コラム

ホワイトカラーの業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは?

2020年02月20日

RPA自動化ホワイトカラー導入

ここ最近、ビジネス業界では「RPA(Robotic Process Automation)」という単語をよく聞くようになりました。RPAは言ってしまえば、ハードウェアロボットではなくソフトウェアロボットです。

働き方改革などの波の中でRPAは注目度が増し、大企業に限らず今や中小企業でもRPAを取り入れようとする動きが広まっています。

しかし「RPAで業務が効率化されるのは何となく分かっているが、詳しいことは何も分からない」という方もいらっしゃるでしょう。企業としてはRPAについて詳しく知っておけば、今後の導入の際役に立ちます。

今回はRPAについて詳しくなりたい企業や導入検討企業向けにRPAとは何か、そしてメリットや注意点などを分かりやすく解説していきます。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは?

RPAは日本語訳すると「ロボティック・プロセス・オートメーション」となり、「ロボットにより人間の行う作業を自動化するための技術」を指します。その特性から、RPAは「デジタル・レイバー(デジタルデータで作成された労働者)」と呼ばれるときもあります。

先ほども言ったようにRPAはソフトウェアのロボットであり、実態はプログラムの集まりです。人間がPCなどデジタル機器で行う作業を記録したり、プログラミングしたりすることで自動化のもととなるロボットプログラムが作成されます。そしてRPAはロボットプログラムにもとづいて、アプリケーションなどを使った業務を人間の手を介さずに処理できるようになります。

RPAの特徴は、何と言っても非IT技術者でも簡単にロボットが開発できる点です。たとえばキャプチャ機能が搭載されている場合は、画面操作をRPAが録画してくれます。そして録画した操作をもとにプログラムが自動作成されるので、そのまま作成されたロボットを業務に活用できます。

またロボットの編集機能もあり、必要な部分はプログラム追加を行えるなど自由度も高いです。他にも、RPAツールごとにさまざまな機能が搭載されています。

RPAには主に、

  • デスクトップ型・・・デスクトップPCなどにシステムを直接インストールして使う
  • サーバー型・・・サーバーにシステムをインストールし、複数機器で共有できるようにする

の2タイプがあり、業務規模などによって選ぶべきタイプは変わってきます。たとえば自動化したい業務量が比較的少なく、RPAをスモールスタートしたい場合はデスクトップ型、逆に業務量が多かったりする場合はサーバー型を選んだほうがよいでしょう。

ちなみに、近年では「AI(人工知能)」を活用したRPAも登場しています。将来的には従来のRPAより高機能なAI×RPAにより、より広範囲でRPAの活用が広がるでしょう。

業務自動化が必要となった労働環境の変化

総務省「我が国の人口及び人口構成の推移
総務省「我が国の人口及び人口構成の推移

RPAによる業務自動化が現在日本で必要となってきているのは、労働環境が大きく変化しているからです。

総務省の発表している「我が国の人口及び人口構成の推移」のグラフによると、生産年齢人口(15歳~64歳の、主な労働者として認識されている年齢層の合計人口)は2017年度は約7600万人となっています。ピークには9000万人前後いた人口が、ここまで減少しています。

さらに2040年前後には6000万人を切るなど、将来的にも生産年齢人口が減少していくのが見て取れます。主な労働力となる生産年齢人口の減少は、日本の経済にも大きな悪影響を与えます。近年では外国人を雇ったり、65歳以上の健康な方を労働者として見込んだりと各社がさまざまな取り組みを行っていますが、正直それだけでは労働力の減少を完全にはカバーできないのが現状です。

さらに働き方改革により長時間労働是正やライフワークバランスが重視されたりと、従来の働き方自体にもメスが入ってきています。ですから企業としては、労働力をいかに上手く確保しながら社員の仕事における満足度を向上させるかが勝負となります。

RPAは、上記課題に対する解決策として有望視されている技術です。昔からRPAの原点となる業務自動化技術はありましたが、エンジニアなど技術に長けた人材しか扱えないのがデメリットでした。

しかしRPAでは、誰でも扱えるようにさまざまな機能が搭載されています。これにより導入後も簡単に業務自動化用のロボットを開発しながら、業務効率化が狙えます。

そして今まで人が行っていた労働をRPAに置き換えることで労働力が確保され、労働力減少をカバーできるようになります。また社員に掛かる負担も削減され、ライフワークバランスの充実などにも企業が取り組みやすくなります。

こういった理由から、日本ではRPAが重要なITになっているのです。ちなみに欧米では、RPA導入の理由が少し異なります。欧米では日本と違って、昔から業務効率化や人件費削減などの取組を行っていました。しかし従来の取組ではどうしても効率化やコストカットなどができず、限界化するところも増えてきました。そこでRPAを活用し、さらなる業務効率化や人件費削減などを実現させようと導入が行われています。

RPAを導入するメリットと、相性のよい業務

ここからはRPA導入のメリットと、相性がよい業務について説明していきます。

RPA導入のメリット

RPA導入には、次のようなメリットがあります。

  • 業務効率化が可能
  • 人件費などのコスト削減
  • 属人化を防ぎ、作業品質を向上させられる

業務効率化が可能

人間が業務を行うと、効率化の上ではいくつかネックがあります。

まず四六時中働けるわけではありませんし、病欠などで休んでしまうこともあります。またまったく同じ業務を行っていても、作業効率にむらが生じる場合もあります。

RPAは稼働させていれば、24時間365日休まず働きます。人間に同じことをやらせるのはまず無理ですし、やらせようとすれば法律違反になります。しかしRPAならばそういった心配は一切無用です。

また作業スピードは速く一定なので、見込んだ通りの業務量をこなしてくれます。こうして業務が効率化され、従業員は今まで無駄の多かった作業から解放されるようになります。

さらに解放された時間は自社の重要で、RPAではまかなえないような業務に充てられます。最終的に生産性向上により、会社の収益も上がるでしょう。

人件費などのコスト削減

今までは人手が足りない場合、増員を行ったりして人員を増やすしかありませんでした。しかし人1人を雇うのにも、多額の人件費などのコストが掛かります。

RPAでは、さまざまな業務を自動化できます。ですから自動化した分はわざわざ人を雇う必要もなく、人件費や採用に掛かる時間などのコストも削減されます。

他にも教育コストや残業コストなど、人を雇っていると掛かるさまざまなコストを削減可能です。

属人化を防ぎ、作業品質を向上させられる

人力で作業を行うと、どうしても属人化してしまう部分が出てきます。たとえば経理では担当者による業務フロー属人化が問題となっており、引継ぎされた担当者が混乱してしまうなどのトラブルが発生しています。

また人力だと数値入力で1桁間違えたりと、単純なミスで大きな業務トラブルにつながってしまうような場面が多く発生します。RPAでアプリケーションなどを使う作業フローを自動化すれば、自動化された分の作業は透明化されます。マニュアルさえ用意しておけば、引継ぎ時も安心してロボット操作ができるようになるでしょう。

またロボットは与えられた作業を間違いなくこなすので、作業の度にミスをしてしまう可能性のある人間よりも精度の高い仕事ができます。その上で人間の手でフォローを行えば、従来より品質の高い納品物などができ上がるでしょう。

RPAと相性のよい業務

RPAはさまざまな業務に導入可能ですが、主に次のような業務とは特に相性がよいとされています。

  • 創造性を必要としない業務
  • 細切れで何度も繰り返し発生する定型業務
  • ミスが許されない業務

創造性を必要としない業務

創造性を必要としない業務は、RPAを活用しやすい業務です。
たとえば

  • メールテンプレートを使いながら、指定された先へメールを送信する
  • 受信した取引関係の書類をシステムに保存してデータベース化する
  • 書類の誤字・脱字など、おかしい箇所を確認する

こういった作業は単純作業なので、RPAに任せることで大幅な業務効率化が狙えます。

細切れで何度も繰り返し発生する定型業務

細切れで何度も繰り返し発生する定型業務も、RPAの得意とするところです。たとえば

  • 条件に応じてネット検索を行い、競合情報などを調べる
  • 指定された項目に応じてデータ入力を行う

こういった定型業務は、1日に何度も発生する可能性があります。大幅に業務時間を削減しようとして、プロセスの長い業務にRPAを導入しようとする企業も存在します。しかしプロセスが長いとイレギュラーな事態も起きやすく、RPA停止のリスクも高まります。

1日に何度も繰り返し発生する、作業時間の比較的短い定型業務をRPAに代行させることで、停止などのリスクを減少させながら総合的には多くの作業時間削減が実現します。

ミスが許されない業務

ミスが許されない業務というのは、基本的には数値などのエラーにより重大なトラブルが起きやすい経理関係の業務です。

  • 受発注書類への商品個数入力
  • 各社員の労働時間や給与額の入力

こういった業務は1桁入力を間違えたり、1つでもデータの抜け漏れがあると計算が大きく狂ってしまいます。

RPAはプログラムですから、計算はお手の物です。ですからミスが許されない数値入力などの業務とも、相性がよいです。

ホワイトカラーとブルーカラーにおけるロボットの役割

ホワイトカラーの仕事ではソフトウェアロボットのRPA、そしてブルーカラーの仕事ではハードウェアロボットの産業用ロボットが、それぞれ人間の仕事を代用して業務効率化に貢献しています。

ロボットの稼動形態は違うものの、将来的にはどちらも他ITが活用されより業務自動化へ貢献するようになりそうです。

ホワイトカラーの場合

ホワイトカラーでは今後、ますますRPAの導入が進んでいくでしょう。そして将来的には、AIを活用したRPA活用も進んでいくと思われます。

搭載された機能を駆使してたくさんの業務が効率化できるとはいえ、もともと用意されたプログラム処理のみを行うRPAには限界もあります。たとえば業務処理の後、そこから自己判断を行ったりということはできません。

RPAにAIを連携させればたとえば業務処理データを機械学習し、そこから自社にどんな課題があるか判断、改善提案を担当者に行う、といった処理も実現できます。こういった今までよりも高度な処理が可能になる結果、将来的にはもっとたくさんの業務にRPAが活用できるようになるでしょう。

ただし多くの作業が代行できるようになるということは、裏を返せば今まで作業を行っていた人員が必要なくなってしまうという事態にもつながります。単純作業の多い部署ほど、将来的には必要な人員がどんどん減少していくでしょう。

従業員としては将来的にどんな業務がなくなり、どんな業務が必要になるかをよく考えながら業務を行う必要があるでしょう。また企業としては、自社内でRPAを導入しながら将来的にどんな業務がなくなるか、そして将来的にどんな業務が創出されるのかなどを見通しながら経営を行う必要がありそうです。

ブルーカラーの場合

ブルーカラーでは産業用ロボットが導入され、人間の行っていた業務がいくつかすでに自動化されています。そしてAIや「IoT(モノのインターネット)」などの導入により、自動化の流れはさらに進んでいくと思われます。

AIはブルーカラーで行われる業務工程を機械学習し、どのような作業を行えばよいかを自己判断できるようになります。たとえば不良品のパターンをあらかじめ学習させておけば、AIは製造品のチェックをしながらパターンに一致する製品を取り除けるようになります。

またIoTにより工場から作業データを収集し、従業員の疲れや設備の不調などを一早く察知して速やかな対応を行う、といったことができるようになります。収集したデータは、AIのさらなる学習用データとしても活用可能です。

ただしブルーカラーでも、作業効率化により人の手が必要なくなる仕事が増えていきます。ですからブルーカラーでも従業員、企業とも将来的な仕事の変化を予想しながら、自分達がどう動けばよいか考える必要があります。

RPA作成の落とし穴

RPAを導入する際は、いくつか注意点があります。注意点を踏まえた上で選定や導入を行わないと、次のような思わぬ落とし穴にはまってしまいます。

  • ロボットが使い物にならなかったり、意味のない業務にロボットを適用しようとする
  • 実際にロボットを作成できない
  • 向いていない業務までRPA化しようとする
  • 管理を行わなかったせいで野良ロボットが多発する

ロボットが使い物にならなかったり、意味のない業務にロボットを適用しようとする

RPAは業務プロセスを洗い出した上で導入しないと、ロボット作成時に痛い目を見てしまいます。

たとえば経営者を中心に現場にあいまいなヒアリングだけを行い、担当者がそれをもとにロボットを開発して現場に配るだけだとプログラムが不完全で実際の業務に対応できない可能性があります。

また業務プロセスが明確になっていない状況だと、どの業務にRPAを導入すれば効果が出るか分かりません。実際に大して時間の短縮できない業務にRPAを導入して、失敗してしまう事例もあります。

RPAを導入してロボット開発を行う際は、必ず現場に細かいヒアリングを行いましょう。全体像が見えない場合は現場担当者にも協力してもらい、業務プロセスが見ただけで分かるような資料を作りましょう。

実際にロボットを作成できない

RPAツールは、非IT技術者でも扱える操作の簡便さも魅力の一つです。ただし、見ただけですぐ扱えるような代物ではありません。

各RPAツールごとに、それぞれ操作の特徴があります。RPAを導入する際操作方法について確認しないで導入を進めてしまうと、いざロボットを開発するときに担当者が上手くRPAを操作できない可能性があります。

RPAツールには、トライアルサービスが用意されています。導入する前はトライアルサービスを使って、本当に自社業務とRPAツールがマッチングしているか、そしてしっかり操作できるかなどを確認しましょう。

また場合によってはRPA外部セミナーなどに参加し、自社RPA関係者に訓練を施しておいたほうがよいでしょう。

向いていない業務までRPA化しようとする

前述しましたが、RPAには向いていない業務もあります。
たとえば

  • イレギュラーな状況が発生しがちである
  • 創造性が高めである
  • 一つ一つの作業工程が長めである

こういった特性のある業務に無理やりRPAを導入してしまうと、業務を代行できないばかりか最悪RPA自体が止まりトラブルに見舞われることになります。

先ほども言いましたが、RPAを導入する際はどの業務がRPAに向いているかを洗い出してしっかりさせた上で、適切な業務をRPA化させましょう。

管理を行わなかったせいで野良ロボットが多発する

RPAを導入する際は、作成されたロボットに誰が責任を持つかなど管理体制をしっかりさせておく必要性があります。もし管理体制ができていないと、野良ロボットが多発してしまう危険性があります。

野良ロボットは作成者不明のロボットのことで、誰でも勝手にRPAを作成できる環境にあると発生しがちです。野良ロボットが頻発するとたとえば作成者が辞めた後にロボットが残ったまま、業務に悪影響を与える操作をバックグラウンドで起こしてしまうかもしれません。

RPAを導入する際は作成担当者などを明確にし、誰がいつどんな目的でロボットを作ったのかを可視化できる環境を整えておきましょう。

まとめ

今回はRPAとは何か、そして必要になった背景やメリット、注意点などさまざまなことを解説してきました。

RPAはソフトウェアロボットとして、ホワイトカラーのさまざまな業務を代行してくれます。上手く活用すれば業務効率化や人件費削減だけではなく、自社のより重要な業務に人員を効率よく割いて収益向上も見込めるでしょう。

ただしRPAの導入や開発手順などを間違えると、返ってRPAがお荷物になる可能性があります。RPA導入時は現場がしっかりロボットを活用できるよう対応を行い、不要なロボットが発生しないしっかりした業務体制を構築しておきましょう。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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