法務

リーガルチェックのポイントとは|契約書チェック時の見るべき点と契約書の基本構成

2021年08月17日

電子契約契約書作成リーガルチェック

リーガルチェックや契約書チェックは、契約内容が正しく書面にされているか、紛争や裁判になった際に有効かを確認するために行います。法律の専門家に依頼すると時間もお金もかかるため、自社で日常的に行われている契約については社内でチェックが行われるケースも多いでしょう。リーガルチェックの際に必要な視点や契約書の基本、リーガルチェックを効率化するAIによる契約書自動チェックサービスについて解説します。

リーガルチェック・契約書チェックとは

リーガルチェックとは、ビジネスで取り交わされる契約書を法的な側面からチェックすることです。法律に違反していないかどうかだけでなく、さまざまなリスクを評価します。
ここでは契約書とリーガルチェックについて大まかなポイントを解説します。

契約書の役割

口約束でも契約は成立しますが、詳細な条件について暗黙の了解に委ねられてしまうため、後々トラブルになりやすいという問題があります。
契約を取り結ぶ当事者双方の権利と義務を明記した契約書を作成し、それに基づいて契約を行うことで、トラブルを未然に防ぐことが可能になります。また、万が一トラブルに発展した場合にも自社を守る論拠として契約書を利用できます。

契約書のチェックに必要な視点

契約書にはビジネス上の取引の側面と法的な手続きの側面があり、リーガルチェックでは両者を適切に噛み合わせることが大切です。契約書のチェックで必要となる視点を以下にまとめます。

契約条項に過不足はないか

契約書にどのような条項を盛り込むべきかは取引ごとに異なります。実際の取引内容に照らして契約条項をチェックし、過不足がないようにすることが肝要です。
インターネットなどで手に入るテンプレート(ひな形)を契約書作成に利用しようとする場合も多いかもしれません。しかし、これらはあくまで特定の取引の例を想定して書かれているものであるため、自社のケースにそのまま流用するのは危険です。必要な条項が欠けていたり、思わぬ不利やトラブルを招く余計な条項が入っていたりする可能性があります。

契約内容を明確化できているか

誰がどんな権利・義務を有するのかについて明確に表現されていることが必要です。契約書の内容や文章が不明瞭だと合意内容についての認識にすれ違いが生じてしまい、トラブルに発展する恐れがあります。また、裁判で不利になることも考えられます。
契約の相手や裁判官などの立場に立って読み返しながら契約書をチェックすることが大切です。

自社に不利な項目はないか

ビジネスでは場合によってはある程度の不利は承知で契約を結ぶこともあるとはいえ、不利の内容と程度は予め把握しておくことが必要です。相手方が提示した契約書についても、自社で作成する契約書についても、自社にとって不利な項目がないかどうか慎重に確認した上で、受け入れられない項目については修正する(修正の交渉をする)ことが求められます。

相互の利益のバランスは適切か

あまりに自社に都合のよい契約書を作成してしまうと、相手方に契約を拒絶されてビジネスチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。また、自社に有利な契約が締結できたとしても、バランスを欠いた契約内容のせいで後になって取引先との関係がこじれてしまうこともあります。取引のための信頼関係も考慮しながら契約書をチェックするようにしましょう。

違法・無効な内容、矛盾はないか

日本の法律は「契約の自由」の原則を採用しており、「どのような内容の契約をどのような方式で結ぶか」は原則として自由となっています。ただし、「公序良俗に反しない」ことが「契約の自由」に優先します。
一般的に、裁判で「公序良俗に反する」と判定されれば契約書は無効となります。さらに、「公序良俗」の内容について法律(民法、労働基準法、各種の契約関連法など)で具体的に規定している場合があり、こうした規定(強行規定)に反すれば契約書は即無効です。規定は時々変更されるため、リーガルチェックのためには法改正の動きにも敏感になることが必要です。
また、契約書の内容に矛盾がある場合、矛盾をきたしている箇所が裁判所により無効と判断されることもあります。

契約書チェックのポイント

ここでは少し具体的に契約書チェックのポイントを見ていきましょう。

取引内容を理解する

契約の種類や法的な規定だけ考えていたのでは、ビジネス上のリスクや価値を十分に評価することはできません。まずはその契約書がどのような内容の取引のために使用されるのかを明確に理解しておくことが必要です。

自社のリスクを洗い出しておく

取引の内容を精査し、自社にとってどのようなリスクがあるか具体的にリストアップします。利益や信用の損失につながるリスクや、紛争を引き起こすリスクなどが考えられます。
さらに、リスクの重要度や要因を考慮しながら、契約書の修正によってどのような対処が可能かを検討します。

自社の権利と義務、相手方の権利と義務を書く

契約書は契約当事者の権利と義務を規定する文言からなります。自社の権利と義務、相手方の権利と義務を明確に分けて、過不足なく記載するようにします。

言葉遣いの注意点

契約書は誤解を生まない明快な言葉で書かれていなければなりません。以下の点に注意して言葉遣いをチェックしてください。

多義的な表現を使わない

多義的な表現は読む人によって違う意味に解される恐れがあります。契約当事者が各々自分の都合に合わせて文意を解釈してしまい、取引上のすれ違いや衝突を生み、裁判沙汰などに発展するケースもあります。なるべく明確な表現を使うようにしましょう。

言葉を省略しないのが基本

略語を使ったり、主語や目的語、指示語(「それ」「この」など)を省略したりすることはできる限り避けましょう。日本語では暗黙の了解に任せてつい言葉を省略しがちですが、契約書では言葉の受け取り方に齟齬が生じないよう十二分に注意する必要があります。
略語を用いたほうが文章が明快になると考えられる場合は、初出時には省略しない言葉を使い、「以下、○○という」といった注意書きを添えて「○○」が何の略語なのかを明示するようにします。

裁判官にもわかる言葉を使う

企業間の契約書では、業界用語など外部には理解しがたい言葉が使われている場合があります。これは契約当事者間では問題がないとしても、裁判になった際に思わぬ不利を招く可能性があります。裁判官にもわかる一般的な言葉を用いるようにしましょう。

目的条項

目的条項は契約の目的について規定した条項で、通常は契約書の本文冒頭(第1条や第2条)に記載されます。目的条項そのものは重視されない場合も多いのですが、秘密保持契約や請負契約、委任(準委任)契約では、重要になってくることがあります。
秘密保持契約では、「契約の目的として規定されたもの以外の目的で秘密情報を使用すること」が禁止されます。そのため、目的条項によって禁止条件を明確にしておくのが望ましいのです。
請負契約では、請負人が行った仕事に問題があり契約の目的を達することができない場合には注文者が契約を解除できることになっています。また、委任(準委任)契約では契約の目的に応じて適切な注意を払いながら仕事を行うことが受任者の義務とされ、これを怠ると契約解除の対象となります。契約解除が必要になる場合を念頭に置いて目的条項を明確に記載するようにしましょう。

定義や範囲を明確にする

特別な用語を用いたり、一般的な言葉を特定の意味に限定して用いたりする場合には、定義条項を設けて明確に言葉を定義することが必要です。
契約全体や各条項の適用範囲についても明確に規定されているかチェックします。例えば、業務委託契約における業務の範囲や、販売代理店契約における対象商品・地域の範囲、損害賠償条項の適用範囲などです。

契約書の基本構成

契約書の形式は法律で規定されているわけではありませんが、一般的な慣例やルールが存在しています。通例用いられる契約書の基本構成(内容上の構成と条文構造)をまとめておきます。

契約書の内容上の構成

タイトル、前文、本文(一般条項と主要条項)、後文、契約締結日、署名の順に記載します。本文では言葉の定義や一般的な規定から始めて特殊な内容に進むのが基本です。

タイトル

「売買契約書」「秘密保持契約書」などの表題です。法的にはどんなタイトルをつけても問題ありませんが、契約内容が一目でわかる一般的な表題をつけるのが通例です。

前文

契約当事者双方の名を挙げ、契約の概要・目的を簡潔に記します。

一般条項

大抵の契約書に共通して見られるタイプの条項を指します。例えば、「定義条項」「契約期間条項」「契約解除条項」「損害賠償条項」などです。

主要条項

本文を構成する条項のうち、一般条項を除いたものを指します。どんな主要条項を持つかは契約書ごとに大きく異なります。

後文

契約締結の証明方法を規定します。契約書を何通作成するか、誰が保有するか、署名・記名・押印のいずれを用いるか、といったことを記します。

契約締結日

後文の後(署名欄の前)に日付欄を設けて契約締結日(署名などを行った日付)を記入するのが一般的です。本文に契約の効力発生日を規定した条項が存在しない場合、原則として日付欄に記載の日付が効力発生日と見なされます。

署名、記名押印

末尾に契約当事者の署名欄を設けます。実際の署名、記名押印が後文に記された条件を満たしていない場合、契約が成立していないと見なされます(例えば後文に「署名捺印」とあるのに署名欄には「記名捺印」しかない場合など)。

契約書の条文構造

契約書の本文は「条・項・号」を単位として構成されます。その他、条文を参照する際に利用される呼称がいくつかあります。

条・項・号とは

本文の最も基本的な単位が「条」です。「条」には契約書全体で通し番号が振られ、「第1条、第2条、……」と表記されます。
1つの「条」の中身が豊富で複数の段落からなる場合に、それぞれの段落を「第1項、第2項、……」と呼びます。段落の冒頭に番号(数字)をつけて各項を区別します(ただし第1項の項番号は省略するのが通例です)。
「号」は条・項のなかで事柄(名詞や体言止めの名詞節)を列挙する場合に使われます。各号は「第1号、第2号、……」と呼ばれ、冒頭に番号(数字)を表記します(号番号は第1号についても省略しません)。

但書とは

先行する文に制限や補足を加えるために用いられるのが但書です。例えば、「Aである。但しBの場合はCとする」という条文の「但し」以下の文が但書です。

前段、後段とは

「条」「項」の1段落が2つの文からなる場合に、前の文を前段、後ろの文を後段と呼びます。
なお、3つの文からなる場合は順に「前段、中段、後段」と呼びます。4つ以上の文からなる場合は決まった呼称がありません。条文はなるべく簡潔にし、1段落2文程度でまとめるようにします。

AIを活用したリーガルチェックサービス

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リーガルチェックを行う契約書はだいたいどれも似たような形式・文面で、チェックするポイントもおおむね共通しています。しかし一つひとつの条文を注意深く精査する必要があり、ある程度専門的な法律知識も求められます。
この種の作業はAIが得意とするところであり、近年ではAIを活用したリーガルチェックサービスが発展しています。AIは契約書の文面を瞬時に解析し、条文の抜け・漏れや法的なリスクをはらむ箇所を指摘し、修正案を提示してくれます。
AIによる自動チェックサービスを利用すればーガルチェックにかかる時間を大幅に短縮することが可能です。サービスの費用も弁護士に依頼するのに比べ格段に安くすみます。

まとめ

リーガルチェックは契約書の法的リスクを評価し、適切な修正を施す業務です。法律とビジネスの両面に注意深く目を向け、慣例や言葉遣いにも気を配ることが求められます。
特別な契約については専門家への相談が必要になるでしょうが、日常的に取り交わされる契約書のチェックであれば自社で対応することも可能です。ただし相応の人的・時間的コストがかかります。リーガルチェック業務を効率化したい場合にはAIによる自動チェックサービスを導入するとよいでしょう。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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