【業務可視化ツール・BPMツール10選を比較】業務フローを整理しよう!
業務可視化ツールは、業務フロー図の作成機能をはじめとした業務プロセスの可視化、プロセス監視などの機能を備えたシステムです。業務フローをフロー図にで表現することは、BPMやRPAの起点ともなります。社会のデジタル化が進むなか、デジタルトランスフォーメーションを実現するためにも要なのが、業務の可視化です。業務の可視化ができれば、業務効率化とともに従業員がライフワークバランスも取りやすくなるなど働き方改革も可能です。
この記事では業務可視化ツールの機能や選び方、さらにはおすすめの業務可視化ツールまでご紹介していきます。
業務可視化とは?
業務可視化は、業務効率化の起点となります。たとえば「BPM(ビジネスプロセスを管理する取組)」や「RPA(自動プログラムにより業務処理を自動化する技術)」などの活用には、業務可視化が必要です。
業務可視化と業務フロー図
「可視化(見える化)」とは、目に見えないものを見えるようにすることです。業務可視化は、この可視化を業務プロセスについて行います。
文書チェックやデータ入力など、業務の各プロセスは私たちの目に見て取れます。しかし業務全体における「手順」や各プロセスの「つながり」そのものを見ることはできません。業務可視化により各プロセスのつながりや遂行手順などを誰にでも見えるようにするのです。
業務の可視化は基本的に、業務フロー図(フローチャート)を作成して行います。
業務フロー図は、図形や矢印などの記号を使って業務全体を見ただけで把握できる図のことです。業務フロー図により各プロセスが図示され、プロセス同士のつながりやプロセスがどういった手順で処理されているのかがはっきり分かるようになります。
業務プロセスの可視化はなぜ必要か
業務プロセスの可視化は、次のような点から必要です。
- 業務全体の流れを俯瞰できる
- 業務効率化や、従業員の満足度向上につながる
- BPMやRPAの前段階として必要である
業務全体の流れを俯瞰できる
業務プロセス可視化により、業務の全体が目に取れるようになります。
「従業員AはプロセスBの後プロセスC、プロセスDを行っており、E部門と連携しながら業務を処理している」と、プロセスの細かい流れや関係者が把握できるようになります。
これにより
- 一人の従業員に、複数のプロセスが集中し負荷が掛かっていないか
- コストパフォーマンスが低下しているプロセスはないか
- 各部門の業務連携が上手くいっているか
などを効率よく把握できるようになります。
業務効率化や、従業員の満足度向上にもつながる
業務を可視化すると、業務プロセスの課題が把握できるようになります。そして会社側ではBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)視点に基づき、業務プロセスの課題を解決可能になります。
たとえばプロセスBにツールを導入する、プロセスCを中止して業務の無駄をなくすといったことができるわけです。また従業員AのプロセスDを他の従業員に肩代わりさせて、従業員Aの業務量負荷を軽減したりもできます。
他にも部門Eと部門F間のプロセス連携を見直し、より密接で確かな連携を取れるように業務改善したりもできます。
結果的に、業務効率化だけでなく、従業員の業務配分の適正化により従業員満足度向上などにもつなげられるのが業務可視化のメリットです。
BPMやRPAに必要である
BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)では、業務可視化は取組の初段階に当たります。まず業務フロー図によりどんな課題があるか目に見えるようにし、各対策を行っていきます。実際BPMツールには、業務フロー図構築機能が搭載されているのが基本です。
またRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入の際には、業務可視化が必要不可欠です。
現在事業規模にかかわらずRPAによるデジタルレイバー確保が各社で活発に行われていますが、失敗事例も増えてきました。RPA導入に失敗する大きな原因の一つに、「業務プロセスを俯瞰して現状把握しきれていない」というのがあります。
RPA導入前には業務プロセスを可視化し、「自社のどんなプロセスに課題があり、それはRPAでないと解決できない」とはっきり理由を見つけておく必要があります。また業務プロセス可視化によりRPA導入後の効果も目で追って測定し、改善点がないか探ることも可能になります。
業務可視化ツールの利用
業務可視化のための業務フロー図は、手書きや「Excel」など一般の業務ソフトウェアでも作成できます。しかし手書きだと無駄な時間が掛かりますし、内容の追加もままなりません。これは業務フロー図作成に特化しておらず、編集に手間が掛かる業務ソフトウェアでも同じです。
業務可視化を行う際は、専用のツールを導入すると効果的です。業務可視化ツールのサポート機能により簡単に業務フロー図が作成可能になりますし、BPMツールを導入すればプロセス予測など、より業務改善に深く踏み込んだ機能も活用できます。
業務可視化ツールの機能
業務可視化ツールには、主に次のような機能があります。
- 業務フロー図作成
- 関連書類の自動生成
- プロセスの監視
- 業務改善後の効果予測
業務フロー図作成
業務可視化において業務フロー図作成は最も重要ですが、専用のツールを使えば簡単に業務フロー図を作成できます。
たとえば単純に図形を記入したり、重要度によって色分けしたりといった作業も機能を呼び出してすぐ実行できます。
またすでに社内で用意している業務マニュアルやチャットツールなどを、リンクとして業務フロー図に紐づける機能も搭載されています。これにより業務プロセスを見る→対応文書やツールを自分で探すという煩雑な作業が無くなり、業務フロー図から直接資料やツールを確認してスムーズにプロセスを追うことができます。
できあがった業務フロー図は簡単に手直しできるので、業務マニュアルとして後で流用したりとさまざまな使い方ができます。
関連書類の自動生成
業務可視化ツールでは単に業務フロー図を作成できるだけでなく、業務改善に関係する書類の自動生成も可能です。
たとえば業務フロー図から情報を読み取り、課題の管理表などを簡単に作成できます。業務フロー図をもとにして一から必要な関連の書類を作成していると膨大な時間が掛かってしまいますが、業務可視化ツールでは自動生成により関連書類作成フォローまでしてくれます。
プロセスの監視
業務は、可視化しただけでは意味がありません。作成した業務フロー図などをもとに、業務がしっかり遂行されているかチェックを行う必要があります。
業務可視化ツールによっては誰がどのようなプロセスを行って操作ログを残したか、そして進捗状況はどうなっているかなどを画面上ですぐ確認できます。プロセスの監視機能を使えば作業の重複も防げますし、本当に業務フロー図が従業員間で活用されているかもしっかり確認できます。
業務改善後の効果予測
BPMツールであれば、通常の業務可視化ツールよりさらに踏み込んだアプローチが可能になります。
たとえば、課題をもとにプロセスを調整し新しく作った業務フロー図の効果を予測可能です。効果を事前にコンピューター処理するので、本当に改善後のプロセスに効果があるか、またどのくらい改善前より効果があるのかを数値ではっきり予測できます。
業務可視化ツールの選び方のポイント
業務可視化ツールを選ぶ場合は、次のポイントをよく考えましょう。
- 業務範囲や使い方に合わせたツールを選ぶ
- コストパフォーマンスをよく考える
- 社内で扱えるかしっかり検証も行う
- サポート内容がしっかりしているか
業務範囲や使い方に合わせたツールを選ぶ
業務可視化ツールには、さまざまな種類があります。そのすべてが、自社にとって最適とは限りません。たとえば無駄に機能が多く、却って使いにくいと感じるツールもあるはずです。
業務可視化ツールを選ぶ際はまず検討候補の機能をよく確認し、自社の課題を過不足なく、またシンプルに解決できるツールであるかどうか判断しましょう。
また業務可視化ツールには、
- サーバーやパソコンに直接インストールするタイプ
- クラウドサーバーから利用するタイプ
の2種類があります。サーバーやパソコンにインストールするタイプはセキュリティ性などに優れていますし、クラウドサーバーから利用するタイプはインターネット間で簡単にデータを共有でき、実行環境を選ばないというメリットがあります。
業務可視化ツールを選ぶ際は、インストールタイプかクラウドタイプ、自社状況に合わせてどちらのタイプを導入すべきか決めるのも重要です。
コストパフォーマンス
業務可視化ツールは、1ライセンスごとに課金される形式が多いです。つまり業務可視化ツールを利用する人員が増えるほど、コストが掛かります。
業務可視化ツール導入においては、どのくらい費用が掛かるか比較しながら、最適なコストで導入できるモデルを選ぶ必要もあります。コストパフォーマンスを考えて採算が取れないと判断できるツールは、導入しても意味がありません。
社内で扱えるか、検証も行う
業務ツールというのは、導入後に現場が扱えずに失敗してしまった、というケースもよくあります。ですから導入前に、社内で扱えるかしっかり検証を行うことも重要です。
無料トライアルを実施している業務可視化ツールも多くあります。無料トライアルは積極的に利用し、本当に効果が出るのか、また担当者がしっかり操作できるのかなどを業務分析して判断してください。
サポート内容がしっかりしているか
いざ業務可視化ツールを導入してみても、どうすれば効率的な活用ができるか考えあぐねる部分もあるでしょう。そんなときにも迷わないよう、サポート面も確認しておく必要があります。
公式サイトで活用について文書が公開されていたり、セミナーなどを積極的に開催している、コンサルティングサービスを提供しているなど、サポートが充実しているサービスを選べばさらに業務可視化ツールを有効に使えるようになるでしょう。
業務可視化・BPMツール10選をご紹介
ここからは、おすすめの業務可視化・BPMツールをご紹介していきます。
BPMツールについて詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
Qasee
【提供会社名】Qasee株式会社
【費用】要問合せ
【無料体験】あり
【特徴】業務データを可視化・分析し、組織や業務の問題点を抽出し改善方法を導き出せるツールが「Qasee(カシー)」です。
業務用デバイスにアプリをインストールするだけで、業務内容をすべてデータ化することができます。その内容をAIが分析、可視化することで、業務を阻害する原因や非効率作業を特定します。
これまで属人化していた各人の業務内容の管理をデータ化することで、従業員自ら業務内容を把握できます。自らの非効率を正確に把握し、効率的な業務に変えていくことで、管理者の負担軽減や従業員のやる気向上に繋がります。また業務内容を可視化するため、費用対効果の算出も可能です。無駄な作業や時間を見える化することで、無駄なコストを徹底的に削減できます。
MeeCap
【提供会社名】株式会社MeeCap
【費用】要問合せ
【無料体験】なし(有償トライアルパックあり)
【特徴】最先端のITを駆使した画期的な業務可視化ツールが、「MeeCap」です。
パソコン上での操作を自動で収集し、業務フロー図を自動表示してくれます。それだけでなく手動での業務プロセス分析、さらにはAIを利用しての自動分析にも対応しています。これにより多角的な分析が可能で、人間が気づかないような課題の発見も可能です。
無料トライアルは提供されていませんが、オンプレミス・クラウドタイプの2タイプで有償トライアルが提供されています。
MITERAS
【提供会社名】パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
【費用】
お問い合わせ
【無料体験】あり(最大2か月間の有料テストサービスもあり)
2万ユーザー以上は要問合せ
【特徴】
従業員の仕事状況を可視化し、適切な労働環境を整えられるツールが「MITERAS(ミテラス)」です。
MITERASでは労働時間の乖離把握(タイムレポート)、仕事実態の可視化(ジョブレポート)の2つのアプローチで労働環境を適正化します。
タイムレポートでは従業員の申告した勤怠時間と実際のパソコン稼動状況を照らし合わせたりして、時間に乖離がないかを確認できます。ジョブレポートではパソコン上のソフトウェア起動状況や起動時間などを把握し、適切にソフトウェアを使って作業ができているかを監視できます。
iGrafx (アイグラフィックス)
【提供会社名】株式会社サン・プラニング・システムズ
【費用】要問合せ
【無料体験】要問合せ
【特徴】
「iGrafx (アイグラフィックス)」は、生産性などに重きを置いたBPMツールです。
誰でも分かりやすく操作しやすい直感性と、プロセス詳細など細かい情報をフローチャート内に埋め込める網羅性を両立しています。さらに「iGrafx Platform」を活用すれば、フロー図をWebブラウザーやタブレットなどに簡単に共有できます。
提供会社の「株式会社サン・プラニング・システムズ」は業務可視化コンサルティングも行っているので、気になる方は一度相談してみることをおすすめします。
BPEC
【提供会社名】株式会社ネクステップ・ソリューションズ
【費用】要問合せ
【無料体験】要問合せ
【特徴】
「BPEC」では、業務可視化を無駄なく効率よく行える機能が利用できます。
たとえば業務テンプレート集からテンプレートを選び、漏れのない確実な業務抽出が可能です。また調査シートなどを自動生成したり、「GUI(画像ベースのインターフェース)」で直感的に業務フロー図を作成できます。
分析資料の出力も、簡単です。
IM-BPM
【提供会社名】NTTデータイントラマート
【費用】お問いあわせ
【無料体験】あり(Accel-Martは要お問い合わせ)
【特徴】
NTTグループが提供しているBPMツールが、「IM-BPM」です。
カスタマイズ性が高いのが特徴で、あらかじめ用意されている各APIを組み合わせることで自社独自のBPMツールをスムーズに開発可能です。自社に最適化されたBPMツールを作成できれば、大幅な業務効率化が可能となり顧客満足度向上などにもつながりやすくなります。
費用を抑えたい場合は、クラウドサービスの「Accel-Mart」からも利用可能です。
Questetra BPM Suite (クエステトラ ビーピーエム スイート)
【提供会社名】株式会社クエステトラ
【費用】
- Basic エディション
年次支払いプラン:月960円/1ユーザー ※5ユーザーからの契約
月次支払いプラン:月1200円/1ユーザー ※5ユーザーからの契約 - Advanced エディション
年次支払いプラン:月2400円/1ユーザー ※5ユーザーからの契約
月次支払いプラン:月3000円/1ユーザー ※5ユーザーからの契約 - Professionalエディション
年次支払いプラン:月3840円/1ユーザー ※5ユーザーからの契約
月次支払いプラン:月4800円/1ユーザー ※5からの契約 - Enterprise エディション
要お問い合わせ ※100ユーザーから
すべて税抜き価格です。
【無料体験】あり(各エディションで2ヶ月の無料トライアル期間あり)
【特徴】
「Questetra BPM Suite(クエステトラ ビーピーエム スイート)」は、自身の手で「あらゆる業務プロセス」をシステム化できるワークフローシステムです。
単純な申請・承認系のワークフローの構築・運用から、各社毎に異なる複雑なワークフローまで、「図におこせる」ものであれば、全てワークフローとしてシステム化することが可能です。
ワークフロー図の作成は、クリックアンドドロップでパーツを配置し作成できるので、非技術職の方でも直感的にワークフローを書き起こすことができます。
もちろん、既に使用しているシステムとの連携もアドオンやAPIにて連携が可能な為、既存のシステムとの併用や既存システムでは賄えない範囲の自動化も実現できます。
業務可視化ツール「Look me」
【提供会社名】株式会社inlife
【費用】要問合せ
【無料体験】なし
【特徴】
PC業務可視化ソフトであるLook meは、PC作業の全てを可視化することができます。
例えば、ひとつの作業を行う際、フロー全体を完了させるのにどのくらいの時間がかかっているのかを分析することが可能となります。どのExcelをどのくらい見ていたか、どのWebサイトをどのくらい閲覧していたか、などを情報として残すことができます。
また、USBデバイスなどでPC内の情報を移した場合などについても、履歴を残すことができるので、情報漏洩を防止することができます。
業務改善ツール「Ranabase」
【提供会社名】株式会社ユニリタ
【費用】
- ライトプラン
無料 - パーソナルプラン
編集者数 1名 閲覧者数 5名まで
月額 1,200円 (税抜)
- ビジネスプラン
編集者数 5名 閲覧者数 10名まで
年間 72,000円 (税抜)~
【無料体験】あり(ベーシックプランで30日間の無料トライアル期間あり)
【特徴】
業務改善ツール「Ranabase」は、業務を改善するための業務フローが簡単に作成できるツールです。
業務フロー作成は、ボックスを動かし文字を記入していくだけで簡単に作成ができ、共同作業やレビューを通して改善策をディスカッションできます。編集ユーザー月額1200円で閲覧だけなら無料といった価格設定や、クラウドツールですぐに利用が開始できる点が最大の特徴です。
システム開発前の業務要件定義や、業務の引継ぎなど可視化が必要なお悩みを持たれている方におすすめです。
Eye“247” Work Smart Cloud
【提供会社名】株式会社フーバーブレイン
【費用】
初期費用:無料
月額費用:500円~/1ライセンス※
勤怠オプション(100円):月額600円~/1ライセンス※
※月額500円は、50ライセンス以上お申込みいただいた場合の金額
(勤怠管理オプションは、本体のお申し込み必須)
【無料トライアル】あり
【特徴】
Eye“247” Work Smart Cloudは、勤務状況や業務効率などから分析するクラウド型の業務可視化ツールです。
「誰が・どこで・いつ・どのくらいの時間・どんなPC操作をしたか」を記録し、分析を行うことによって業務内容を可視化し、業務改善に役立てることができます。
従業員のPC操作ログから業務内容を可視化でき、情報操作には監視・制限機能があるため情報漏えい対策やセキュリティ対策にも役立ちます。テレワークの導入でセキュリティ面が不安な企業や生産性を改善したい企業などにおすすめです。
まとめ
今回は業務可視化とは何か、そして業務可視化ツールの機能や選び方、おすすめのツール7選をご紹介してきました。
業務可視化を実施することにより自社の業務プロセスにおける問題を浮き彫りにし、業務改善へとつなげられます。また業務可視化ツールを使えば簡単にフローチャートを作成し、分析など多彩な機能で業務改善を完了できます。
業務可視化ツールを選ぶ際は実績を見た上で信頼できるところを選び、機能やコストなども考えて最適なモデルを導入しましょう。また単に業務を可視化しただけでは意味がないので、RPA導入など各手法で確実に業務改善を図ってください。