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タレントマネジメントとは【導入手順とメリット・注意点】システム10選を紹介

2021年10月12日

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タレントマネジメントは自社の従業員のスキルや能力、経歴などの「タレント(≒才能)」を一元的に管理し、必要な人材の採用や育成、適材適所の人材配置を戦略的に行っていくものです。

多くの人材をかかえる大企業を中心に導入が進んでいるタレントマネジメントの概念やシステムツールの基本的な機能、代表的なツールを紹介します。

タレントマネジメントとは

タレントマネジメント(talent management)とは、企業が社員のスキルや能力を把握して適切な人材配置を行うための人材管理を指す言葉です。

タレントマネジメントはアメリカで生まれた考え方で、2001年にマッキンゼーアンド・カンパニーの報告書である The War for Talentの中で言及され普及していったといわれています※。

ここではまずタレントマネジメントの定義から活用するメリットについて理解を深めていきましょう。

※出典:タレントマネジメント論(Talent Managements)に関する一考察(守屋貴司 2014年9月発行「立命館経営学」 ) 

http://doi.org/10.34382/00001119

発祥地アメリカにおける二つの定義

タレントマネジメントは上記のような、従業員の能力などを「タレント」として、そこに焦点を当てたマネジメントです。タレントマネジメントの定義にはばらつきがあり、

タレントマネジメント発祥のアメリカでは、ATD(Association for Talent Development、旧ASTD)と、SHRM(Society for Human Resource Management)という人材マネジメントに関する団体がそれぞれ次のように定義しています。

いずれも、人材の育成や人材開発を重視し、人材の能力を伸ばすという点は共通した考え方といえます。

ATD(旧ASTD)のタレントマネジメントの定義

ATD(旧ASTD)は2009年に、タレントマネジメントを次のように定義しました。

「人材の採用、選抜、適切な配置、リーダーの育成・開発、評価、報酬、後継者養成等の各種の取り組みを通して、職場の生産性を改善し、必要なスキルを持つ人材の意欲を増進させ、その適性を有効活用し、成果に結び付ける効果的なプロセスを確立することで、企業の継続的な発展を目指すこと」

https://www.smartvision.co.jp/talent.html

SHRM のタレントマネジメントの定義


SHRMの2006年の同団体の報告書による定義は下記です。

「仕事の目標達成に必要な人材の採用、人材開発、適材適所を実現し、仕事をスムーズに進めるため、職場風土(Culture)、仕事に対する真剣な取り組み(Engagement)、能力開発(Capability)、人材補強/支援部隊の強化(Capacity)の4つの視点から、実現しようとする短期的/長期的、ホリスティックな取り組み(多層的なものを有機的に統合する取り組み)である」

https://www.smartvision.co.jp/talent.html

日本で注目を浴びるようになった理由

ここ数年で日本でもタレントマネジメントが普及してきました。背景には、日本が抱える超高齢化社会、働き手の不足、ビジネスのグローバル化といった課題があります。

少子高齢化による労働人口の減少

2020年と2035年の人口ピラミッド

日本では、労働力の主力である生産年齢人口(15~64歳)は減少することがわかっています。

ピークは1995年の8726万人(国勢調査)で、2015年には同7728万人となりました。2020年と2035年の人口ピラミッドを並べてみると、ピークが徐々に高齢になっていることがわかります(図)。2065年には、生産年齢人口 はピーク時のの半分以下である4529万人となると推計されています。

企業のみならず国全体でも「いかに生産性を向上するか」が課題となっています。

※出典:日本の将来推計人口(平成29年推計)|国立社会保障・人口問題研究所

http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_ReportALL.pdf

働き方改革の推進

労働人口の減少を解決するための手段として、2016年に日本政府は「働き方改革」を提示しました。働き方改革は、出生率を向上させ、働き手を増やし、労働生産性の高い社会を実現しようとするものです。
労働生産性は、日本は海外に比べて決して高くはありません。日本の1人当たりの労働生産性は年間824万円とになるとされていますが、これはアメリカの1,339万円と比較すると、6割強に留まっています。

※出典:労働生産性の国際比較|公益財団法人日本生産性本部
https://www.jpc-net.jp/research/list/pdf/comparison_2019.pdf

グローバル人材育成の必要性

グローバル人材とは、日本だけでなく複数の国にまたがるビジネスで成果を出せる人材のことです。「語学力」「コミュニケーション能力」「異文化への理解」などの能力がある人材を指します。日本国内の需要低迷や前述した少子高齢化などの理由により、海外展開を考える企業が増えていることからこうしたグローバル人材の需要は増加しています。

タレントマネジメントのメリット

タレントマネジメントは社員1人1人の生産性を上げるために大きな役割を果たすことができます。ここからは具体的な例をあげながら3つの点についてそのメリットをお伝えします。

人材配置の最適化

タレントマネジメントは社員の適性、経験、スキルなどをデータ化、可視化するものです。適材適所の人材配置行うための基本的なツールとなります。

また、データを常に最新化し、異動後の実績なども合わせて蓄積していくことで、人材配置の精度を向上させていくことにつながります。

人材育成

社員のスキルをタレントマネジメントで管理することで、どの人材にどんな教育プログラムが必要であるのか、ということが明確になります。

また、自社の経営戦略に合わせて必要な人材育成したり、不足しているスキルを補って抜擢するといった戦略的な人材育成が可能になります

離職防止、モチベーションアップ

タレントマネジメントの活用によりスキルや適性に合った業務を行うことができるようになれば、社員もモチベーションが上がり、離職率は減少につながります。
また、人材をデータ化することで、評価を適正に行うことができるようになります。プロジェクトを遂行する中で適切な評価を行い、人事評価に反映させることができるようになるため、社員のモチベーションを高める効果も期待できます。

タレントマネジメントを自社に導入するステップ

タレントマネジメントを導入するステップを3段階に分けて解説し、その注意点を考えてみることにしましょう。

導入ステップ1:経営戦略に基づいた人材戦略の策定

タレントマネジメントは、人材戦略ありきである必要があります。人材戦略とは、企業の経営戦略を実現するための戦略的な人事計画を指します。
経営戦略に基づいて、どのような人材が必要か、そうした人材を見極めるにはどのようなデータが必要かを検討します。

導入ステップ2:現状の人材データの整備

戦略を実現するために、現状の人材データを整備しておく必要があります。戦略に基づいて整備するデータを定めたら、それに合わせて従業員のデータを作成する必要があります。

導入ステップ3:具体的な人事施策

データをそろえて戦略を策定したら、具体的な人事施策へと落とし込みます。

人材の獲得

人事戦略があり、現状のタレントが可視化できると、「どのチームにどんな人材が足りていないのか?」という採用するべき人材像が明確になります。また、そのチームでどのようなスキルを持った人材が活躍できるのかというデータを蓄積し、採用のミスマッチを減らし、配置の最適化も行っていきます。

人材育成

人材戦略上どのようなスキルが必要か、社員に不足している能力などを分析し、それらを社員研修などのプログラムに落とし込みます。研修の結果なども分析して、新たな育成、採用施策へとつなげていきます。

タレントマネジメント導入の注意点

導入ステップに続いて、タレントマネジメント導入の注意を二つ挙げておきます。

運用体制

タレントマネジメントを運用するにあたり、問題となりやすいのは運用体制です。導入するだけでオートマチックにそのシステムが動くというものではありません。タレントデータの入力や更新について、メンバー、マネージャー、それ以上の役職者にも、重要性を理解して実行してもらう必要があります。
システムの利用方法についてのマニュアルやサポートも必要です。

人事制度の変更の可能性

タレントマネジメントは人事の基盤となるシステムです。人材配置、採用、教育、キャリア計画、後継者計画など全てに紐づいて連動するものです。企業の成長や方針により、これらの人事制度は変更する可能性があります。タレントマネジメントは人事制度の変更に合わせて柔軟に対応する必要があります。

タレントマネジメントを支援するシステム

タレントマネジメントはタレントのデータの可視化が必要なため、システムの利用が欠かせません。タレントマネジメントを効果的に実施するシステムが、多数提供されています。

下記の記事では、タレントマネジメントシステムの機能の詳細と、18のタレントマネジメントシステムを特徴別に分類して紹介しています。

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タレントマネジメントシステムの主な機能

タレントマネジメントシステムには多くの種類があります。この記事でも具体的なサービスを後述したいと思いますが、基本的なタレントマネジメントシステムの機能をまとめてみます。

採用管理

採用には戦略的な視点が最も重要です。タレントマネジメントシステムは採用のための業務を効率化させるだけでなく、戦略を立案してその効果を検証することができるようになります。

育成計画立案・管理

タレントマネジメントシステムでは、人材データベースで人材の可視化ができるようになるために適切なプランを社員に提供することができるようになります。オンライン学習などのツールとの連携も容易にできるため、その学習の進捗具合を確認したりフィードバックを行うことも可能です。

スキル管理

社員が持つスキルを可視化し、人材配置などに利用できます。プロジェクトの立ち上げを行う際に、必要な人材をピックアップするなど、これまで人事部しか把握できなかった情報を権限設定によってマネージャーなどに開示し、必要に応じて効率的に使うことができるようになります。

分析・スコアリング

タレントマネジメントシステムでは、目標管理を行いそれをデータ分析し数値でスコアリングしてビジュアル化することが可能です。勤続年数や評価という属性だけでなく、様々な指標でグラフ化させることが容易になります。
分析とスコアリングをすることで、予測値や傾向が客観的に知ることができるようになるためあらゆる経営の場で役立てることが可能になります。

人材配置

タレントマネジメントシステムでは、人材データベースを基に組織図を作成することが可能であるため、人材配置転換のシミュレーションを行うことができます。

タレントマネジメントシステムを選ぶポイント

次に、タレントマネジメントシステムを選ぶポイントを紹介します。

人事戦略と機能が合っているか

タレントマネジメント導入ステップで人事戦略策定の必要性を書きました。その人事戦略をふくめて、タレントマネジメントを導入する目的を明確にしたうえで、必要な機能を精査する必要があります。
例えば離職率を下げたいという目標を持っている会社の場合には、それを解決する過程を考える必要があります。社員のモチベーション維持、キャリア計画などを改善することが重要であると判明したら、それを解決する手段としてタレントマネジメントシステムの種類を考えていくのです。

管理・可視化できる項目やデータ

前述してきたようなタレントマネジメントシステムの機能は、当然ながら製品によってスキル、基本的な人事情報など可視化されるデータに差があります。
自社が必要とするデータ項目に合致しており、それを最大限に活用できるシステムを検討する必要があります。

システムの操作性

タレントマネジメントシステムは人事部の担当者だけでなく、社員の誰もが使用するものです。誰もが使いやすいものを選び、社内に浸透させることが重要です。
また、企業の規模によってはそのシステムに拡張性を求められることもあるでしょう。将来的に海外の拠点や工場を出し現地での採用にも活用する可能性があります。また、会社の規模拡大に応じてその人材を大量に雇用するようなことがあるかもしれません。

セキュリティー

タレントマネジメントは社員の情報を一元化し、社内のシステムと紐づけるものです。そのデータは非常に重要度の高い個人情報であるために、強固なセキュリティーが求められます。端末の認証機能、アクセスの権限などを確認しましょう。
また、リスク軽減のための自動バックアップ機能やデータベースの二重化などへの対応ができるとより安心できます。

代表的なタレントマネジメントシステム

では、ここからは具体的にタレントマネジメントシステムを紹介していきます。

カオナビ

カオナビ

・人材情報を顔写真付きで一元管理できる
・カスタマイズが自由に可能
・導入から運用までのサポート体制が充実

従業員のデータをシンプルなUIで管理できます。1500社以上の企業が導入し、タレントマネジメントのツールとして国内最大のシェア率を誇っています。ユーザー会も有しており、ユーザー同士でノウハウを共有できるという特徴もあります。

【料金】
データベースプラン、パフォーマンスプラン、ストラテジープランの3つの料金プランが用意されている。(料金はお問合せ)

サイレコ

サイレコ

・過去から現在までの社員データを蓄積、情報の見える化が可能
・組織シミュレーションを直感的に可視化できる
・シミュレーションの結果に沿った人事KPIの算出ができる

サイレコは人事評価システムをメインとした経営支援ツールです。人事部の管理負担を軽減し、過去から現在までの人事データからどんな人材配置がどんな結果を生むのかを分析することが可能になります。

【料金】
システム導入費:400,000円/初回のみ
システム利用料:月18,000円〜

CYDAS PEOPLE

 CYDAS PEOPLE

・高いデザイン性とシンプルな操作性
・社員が情報を更新可能、最新のデータを常に表示できる
・目的別に最適な人材を発見する検索機能

運営するCYDASはタレントマネジメントの「Profile Manager」と目標管理と人事考課ツールである「MBO Cloud」、育成・分析を行う「Performance Cloud」というラインナップを準備しており、段階的に高度なタレントマネジメントを導入することができます。

【料金】
お問い合わせください

ROSIC

ROSIC

・大手企業にも導入されているタレントマネジメントシステム
・分析機能に強く、戦略人事化したい企業におすすめ
・多くのラインナップを揃えているため、カスタマイズが可能

運営会社のインフォテクノスコンサルティング株式会社はシステムを販売している企業ではなく、人事戦略と検証までトータルサポートをする企業です。人事・人材戦略ポータルサイトも運営しているため、そのノウハウが豊富です。

【料金】
お問い合わせください。

タレントパレット

タレントパレット

・使いやすいUIで最適な人材配置
・人材情報の分析機能が豊富
・社員のモチベーション分析を行うことができる

人事に「マーケティング思考」を取り入れ、データに基づいた人事を実現するタレントマネジメントシステムです。社員1人1人の意見や要望を収集、より高度な人材情報の分析ができます。そのほか「離職防止分析」や「社員満足度分析」など分析機能も豊富です。無料体験版があります。

【料金】
お問い合わせください。

HITO-Talent

HITO-Talent

・人事だけでなく、現場重視の機能が搭載
・コンサルティングチームによる手厚いサポート
・ドラッグ&ドロップによる直感的なUI

「HITO-Talent」はパーソル総合研究所とテンプスタッフラーニング統合によって誕生したシステムです。タレントマネジメントシステムの導入で目指す目的を具現化するためのコンサルティングが特徴です。企業に応じて段階的に導入することができます。

【料金】
お問い合わせください。

COMPANY 人材開発

COMPANY 人材開発

・人材開発業務を統合的にサポート

・育成計画の立案に最適なタレントマネジメント

・人材の早期戦略化を促進

従業員一人ひとりのキャリアに合わせた育成計画を策定できる、後継者を検索・指名し、後継者候補として管理することができます。e-Learningから集合研修まで一元管理して、不足するスキルを補う研修受講計画を作成することもできます。


【料金】
お問い合わせください。

POSITIVE

POSITIVE

・AI(人工知能)を活用した「タレントアナライズ」
・様々な切り口・条件での柔軟な人材抽出機能

グローバル対応が可能である「POSITIVE」は、国内外のグループ会社の人材を統一尺度で管理することができ、最適配置を実現することができます。AIを活用したタレントアナライズ機能は、最適の配置を提案してくれます。

SAP Success Factors

SAP Success Factors

・欧米人事ベースの人事支援システム
・複数言語対応
・様々な評価手法に対応することができる人事評価管理

ERPのSAPのHCM(Human Capital Management)システム「SAP Success Factors」はHXM(ヒューマンエクスペリエンス管理)へと進化しています。グローバル企業に多く活用されており、90ほどの国で展開されているシステムであり多様な給与システムや言語、福利厚生、組織管理、時間管理を可能にするものです。

【料金】
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Oracle HCM Cloud

Oracle HCM Cloud

・グローバル対応のクラウドサービス
・1つのシステムでも多言語対応で情報管理
・Oracle社が世界最高水準のセキュリティを提供

Oracle HCM Cloudは、Oracle社が提供する人事支援システムです。人材教育や後継者育成、運営計画を反映した目標管理や評価などを一元管理することができます。海外拠点を持つ日本の大企業にも活用されています。

まとめ

タレントマネジメントは、従業員の膨大なデータを可視化して人事に活かしていくもので、システムの利用が欠かせません。働き方改革や生産性の向上などから、多くの企業で導入が進んでいます。従業員の情報やスキルの可視化は企、業の規模を問わず、今後も一層重要性を増していくでしょう。

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この記事を書いた人

QEEE編集部

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