コラム

労務費とは?人件費との違い、労務費となる項目、計算方法を解説

2021年08月18日

労務費人件費

労務費とは、製造や生産にに直接かかわる人件費であり、製造原価の一部となるものです。本記事ではまず、計算方法の種類として、直接労務費と間接労務費についての概要を解説していきます。
さらに、労務費の内訳や計算方法、労務費率についても知っておくことで、適切な原価管理を行うことができます。
労務費についての理解を深めて、今後の適切な原価管理に役立てていきましょう。

労務費とは

まずは、労務費とは何か、人件費との違いはどこにあるのかといった点を押さえておきましょう。また、労務費には直接労務費と間接労務費があることを理解しましょう。

労務費は製品を製造するための人件費

労務費は製品を製造するための人件費です。
ただし、労務費と人件費は同じではありません。人件費は会計処理に従って分類すると、労務費、販売費、一般管理費と分けられます。製造に関わる人件費が労務費に分類され、販売に関わる人件費が販売費に分類され、会社全般に関わる人件費が一般管理費に分類されます。

つまり、労務費は人件費の一部の費用を指すものなのです。
人件費の一部の費用である労務費は、製品を製造するための費用として計上されるものです。そのため、小売業やサービス業といった業種においては、製品を製造しないという意味で、基本的に労務費は発生しません。

直接労務費とは

直接労務費とは、製品の製造に対して直接関わった労働時間に対する労務費を指します。
なお、直接労務費として計上される労働を行う従業員のことを直接工と呼び、直接工が要した作業時間のことを直接作業時間といいます。

間接労務費とは

間接労務費とは、製品の製造に対して、どの位の労働時間が発生したのか直接には把握できない労務費のことを指します。原価管理上、間接労務費を各製品へ配賦させることで、できるだけ適切に原価を把握できるようにします。

間接労務費となるのは下記の項目です。

  • 間接作業賃金
    間接作業賃金とは、直接工が補修や設備のメンテナンスといった間接作業に関わった時間に対して支払われる賃金

  • 間接工賃金
    間接工賃金とは、間接工に対して支払う賃金

  • 手待賃金
    手持ち賃金とは、手待ち時間に対し支払われる賃金
    手待ち時間とは、使用者の指示があればなんらかの業務に従事しなくてはならない状態の時間であり、休憩時間とは区別される

  • 休業賃金
    会社都合の休業時間に対して支払われる賃金

  • 給料
    間接労務費に当たる給料は、工員以外の製造に直接携わらない監督者や事務職員などに対して支払う給与

  • 従業員賞与手当
    工員や事務職員などに対して支払う賞与(ボーナス)や、通勤手当などの各種手当

  • 退職給与引当金繰入額
    工員や事務職員の将来の退職金の支払いに備えて、あらかじめ当期に費用処理しておく退職金のための金額

  • 福利費
    工員や事務職員の厚生年金保険料や健康保険料負担金などといった、社会保険料の会社負担額

労務費の内訳

労務費の内訳は原価管理をしていく上で把握しておかなくてはいけないポイントになります。それぞれ確認していきましょう。

賃金

賃金とは、製品の組立や加工などの製造に対する賃金のことです。製品の生産に関わる正社員、契約社員、派遣社員の給与が、これに関わってきます。なお、この賃金には、残業手当や休日出勤手当といった割増賃金も含まれます。

雑給

雑給とは、パートやアルバイトなど臨時の従業員に対して定期的に支払われる給料や諸手当のことです。経理の処理上、パート等に支払う給与と正社員に対する給与と区別して管理するため、雑給という勘定科目が使用されます。また、パートやアルバイトなどの残業にかかる諸手当も雑給に含まれます。

従業員賞与手当

従業員賞与手当とは、従業員に支給される賞与と各種手当のことです。なお、賞与とは報酬や賃金には含まれないものであり、年3回以下の支給であり、そしてその額があらかじめ決定されていない手当のことです。災害見舞金や結婚祝金、退職手当などは臨時で支払われるものですが、この従業員賞与手当とは区別されます。

退職給付費用

退職給付費用とは、従業員の退職金の支払いに備えて積み立てる費用のことです。そのうち製造部門の人にかかる費用が労務費に入ることになります。製造部門に属していない他部門の従業員に対する退職金積立は、労務費として認められませんので、注意が必要です。

法定福利費

法定福利費とは、社会保険料や労働保険料のうち、会社が負担義務を負っている部分の費用をいいます。なお、社会保険料には健康保険料や厚生年金保険料、介護保険料が含まれており、労働保険料には雇用保険料と労災保険料が含まれています。
退職給付費用と同様、製造部門に在籍している従業員の分だけが労務費として計上されます。

労務費の計算方法

次に労務費の計算方法を見ていきましょう。

直接労務費の計算方法

直接労務費は下記の手順で計算されます。

直接労務費=賃率×該当の製品の製造にかかった時間
(賃率=製造に関わる従業員の給与÷製造に直接関わっている作業時間)

このように、直接労務費を計算するためには、従業員の給与情報が必要なだけではなく、製造に直接関わった作業時間の記録が必要となってきます。また、ここでいう「従業員の給与」とは、製造作業時間に応じて発生した賃金のことを指します。

間接労務費の計算方法

間接労務費は下記の手順で計算されます。

間接労務費=直接工の間接作業賃金+間接工の賃金や給与+雑給+従業員賞与手当+退職給付費用+法定福利費

上記の方法以外でも、すでに直接労務費を算出しているのであれば、下記のように労務費から直接労務費を差し引くことで、間接労務費を算出することは可能です。

間接労務費=労務費-直接労務費

ただし直接労務費を差し引いて算出する場合は、その直接労務費の数字が正しいものであることが前提となるので、注意が必要です。

労務費率とは

労務費率とは、請負金額に対する賃金総額の割合のことです。労災保険料を算出する際に労務費率が使用されます。

具体的にどのように使われるのかについて見ていきましょう。

請負工事の労災保険料算定に使われる

一般的な労災保険料の場合、その計算式は下記の通りで、労務費率を使用しません。
【一般的な労災保険料の計算式】
賃金総額 × 労災保険率 = 労災保険料

しかし建設業などの場合、請負の事業に対応する賃金総額を算定することは困難な場合があるため、厚生労働省が定めている労務費率を使用するのです。

【請負工事の労災保険料の計算式】
請負金額×労務費率×労災保険率=労災保険料

厚生労働省が定める労務費率

労務費率は、事業の種類(工事の内容)によって異なります。
事業の種類ごとに定められた労務費率を確認するには、下記の参考を参照してください。労務費率は、厚生労働省が労務費率表で定めています。この料率は3年ごとに見直しされるため、労災保険料を算出する際には労務費の料率が変更されていないか確認を怠らないようにしましょう。

【参考】
労務費率表(平成30年度~)|厚生労働省
労災保険・雇用保険の特徴|厚生労働省

まとめ

労務費と一口に言っても、その中には直接労務費と間接労務費があり、さらに間接労務費の内訳も、原価管理上は細かく分類されています。労務費の全体像を理解し、正しく計算していくことで、労務管理や原価管理を適正に行っていきましょう。

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この記事を書いた人

QEEE編集部

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