顧客価値を基準とした価格設定のほかに、顧客の心理をつくプライシング戦略があります。

[段階価格]
商品やサービスにグレードを付けることによって、特定のグレードに人気を集める方法です。「Good/Better/Best」あるいは「松・竹・梅」と言うような選択肢を用意すると、「Better」「竹」が選ばれやすくなる、と言った方法です。

[名声価格]
高級ブランド品などは持っていること自体が顧客のステータスになるという価値があるため、高い価格設定で販売されています。「価格が高い」ことが顧客にとっての価値となるため、価格競争に巻き込まれず高い価格を維持できるメリットがあります。

[端数価格]
98円や1,980円など中途半端な価格設定をすることにより、消費者に割安感を与える方法です。

新しい商品、サービス投入時の価格戦略

新しい商品やサービスを市場に投入する場合、今まで説明してきたプライシングとは異なる独特の価格戦略を取る場合があります。その中でも代表的なものを紹介します。

ペネトレーションプライシング

ペネトレーションプライシングとは「市場浸透価格戦略」とも呼ばれます。コスト以下もしくはコストと同等まで低価格に設定し、競合他社から顧客を奪い市場シェアを獲得するためのプライシング戦略です。中長期的なコストダウンに伴って利益が出るようになります。
競合他社との商品品質が僅差な市場で販売数量の最大化を図るのに有効な戦略です。「規模の経済」が効果的であり、参入当初は多くの投資が必要なため、大手企業が取りやすい戦略となります。

スキミングプライシング

スキミングプライシングとは「上澄み価格戦略」とも呼ばれます。商品を市場に投入する最初の段階で価格を高く設定することにより高い収益力を確保し、投資の早期回収を図ります。自社の収益性に有利な価格相場で優良な顧客を獲得します。
価格の高低による需要の影響を受けにくく、競合他社との商品差別化が顕著である製品やサービスで有効な戦略です。

特徴的なプライシング

ここまで様々なプライシングの種類を説明してきましたが、近年注目を集めている特徴的なプライシングがあります。その中からいくつか紹介します。

SaaSのプライシング

SaaSとは 「Software as a Service」の略であり、主にクラウドコンピューティング上で提供されるソフトウェアのことを指します。SaaSでは、一般的には席数・ユーザー数や使用量・利用機能をベースとし、従量課金が用いられています。
競合の価格を基準としたプライシングのほか、これまでにない新たなサービスを提供する場合には、サービスの利用で顧客企業が得られる利益などの顧客基準でのプライシングが重視されます。  

ダイナミックプライシング

ダイナミックプライシングとは、需要と供給に合わせて価格を変動させる手法です。航空券やホテル宿泊料などで一般的に用いられています。
コンサート・スポーツ観戦のチケット、ネットショッピングでも採用されており、供給可能な量に制限があるが、需要が一時的に高まりやすい商品やサービスで多く用いられています。
最近では、価格設定に影響を与える様々な要因をビッグデータやAIを活用して解析し、リアルタイムに価格を最適化することも可能になっています。直近の販売状況からシミュレーションを行い、利益が最大となるような価格を算出する、競合やSNSの情報を収集して反映する仕組みもあります。

まとめ

プライシングは単なる価格設定ではなく、売り上げを最大化することや価格を安定化させるなどの多くの目的を持ったマーケティングの重要な要素の一つです。
また、自社要因だけでなく顧客や競合他社など外部要因にも影響され、新商品の投入時は思い切った戦略的な価格設定の必要がある場合があります。更にSaaSのプライシングやダイナミックプライシングなどの新しい形態も注目されています。
プライシングは企業活動において極めて重要です。プライシングの正しい知識を活用し、自社の売上と利益を最大化する経営戦略を導き出しましょう。

この記事を書いた人

QEEE編集部

QEEEmagazineはマーケター、人事、エンジニア、営業企画などの企画者に役立つコンテンツをそれぞれ領域のスペシャリストが発信していきます。

投稿一覧へ

他サービスはこちら