経営企画

【保存版】収支計画書の書き方とは?具体的・現実的な内容にするポイントも解説

2021年06月07日

収支計画書

収支計画書は事業の収支をまとめて現実的な事業かを判断する際に利用する重要な資料です。特に事業を立ち上げるにあたって融資を考えているのであれば、金融機関が判断の基にする収支計画書は入念に作り込んでおく必要があるでしょう。しかしながら、初めて作成する方の中には「どういったところを押さえれば現実的な計画と判断できるのかが分からない」といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回の記事では、収支計画書の書き方を押さえたうえで、現実的で具体的な計画に近づけるポイントを解説していきます。

収支計画書とは

収支計画書とは、事業を運営する際の「収入」と「支出」を表にしたもので、実際にどれくらいの収益が得られるのかを確認するためのものです。
事業を営むにあたり、ちゃんとお金がまわるのか、なにに対してどのようにお金を使うのかを先回りして考えることは重要です。とくに事業資金の借り入れを行う際には、金融機関は収支計画書をもとに事業の収益の可能性を見極めます。収益を上げ、きちんと返済できることを証明するためにもしっかりと収支計画を練ることが大切です。
予測が甘ければ、事業を継続するのに必要な経費の支払いが滞り、経営に行き詰まる可能性が生じます。自己資金で事業を運営する場合でも、継続していくためには収支計画書を作り込み、定期的に見直す必要があるでしょう。

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収支計画書作成の流れ

収支計画書を作成するときには、必要経費を元に組み立てていきます。事業で収益を出すには、「支出よりも収入が多い」状態でないといけません。そのためにはまず、どれくらいの支出があるのかをシミュレーションする必要があります。
それでは具体的に収支計画書を作成する流れを解説していきます。

①固定費を算出する

事業を運営するうえでは、月々、あるいは毎年必ず発生する支出、「固定費」があります。固定費はたとえ収入がゼロであっても必ず出ていくものであり、この金額を上回る利益がなければ事業として成り立ちません。必ず達成しなければならない目標額を算出するためにも、固定費を先に押さえておきましょう。

役員報酬

まずは給料に該当する、役員報酬を決めます。役員報酬を決めるときには、とりあえず生活をまかなえる最低限の金額を設定し、計画策定後余裕があるなら増額するといいでしょう。

役員報酬は原則として、一度決めると事業年度内の変更は認められません。利益が大きくなったからと役員報酬を増やすことは、納める税金を減らす目的の利益操作とみなされるためです。役員報酬は自身の生活費を確保しつつ、収益でまかなえる範囲におさめます。

人件費

アルバイトや社員などを雇用する予定があるなら、人件費を計上します。時給や月給から毎月かかる費用を算出しましょう。

家賃、光熱費

店舗や事務所のスペースを借りて事業を営む場合には、家賃や光熱費を計上します。自宅の一部を店舗や事務所とするケースでは、事業で使用している面積割合に応じて、家賃や近隣相場価格から算出し、家賃として計上しましょう。光熱費も同様に、使用している面積割合から按分して算出します。

その他の固定費

上記以外にどのような固定費が発生するかは、事業によって異なりますが、一般的には以下のようなものが想定されます。

  • 荷造運賃:インターネット通販などを行う場合の送料
  • 宣伝広告費:定期的にインターネット広告を出稿する場合などの広告費
  • 旅費交通費:通勤や定期的な出張にかかる費用
  • 減価償却費::業務に使用する車両や機器などを耐用年数に応じて計上する費用
  • 支払い手数料:税理士に支払う顧問料など


そのほか細々した経費、たとえば文房具といったものまで計上すると表が細かく見にくくなるため避けたほうが無難です。固定費は大まかにどの程度の費用が発生するかをつかむことを重視しましょう。

②変動費を算出する

固定費を計上したら、つづけて変動費を算出します。変動費は、売上に比例して発生する費用を指します。
たとえば製造業であれば、売上が増えると同時に仕入れや材料費も増えていきます。業務の一部を外注しているケースでは、忙しくなればなるほど外注費も増大するのが一般的です。
変動費は業界の売上原価を変動費率として当てはめるといいでしょう。たとえばデザイン業であれば、売上規模が5千万以下なら変動率は約18%です。

③粗利率を算出する

粗利率は、100%から変動費率を引いたものを指します。先ほどのデザイン事務所でいうと、2,000万円から360万円を引いた1,640万円が粗利益となり、粗利益率は100%-18%で82%となります。

④返済額と利息を算出する

金融機関から融資を受ける場合は、返済額と利息も計上し、営業外収支欄に記載する必要があります。
最終的な融資額が確定していないときには、自己資金の2倍程度を計上しておくといいでしょう。融資の返済期間は借り入れする金融機関によって異なりますが、日本政策金融公庫の場合は運転資金だと最長で7年(2021年現在)です。
借り入れ金額を何年で返済するか、月々いくらなら返済できるかを考えて返済額を決めて計上します。利息については金利は下がる傾向にありますが、低く見積もらずに2〜3%に設定しておくのが無難です。

⑤必要最低限の売上高を算出する

固定費・返済額・粗利率が算出できたら、これらをもとに以下の計算式を用いて必要最低限の売上高を算出します。

{固定費+(返済金+利息)}÷粗利率=必要最低限の売上高

たとえばデザイン事務所の場合、

固定費…100万
返済金と利息…15万

と仮定すると、

粗利率…82%

なので、必要最低限の売上高は

{100万円+(15万円)}÷82%=140万円

と算出できます。
ここからこのデザイン事務所の最低限必要な損益構成は、以下のとおりであることがわかります。

売上高…140万円
固定費…100万円
変動費…25万円(140万円×18%)
融資返済と利息…15万円

売上高から固定費と変動費、利息含む返済額を引くと0円になることから、毎月最低140万円売り上げないと、事業はマイナスになると分かるのです。
収支計画書では、毎月140万円を売り上げることができるのか、できるとするならその根拠を明確に示さなければなりません。ただし手持ちが毎月ゼロになるなら、突発的な支出や納税負担に耐えられず、マイナスになることは頭に入れておきましょう。

⑥収入の計画を立てる

ここからは、現実性のある収支計画書にするために、押さえておくべきポイントを3つ解説していきます。

適正な販売価格を設定する

収支計画を現実性のあるものにするためには、算出した必要最低限の売上高を確保できる根拠を示す必要があり、そのためには商品やサービスの価格を適切に設定しなければなません。
販売価格の設定方法には、以下のようなものがあります。

  • 仕入れや必要経費を考慮し、採算の取れる価格を割り出す
  • 価格を想定したうえで、利益が出る仕入れ方法や販売体制を考える


いずれにしても、最低限の売上高を確保しようと相場よりもかけ離れて高い販売価格を設定するのは現実的ではありません。一般的な相場や商圏内の相場の調査は必要になるでしょう。

繁忙期・閑散期などを鑑みる

多くの事業は1年のうちに繁忙期と閑散期があり、1年間同じ予測売上を並べるのは現実的ではありません。季節ごとに繁忙期や閑散期があるケースでは、標準月と繁忙期、閑散期の3つに分け、売上根拠を示します。

たとえばデザイン事務所の場合、多くの企業が年末に向けて広告を出稿する11月〜12月が繁忙期に該当します。その反動で1〜2月がやや手薄になり、再度年度末の3月が忙しくなります。

デザイン事務所の売上の根拠例
平均客単価(広告デザイン1本)…3万円
標準月…50本:月商150万円
閑散期…30本:月商90万円
繁忙期…80本:月商225万円

上記からわかるように、閑散期は最低売上目標金額の140万円を下回ってしまいます。しかしそのぶんを標準月と繁忙期でカバーできており、年間で計算すると1カ月の平均売上は162万円になり、通年で270万円の利益が出る計算となるため、適切な運営ができると判断できるのです。

収入がない月の計画を予め立てておく

年間通して考えると売上は達成できるとしても、閑散期には必要最低限の売上を割ってしまうことは事実です。
売上が不足しても、家賃や人件費などは支払い続けなくてはなりません。収入がない月がカバーできる売上をそれまでに上げられているかは確認しておきましょう。

⑦収支計画書に落とし込む

すべての数字が出そろったら、収支計画書に落とし込んでいきます。事業開始直後から黒字になることは考えづらいので、売上収入は開業から軌道に乗るまでは閑散期の数字を入れておくと現実的です。

収益計画を作成する際のポイント

最後に収支計画を作成する際のポイントを解説していきます。

合理的に説明が出来る内容にする

収支計画を立てるときには必ずしも収益額が高い計画を立てる必要はなく、合理的に説明できることが何よりも大切です。
たとえば販売価格の決め方でも述べたように、相場とかけ離れて高額な価格設定をしてしまっては、収益は高くなりますが根拠を説明できず、金融機関の納得は得られません。なにより実現性に乏しく、事業を適正に運営できるか自身でも判断できなくなってしまいます。
収支計画が現実的であるかは、小企業の経営指標で業界平均を調べ、粗利率や変動費率が平均とかけ離れていないかを確認するといいでしょう。

収益計画が上手くいかない際は細かく調整する

収支計画がうまくいかないときには、費用の見直しを実施します。固定費と変動費それぞれの見直しポイントを紹介します。

固定費の見直し

固定費は、額が大きなものから見直すのが効果的です。まずは人件費と家賃が適正か、以下のポイントを中心に見直してみてください。

  • 人件費
    各工程・時間帯の人数は適切か
    繁忙期に合わせた人数になっていないか
    基本給は適切か
  • 家賃
    坪数や坪単価は、立地は業務に適したものか


固定費は確実に出ていくものなので、抑えられると支出を圧縮できます。ただし人件費に関しては、従業員のモチベーションにもかかわり、結果的に効率が落ちる、いい商品を生み出せないといったことにもなりかねません。業界として適切と思われる額を下回らないようにするのが無難です。

変動費の見直し

売上に応じて変わる変動費は、材料費と外注費を中心に見直しましょう。

  • 材料費
    使用量を減らして歩留まりを改善できないか
    製造方法を変更できないか
    購入先の変更で仕入れ単価を下げられないか
  • 外注費
    納期を長くすることで内製率を上げられないか
    まとめて発注することで外注単価を下げられないか


変動費は単価下げが基本になります。ただし単価を下げることにこだわることで、生み出す商品の品質が落ちては意味がない点には注意が必要です。

収益計画は3年先まで立てておく

収益計画は、1年だけではなく3年先まで立てておきましょう。近年はさまざまな要因で先を見通せないことから、あまり先まで計画を立てても意味がないと考える節がありますが、先が見えないからこそ変化に対応できるように備えておくことが重要です。
3年後の売上目標を定め、そこに向けてのマイルストーンをたとえば半年ごとに設定し、その都度振り返りと修正を繰り返すことが収支計画書が本来果たす役割です。まずは3年先のあるべき姿を思い描き、収支計画書を作成してみてください。

まとめ

収支計画書は、金融機関から融資を受ける際には必ず求められる書類です。しかしそうでなくても、収支計画書を作ることで見えてくることはたくさんあります。
事業を軌道に乗せ、利益を生み出す黒字体質にしていくためにも、今回の生地を参考に収支計画書を作成してみてください。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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