コラム

自動運転はいつから実用化されるの?

2020年02月25日

AI自動運転

ITの進化は目覚ましいですが、自動車業界にもその波が押し寄せています。「IoT(モノのインターネット)」や「AI(人工知能)」などの発達により、完全な「自動運転」の実現が目に見えるようになりました。

将来的には、人間に頼らずシステムが複雑な運転を制御するクルマが多数公道で走行するようになるかもしれません。今の内に自動運転について深く理解しておくと、時代に追いつけます。

今回は自動運転に興味がある方向けに自動運転とはそもそも何か、そして自動車メーカーの計画や問題点、サービスの開始時期など自動運転に関する内容を幅広くご紹介していきます。

自動運転と自動運転のレベル

ここでは、自動運転の基礎についてご紹介していきます。

自動運転とは

自動運転とは、人間の代わりにシステムが運転を制御する技術を指します。
どれだけ運転を制御できるかで、レベル0(すべて人間が制御を行う)からレベル5(すべてシステムがどんな状況でも運転を行う)まで段階分けされています。

最近では公道を自由に走行できる自動運転技術に対する研究が進んでおり、レベル3(人間の監視下で、システムがあらゆる運転制御を行う)までは商用品として一般発売中です。

公道を完全な自動運転車が走行するようになれば、社会が大きく変化します。そのため現段階では各国政府が、自動運転に対する法律を整備中です。

自動運転の歴史

自動運転が話題になったのは比較的最近のことですが、自動運転技術に対する研究自体はかなり昔から進められていました。

1980年代には、限定されたルートを機械的に走行する自動運転車が登場していました。またアメリカでは2000年代初頭から国防に関する研究機関が自動運転車のカーレースを開催したりと、各国でさまざまなアプローチが取られてきました。

自動運転が脚光を浴びるようになったのは、AIの発達が強く関係しています。AIは「ディープラーニング」といった機械学習を行うようになり、人間に近い複雑な思考能力などを獲得しつつあります。

これにより従来の自動運転では難しかった「先を予測しての運転制御」などが可能となり、現在では人間のドライバーに近い制御が行える高度な自動運転車の開発が進行中です。

またドライバーの目に当たる部分はIoTセンサーなどが担当し、確実に周囲のモノを認識できるよう研究が進んでいます。

自動運転のレベル一覧

自動運転のレベルは、次のように区分されています。

レベル
システムの運転支援なしに、すべての操作を人間が行う。マニュアル車などはレベル0に該当する。
レベル
ブレーキや車線変更など、一部の操作をシステムが運転支援する。現在では、低価格の車種にも普及が進んでいる。
レベル
車間距離調整を行いながら車線変更を行うなど、複数の運転制御を連携可能。2020年2月時点で、日本の公道を走行できる最も高いレベル。
レベル
人間がいつでも運転を変われる状態であれば、指定条件におけるあらゆる走行をシステムが制御可能。日本では道路交通法が改正され、2020年中にレベル3の公道走行が解禁予定。
レベル
指定条件下におけるあらゆる運転制御を、人間が関与せずにすべてシステムが行うレベル。現在各メーカーが、実用化に関して研究を進めている。
レベル
条件にかかわらず、すべての運転をシステムが代行する。いわゆる完璧な自動運転はこのレベルであり、システム開発に成功した事例はまだ公表されていない。



ここからは、自動運転技術に深くかかわる各国自動車メーカーの計画について詳しくご紹介していきます。

日本

日本では、次のような自動車メーカーが自動運転の研究や実証実験を進めています。

トヨタ

世界トップ自動車メーカーの「トヨタ」は、

・ショーファー・・・AIなどを駆使した高度な自動運転技術
・ガーディアン・・・緊急時にドライバーの運転を支援する技術

の2つに分け、自動運転技術の研究を行っています。

将来的には2つのシステムを連携させ、ドライバーが自由にショーファーとガーディアンのモードを切り替えられるようにして、運転の自由度を高めようとしています。

また「Uber」など、外部企業に対する自動運転技術提供にも積極的な姿勢を見せています。

トヨタでは2020年の東京オリンピックに合わせて、東京のお台場でレベル4自動運転車の実証実験走行を行う予定です。その際に自動運転技術がどこまで進化しているか、実際に体感できそうです。

ホンダ

「ホンダセンシング」などの高度な安全技術でも定評のあるホンダは、トヨタに先駆けて商用向けレベル3自動運転車の発表を行っています。

レベル3システムが搭載されるのは高級モデルの「レジェンド」で、ドライバーは運転中も従来不可能だったわき見などが可能になります。また、一般向けのレベル4自動運転車も2025年度をめどに発売する予定です。

今後は、高級モデル以外のホンダ車種にもレベル3以上の自動運転システムが搭載されるようになるか期待が掛かります。

日産

日産は、手放し運転が可能になる高度な運転支援技術「プロ・パイロット2.0」をすでに一般提供しています。

プロパイロット2.0はレーダーからの情報や位置情報、3Dマップなど各データを収集し、高速道路走行中にドライバーがハンドルから手を放しても自然な走行を可能にする技術です。さまざまな情報を取得して高度な運転支援につなげようとする姿勢は、レベル3以上の運転技術研究にも活用できるでしょう。


日産では他にも脳波検知によりスムーズな走行を可能にする技術を研究するなど、自動運転に関する面白い取り組みを進めています。

日野自動車

トヨタグループの大型自動車販売メーカー「日野自動車」は、外国自動車メーカー大手「フォルクスワーゲン(VW)」グループ「VWトラック&バス」との業務提携が話題にされました。

フォルクスワーゲンはすでにレベル3の自動運転車を発表したりと、高度な自動運転技術を持っています。同じように高度な自動運転技術を持っているトヨタとフォルクスワーゲンのグループ企業同士の業務提携は、自動運転技術の進化にも大きく貢献するでしょう。

今回の業務提携では物流分野などでも関係性を強めていくことが公表され、自動運転車を含めた両者の商用車は将来的に市場で大きな存在感を放って行くでしょう。

いすゞ

「いすゞ」では、ライバルである日野自動車と自動運転システムにおける合同研究を行っています。

・視界支援・・・カメラによる移動物検知とドライバーへの危険通知
・路車間通信・・・路車間通信で交通効率化などを狙う
・加速現支援・・・先行車の加減速情報を取得し、適切な車間距離調整などを行う

など、すでに複数の運転技術を共同開発してきました。

今後も共同開発を行い、早期の高度自動運転システム搭載につなげていきたい考えです。

アメリカ

アメリカでは、IT企業も自動運転技術研究に積極的なのが特徴的です。

ウェイモ

「Google」の自動運転研究部門である「ウェイモ」では、アメリカで自動運転タクシーのサービス提供をすでに始めています。

タクシー自体はウェイモ製ではありませんが、システムはウェイモ独自のものを使用しています。法律上ドライバーが同乗していますが、自動運転レベルは4に達しているということです。

無人で走行させるのは技術的な課題もあり難しいですが、一般サービスとしてレベル4相当のクルマが提供されているのは驚きです。


自動運転分野でも、IT界の巨人であるGoogleが存在感を出しています。

Apple

Googleなどと併せて「GAFA(アメリカのIT大企業)」の一角を担う「Apple」は、「Project Titan」という自動運転計画を進めています。

テスラなど外部企業からも人員を募り、自動運転車のテスト走行などを行っています。自動運転部門の従業員を解雇したりと不穏な空気もありましたが、自動運転分野の研究は進めているようです。

自動運転に関係するベンチャー企業を買収したりといった動きからも、自動運転に対するAppleの強い興味がうかがえます。

GM

「GM」は、子会社の「クルーズ」と協力しながら自動運転の研究・開発を行っています。

日産のプロパイロット2.0のように周囲の状況を複数の手段で確認し、高度な運転支援を行う「Super Cruise」を一部車種に搭載済みです。レベル2での運用ですが、実質レベル3相当の機能を備えているとされています。

また自動運転の実証実験用車両も大量に登録を行っており、自動運転にかなりの投資を行っているのが分かります。

フォード

自動車メーカーでも最古参になる「フォード」は、レベル3ではなくレベル4自動運転システム搭載車の開発を行っています。レベル3もレベル4も、技術レベルが同程度必要などが理由として公表されています。

フォードでは「ドミノピザ」と共同してピザの無人宅配を行ったり、「ウォルマート」と連携して宅配専用自動運転車を開発するなど実証実験も盛んに実行中です。今後は自動宅配実現に向けて、さらに取組を加速させるとしています。

テスラ

「テスラ」は自動運転の実証実験を盛んに行っており、話題に挙がりやすい企業です。

現在2020年中にレベル5相当の自動運転システムを完成させると発表しており、本当になれば世界初のレベル5システム開発企業となります。

他にもリースした自動運転車をタクシーとして運用してユーザーに利益を還元するなど、自動運転に関する新しいビジネスモデルも模索中です。

ドイツ

ドイツはすでに複数の自動車メーカーがレベル3自動運転車を一般発売したりと、自動運転分野で大きな注目を集めています。

BMW

BMWは現時点では自動運転車の提供を行っていませんが、未来のBMWモデルとして「iNext」のコンセプトページなどを公開中です。

iNextは「自宅のように自由にくつろげる空間」などをキャッチコピーとしており、レベル3とレベル4の中間である「レベル3.5」相当の自動運転システムを搭載するとされています。2021年の実用化を目指して、BMWは開発を継続中です。

BMWでは他にも2019年11月にはレベル4自動運転車の試乗会を日本で行ったりと、他自動車メーカーにも負けない先進的な取組を行っています。

フォルクスワーゲン(VW)

自動車販売数などでトヨタと競争中のフォルクスワーゲンは、環境にも優しい電機自動車の自動運転モデルシリーズ「ID」を発表しています。

・コンパクトカー
・SUV
・バス

などさまざまなタイプに分かれており、一般発売されれば複数のターゲットユーザーへリーチできるでしょう。

また自動運転を専門に研究する「Volkswagen Autonomy」を立ち上げ、レベル4の商用車などを2025年前後をめどに商用化していく方針を発表しています。クラウド分野では「マイクロソフト」と連携し、2020年中に全新車をインターネットに接続できるよう取組を行っています。

メルセデスベンツ

高級車の代名詞である「メルセデスベンツ」では、「CASE」という自社戦略を掲げています。
その中に「A(自動運転)」が含まれており、自動運転技術を重要視しているのが理解できます。

自動車部品などを取り扱う「ボッシュ」やPC業界で活躍している「エヌビディア」などと連携し、2020年中にレベル4の自動運転車を販売したいとしています。

他にも自動配車サービスの実証実験を行ったりと、「カーシェアリング」分野でも重要な取り組みを行っています。

アウディ

「アウディ」はすでに、日本でもレベル3クラスの自動運転システムを搭載しているクルマを発売しています。

対象モデルの「Audi A8」は、世界初のレベル3搭載量産車です。日本では法律上レベル2クラスまでの機能しか利用できませんが、2020年度中には法律改正で全自動運転機能を利用して走行できるようになります。

レベル4自動運転車については早くも2021年度からの投入を予定しており、今後の動きに注目が集まります。

その他

今回紹介した以外の国でも、各自動車メーカーが自動運転技術研究を行っています。

ボルボ(スウェーデン)

「ボルボ」では、ドライバーが常にドライブ状況を監視する必要があるレベル3ではなく、完全自動運転が可能なレベル4からの自動運転車市場投入を狙っています。

「Drive Meプロジェクト」という実証実験も行っており、一般家庭で自動運転システム搭載の実験車を利用してもらい、データのフィードバックを行っています。

またエヌビディアとも協力してAI車載ソフトウェアの開発を進めたりと、着実に安全な自動運転車を実現するための取組が継続中です。

FCA(オランダ)

「FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)」は、「アルファロメオ」など人気の車種を多数販売しています。

自動運転分野では2021年までに、レベル3自動運転車を発売したい考えを示しています。またレベル4自動運転車も、2025年ごろまでには提供したい考えです。

FCAはウェイモに実験車両を提供しており、そこで得られたフィードバックも自動運転技術の進化に大きく貢献しそうです。

自動運転の問題点

レベルの高い自動運転車を公道走行させるためには、次のような問題点をクリアする必要があります。

・事故責任の所在問題

・法整備の問題

・インフラ整備の問題

・ハッキングの問題

・AIの技術的問題

事故責任の所在問題

事故責任の所在問題は、特にレベル4以上の自動運転車にとって大きな壁になります。

レベル3以下の自動運転車は、基本的にドライバーが運転の主体になります。ですから仮に交通事故などが起こった場合、過失はドライバーにあります。

しかしレベル4以上は、完全にシステムが運転制御を行います。たとえばシステム運転制御中に死亡事故が起こった場合、責任はシステムの不具合にあるのか、それとも事故が起こりそうだったのにもかかわらず対応をしなかったドライバーにあるのか判断がつきにくいのが問題です。

このようにシステムに運転を任せれば任せるほど、事故責任の判断が難しくなってきます。

法整備の問題

自動運転の進化は、思っても見なかったスピードで進んでいます。そのため、自動運転車に関する法整備が追いついていません。

たとえば日本も加盟している「ジュネーブ道路交通条約」は、あくまで運転はドライバーが主体になるべきだとの姿勢を崩していません。そのためレベル4以上の自動運転車公道走行解禁のためには、法律改正の必要があります。

一方「ウィーン道路交通条約」では、条件つきでレベル4以上の自動運転車の走行解禁を行う姿勢を見せています。

このように世界的に、自動運転に対する法整備の足並みが揃っていないのも問題です。

インフラ整備の問題

自動運転システムは、自動運転車単独では機能しません。

たとえば周囲のモノを自動運転車が正確に認識するには、道路など各場所にセンサーを設置して連携を行える仕組み作りが必要です。そして周囲の状況をリアルタイムで認識できないと判断遅れによる事故にもつながるため、低遅延で通信できる技術の普及も不可欠です。

現在「エッジコンピューティング」や「5G」など、自動運転に欠かせない技術の研究が進んでいます。しかしこれらのシステムをインフラとして組み込むには相当の時間が掛かりますし、政府や企業などが積極的に予算投資を行わないと整備はできないでしょう。

ハッキングの問題

ITのセキュリティは常にハッカーなど悪意のある人間によって破られ、そして強化されるといった流れを繰り返してきました。自動運転でも、同じことが起きる可能性は十分にあります。

たとえば新発売されたレベル4の自動運転車がハッカーによって暴走し、複数の人間を巻き込んだ死亡事故を起こすかもしれません。自動運転ではトラブルが起こると直接命が失われる危険性があるので、ハッキングがそもそも起きないようセキュリティは厳重に管理しておく必要があります。

またハッキングが起こった際に履歴を残し、犯人の特定につなげるなどのシステム構築も必要です。

AIの技術的問題

AIにも、自動運転に関して技術的な問題が残っています。

たとえば「Uber」の自動運転車が道路を横断していた女性をはねて死亡させた事故では、自動運転車が最後まで女性を人間として認識できなかったことなどが問題となりました。どのような状況でも周囲のモノや人を細かく区別しながら走行できる自動運転車の実現には、まだ時間が掛かりそうです。

また「トロッコ問題(複数の人命を天秤にかけ、どの人命を優先するのか問う思考実験)」など、倫理的問題を技術でどう解決していくのかもまだ決まっていません。

自動運転サービスの開始時期

ここからは、自動運転サービスの開始時期をご紹介していきます。

タクシー

タクシーについては、ウェイモがすでにドライバー有ではありますが無人走行が可能な配車サービスを開始しています。今後法整備が進めば、ウェイモのタクシーが公道で普通に無人走行する姿を見られるかもしれません。

他にもGMとホンダが共同で配車サービス用無人自動車を発表したりと、各メーカーが無人タクシーに関係する取組を進めています。

シャトルバス

さまざまな公道を走行する一般車と違い、シャトルバスは決まったルートしか走行しないため自動運転を搭載しやすい車種でもあります。

「ソフトバンク」が茨城県境町と合同で実用化している小型バスサービスでは、フランス「ナビヤ」社のレベル4相当システム搭載小型バスが使われています。中国でも「バイドゥ」が無人バスを実験走行させたりと、すでに実用化のめどはある程度たっている状態です。

自動運転シャトルバスは、2020年内にも本格的なサービス開始が見られるかもしれません。

トラック

人手不足なども問題になっているトラック業界では、無人トラックの実現により業務効率化などが実現できます。

ボルボグループの「UDトラックス」では、2020年には自動運転トラックを実用化したいと考えています。またテスラも、自動運転機能がついたトラックを開発しています。

無人隊列走行などの高度な制御搭載の自動運転トラック実現は、2022年以降ともう少し時間が掛かりそうです。

パトカー

パトカーでも、自動運転化の動きが始まっています。

オランダはトヨタやテスラなど、自動運転に関して高度な技術を持っている自動車メーカーと共同して無人タクシーの実用化実験を行っていると報道されています。

無人パトカーには、警察官なしで逮捕を行う機能搭載なども必要です。ですからすぐには実用化しないでしょうが、数年の内には試験運用される場面が見られるかもしれません。

移動コンビニ

コンビニを自動運転車化して移動させるという、斬新な取り組みも進んでいます。

電気自動車などを開発する「Robomart」では、アプリで呼出しを行い買い物を済ませられる無人店舗型車両を「CES」に出典しました。

すでに「Amazon Go」など、無人店舗は実用化されています。今後は決済システムなども含めて、どう移動店舗型車両が実用化されていくか注目です。

まとめ

今回は自動運転とは何か、そして各自動車関連メーカーの取り組みや課題、各車種の自動運転がどれくらいに実現しそうかなどをご紹介してきました。
現在レベル3自動運転車はすでに実用化され、レベル4自動運転車は実験段階にあります。またレベル5自動運転車に関してはテスラが2020年度中に実現するという発表が本当になれば、近いうちに姿を見られるかもしれません。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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