人事

オンボーディングとは|新入社員を早期戦力化・定着させる取り組みを解説!

2021年07月05日

オンボーディングon-boarding

企業人事におけるオンボーディング(on-boarding)とは、新卒採用や中途採用で入社した新入社員の早期離職を防ぎ、早期に戦力化するための一連の取り組みを指します。新人社員を有効活用して企業成長を行うためには必要な取り組みです。
今回の記事ではオンボーディングについて、「OJT」や「新人研修」との違い、得られるメリットなどを解説します。オンボーディングのプロセスや成功のためのポイント、テレワークでのオンボーディングについても触れていきますので、実際にオンボーディングを取り入れる際の参考となれば幸いです。

オンボーディングとは

オンボーディングは英語の「on-board」から派生した言葉です。on-boardには「乗り物に搭乗する」という意味があります。
そしてビジネスにおけるオンボーディングは、「新人社員が早く会社へなじんで早期に活躍できるよう、企業が行う一連の取り組み」を指しています。新人社員が企業という乗り物にスムーズに乗れるように企業がサポートすること、と捉えればよいでしょう。

オンボーディングとOJT・新人研修の違い

オンボーディングとOJT、そして新人研修を混同される方もいらっしゃるでしょう。しかしOJTも新人研修もオンボーディングの一部であり、オンボーディングはより広義である点に注意してください。

OJTは実際の業務を通して新人社員をトレーニングしていく手法です。対して新人研修は業務を行う上で必要な知識や心構えなどを教育していくことを指します。

オンボーディングで行う取り組みの例

オンボーディングにまつわる取り組みは、OJTや新人研修だけでなく多岐に渡るのがポイントです。
例えば、

  • ミーティング
  • 従業員同士でのランチ会
  • メンター制度
  • 資料や冊子の作成
  • 社内独自ルールの説明会

といった活動もオンボーディングの取り組みの一部となります。
上記はあくまで一例であり自社の業種や企業規模、対象となる社員などによって最適な方法は変化する点がポイントです。
定義が広い分、自社において適切なアプローチは何か入念に計画を練ってから実行していきましょう。

オンボーディングによって得られるメリット

オンボーディングへ取り組むと次のようなメリットが得られます。

離職防止によって採用コストを抑えられる

新入社員の離職は企業にとって大きな問題です。

  • コミュニケーションが上手く取れない
  • 業務内容が理解できない

といった要素は離職してしまう原因を作ってしまいます。
しかしオンボーディングによって企業から積極的にコミュニケーションを取り業務内容を教えていくことで、新入社員がスムーズに企業へなじめるようになって離職リスクが削減されるのがメリットです。また新規採用コストが減少してコスト的な負担が減る点もポイントになってきます。

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新入社員の早期戦力化が期待できる

新入社員のサポート体制がしっかりしていないと、社員の早期戦力化は望めません。
オンボーディングを行うと円滑なコミュニケーションを行いながら、新入社員が自分の役割や業務内容などをしっかりと理解できるようになります。結果的に実施しないよりも短期間で企業になじむことが可能であり、その分早期に戦力として働いてくれるようになるでしょう。

社員のエンゲージメント向上につながる

新入社員のエンゲージメントを高めてモチベーションを維持してもらうためには、コミュニケーションの中で課題を取り除きながら成果を出せる環境を構築することが重要です。
オンボーディングを行うと新入社員が企業理念や体制を含めて、会社のことを深く理解できるようになります。そしてエンゲージメントが上がり、モチベーションを刺激する効果も期待できるでしょう。また安心して新入社員が業務に取り組めるようにするためにも、オンボーディングで課題や悩みを解決する環境作りが有効です。

オンボーディングのプロセス

ここからは実際のオンボーディングのプロセスを説明していきます。

目的/目標の設定

オンボーディングの目的は業務に必要な情報の提供や、企業の理念といった価値観の共有にあります。そういった点でまずは自社がどんな情報や価値観をオンボーディングで伝えていけばよいかまとめてみてください。

  • どのようなスキルを習得してほしいのか
  • どういう風に今後活躍してほしいのか

といった点も目的・目標の設定時に考えておきましょう。

環境構築

オンボーディングを行う際の基本環境構築も重要です。

  • 1対1でミーティングできる時間や場所を確保する
  • 社内サイトやSNSなどで情報を発信する
  • メンターを抜擢して制度を整える

といった準備を行った上でオンボーディングを実施する必要があります。複数オンボーディングへの取り組みを行う場合は準備にも時間が掛かるので余裕をもって行ってみてください。

プラン作成

オンボーディングをスムーズに実施するためには、プラン作成において1人1人の新入社員に合わせたプラン内容を考えることが重要です。それぞれに適した内容でオンボーディングを実施することで効果的なアプローチが可能になります。
そして長期間を見据えたプラン策定も重要です。たとえば1年後を目安に1か月、3か月といったようにそれぞれの段階で目標を決めておき、計画通りに育成ができるように準備しておきましょう。

すり合わせ

プランが策定できたらすぐに各関係者に内容を共有しましょう。プランの内容に過不足がないか、また改善点がないかを確認するためです。
たとえば現場と管理職では課題への考え方に違いが生じているケースもあります。関係者すべてにプラン内容を確認してもらうことで、企業全体で必要な内容をプランへ盛り込んでオンボーディングをスタートさせることができるでしょう。

実施

共有が終わって無事プランの内容がブラッシュアップされたら、いよいよオンボーディングを計画に沿って実行する段階へ移ります。
プランの実行には複数のメンバーがかかわってきます。担当を決めておいてスムーズに役割に沿ったサポートができれば、オンボーディングも成功しやすいでしょう。最初のオンボーディング実施は上手くいかない場面も出てくる可能性がありますが、そういった点も含めて実施内容のパフォーマンスをチェックしてみてください。

フォローと見直し

オンボーディングプランを実施した後は、計画が思う通りに進んだのかをチェックしていきます。
チェックする際は受け入れた企業側だけでなく、受け入れの対象となった新人社員にも意見を聞いてみてください。企業側と新人社員側の意見に違いがあれば、そのずれを解消できるように再度プランを組み立て直していく必要があります。
あらかじめプランを評価する指標を決めておけば、意見のヒアリング時にも参考になるので聞き取りが楽になるでしょう。

オンボーディングを成功させるポイント

オンボーディングを成功させるには次のポイントをチェックしてみてください。

対象を明確にする

マーケティングにおいてターゲットユーザーの把握が重要なのと同じように、オンボーディングでも対象となる新人社員の把握がポイントになってきます。
たとえばオンボーディングの対象となる新人社員には

  • 新卒
  • 中途

といった2つの採用パターンがあります。
それぞれに分けて施策を実行することで効果的なオンボーディングを実行していきましょう。

事前準備を徹底する

オンボーディングに遅れが出ないようにするためには、スムーズに取り組みが提供できるように事前準備を忘れないようにしましょう。新人社員を受け入れた後に準備をするのは遅いです。

  • 関係者での育成方針情報共有
  • 取り組みを行う各担当者の抜擢
  • 取り組みの管理やコミュニケーションなど必要なツールの導入

などいろいろな点から準備すべき項目をチェックしていきましょう。

教育体制を整えておく

オンボーディングで業務内容や企業文化といった項目をスムーズに教育できる体制を整えておくこともポイントです。

  • OJTやOff-JTができる体制を整備しておく
  • 教育担当者同士で教育手法に違いが出ないようにする
  • スムーズに学びの内容を提供できるマニュアルを用意する

といった例が挙げられるでしょう。
教育体制が整っていると新人社員によって学びのばらつきが出るリスクを抑えられます。

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チーム全体で取り組む

オンボーディングは管理者だけ、現場だけといったように一部の人員が行うだけでは効果が出ません。関係者全体でチームを作って取り組めるかが成功のカギを握っています。
また、すでにでき上っている環境に新人社員が溶け込めるように、

  • 各メンバーの役割
  • 課題が発生した際に相談すべき人

といったコミュニケーションに関する情報を提供しておきましょう。

関係者の期待値を揃えておく

部署や担当者ごとに新人社員に期待する内容が異なってくるケースもあります。期待値をそろえておかないとオンボーディングを実施する際に障害になる危険があります。
障害を事前に取り除くためには、関係者間で期待値をあらかじめそろえておくのが肝心です。社内だけでなく新人社員の期待している内容も含め、オンボーディングのプランを制作していけると安心です。

ツールを活用する

オンボーディングを全部人力でやるのは非効率です。無駄なくスムーズなコミュニケーションや企業理解を促すためにはツールの力を借りましょう。

  • オンボーディングにおける評価はHRツールで行う
  • コミュニケーションにはSNSアカウントも活用する

といった手法でオンボーディングを効率化・促進してみてください。

テレワークでのオンボーディングのポイント

テレワークでオンボーディングを実行する場合は、以下のようなポイントも押さえておきましょう。

問題を自己解決させるための資料をまとめておく

テレワークの場合は直接社員が近くに付いてサポートを行うのが難しいです。そのため自己解決を促せるように

  • 業務用ツールの基本的な使い方
  • 必要な情報ファイルの場所や扱い方
  • 質問する際の窓口

といった必要な情報を網羅した資料を用意して配布する必要性が出てきます。
ドキュメントで情報共有するようにして教育内容がばらばらになってしまう危険を未然に防ぎましょう。

オンライン環境を整えておく

オンラインでオンボーディングを実行するためには、

  • Web会議ツール
  • e-ラーニング用サービス
  • 社内のノウハウに関する動画

といった各ツール・コンテンツを用意して環境を構築しておく必要があります。
社員のインターネットや設備の環境によって不具合が生じないように、注意してツールやコンテンツを選定していきましょう。

コミュニケーションの機会を増やす

オンラインだからこそコミュニケーションの機会を積極的に設けておくことが重要です。オンラインでもいっしょに働いているという実感がわくように工夫してみてください。

  • オンライン飲み会といったイベントを開催する
  • 現在の悩みや課題に関するミーティングの場を作る

といった手法も有効だと考えられます。こまめにコミュニケーションが取れるように準備しておくこともポイントです。

オンボーディングの成功事例

ここからはオンボーディングを実行して成功した企業事例をご紹介していきます。

GMOペパボ株式会社

GMOぺパポ株式会社は、事業部ごとに対応が分かれたりと中途採用した新人社員の成長サポートに関して課題を感じていました。そこで一定の水準を設けて新人社員の定着をサポートできるように、

  • ペパボカクテル:ちょっとしたことも話せるコミュニティ
  • ペパボテックフライデー:エンジニアメンバーで行う勉強会

などの取り組みをオンボーディングとして開始しました。
結果的に中途入社の社員がメンターになったりと、教える・助ける文化を根付かせることに成功しています。

参考:GMOペパボが実践するオンボーディング|3つの組織課題とその解決策を聞いてみた | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE
中途入社のパートナー向けにペパボカクテルを開始しました - ペパボテックブログ

富士通株式会社

富士通株式会社では、入社した社員から組織にスムーズに溶け込めなかったといった声が寄せられていました。そこで経営層にも働きかけてオンボーディングの施策をスタートさせています。

  • 専任のアドバイザーが新人社員をフォローする
  • 人材同士や経営層が交流できる場を設置する

といった取り組みによって、既存社員からフィードバックを受け
られたり社内のモチベーションが向上したりといった効果が出ています。

参考:DX企業へフルモデルチェンジの変革に挑む、富士通の人事戦略/富士通株式会社|FUTURE of WORK|HRreview

LINE株式会社

LINE株式会社では少数の中途採用チームが活動を行っていますが、年間のエントリー数が1万5000件を越えたりと扱う規模が大きくなっており業務量において課題がありました。
そこで

  • ツール改善により業務自動化の範囲を広げる
  • リクルーターとオンボーディングなどで業務を分ける

といった手法で課題を乗り越えてきました。
今では新卒・中途に関係なくイベントを開催したりとブランディングにも力を入れられるようになっています。

参考:「毎日が文化祭状態」。事業創出が続くLINEを"採用"で支える人事のホンネとは | d's JOURNAL(dsj)- 採用で組織をデザインする | インタビュー

株式会社Kaizen Platform

株式会社Kaizen Platformではオンボーディングのプロセスが用意されておらず、新人社員が定着してパフォーマンスを発揮できるようになるまでに時間が掛かっていました。そこで

  • offer時
  • 入社前
  • 入社後1週間以内
  • 入社後2週間以内
  • 入社後1ヶ月経過後

といったように細かく段階を分けながらやるべきことをフォーマットとしてまとめました。
新入社員はフォーマットを基に自身の計画を策定します。そして達成度合いを1か月おきに振り返って反省を行います。
また

  • メンターが毎回違う人とランチへ行く
  • 人前で話す機会を積極的に設ける

といった取り組みも行っており、プロセスの明確化に成功しました。
参考:Kaizen Platformで行っているOnboardingプロセス - Kaizen Platform 開発者ブログ

まとめ

今回はオンボーディングについて、「OJT」や「新人研修」との違い、得られるメリットなどを解説してきました。
新人社員がスムーズに配属先へなじみパフォーマンスを発揮できるように、企業側ではオンボーディングのプロセスを明確にしておくとよいでしょう。オンボーディングプロセスの明確化により新人社員の不安を取り除きながら、モチベーションを維持して業務を遂行できる環境ができ上ります。
ぜひ企業事例も参考にしながら自社にとって最適なオンボーディングプロセスを形作っていってみてください。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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