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ジョイントベンチャーとは何か?メリットや事例を徹底解説!

2021年11月25日

ジョイントベンチャー

ジョイントベンチャーには、他社と共同で新会社や新規事業を立ち上げるため、資金や技術面でさまざまなメリットがありますが、他社と提携するゆえの注意点も存在します。 この記事では、ジョイントベンチャーにおけるメリット・デメリット、具体的に成功させるためのポイントなどを解説します。

ジョイントベンチャーとは?

「ジョイントベンチャー」とは、複数の企業が共同出資を行い、新会社や新規事業を立ち上げることを指します。 「合弁企業」「共同企業体」と訳されることもあり、土木建築業界では「JV」と呼ばれることが多いです。 ジョイントベンチャーには、以下2つの形態があります。 合同出資によって新会社を立ち上げる 既存企業の株の一部を買収し、株主および経営者と共同で運営する 基本的には前者を指すことが多いです。

「M&A(買収)」との違い

ジョイントベンチャーでは、一部の株式を購入することが多いです。 一方M&Aでは、既存企業の株式の大半を購入します。そのため、ジョイントベンチャーよりもM&Aの方が既存企業に与える影響力は大きいです。 M&Aでは、資金力によって強制的に他社を巻き込むため、経営を強力に推し進められます。 しかし、買収先企業との組織文化や経営方針の違いによって、摩擦が生まれるリスクもあります。

「アライアンス(提携)」との違い

ジョイントベンチャーでは、出資や事業運営を他社と共同で行います。一方アライアンスでは、他社と協力関係にはありますが共同出資は行いません。 資金のやりとりが絡まないことで、利益配分割合の調整が不要なため、事業展開のハードルは低いです。 しかし、お互い資金による強制力を伴わないため、経営上の関係性が曖昧になり提携解消のリスクは高まります。

ジョイントベンチャーのメリット

ジョイントベンチャーのメリットは以下の4つです。 お互いの弱みやノウハウを補強して事業展開できる 新会社設立時のリスクを軽減できる 資本やノウハウがあるので即効性が高い 柔軟かつ強固な協力体制を築ける

1.お互いの弱みやノウハウを補強して事業展開できる

ジョイントベンチャーでは、お互いの長所を活かした事業展開ができます。 自社だけで新会社や新規事業立ち上げを行う場合、資金や商品開発技術などには限界があります。 しかし、ジョイントベンチャーによって協力関係を築くことで、以下の事業経営が可能です。 資金力があるA社が、技術力を持つB社の商品開発をサポートする C社のブランド力を活かして、ベンチャー企業であるD社の商品に信頼性を付ける E社の顧客リストを活用して、F社のサービスを効果的に販売する 活かせる長所としては、以下があります。 資金力 独自の技術 顧客リスト 手持ちの不動産 ブランド力 独自の販売チャネル

2.新会社設立時のリスクを軽減できる

共同出資を行うため、新会社および新規事業設立におけるリスクを分散できます。 ジョイントベンチャーでは、共同出資によってお互いの資本を活用できるため、自社だけでは資金的に参入できない事業領域にも取り組みやすいです。 もし撤退する場合でも、事業参入時の費用は分担しているため「初期費用が回収できず大幅な赤字になる」ということはほぼありません。

3.資本やノウハウがあるので即効性が高い

お互いの資本やノウハウを活用できるため事業展開スピードを早められます。 新会社や新規事業立ち上げにおいて、企業にとっては以下が懸念点になりがちです。 参入時にかかる初期費用の支払い サービス運営費用の捻出 サービスの開発ノウハウの策定 1社だけで行う場合、基本的には自社のリソースで補うしかありません。 しかし、ジョイントベンチャーでは資本やノウハウを共有できるため、1社だけで展開するよりも事業スピードを早められます。

4.柔軟かつ強固な協力体制を築ける

ジョイントベンチャーは、M&Aとアライアンスの中間に位置するため、柔軟かつ強固な事業展開ができます。 ジョイントベンチャーは、M&Aと比較してお互いの立場が平等です。そのため、大きな上下関係は発生しにくく、お互いの意見を組み合わせた柔軟な対応ができます。 アライアンスと比較すると、ジョイントベンチャーでは「資本」という強制力が働くため、お互いが協力して事業展開をすることが期待できます。 このように、ジョイントベンチャーはM&Aとアライアンスにはないメリットを活用できるのです。

ジョイントベンチャーのデメリット

ジョイントベンチャーのデメリットは以下の4つです。 機密情報やノウハウが流出するリスクがある 2社間の調整が必要なためスピードは落ちる 業務負担の偏りなどにより摩擦が生じる 自社の利益率が下がる

1.機密情報やノウハウが流出するリスクがある

他社と共同経営するため、機密情報やノウハウが流出する恐れがあります。 自社のみで事業運営するのであれば、社内のコンプライアンスに気を配ることで、情報流出は避けられました。 しかし、ジョイントベンチャーでは、提携相手に自社ノウハウや顧客情報を開示する必要があります。 信頼に足る相手なら問題ありませんが、提携相手に重要情報を悪用される可能性も0ではありません。 また、不注意による流出トラブルが発生すれば、提携相手に悪意が無くても自社の評判に影響を与えます。

2.2社間の調整が必要なためスピードは落ちる

提携相手との調整が必要なため、自社のみで経営する場合と比較して事業展開スピードは劣ります。 ジョイントベンチャーでは、以下のようにさまざまな場面で2社間の調整が必要です。 経営方針のすり合わせ 利益配分割合の決定 トラブル発生時の対応 商品開発やサービス展開に関する話し合い 自社内での調整よりも手間がかかるため、共同経営を行う場合は事業展開スピードが落ちます。

3.業務負担の偏りなどにより摩擦が生じる

ジョイントベンチャーでは、業務の負担割合に企業ごとで差が生じる恐れがあります。 例えば、「資金力があるA社がB社の商品開発をサポートする」というケースでは、実務面での負担がB社に偏りかねません。確かにA社の資金力は重要ですが、商品開発にも多大な負担がかかります。 また、目指すサービス方針の違いにより、意見が食い違うこともあるでしょう。業務負担の偏りや経営方針の食い違いなどが重なれば、摩擦が生じ提携解除の要因になります。 ジョイントベンチャーでは、事前に出資比率や業務スケジュールを細かく決めておき、お互いが納得した上で提携することが大切です。

4.出資比率や業務負担割合に応じて利益率が変動する

ジョイントベンチャーでは、出資比率や業務負担割合などによって、利益配分を決定します。そのため、自社のみで経営するよりも利益率は下がります。 出資比率が「50:50」のケースもありますが、一方の企業主導で事業展開する場合は「51:49」となることもあるので、提携相手とのすり合わせが重要です。 出資比率は利益配分だけでなく発言権にも影響を与えるため、お互いが納得できる配分を定めることが欠かせません。

ジョイントベンチャーの事例紹介

ジョイントベンチャーの成功事例としては、以下の3社があります。

LINE×サイバーエージェント

コミュニケーションツールでお馴染みの「LINE株式会社」と、ソーシャルゲーム開発会社である「株式会社サイバーエージェント」による提携です。 LINEはコミュニケーションツールとして巨大なプラットフォームを築き上げ、サイバーエージェントはこれまで数々のゲームを開発してきた実績があります。 「LINEの巨大な販路」と「サイバーエージェントの開発力」を掛け合わせたジョイントベンチャーの好例と言えます。

参考:LINE、サイバーエージェントやグリーなど各社とのジョイントベンチャーを設立

Amazon×ライフ

世界的ECサイトである「Amazon」と、スーパーマーケットチェーンの「ライフ」によるジョイントベンチャーです。 Amazonでは、人気商品を注文から2時間で配達する「プライムナウ」を展開しています。ライフがプライムナウ上で商品を販売することで、会員が選べる生鮮食品の幅は広がりました。 また、ライフがネットスーパーでカバーしきれなかった配達地域にもプライムナウを利用できるため、これまで食品を購入したくてもできなかった消費者のニーズに応えられます。 「Amazonの広い配達網」と「ライフの生鮮食品」という双方の強みを活かしたジョイントベンチャーと言えます。

参考:Amazon×ライフのジョイントベンチャー

Oisix(オイシックス)×地域の牛乳販売店

新鮮な有機野菜の宅配でお馴染みの「Oisix」は、地域の牛乳販売店とジョイントベンチャーを運営しています。 地域の牛乳販売店と提携し、各家庭にOisixのチラシを配布することで、牛乳と一緒に野菜の購入にも成功しました。 ジョイントベンチャー運営当初のOisixは顧客数に伸び悩んでいたため、すでに地域密着型で顧客を抱えている牛乳販売店との提携が成功した事例です。 また、牛乳販売店側もOisixの野菜を新サービスとして提案することで、客離れの防止に役立ちました。

参考:オイシックス×牛乳販売店のジョイントベンチャー

ジョイントベンチャーを成功させるポイントについて

ジョイントベンチャーを成功させ、会社を継続的に成長させるためには、提携相手とスムーズに事業を進めることが欠かせません。 具体的には、以下4つのポイントを意識して業務に取り組みましょう。 自社の長所・短所を整理する 信頼できる相手を選ぶ お互いの提携条件を細かくすり合わせる 責任の所在を明確にしておく

1.自社の長所・短所を整理する

ジョイントベンチャーでは、お互いの長所と短所を補い合い、売り上げを最大限伸ばすことが必要です。そのため、まずは自社の長所と短所は整理しておきましょう。 長所を整理しておくことで、提携相手へのメリットが提示できるため提案しやすくなります。また、自社の短所も把握しておくことで、「提携相手に求める役割」も提示しやすいです。

2.信頼できる相手を選ぶ

提携相手には、必ず信頼できる企業を選びましょう。 ジョイントベンチャーでは、自社のノウハウや情報を開示して業務を進めます。万が一にも、情報を盗まれたり流出トラブルが発生したりすることは避けなければなりません。 提携相手内で流出トラブルなどが発生すれば、自社の評判にも影響を与えます。無用なトラブルに巻き込まれないためにも、信頼できる企業に提携を持ちかけましょう。

3.お互いの提携条件を細かくすり合わせる

後々摩擦が生じないように、提携条件は細かくすり合わせておきましょう。 ジョイントベンチャーでは、業務負担の偏りや経営方針の違いにより摩擦が生じる可能性があります。 提携を開始したあとで業務負担割合や方針を修正するのは難しいです。企業同士の調整では、多くの資金や人的リソースが動くため、一度動き出してしまうと簡単には止められません。 そのため、提携開始前にお互いの条件を細かくすり合わせましょう。具体的には、以下の項目についてすり合わせます。 意思決定の方法 出資比率 利益の配分割合 業務担当の割り振り スケジュール 提携の解消条件 機密情報の取り扱い方法

4.責任の所在を明確にしておく

トラブル発生時の責任の所在を明確にしておきましょう。 提携する上で思わぬトラブルが発生することも、視野に入れなければなりません。トラブルが発生した場合、責任の所在を明確にしておかないと、問題の解消が遅れることもあります。 企業間で責任を負う範囲を定め、トラブル対応をスムーズに進められるようにしましょう。

まとめ

ジョイントベンチャーは、M&Aとアライアンスの中間に位置する協業体制です。資金や技術面でお互いの長所・短所を活かせるので、自社のみで経営するよりも大きな事業に挑戦できます。 一方で、他社と協業する上での注意点も存在します。事前に利益の配分割合や業務範囲など明確にしないと、あとからトラブルになりかねません。 ジョイントベンチャーを検討している際は、トラブル発生を防ぐため、信頼できる相手と納得できるまで条件をすり合わせることが重要です。

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この記事を書いた人

QEEE編集部

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