レポート

ディープラーニングによる画像認識の進化

2020年03月13日

AIディープラーニング画像認識

現在「AI(人工知能)」がブームになり、私たちの身の回りやビジネスでも活用が広がっています。AIがブームになるきっかけを作ったのが、「ディープラーニング(深層学習)」です。
ディープラーニングは、今までAI学習の弱点になっていた部分を解決しました。特に画像認識の分野では、米国の大学がコンテストでディープラーニングを使った高度なAIを披露したりと世間をにぎわせるニュースがたくさん発表されました。
今回はディープラーニングと画像認識の関係性について知りたい方向けにディープラーニングとは何か、そして得意・不得意分野や画像認識での活用事例などをご紹介していきます。

ディープラーニングとは

ここからは、ディープラーニングについて説明していきます。

ディープラーニングとは

ディープラーニングとは、「人間の脳を模倣したニューラルネットワークを用いて、AIに学習をさせる方法」です。
人間の脳は、複数の神経が接続しあって機能しています。そして

  • 入力層
  • 中間層
  • 出力層

と層状に役割が異なっており、複雑な処理が可能です。
ディープラーニングでもこのニューラルネットワークモデルを構築し、機械にデータ処理を実行させます。
近年では「ビッグデータ」時代と呼ばれるように、インターネットから大量の情報を取得できるようになりました。またハードウェアの性能も向上しており、ディープラーニングができる環境が整っています。

ディープラーニングと機械学習の違い

ディープラーニングと機械学習の違いを、よく理解していない方もいらっしゃいます。分かりやすく説明すると、「ディープラーニングは最新の機械学習手法」となります。
AIを人間の脳処理に近づけるためには、勉強つまり機械学習をさせる必要があります。従来の機械学習では、人間が手動でデータの特徴をコンピューターに伝えていました。しかし人間が特徴を伝えるのには時間が掛かり、AIの精度にも限界がありました。
ディープラーニングでは、必要なデータさえそろっていれば後はAIが自動で特徴を抽出し、ものを認識していきます。これにより人間の手間も減り、特徴をさまざま検出できるようになったので処理精度も向上します。

ディープラーニングなどの機械学習に使われる言語やツール

ディープラーニングなどの機械学習には、処理が高速で「ブロックチェーン」などにも活用されている「Python」などが使われています。また開発用のツール・ライブラリとしては、

  • GoogleのTensorFlow
  • IntelのOpenCV
  • MicrosoftのCognitive Toolkit

などが提供されています。
いずれもオープンソースで、一般人でも利用可能です。プログラミングに関係する関数などの知識・技術がありディープラーニングに興味のある方は、一度インストールして触ってみてはいかがでしょうか。

ディープラーニングの得意・不得意分野

ディープラーニングの得意分野

ディープラーニングは、次のような分野が得意です。

  • 目の前の風景を画像処理して、映ったものを個別に認識する
  • 周囲の音声を認識し、適切な回答を返したり文字起こしなどを行う
  • 検品作業で製造品の特徴を認識し、不良品のみを取り除く

画像も音声も、データの種類が多種多様であり人間がタグ付けするには限界があります。ディープラーニングを応用すればAIが膨大なデータから特徴を自動で抜き出せるので、複雑な画像処理や音声認識もこなせるようになります。
また製造業ではディープラーニングさせたAIを検品作業に使い、人間の作業員と同じように不良品を見つけたりするのに活用しています。

ディープラーニングの不得意分野

ディープラーニングは、次のような分野が不得意です。

  • 想像的な作品を作り出す
  • 社員のモチベーションに応じて作業を割り振る
  • そもそものデータが少ない分野の処理

ディープラーニングは、従来の機械学習ほどではありませんが数値化が難しい感情が関係してくる分野の処理は不得意です。人間の感情を理解できるAIが登場するのは、まだまだ先でしょう。
またディープラーニングは学習データの数がものを言うので、そもそもデータが少ない分野の処理も不得意です。

ディープラーニングによる画像認識の活用事例

ここからは、ディープラーニングによる画像認識の活用事例をご紹介していきます。

NECの顔認証システム

NECの顔認証システム
NEC 顔認証システム

パソコン製造などの大手「NEC」は、顔認証技術において世界トップクラスの実力を持っています。
その実力が分かる出来事の一つが、「EU首脳会議」における自社製顔認証システムの採用です。
首脳会議では、不審な参加者が一人紛れ込んでいるだけで大惨事につながる恐れがあります。NECの顔認証システムでは会議参加者のデータと会場内カメラ映像を高精度で照合し、不審な人物が混ざっていないかなどを瞬時に判断可能です。
NECではさらにQRコード認証機能も利用して、参加者認識の精度向上を行いました。今後顔認証が活用される際は、他の認証技術との組み合わせによるセキュリティ向上もポイントになりそうです。

パナソニックの顔認証ゲート

パナソニックの顔認証ゲート
パナソニック 顔認証ゲート

スマートホーム(IoTを搭載した家)とAIの組み合わせなど進んだ取組を行っている「パナソニック」では、顔認証ゲートを日本国内各空港で提供中です。
顔認証ゲートはパスポート内ICチップに保存されている所有者本人の顔データと、カメラに映った顔を照合して本人確認が可能です。これにより複雑な手続きを踏むことなく確認が終了するので、スムーズな入出国へつなげられます。
パナソニック公式では日本人旅行者の8割がすでに顔認証ゲートを利用していると発表しており、空港内の設備として認知度も高まっているのが伺えます。
今後も那覇空港など各地に、顔認証ゲートの導入が予定中です。

株式会社スカイマティクスのいろは

株式会社スカイマティクスのいろは
株式会社スカイマティクス いろは

スマート農業に関するサービスを提供する「株式会社スカイマティクス」では、「いろは」という画像認識ドローンを農家などに提供しています。
いろはでは上空の画像から農作物の状態を画像認識し、

  • 生育状況は順調か
  • 余計な雑草は生えていないか
  • 病害が発生していないか

などを確認できます。
上記のような圃場管理は、人の手で実行するとたくさんの時間とコストが掛かります。画像認識ドローンに圃場管理を代行させると適切に異常感知できますし、時間やコストも削減可能です。
いろははさまざまな農家に利用されており、スマート農業促進に一役買っています。

画像認識の課題

画像認識には、次のような課題もあります。

  • データの保有量などにより、システム精度に差がある
  • 使い方によってはプライバシー侵害を起こす
  • 処理に対して、どう透明性を確保するか

データの保有量などにより、システム精度に差がある

画像認識の精度には、データの保有量がかかわってきます。たとえば画像認識に関係するデータを多く保有しているA社は、データが少ないB社より高精度のシステムを開発できます。
企業は商品として画像認識システムを売り出しますから、多少精度に差異があるのはしょうがないことです。しかしあまりにも画像認識の精度が低いと認識に時間が掛かって待つ必要があるなど、ユーザーの不便をかえって増やす結果にもつながります。
特に防犯分野などでは精度の低さが犯人を誤認したりと致命的なトラブルにつながるので、導入する画像認識システムは慎重に選定する必要がありそうです。

使い方によってはプライバシー侵害を起こす

画像認識システムは、映像から個人を簡単に特定できます。その分、取得したデータは厳重に取り扱う必要があります。
以前「マイナビ」がネット上のトラッキング技術である「Cookie」を他情報と紐づけて、個人特定を行った事件が問題になりました。この事件と同じように買い物履歴と個人の顔を直接結びつけて営業戦略に使ったりすると、大きなトラブルに発展するでしょう。
取得した顔データは目的外の使用ができないように自動で破棄するなど、プライバシーにも配慮して利用する必要があります。また顔認証に関して、プライバシーを具体的にどのように確保するかの法整備も必要です。

処理に対して、どう透明性を確保するか

ディープラーニングでは、画像認識を行う際情報を自動で学習します。つまり人間の手がかかわる部分が少なくなるので、具体的にどんな学習を行っているのかプロセスが可視化しにくくなります。
たとえばAIが犯人と間違えて関係のない一般人を誤認逮捕したとき、ディープラーニングの手法に問題がある可能性が高くなります。しかしディープラーニングのプロセスが可視化されていないと、問題究明も難しくなってしまいます。
ディープラーニングを駆使したAIシステムを開発する際は、開発者側が「なぜこの処理を行ったのか」を可視化していつでも公表できるよう準備する必要もありそうです。

まとめ

今回はディープラーニングとは何か、そしてAIとのかかわりや相性のよい画像認識技術分野での活用事例や課題などをご紹介してきました。
機械学習にディープラーニングが加わり、AIはさらに進化を遂げています。特に画像認識分野では膨大なデータを自動処理し精度向上を行うなど、ディープラーニングがフルに活用されています。
ただしディープラーニングを行った画像認識システムを活用するには、プライバシーをどうするかなどの課題がまだ残っています。今後は課題を解決しながら、画像認識システムを上手く普及させていく必要がありそうです。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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