事例

最新技術が集約するスマートシティとは?最新事例も含めて解説

2020年06月12日

スマートシティ

AIやビッグデータ、自動運転技術など、身の回りの技術は着実に進化しつつあります。新型コロナウイルスを要因とした生活スタイルの変化も相まって、これらの技術は今後様々な生活の場面に浸透していくこととなるでしょう。
今回の記事では先端技術を利用した都市開発として、様々な企業・自治体が取り組んでいるスマートシティについて解説します。

スマートシティの基本知識

はじめにスマートシティの基本知識や取り組みの背景についてチェックしましょう。

スマートシティとは

国土交通省の都市局が発表したスマートシティの定義はこのようになっています。

“ 都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区 ”

引用元:国土交通省 都市局 - データ、新技術を活用したまちづくりについて
https://www.mlit.go.jp/common/001257650.pdf

スマートシティという単語そのものについては含まれる範囲が幅広いこともあり、国内外の企業・諸外国でプロジェクトごとに解釈や受け止め方、目的、目標が異なる部分もありますが、概ね国土交通省が定義した意味合いと同じと言えます。
簡単に言えば、最新の技術を用いて様々な問題や課題の解決が可能であり、より長くより快適に住み続けられる都市や地区を作っていこうという考え方です。

スマートシティの取り組みの背景

スマートシティは現時点における国として、または都市としての課題や社会問題を解決するために生まれた構想であるとも言えます。
例えば、日本国内における地方の過疎化は「地方には仕事が無い」「魅力的な街ではない」などが原因で、東京や大阪などの都市部へ人口が一極集中してしまうことが問題となっています。
海外で言えば枯渇エネルギーやC02の削減、深刻な交通の渋滞問題、人々の健康や学習機会の問題、貧困や格差社会の問題などの解決のためにスマートシティが推進されています。
ITやICT、IoTなどの技術が発達したことにより、今までに不可能だった情報の把握や測定、情報の蓄積、情報の活用が可能となったこともスマートシティ構想がより具体的かつ実現に向けて動き出したとも言えるでしょう。

日本政府が目指すSociety 5.0とは

Society 5.0とは内閣府によって下記のように提唱されています。

“ サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society) ”

引用元:内閣府 - Society 5.0
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/

今まではIT技術を「特定の個人」や「企業や組織など特定の集まり」がそれぞれ活用し、様々な情報や技術、デバイス、データを役立ててきたような状況です。いわゆるITリテラシーの有無によって情報格差があった状況と言えます。
これからはモノとモノ、ヒトとモノをつなぐIoT(Internet of Things)や、人工知能であるAI、各種センサーや日々の活動で蓄積されていくビックデータなどを活用することで、ITリテラシーの有無に関わらず「特定の個や組織」ではなく全体が最新技術の恩恵を受けられるようにしよう、そうすべきというのがSociety 5.0です。

個別分野特化型から分野横断型の取り組みへ

スマートシティは個別分野特化型が先行して実現が進んだ状況です。例えば、エネルギー関係のシステムや仕組みについては日本も含めた諸外国が早い段階で推し進めて実現化されてきました。現段階でも都市交通の最適化、医療や健康分野へのIT技術の活用、教育分野でも一部の学校ではICTの活用は進んでいますが、それぞれ蓄積されたノウハウやデータの横断的な活用はあまり進んでいない状況です。
スマートシティの次の段階として、それぞれの分野が横断的にデータやノウハウを共有し、さらに今までになかったサービスの提供、利便性の高い仕組みを生み出すことが構想として考えられていると言えます。同時に今までは地域や特定の属性や集団といった大まかな施策や取り組みでしたが、より細かく個人に対して具体的な恩恵が受けられるような取り組みに変化している段階です。

スマートシティに関する国内外の事例

次にスマートシティに関する国内外の事例についてご紹介します。

国内の事例

まずは日本国内の国と民間が提携、協力しながらスマートシティの構想から実証、実現の段階に進んでいる事例や取り組みを見てみましょう。

トヨタ自動車の事例

トヨタ自動車では静岡県裾野市に「Woven City」と呼ばれるコネクティッドシティ構想を実証するための都市作りを始めました。

・歩行者と車、自動運転車などを分けたる3つの道
・AIやロボット、センサーで住民のQOLや健康面の向上
・住民同士がつながりやすい公園や広場など集いの場
・環境に優しい木材の利用や太陽光発電と景観の調和
・自動運転車の道「e-Palette」は移動用店舗にも活用

上記はトヨタ自動車が描くスマートシティ構想のほんの一部です。トヨタの強みである自動車分野のノウハウを活かしながら、移動や輸送、生活の場や住民のQOLを上手に協調、共同できるような空間を作り上げようとしていることがわかります。
e-Paletteは自動運転以外にもスピードが速い車が走る専用の道として考えられており、ヒトとモノがさらに共存しやすい新しい道を創出していると言えるでしょう。

柏の葉スマートシティの事例

柏の葉スマートシティは三井不動産グループが千葉県柏市に作っているスマートシティであり、主に下記の3つのテーマをコンセプトとして開発が進められています。

・環境共生
・健康長寿
・新産業創造

地球環境問題や資源・エネルギー問題への対策、超高齢化社会問題、経済の停滞などの課題、問題を解決しながら住みやすい空間作りを進めている形です。
柏の葉キャンパス駅に隣接するエリアではテクノロジーを駆使した賃貸住居やホテル、海外の交流の場があったり、企業のスタートアップを助ける新しいビジネス拠点が作られたりしています。
プラザと呼ばれる地域住民の交流の場やかしわのはらっぱと呼ばれる広場など、自然とテクノロジーが共存を実現していると言えます。

竹芝地区の事例

携帯大手のソフトバンクは東京の東急不動産がエリアマネジメントする竹芝地区で最新のテクノロジーを活用したスマートシティの構築を目指しています。

・データ活用やスマートビルの構築
・ロボティクスやモビリティ
・ARやVR、5Gなどの最先端テクノロジー

上記は竹芝地区で活用するテクノロジーのほんの一部ですが、スマートシティ構想で用いられるべきと言える技術がふんだんに盛り込まれていることがわかります。
データの活用では交通状況や人の流れ、混雑状況やイベント情報などのデータを収集・解析することで有益な情報を届けたり、防犯に役立てたりする仕組みが動き始めています。
各種センサーやカメラによるデータの収集や解析はいわゆるビックデータの技術であり、個人の行動履歴や情報をどの部分まで取得し役立てるか、実際にどのように役立つのかの実証が期待できるでしょう。

国外の事例

次に国外におけるスマートシティの取り組みや状況、将来的な展望についてご紹介します。

ニューヨーク(アメリカ)の事例

アメリカのニューヨークはスマートシティ先進地域であり、実証とともに一部では実現段階に進んでいます。ニューヨークでのスマートシティにおける代表的な取り組みとして下記の3つを見てみましょう。

・NYC Open Data
・LinkNYC
・Hudson Yards Redevelopment Project

NYC Open Dataは組織的横断的にデータの利用を推進するための取り組みであり、いわゆるオープンデータの活用に関する仕組みです。
LinkNYCでは古くなった公衆電話をWiFi機器と交換して無料のホットスポットとして利用できる仕組みであり、地域や交通の情報のチェック、国内の無料電話やスマートフォンやタブレットの充電をすることもできます。
Hudson Yards Redevelopment Projectはビルや施設、地域に設置された機器同士がネットワークで接続され、各種センサーによって様々なデータのモニタリングやデータの活用が期待されています。

エストニア(ヨーロッパ)の事例

ヨーロッパのエストニアでは電子政府と呼ばれる形で高度なGovtechが実現されています。エストニアにおけるスマートシティの3つの取り組みを見てみましょう。

・e-Residency
・e-Business Register
・mobile parking

e-Residencyは国民の情報をIDと紐付けてほぼ全ての個人情報を管理する仕組みです。例えば、パスポート、健康保険証としての機能の他、電子投票や行政上の手続きをオンラインで行うことができます。
e-Business Registerはオンラインで法人登記ができる仕組みや企業やNPOの情報を集積、公開できるようになっています。ビジネスでの調査に活用したり、犯罪抑止にも効果が示されている状況です。
mobile parkingは車のパーキングをオンラインで管理する仕組みであり、利用者は携帯電話のみで料金の支払いや秋情報の検索できます。混雑の状況に合わせて価格が変動するので、混雑の緩和にも役立っています。

ドバイ(アラブ首長国連邦)の事例

アラブ首長国連邦のドバイでは世界一のスマートシティを目指す形で取り組まれており、最新技術の活用を越えて新しい技術の創出まで進んでいる段階です。

・24時間365日利用可能な電子政府
・ブロックチェーン技術による各種料金の支払い
・自動運転パトカー&ドローンによる追跡
・自家用車だけでなくバスやマルチコプターの自動運転

上記はあくまでも一例ですが、他の国と比べても現時点における最新技術の活用や導入だけでなく、新しい発想やもう一つ上のレベルの技術を実現していることがわかります。
交通手段の25%を自動運転化するという戦略も策定されていますが、決して不可能ではなく実現可能だとして大きな期待が寄せられています。

スマートシティの今後

最後にスマートシティの今後についてチェックしましょう。

官民の連携が加速

日本は電気や水道、インターネット網、道路や電車、地下鉄、新幹線やバスなど比較的インフラが整っており、最新技術を取り入れている企業も多いため、PoCによって具体的、現実的な実現性が実証されれば国全体のスマートシティ構想も推進されるでしょう。
また、日本では官民の連携を促すため「スマートシティ官民連携プラットフォーム」が発足されました。現時点でも少しずつ進みつつある連携や提携、協力がさらに推進することが期待できます。
日本国内の様々なエネルギーや資源の有効活用、地域や場所に偏らない快適かつ健康的な生活、交通や移動などの利便性アップによる観光や旅行の増加などなど、日本国民全体のQOLの向上とともに新たな社会性や生き方の創出にもつながるでしょう。

スーパーシティへの取り組みも進む

現在日本政府はスマートシティの取り組みから発展した形であるスーパーシティへの取り組みも同時に進めています。現時点でどのような形で取り組まれているのか把握するためにも、実際に行われているいくつかの施策を見てみましょう。

・先端的なサービスの構築支援
・データ連携基盤の整備
・事業計画作成支援及び協議会等運営支援
・海外最新動向調査及び国際会議開催

上記は国家戦略特区基本方針の中の予算措置で示されている部分ですが、主に最新技術の導入と活用、横断的なデータの活用、具体的に導入するための支援、海外の情報を収集、分析することが盛り込まれています。
スーパーシティ構想の自治体アイデアの募集、スーパーシティ・オープンラボとして各分野の企業の協力、解決すべき課題や問題の洗い出しから解決するための方法の模索も含めて着実に進められている段階です。
同時に国民への理解も含めて進めておりオプトイン方式で居住者に理解や周知してもらうことでデータの提供や活用の許諾を得ながら実際に住む人、暮らす人ベースや目線、立場に寄り添って具体化を進めています。

参考:内閣府地方創生推進事務局 - 「スーパーシティ」構想について
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/supercity/supercity.pdf

まとめ

今回はスマートシティについての基礎知識や国内外の事例、スマートシティの今後についてご説明しました。
スマートシティは少しずつ課題や問題を解決しながら、少しずつ意味合いや目的も変化、進化していくという特徴があります。例えば、プロジェクトの最初の段階では見えなかった課題や問題が解決できたり、データやノウハウの共有が進むことで新たな可能性を見出したりすることも既に現実として起きています。
企業や組織としても何らかの形でスマートシティに関する取り組みに協力すること、またはスマートシティを推進するために何らかのプロジェクトに参画することも含めて前向きに受け入れることをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事がスマートシティについて知りたかった方、現時点でスマートシティの状況や今後について把握しておきたかった方のお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人

QEEE編集部

QEEEmagazineはマーケター、人事、エンジニア、営業企画などの企画者に役立つコンテンツをそれぞれ領域のスペシャリストが発信していきます。

投稿一覧へ

他サービスはこちら