教育

有意義な階層別研修とは?階層別研修の基礎や実施の際のポイントを解説

2020年04月10日

階層別研修

社内の人材育成は、組織運営の上で重要な課題の一つです。様々な研修のスタイルがありますが、階層別研修は社員のキャリアに合わせて実施される研修としてオーソドックスなものと言えるでしょう。しかし、実際に階層別研修を実施すると様々な課題に直面します。今回の記事ではより有意義な階層別研修を実施するために、階層別研修の基礎に立ち返りながら、改善のポイントなどを解説していきます。
自社の階層別研修を改善したいと考えている方や新規の実施を考えている方はぜひこの記事を参考にしてみてください。

階層別研修とは

階層別研修とは、全社員を対象に勤続年数や役職などの階層に沿って分類し、実施される研修のことです。各階層に位置する社員の考え方・意識・スキルの向上を目指します。
各階層に属する社員全体のレベルアップを目的とすることから「底上げ研修」と呼ばれることもあります。

キャリアに応じたスキルの底上げを行う研修

組織における若手社員や中堅社員、役員が習得するべきスキルやマインドが異なるため、階層ごとに役割の自覚や能力向上を図ることを目的に実施されます。
中でも新入社員研修や管理者研修が代表的であり、戦略的な人材育成には欠かせないとされています。

階層別研修を行う目的

階層別研修によって得られるものは何でしょうか。
研修を企画する上でその意義や効果が明確化できていないと、
「何のための研修か分からない」「仕事に関係すると思えない」と受講者の不満を募らせ、参加率を下げることになります。
単なる行事的なものにならないために研修の目的をハッキリさせる必要があります。具体例としては以下の目的が挙げられます。

組織の理念を浸透させるため

目的の一つとして組織内での理念共有が挙げられます。
理念は経営者だけのものではなく、社員に自分事として落とし込ませることで初めて意味を成します。
そのためにも研修を通じて、理念の意図や意味を繰り返し伝えていく必要があります。

役割の変化による意識や能力の変化に対応するため

昇格・昇任に伴ってより高い意識と能力が求められます。
しかし、そこだけに焦点を当てると「受け身の研修」になってしまい、意図した成果を上げるのは難しくなると思われます。
目的を設定する前に、まず社員の課題や理想とする組織・人物像、研修を受けた社員に期待される行動変化を想定することが重要です。それには事前アンケートを取ることが効果的と言えるでしょう。
その上で業務との関連性を踏まえ、研修目的を階層ごとに設定します。

階層別研修の種類

次に階層別研修の種類について解説していきます。
なお、以下にご紹介する階層区分はあくまで一例ですので、実際には自社の方針に合わせた研修内容を策定して頂ければと思います。

内定者・新入社員研修

新入社員のみならず、採用内定者向けに行われる研修です。
座学だけでなく、ロールプレイングやディスカッションを交えながら実際のビジネス現場で活かせることを目的とします。

ビジネスマナー研修

挨拶・身だしなみ・言葉遣い・電話や来客対応など社会人として基本的なマナーを学びます。さらに自分中心の学生から顧客中心の社会人への意識転換が求められます。

コンプライアンス研修

会社や社会において遵守すべき法令や規則、社会通念に関して教育を行います。これに反した場合に受ける罰則やルールを守るために必要な気構えについて学びます。

セルフマネジメント研修

社会人に必要な時間やタスク管理、目標設定、PDCAサイクルなど自己管理に関する教育を行います。指示をされなくても主体的な行動が取れる人材の育成を目的とします。

現場リーダー研修

少人数で動く現場で中心的な立場になりやすい若手社員を対象に実施します。情報連携をとりながら、チーム目標を達成するためのマネジメントについて学びます。周囲を巻き込みながら仕事を組み立てられる人材の育成を目的とします。

中堅社員研修

入社3年目以降の役職のついてない社員を対象としています。中堅社員には現場と管理者をつなぐ架け橋としての役割を果たすことが求められます。
そのため上司をサポートしたり、後輩社員や同僚が成果を挙げられるように支援したりすることができる人材の育成を目的としています。

フォロワーシップ研修

フォロワーとは、リーダーを支える役割を持つ部下やチームメンバーなどを指し、フォロワーシップは組織を強化するためにリーダーの盲点や不足をサポートする主体性を意味します。
経営環境の変化が目まぐるしい現代ではリーダーシップと共にフォロワーシップに対して多くの企業から注目されています。
フォロワーは「提言力」と「貢献度」からなるマトリックス図によって、「理想型フォロワー:協働者」「孤立型フォロワー:破壊者」「順応型フォロワー:従事者」「消極型フォロワー:逃避者」「実務型フォロワー:実践者」の5つのタイプに分けられます。これらのタイプの特性を理解した上で、理想型に近付いていくための具体的な行動を学びます。

メンター研修

メンターとは、新入社員や後輩社員を援助して味方となり、助言・指導を担う先輩社員を指します。
若手社員の相談相手となるべく、メンターとしてのマインドや行動を学び、コミュニケーション能力やキャリアの向上を目的としています。
メンターには決められた期間があり、期間内に社員を自立させる使命があります。「聴く力」と「訊く力」を兼ね備え、効果的なフィードバックや褒め方などについて実習を交えながら学びます。

管理職研修

管理者はその名の通り、管理能力はもちろんのことリーダーシップ・マネジメント・法令に関する知識を兼ね備えていることが絶対条件となります。
さらに職場全体の課題解決に取り組み、担当範囲における成果の状況・詳細について説明責任を求められます。
企業の経営戦略を再確認させると共に、管理者としての意識やマインドを植え付けるための教育を行います。

リーダーシップ研修

リーダーに最も求められるのは成果であり、目標達成に導くために組織やチーム全体の能力を最大限まで引き出す能力を習得します。
組織やチームの統制力や生産性を高めるためのマネジメント能力、部下のモチベーションを引き出すコミュニケーション能力、課題解決能力などリーダーとして身に付けるべき能力は多岐にわたります。
一般的にはレクチャーを受けた後、実例をもとにした演習を伴うことが多いです。

コーチング研修

コーチングとは「対話によって自分では気付いていない答えを部下の中から引き出すこと」であると一般的には定義されます。
手法を学ぶことも大事ですが、前提として部下が本心を打ち明けられる信頼関係(ラポール)を築くことが何よりも重要であると言えます。
組織のパフォーマンスを最大化するため、承認力や傾聴力、質問力を学び、関係構築のスキルを習得させることを目的としています。主体的に行動できる自律型人材を育成したい管理者向きの研修と言えます。

マネジメント研修

名著「7つの習慣/R・コヴィー」では、「成功のはしごが正しい壁に掛かっているかどうかを判断するのがリーダーシップであり、それをいかに効率よく登れるかを考えるのがマネジメントである」と表現されています。
マネジメントには①業務管理、②目標管理、③リスク管理、④部下育成・指導、⑤メンタルヘルスの5つの要素があります。
研修によって得られる効果は、管理者意識の強化・マネジメントの能力の習得・組織力の強化といったものがあります。今後は働き方改革制度やAI導入の活用方法なども取り入れる必要があるでしょう。

役員・幹部研修

役員・幹部社員は業務上スキルを備えていることを前提として、業務管理や企画立案、部下の育成、コミュニケーション能力、リーダーシップなどが要求されます。
個人の資質に左右されることはあっても、これらのスキルを一朝一夕に身に付けることは不可能であるため、研修を通して習得を目指します。
自社の慣例にとらわれないために、専門の研修会社に委託した方が新しい知識や価値観を得られるため、メリットは大きいです。

アカウンティング研修

アカウンティングとは会計・経理を意味します。
近年では経理・財務担当者だけでなく、ビジネスパーソンに広く求められるようになりました。
組織の役員・幹部社員は数字を通じて財務状況を把握し、経営課題を読み解いて対策を取れる能力が求められます。
具体的には企業の重要情報となる財務諸表の読み方や、経営の意思決定に必要な損益分岐点分析、投資評価・意思決定の会計、原価計算、コストマネジメント、業績評価・予算管理等を学びます。

コンプライアンス研修

コンプライアンス研修は新入社員だけでなく、役員・幹部に対しても必須です。新入社員研修では守るべきコンプライアンスについて学びますが、役員・幹部社員はその内容を社内に浸透させる責任があります。
研修では法令や企業規則はもちろん、取締役が果たすべき義務と責任、粉飾決算、偽装・情報漏洩、インサイダー取引などに関して実例を通して学びます。
ネット社会の急速な発展によって、SNS上の従業員の不適切な行動がメディアで報じられ、社会問題となっています。リスクコントロールの観点からSNSの適切な取り扱いについての教育は必要不可欠です。

社長・経営者研修

目まぐるしく変化する経営環境において、企業のトップに立つ社長・経営者は迅速な経営判断が求められます。
企業が成長・存続し続けるためには、個人の成熟度を高めることはもちろん、事業構築・経営力や競争力の強化、組織・制度構築など多岐にわたる要件を満たす必要があります。

財務戦略研修

社長・経営者として、企業価値を数字で認識する必要があります。
研修を通じて財務の側面から現状分析を行い、経営目標を達成するために必要な経営戦略や財務戦略を策定できることを目的としています。
具体的には財務分析、企業価値分析、資金調達、IRなどについて演習を交えて学びます。

経営戦略研修

経営戦略とは、一般的に『企業が強みを活かして持続的経営を図るための戦略』を指します。経営理念で示す理想と現実のギャップを埋めるための道筋であると言えます。具体的には3C分析やSWOT分析といった基本的なフレームワークを学び、戦略策定の知識を体得して持続的成長へのロードマップを描く力を身に付けます。

研修を通して得られる効果としては

・財務において行うべきことが明確になる。
・決算書の見方が理解でき、経営戦略に活用できる。
・金融機関からの評価が高まる。

などが見込まれます。

プレゼンテーション研修

企業トップのプレゼンテーション能力は必須です。例えば経営者が語るメッセージは、採用の場面において人を引き寄せる力があります。社内的にもビジョンを掲げて社員のモチベーションアップに繋げたり、社員を未来志向に変化させたりする経営者のプレゼン能力は組織の発展や業績に直結する重要なファクターとなります。

階層別研修で直面する課題

研修内容が偏っていて現場で活かせない

課題として挙げられるのは、人事部や教育担当者が現場における社員が抱える悩みや問題を把握できていないことです。
研修を受講するうえで大切なことは、受講者の意識や行動の変化につながり、実際の現場で活かせることです。
したがってスキルを習得させるだけでなく、個人や組織の問題がクリアできる研修内容を盛り込むことが重要です。効果を最大化させるためにも、時代に合わせて内容をアップデートさせていく必要があります。

研修の意義が理解できていない

社員の昇任・昇格に伴い、階層別研修を受講することになった場合、上司は研修内容に加えて研修目的や効果をあらかじめ把握し、部下に伝える必要があります。
形式的な研修では、部下のモチベーションが上がらず効果が薄くなってしまうためです。研修後は上司が部下の受講成果を見守りながら、中長期的な支援を行う必要があります。

実務と結びついた研修のコンセプト作り

先述の通り、研修で学んだ内容が実務で活用できてこそ研修の意味があります。
したがって、現場からのヒアリングをもとに研修のコンセプトを作成する必要があります。
研修を受講する本当の目的は知識のインプットではなく、行動や行動計画としてアウトプットさせることにあります。
実際の現場でPDCAサイクルを回し続け、組織の中で機能して初めて研修の効果が得られたと言えます。

現場との連携をとることで研修の意義を明確に示す

階層別研修に参加する場合、上司から部下に対して今後期待している役割についてあらかじめ伝える必要があります。
研修の意図や目的はもちろん、各階層に属する人材としてふさわしい考え方や知識、スキルについて対象者の上司と緊密な連携を取り、現場とのギャップが生じないような取り組みが人材育成部門には不可欠となります。
受講後に対象者がどうすれば周囲の期待に応えることができ、役割を果たせるかについて自身で考えられるようになれば、研修の目的は十分果たされたと言えます。

まとめ

階層別研修を成功させるための秘訣は、対象となる各階層の社員に対して研修の意義や目的を正しく伝え、自身のゴールを明確化させることです。それは新入社員の階層であっても、経営者の階層であっても同じです。
経営環境の変化が目まぐるしい現代では、現在の階層における階層別研修と、上位の階層に進んだ場合に速やかに組織を機能させるための選抜研修とをうまく組み合わせて連動させる必要があります。
以上のような観点で階層別研修に取り組んで頂ければと存じます。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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