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【保存版】MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)とは?市場規模や事例を解説

2020年06月12日

MaaS

MaaSとはICTを活用した次世代の移動の概念を指します。現在国内でも導入が活発化しており、国土交通省を中心に「日本版MaaS」の実現を目指した取り組みが進んでいます。
今回の記事では、今さら聞けないMaaSの基本的な知識から、市場規模・事例などを詳しく解説していきます。

MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)について解説

MaaSはMobility as a Serviceの略称であり、主に人間の交通手段や物の輸送など「移動」に関係する分野にICT技術を活用して利便性の向上や効率化するための仕組みや技術、サービスを指します。
移動に関係する分野をシームレスに統合するという目的もあり、例えば観光や旅行であれば新幹線の予約や目的地でレンタカーの手配などが一括で済むような仕組みが身近なMaaSと言えるでしょう。
日本の一部地域で利用されているUber EATSもMaaSを取り入れたサービスであり、スマートフォンのアプリで注文から予約、支払いまで一括で行うだけで、あとは自宅でご飯が届くのを待つ仕組みとなっています。
観光分野もUber EATSも複数の企業やシステムがシームレスにつながってひとつのサービスとして提供されているのが特徴です。
その他、わかりやすい技術で言えば自家用車やバス、トラックなどの自動運転技術もMaaSに属すると言えます。
次にMaaSレベルや日本が目指す「日本版MaaS」について見てみましょう。

MaaSレベルとは

“レベル4 政策の統合(データ分析による政策)
レベル3 サービス提供の統合(公共交通に加えてレンタカー等も統合)
レベル2 予約、決済の統合(1トリップの検索、予約、支払)
レベル1 情報の統合(複数モードの交通提案、価格情報) ”

引用元:国土交通省 - MaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス) について
https://www.mlit.go.jp/pri/kikanshi/pdf/2018/69_1.pdf

上記は国土交通省も参考にしているスウェーデンの研究者に提唱された統合の程度で分けられたMaaSのレベルです。
例えば、旅行のために経路や運賃を検索できるのはレベル1と言えます。
加えて予約や決済が可能であればレベル2、その先のレンタカーなど異なる業者も含めてサービスが提供されていればレベル3です。
MaaSレベル4に関しては日本も含めて各国が推進している段階であり、国家レベルでMaaSが実現可能となればヒトやモノの移動や輸送に関するサービスがシームレスかつスムーズになります。
具体的な利点として利便性の向上や移動や輸送の効率化だけでなく、都市部における渋滞の緩和、省エネルギー化、二酸化炭素排出量の削減、交通手段の少ない地域での移動手段の確保となることも期待されています。

日本が目指す「日本版MaaS」とは

日本が目指す日本版MaaSとは下記の理念を元に実現するために推進されています。

“都市と地方、高齢者・障がい者等を含む全ての地域、全ての人が新たなモビリティサービスを利用できる仕組みとして、「日本版MaaS」の早期実現を目指すべきである。”

引用元:国土交通省 - 日本版MaaSの実現に向けて
https://www.mlit.go.jp/common/001287842.pdf

日本でも現時点で民間企業や一部地域においてMaaSレベル3に属するサービスが提供されている場合もありますが、公共交通機関や国全体で捉えた場合、まだまだシームレスに統合されている状況とは言えず、MaaSレベル0~1程度の段階です。
例えば都市部では渋滞や満員電車などの混雑、地方では公共交通機関の不足など、地域によって異なる課題や問題が解決されず山積みの状況と言えます。
実際にそれらの課題や問題を解決するために日本版MaaSがどのような取り組みが行われているのか見てみましょう。

事業者同士のデータ連携

MaaSは企業や業者を越えてシームレスで統合する必要があるため、まずは事業者同士がデータの連携を行わなくてはなりません。

・連携データの範囲及びルールの整備
・データ形式の標準化
・API仕様の標準化・設定の必要性
・データプラットフォームの実現
・災害時の情報提供等データの公益的利用

データの連携をするために上記のような形でとりまとめられています。データをどこまで連携するのか、事業者間のルールの整備やデータやシステムを効率的に活用するための取り組みをしていることがわかります。
スムーズなデータの連携が進むことで企業ごと事業者ごとの手続きや支払いが簡略化されるだけでなく、事務作業の負担の軽減、うっかりミスやヒューマンエラーの低減も期待できるでしょう。

支払いの柔軟化(キャッシュレス化)

移動や輸送のための支払いの柔軟化のために下記のような取り組みが盛り込まれています。

・事前確定運賃の導入
・サブスクリプション(定額制)の導入
・ダイナミックプライシングの導入
・現時点のMaaSに関する法制上の整理
・MaaSの展開を見据えた制度のあり方の検討
・キャッシュレス化・決済システムへの投資支援

ユーザーが移動や輸送における支払いに悩まないような仕組みが考えられており、例えば事後確定運賃はタクシーに乗る前に目的地までの金額がわかること、その他、定額制であれば利用しやすくなる取り組みと言えるでしょう。
また、その他の項目ではMaaSによるシームレスな統合によって現行法の問題との擦り合わせ、事業者間や事業者同士の負担とならないような取り組みしていることがわかります。

まちづくり・インフラ整備との連携

MaaSに対応したまちづくり・インフラ整備との連携のために下記のような取り組みが進められています。

・都市・交通政策との整合化
・多様なモード間の交通結節点の整備(拠点形成)
・新型輸送サービスに対応した走行空間の整備(ネットワーク形成)
・まちづくり計画への移動データの活用

都市・交通政策との整合化によって、都市や地域ごとに目指している事業計画や景観作りや観光に関する努力を損ねないための取り組みと言えるでしょう。
その他にも都市と都市、都市と地域、地域と地域の間をつなぐ拠点作りや自動運転に対応するための物理面、システム面の整備、それらのデータの活用についてもしっかりと考えられています。

新型輸送サービス

自家用車やトラックやバスの自動運転、ドローンなども含めて新型輸送サービスを導入するための取り組みも行われています。
地方で自動運転が実現すれば高齢化によって免許を返納した方も移動手段を確保できるようになったり、輸送に関する人材不足や民間企業への負担の軽減も期待されています。
また、旅行や観光時においても自分で運転することなく各地域の名所を巡ることができたり、全国的に自動運転が可能となれば自家用車による遠方への自動車旅行ができるようになったりするでしょう。

MaaSの市場規模

MaaSは人々の生活や人類の発展に欠かせない要素であるため市場規模についても順次拡大、発展するものと捉えられています。三菱総合研究所の2030年代のモビリティビジョンによりますと、様々な技術革新がMaaSを後押しし、現時点での自家用車や個人の移動に関する利便性の向上や効率化だけでなく、鉄道や航空、物流などの分野も巻き込みながら発展するという予測が立てられました。

参考元:MaaSの未来 三菱総研が描く2030年代のモビリティビジョン | 三菱総合研究所(MRI)
https://www.mri.co.jp/knowledge/column/20190305.html

同記事では現在のMaaSにおける世界の関連消費が650兆円であり、2050年には1500兆円となるという予測も立てられており、MaaSが世界中で新しいインフラ基盤や生活の基礎として、またはこれからの当たり前の技術として受け入れられるという未来が見えてきます。
次に世界と日本の差を知るためにもMaaSの国内外の市場規模や動向についてチェックしてみましょう。

世界の市場

現時点でのMaaSの世界市場については減速する車両販売を補うような形でMaaS関連のモビリティ事業の利益や売上が伸びているような状況です。
アメリカ、ヨーロッパ、中国におけるMaaSの市場規模は2017年で870億ドル、2030年までに1.4兆ドルに達する見通しが立てられています。同時に自動車業界の売上の22%、利益の30%を占めていることもあり、自動車業界の転換期、または変革期が既に現実として訪れていると言えます。
自動車運転のタクシーやバスなど安全で安価に利用できるようになれば、車を運転する必要も所有する必要もありません。
この調査の数字からは、自動車業界全体が将来を見据えて得意分野で新しいシェアを拡大しようと前向きに取り組み、着実にDXを推進しているという受け止め方ができるでしょう。

参考元:pwc - Strategy& デジタル自動車レポート
https://www.strategyand.pwc.com/jp/ja/publications/digital-auto-report-2018-jp.pdf

日本の市場

富士経済によりますと、日本のMaaSにおける市場規模は2019年で8,673億円と見込まれており、2030年には2兆8,658億円との予測が立てられています。2018年度比で3.5倍という予測は非常に大きく感じますが、MaaSはDXの推進やスマートシティ・スーパーシティとも深く関係するため関連事業の規模を考えると決して大きすぎる予測額ではないと言えます。
MaaS市場の中でも特にカーシェア、配車サービス、駐車場シェア、レンタカーなどの市場が注目されており、車を所有しない、また所有したくないけれど、車を利用したいという顧客の本音が見えてくるようです。
日本国内の自動車業界としても、新車を購入してもらうという既存の販売路線とは違う形で得意分野を活かせることから、顧客のニーズに合わせながら方向転換することで新しい事業形態の獲得を推進している状況と言えるでしょう。

参考元:富士経済 - MaaS の国内市場を調査
https://www.fuji-keizai.co.jp/file.html?dir=press&file=20022.pdf&nocache

MaaSの事例

最後に国内外のMaaSの事例を4つご紹介します。

Whim|MaaS Global社(フィンランド)

Whimはフィンランドのヘルシンキで実現したMaaSのサービスであり、スマートフォンのアプリで目的地を入力することで様々な交通手段から最適なものを選択し顧客を目的地まで導いてくれる仕組みです。
交通手段としてバスや電車、タクシーの他にバイクシェアなども含まれており、予約から決済までアプリ上で完結するので効率的かつ利便性の高いサービスとなっています。
フィンランドでは自家用車の所有や活用が奨励されていないこともあり、自動車を持たない暮らしとMaaSのサービスが見事にかみ合った結果です。それらを踏まえるとMaaSが推進されることで日本における地方の交通手段の確保にも明るい未来があると言えるでしょう。
フィンランド国内全体の交通手段の最適化につながったことにより、環境負荷の軽減、持続可能な都市作りの実現にも期待が寄せられています。

Uber|ウーバー・テクノロジーズ社(アメリカ)

Uberはアメリカ発祥のMaaSであり、スマートフォンのアプリでタクシーや一般人が自家用車による送迎を配車できる仕組みです。
Uberはタクシーのない郊外の地域のニーズに応えた点や、車を所有する一般の方でもちょっとした収入になることから好意的な形で普及や拡大が進みました。
海外ではタクシーにおけるトラブルが頻発することもあり、予約から配車手配、支払いまでが統合されているシステムが安心や安全、信頼感を勝ち得たと言っても過言ではありません。
日本では法的な整備が進まず普及していませんが、同じくUberの提供するUberEATSは日本の都市部で既に受けいられてる状況です。
Uberは単に顧客に利便性をもたらしただけでなく、タクシー以外で車を所有する一般人も参加できる仕組みにしたことで、ヒトが移動するために必要な輸送手段や人員を各地に創出したことも評価すべきポイントと言えるでしょう。

MONET|トヨタ自動車×ソフトバンク(日本)

MONETはMaaSによって都市部の渋滞、高齢者の事故、免許返納による移動困窮者、ドライバー不足などの社会問題を解決するため、トヨタ自動車とソフトバンクの持つ最新技術を活用した共同事業のサービスです。
具体的にはトヨタ自動車の自動車や自動運転に関する技術とソフトバンクの通信やICT分野の技術を掛け合わせることで新たな可能性の創出を目指しています。

・通信化 Connected
・自動化 Autonomous/Automated
・共有化 Shared
・電動化 Electric

上記のCASEと呼ばれる新しい技術領域を実証しているプロジェクトでもあり、車自体がインターネット接続することで、センサーやGPSなどにより自動運転が可能となったり、共有化によってライドシェア・相乗りの文化が作られたりすることに期待されています。電動化によって省エネルギー化や二酸化炭素の排出量削減も実現されるでしょう。

EMot|小田急グループ(日本)

Emotは小田急グループが提供するスマートフォン対応のMaaSアプリであり、複合経路検索と電子チケットの発行が可能な仕組みです。

・Mobility
・Daily
・Travel

 Emotには上記の3つの特徴があり、それぞれがMaaSによって観光をさらに楽しめるシステムです。
Mobilityとは目的地までのルート検索から予約、決済をシームレスに統合している仕組みです。Dailyとは電子チケット機能により飲食のサブスクリプションを可能とし、毎日の食事をキャッシュレスで食べることができたり、利用状況やキャンペーンに応じて特典チケットをもらえたり仕組みを実現しました。Travelとは対称となるエリアの交通機関の利用券や施設のデジタルフリーパスの購入が可能な仕組みであり、スマートフォンで購入し、スマートフォンを見せるだけでサービスを利用できます。
これらの3つの特徴組み合わさることで、スマートフォンひとつでシームレスな旅行体験を可能としており、観光分野におけるMaaSを体現していると言えるでしょう。
観光における「移動」という行動をポジティブなものにしながら、利便性の向上、効率化を実現していると言えます。Emotは観光分野だけでなく新しいライフスタイルの創出も目標としており、シームレスなシステムによって様々な企業や事業者をつなぐ役割として今後の成長も期待できるでしょう。

まとめ

今回はMaaSの基礎知識や市場規模、国内外の事例についてご説明しました。

MaaSは最先端の技術と現実世界における「移動」や「輸送」と組み合わせることで、DXの推進にもつながっている仕組みやシステムであると言えます。例えば、自動運転技術が高度になれば、自動車事故ゼロ、電車や航空機の事故ゼロ、輸送事故ゼロということも夢ではないかもしれません。

その他にも旅行や普段の生活の移動もスムーズかつシームレスになれば、車を所有するコストや、自分、または他人が運転する危険性など感じないまま、自由に外に出かけられるような世界が待っているのではないかと期待できるでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事がMaaSの基礎について知りたかった方、MaaSに関する国内外の市場規模や事例や現状を把握したい方のお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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