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HRテックとは|すでに普及している3分野と今後注目のサービス・人事スキル

2021年08月17日

人事管理人事評価タレントマネジメント労務管理HRテック

HRテックは、HR(Human Resources)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた、人事業務へのIT活用を指す語です。勤怠管理や労務管理の領域ではおもに業務の効率化に、採用や人材マネジメントでは、AIやビッグデータ活用がすすめられています。労働力不足を補うHRテックについて解説します。

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HRテック(HRTech)とは

まず、HRテックについてその概要を紹介します。

HRとテクノロジーを組み合わせた造語

HRテックとは、HR(Human Resources)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語です。人材資源を確保する人事の仕事に、ITを活用することで業務の効率化や新たなインサイト(気づき・発見)を提供します。
今までも人事業務にITは活用されていましたが、業務の多くは担当者の経験と勘に頼らざるを得ませんでした。HRテックでは、教育分野におけるEdTech、金融分野におけるFinTechと同様に、クラウドやAI、ビッグデータなどの先進IT技術によって、業務のあり方を抜本的に変化させることが可能です。

HRテックの主要な3分野

以下、すでに活用が進んでいる、HRテックの主要な分野について解説します。

採用

採用分野におけるHRテックには、たとえばATS(Applicant Tracking System=応募者追跡システム)があります。ATSは「採用管理システム」と訳されることも多く、採用における求人情報の作成や、各種データの集計・分析、進捗管理、関係者との情報共有など、さまざまな機能によって採用業務を支援するものです。
採用業務における煩雑な集計作業を効率化し、業務上のミスを削減することで、採用担当者の負担軽減が可能です。また、人材獲得に向けた企画の立案や実施といった業務に集中できるようになり、採用業務の質の向上が期待できます。

人材マネジメント・評価

人材のマネジメントや評価はHRテックと特に相性の良い分野です。特に、タレントマネジメントといわれる、従業員の資質や能力に焦点を当てたマネジメントがしやすくなります。タレントマネジメントでは、スキルやキャリアも含めた人材情報を全社から収集し、それを元にモチベーションの管理やキャリアステップを考えていきます。
扱う情報量が非常に多くなるため、エクセルや古いシステムでは情報を有効に利用することが難しい状況がありました。
現在のHRテックでは、クラウド上のデータベースへの情報集約による一元管理・処理や、AIによる分析・判断が可能になっており、複雑な人材マネジメントも効率よく行えるようになっています。また、担当者や上長の主観的な評価や印象ではなく、情報をもとにしたマネジメントが行われることで、人材のモチベーションや定着率にも良い影響が期待できます。

勤怠・労務・給与

定型業務の中でも、勤怠管理や、社会保険・雇用保険などの労務管理、給与などの事務処理は入力や計算の作業に非常に時間をとられがちです。HRテックの導入によって、こうした定型業務にかけていた時間が効率化されるとともに、集計・計算のミスを減らすことができます。
たとえば、出退勤の時間を各自がエクセルに記載し、毎月末に収集して労務の担当者がそれをまとめ、給与計算や保険の計算を行うといった業務のやり方があります。HRテックを導入することで、こうした業務を大きく変えることが可能です。
また、クラウドを利用することで勤怠情報の入力・集計作業も効率化できます。各自のスマートフォンから勤怠情報を入力してもらえば、クラウド上のシステムで給与や保険料の計算も自動的に行うことが可能です。担当者は転記や集計といった業務に追われず、個別のチェックや制度作りに注力できるようになり、業務の質が高まります。

日本でHRテックが注目を集める背景

近年、日本においてHRテックが注目されるようになったのは、いくつかの社会的な背景があります。その中でも主要なものが「労働力不足」と「IT環境の充実」です。

労働力不足

少子高齢化による人口減がすでに始まっており、労働力人口の減少への対応が企業の大きな課題となっています。以下、労働力不足とHRテックについて解説します。

人材確保・育成の重要性

労働力不足によって、企業の人材確保・育成はどんどん難しくなっています。労働市場は売り手市場で、採用コストは高まるばかりです。そのため、志望者を集めるために給与水準を高めたり、年齢や地域を広げたりする企業も出てくるようになりました。しかし、それでも応募者が集まるとは限らず、ミスマッチが生じて、採用後すぐに離職してしまうなど、せっかくの努力が問題解決につながらないケースも見られます。
また、終身雇用制度が崩壊し、労働力の流動化が進んでいます。企業では、採用した人材ひとりひとりの能力発揮を促すとともに、教育やマネジメントによる人材の定着や戦力化に取り組む必要性が高まっています。企業の成長戦略と、個人のキャリアビジョンの両方を実現させるためには、組織全体の人材の状況を把握し、意思決定やコミュニケーションに活かすことが大切です。
人材確保や育成に関する業務はデータ量も膨大になり、収集や分析のための業務も煩雑になりがちです。HRテックによる人材マネジメント基盤は、これらの業務を効率化し、担当者の負担を軽減します。

ダイバーシティ

日本において、労働力不足を補うための方法として実施されつつあるのがダイバーシティです。ダイバーシティとは、さまざまな背景をもった人が集まり、互いを尊重しながら共存することを意味します。年齢や国籍、地域や働き方といった制限をできるだけ廃し、さまざまな人材を求めることで、人材の幅を広げることができます。
また、ダイバーシティ化は企業のイノベーションを促す効果があります。スキルや考え方、視点の異なる人材が集まって刺激し合うことで、企業に新しい発想や技術が生まれる可能性が高まるからです。
ダイバーシティを実現するには、理念やルールの浸透だけでなく、従来のマネジメント方法や評価制度、雇用制度などを再構築することが必要です。そのため、HRテックによる業務効率化や制度設計のサポートが求められています。

働き方改革

政府主導で進められている働き方改革では、労働時間の厳密な管理や適切な給与計算が求められました。罰則のある、強制力を伴ったものであるため、企業では対応に追われています。
働き方改革で求められる労働環境の実現には、さまざまな分野での業務効率化や仕組みの再構築が必要不可欠です。従業員のテレワーク対応や、外部業者やフリーランスへ業務のアウトソーシングが検討される場合もあります。
HRテックの中には、企業の経営戦略の実現と働き方改革の成功のためにさまざまなサポートを提供する製品も多いです。

IT環境の充実

IHRテックが注目されるようになったのは、IT環境の変化によってシステムの導入が容易になったことも大きな要因です。どのような変化がHRテックに影響しているのか解説します。

クラウド、SaaSの普及によるサービスの多様化

インターネット上で利用できるクラウドサービスが普及し、企業はサーバーを自社で保有し、システムを構築する必要が薄れています。SaaS(Software as a Serviceの略)によって提供される、インターネット上のさまざまなシステムは品質も向上し、従来のオンプレミスのシステムと機能・性能的にも遜色ありません。
インターネットでどこからでも利用可能なクラウド上のサービスは、スマートフォンやタブレットといった携帯用デバイスと相性が良いのが特徴です。また、サービスは拡張や縮小が自由にでき、利用した分だけコストが発生するので、小さな企業でも使いやすくなっています。また、SaaSを活用する場合、企業は専任のエンジニアがいなくともシステムの構築や運用を行うことができるため、スピーディーにスタートできることも大きなメリットです。

ビッグデータを活用できるIT環境

人事分野のテクノロジーに大きな変化をもたらしたのがビッグデータの活用です。従来の人事マネジメントシステムでは、人事担当者が入力作業や、集計や分析を行う必要がありました。大量のデータの収集や入力、活用を行うことは、中小企業はもちろん、大企業だとしても難しかったのです。
しかし、IoTやスマートフォンなどによる効率的な情報収集と集積が可能になり、情報の分析もAIが多くを担ってくれるようになっています。HRテックでは、AIが過去データから採用結果や勤続年数などを予測したり、面接の評価を行ったりといったことが行われています。ビッグデータとAIの活用によって、新卒採用業務における何百、何千人の評価が、大幅に効率化した企業もあります。

今後注目されるHRテックや人事スキルとは

HRテックによって、企業の人事機能に求められるものが大きく変わろうとしています。以下、HRテックの中で注目されている技術や、これからの人事担当者に求められるスキルについて解説します。

AI、機械学習の活用

近年、注目を集めているAIや機械学習といった技術はHRテックでも特に重要です。HRテックでは、これらの技術がどのように活用されているのか、業務の種類を分けて紹介します。

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採用

AIや機械学習は、採用業務の効率化に非常に役立っています。AIや機械学習は判断が得意なため、これを業務に応用して活用することが大切です。
AIを利用し、採用時の合格・不合格の判断や、将来の勤続年数の予測を行っている企業もあります。こうした企業では、過去の従業員の履歴書やエントリーシートなどの書類や、面接時の様子、入社後の様子や勤続年数などをAIに学習させ、応募者の情報や様子を判断させています。評価に使ったスコアや、予測勤続年数などの数字情報を提供することもできるため、担当者の主観によらない意思決定が可能になることもメリットです。また、非常に速く情報の処理ができるため、少ない人員で多くの応募者に対応できます。
今後は、AIや機械学習を活用した採用の仕組みを作れるか否かが、企業の採用力を左右する可能性があります。特に、多くの志望者が殺到する人気企業の新卒採用では、事務作業に忙殺され、インターンや説明会、面接などのイベント企画や、応募者とのコミュニケーションに注力できない場合も少なくありません。こうした企業ではAI利用によって大きな業務の変革が起こるでしょう。
HRテックはさまざまな業務を効率化し、本来集中するべき業務に集中できるようにしてくれます。結果として、志望者の満足度やロイヤリティも高まり、質の高い採用活動となっていくでしょう。

組織開発

組織開発は、組織に属する従業員個人の能力ではなく、従業員間の関係性や相互作用に着目して問題解決を考えていく手法です。組織開発では、課題発掘や分析、対応策の立案・実施といったマネジメントが行われます。
組織開発用のツールとして、課題発見のためのアンケートシステムなどが使われてきました。しかし、アンケートでは従業員が入力を負担に感じて適当に回答したり、十分な情報が集まらなかったりするケースも多いです。また、アンケート結果を分析する技術が組織にないために情報が十分に活用できない場合もあり、組織開発における課題となっていました。
最新のHRテックでは、アンケートはもちろん、普段のメールやチャットなどのデータをAIや機械学習で分析することが可能です。入力の手間もかからず、分析のスキルも不要で、組織の状況を分析・評価することができます。
組織開発用のシステムは多機能で、目的に応じて、さまざまな使い方ができます。組織診断や、管理職候補の発掘・育成、メンバーのモチベーションの向上、離職率の低下など、課題に合わせた使い方が可能です。

離職対策

現在、日本企業において離職対策は人事の最重要業務のひとつとなっています。離職を防ぐためには、離職リスクの高い従業員の早期発見と適切なケアが必要です。情報と経験が必要不可欠なことから、属人性の高い業務となっていました。しかし、AIや機械学習の活用によって、離職の可能性が高い従業員を抽出することが可能になりました。出退勤時間や有給取得率、接点の多い人、同僚との接し方、役職、給与情報などのデータから、離職の可能性がある人を高い精度で割り出し、その理由なども推測することができます。
近年は企業の労働問題への注目が集まっているため、メンタルヘルスや過剰労働からの離職は企業経営そのものに重要なダメージを与える恐れがあります。HRテックによる離職対策は、離職を防ぐだけでなく企業の風土や制度の見直しにも効果を発揮し、持続的な成長に貢献するでしょう。

戦略人事

戦略人事とは、組織の経営戦略や事業戦略を実現するために、経営者と同じ目線で人事を考え、実行していくことです。戦略人事のためには、人事に関する知識はもちろん、自社の経営戦略やビジネス、ビジョンや理念への深い理解が求められます。
戦略人事を進めるためには、社内の人材についての正確な把握や業務効率化が必要不可欠です。HRテックを利用した人材マネジメント基盤や、採用管理システムは、人材の把握や状況の分析を容易にし、戦略人事の推進を考える企業や担当者の強力な武器となるでしょう。

オンボーディング

オンボーディングとは、新しく入社した従業員を受け入れ、定着させ、戦力化するまでの一連の取り組みを指します。オンボーディングの方法には、研修や歓迎会といった入社直後の施策だけでなく、採用の段階の情報提供から、入社後数年にわたって定期面談の機会を作るなどさまざまな方法が行われています。
オンボーディングでは、継続的な情報の記録と活用が大切です。HRテックはオンボーディングに関わるさまざまな業務を支援し、質の向上に寄与します。

まとめ

HRテックは、クラウドやAI、ビッグデータなど先端IT技術を用いて、人事業務を抜本的に変えるはたらきをします。HRテックの導入によって、人事担当者が作業に使っていた時間が大幅に削減され、本来行うべき企画やコミュニケーションに注力できます。企業の戦略人事を推進するべく、HRテックの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

QEEE編集部

QEEEは、INTLOOP株式会社が運営するビジネスの総合ポータルサイトです。 多様なコンサルティング実績をもつINTLOOPのノウハウを生かし、あらゆる経営課題・ビジネスの悩みを解決するサービスを提供しています。 QEEEマガジンでは、マーケター・人事・エンジニア・営業などの各職種に向けて、SaaS比較やビジネスコラムなどのコンテンツを各領域のスペシャリストが発信しています。

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