固定資産管理システム14選を比較!IFRS対応など機能や選定ポイントも解説
経理担当者や経営者にとって、固定資産を管理することは避けては通れない業務の一つです。固定資産の数が多ければ多いほど、その管理が煩雑になりますね。そんな時に役立つのが、固定資産管理システムです。
固定資産管理システムは税制改正やIFRSへの対応などからも導入を検討する企業が増えています。
とはいえ、会計関連の知識がない場合、システム選びに迷うかもしれません。
まずは、固定資産管理システムとは何なのかという話から進めていきましょう。
固定資産管理システムの解説
固定資産管理システムとは、会社にある固定資産を一括で管理できるシステムのことです。
会社は固定資産を購入のつど登録し、売却や滅却のつど適切に会計処理をしなければなりません。中小企業の場合で、固定資産の数が少ない企業の場合は、固定資産管理システムを導入せずに、エクセルで管理するという方法もあります。
固定資産は、会社が長期にわたって保有する資産であり、長期間にわたって費用計上などが必要で、税制改正のたびに情報を更新しなければなりません。固定資産管理システムに正しく登録をしておくことで、適切に処理でき、業務の効率化を図ることが可能になります。
固定資産管理システムの機能
固定資産管理システムは基本的に次の三つの機能があります。
各種の固定資産の一元管理
固定資産とはかんたんに言うと1年以上の長期にわたって保有する資産です。その特性によって、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産の三種類に分類されます。
- 有形固定資産:土地や建物、機械など形があるもの
- 無形固定資産:法的権利やソフトウェアなど形のないもの
- 投資その他の資産:上記以外の資産(出資金や長期貸付金など)
固定資産管理システムは、これらの性質の異なる固定資産を一つのシステム上で管理することができます。固定資産台帳をシステム上につくり償却方法などを登録することで償却計算や減価償却費の自動記帳などが行えます。
複数の減価償却方法への対応
減価償却の方法には「定額法」「定率法」「級数法」「生産高比例法」などがあります。また増加償却や特別償却などが必要になることがあります。
固定資産管理システムの多くがこうしたさまざまな償却方法や珪砂方法に対応しています。
IFRSや税制改正対応
IFRSとは、国際財務報告基準のことです。
日本では税法がベースとなって固定資産の処理が行われるのに対して、IFRSは、経済実態に沿った処理が必要になってきます。
現時点では、IFRSの適用は任意ではありますが、今後のためにも、あらかじめ、IFRSを導入した場合の固定資産管理システムを検討しておく必要があります。
なお、製品によっては、固定資産管理システムを導入すれば、ソフトウェアを起動時に税制改正に対応したものへとアップデートをするよう促してくれるので、税制改正に乗り遅れる不安は解消されます。
固定資産管理システムを使うメリット
以下、固定資産管理システムを使うメリットについてご説明します。
内部統制の強化
固定資産の登録、移動、売却、除却といった処理は、経理担当者だけでは判断がつかないことも起こり得えます。
そんな時、固定資産管理システムを導入しておけば、承認プロセスが明確になるので、内部統制が強化され、結果的に固定資産の管理業務の効率化につながります。
セキュリティの強化
固定資産管理システムを使うメリットは、誰でも簡単に固定資産の登録や修正、削除の処理ができることです。
ログイン時の認証やログの管理によって、いつ誰が操作したのかという証跡を残すことができるため、ミスや不正の抑止効果があります。
また、固定資産管理システムによっては、誰がそのシステムにログインできるかという権限の設定やログの管理が可能なので、内部統制の強化に役立ちます。
システム連携による業務効率化
固定資産の管理は、会社を経営していく中で、切っても切り離せない業務の一つです。
エクセルを使用して管理することも可能ですが、どのように管理するのであれ、最終的には会計帳簿に登録し、間違いなく減価償却をしなくてはなりません。
固定資産管理システムを会計ソフトと連携することで、その一連の業務を一本化し、業務効率を上げることが可能になります。
固定資産管理システムの比較ポイント
固定資産管理システムを比較する際のポイントをおさえておきましょう。
比較のポイントは、固定資産管理システムには、クラウド型とオンプレミス型がある点と、単独ソフトかERP・会計の一部かという点、それから対応する企業規模という点です。
クラウドかオンプレミスか
まずは、固定資産管理システムが、クラウドかオンプレミスかという点を比較していきましょう。以下、それぞれの説明と、メリット・デメリットについてご紹介します。
クラウド型
固定資産管理システムのクラウド型とは、会社がソフトウェアを持つことなく、オンライン上で作業ができる形態を指します。
クラウド型のメリットはいくつかあります。
まずは月額利用の料金のみで運用可能なことです。月額料金を支払えば、セキュリティ対策や障害が起きた時の対応は、ベンダーが行ってくれます。
また、オプション機能をつけることで、機能を拡張させることも可能です。
ただしクラウド型は、こちらが希望する拡張機能が対応されていない場合があります。システムを自由にカスタマイズできない部分があるのは、クラウド型のデメリットだと言えます。
オンプレミス型
固定資産管理システムのオンプレミス型とは、会社がサーバーやソフトウェアといった情報システムを自社内に持つ形態を指します。
固定資産管理システムのオンプレミス型のメリットは、その自由度にあります。
自社でシステムを運用していくため、会社の業務形態に乗っ取ったスタイルへと、自由に変更をかけていくことが可能です。
ただしオンプレミス型の場合は、セキュリティ対策や障害対応といった対応は、すべて自社での管理が必要です。
また、自社運用の場合は、初期投資が必要になってくる他、システムの拡張にあたっては、拡張に必要な経費も必要になってきます。
システムを保守管理する人員も必要です。
費用面や人員確保の面で、追加のコストがかかってくることが、オンプレミス型のデメリットだと言えます。
単独ソフトかERP・会計の一部か
次に、固定資産管理システムが、単独ソフトなのか、それともERP・会計の一部なのかという点についてです。
単独の固定資産ソフトウェア
単独の固定資産ソフトウェアとは、既存の会計ソフトを残した状態で、そこに付属させることができるソフトウェアのことです。
メリットは、数年使用してみた後、もし仮に別のソフトウェアに切り替えることになっても、既存の会計ソフトまで切り替える必要がないので、融通が利くことです。
デメリットは、既存の会計ソフトで行う入力作業と、固定資産ソフトウェアで行う入力作業の内容が重複する可能性があることです。
この場合、固定資産の管理に関しては時間の効率化が図られますが、会計処理として見た場合、固定資産の管理業務の分だけ業務量が増えることになります。
ERPや会計システムの一部
ERP・会計システムの一部というのは、要するに固定資産管理システムを単独で管理するのではなく、会社の一連の業務の中の一部として把握するシステムのタイプのことを指します。
ERPとは、エンタープライズ・リソース・プランニングの略称です。
このタイプは、固定資産管理を単独の作業にせず、固定資産の予算編成をする段階から、システム上で把握していくことを可能にします。
メリットは、固定資産の購入から減価償却をしていくまでの一連の流れを把握できることです。
デメリットは、このシステムを導入することによって、複数のユーザーがシステム内で作業をすることが生じるため、ミスが起きた時に、責任の所在が不明確になる可能性が出てくることです。
全体を把握したい経営者にとっては、利便性があると言えます。
対応する企業規模
固定資産管理システムは、企業規模ごとに専門性に見合ったものを選ぶ必要があります。
なお中小企業の場合はまず、固定資産管理システムを導入した場合のコストメリットが出るのかどうかを検討してみましょう。
システムの導入から運用まで関わる人材を確保できるのかどうか、導入から運用するに至るまで、どれだけコストがかかり、それに見合ったメリットが出るのかどうかを確認しましょう。
中小企業か大企業かに関わらず、保有する固定資産の件数、システムのコスト、運用できる人材の有無が、導入する際のポイントとなります。
おすすめの固定資産管理システム|単独タイプ
ここからは、固定資産管理に特化したシステムをご紹介します。
ProPlus総合固定資産管理ソリューション
【提供形態】
クラウド、オンプレミス
【提供会社名】
株式会社プロシップ
【特徴】
複数帳簿機能を搭載している他、多様な償却計算機能、一括処理機能、さらには、同一システムで複数会社の処理が行えるグループシェアード管理機能を搭載しています。
【プラン・料金】
お問い合わせください。
Plaza-i(プラザ・アイ)
【提供形態】
オンプレミス
【提供会社名】
株式会社ビジネス・アソシエイツ
【特徴】
経理と税務で耐用年数、償却方法を変更可能です。各種税務上の償却方法、償却方法、耐用年数の変更に対応しており、建設仮勘定の処理も可能です。セキュリティの高いデータベースを利用した固定資産管理システムを比較的低コストで利用したい企業様にオススメです。
【プラン・料金】
お問い合わせください。
PCAサブスク固定資産(旧PCA固定資産DXクラウド)
【提供形態】
クラウド、オンプレミス、サブスクリプション
【提供会社名】
ピー・シー・エー株式会社
【特徴】
充実したリース資産管理機能が搭載されています。償却資産税の電子申告、少額資産や簿外資産の登録、減損処理や資産除去債務などの新しい会計基準に対応に対応しています。また、業務処理を忘れないための通知機能が搭載しております。その他、PCA会計以外の会計システムとも連携が可能です。
【プラン・料金】
①PCA固定資産DX クラウド
(利用ソフトとサーバーのライセンス費用にて利用するプラン)
月額24,750円 (税込)
②PCA固定資産DX サブスク
(固定資産ソフトをオンプレミスで、月額料金にて利用するプラン)
15,400円 (税込)~(初期費用0円)
③PCA固定資産DX パッケージ
(固定資産ソフトをパッケージソフトとして購入するプラン)
187,000円 (税込)
総合資産管理サービスA.S.P Neo 3.0
【提供形態】
クラウド
【提供会社名】
三井住友ファイナンス&リース株式会社
【特徴】
管理項目を任意に設定することができ、物件管理・管理会計・決算資料作成の負担を軽減します。登録は一件ずつ画面入力で行うだけでなく、テンプレートからの作成することで、大量な資産管理をすることが可能です。また、部門ごとの集約・集計、資産除去債務、増加償却・特別償却・割増償却・圧縮記帳にも対応しています。
【プラン・料金】
お問い合わせください。
FAManager(TKC固定資産管理システム)
【提供形態】
クラウド
【提供会社名】
株式会社TKC
【特徴】
法人税別表16・償却資産申告書を自動作成することが可能です。リース資産、減損資産、資産除去債務の管理を一元化することができる他、固定資産データについては、資産登録またはファイル読込から登録することで、同時に固定資産台帳を自動作成することが可能です。
【プラン・料金】
お問い合わせください。
MJSLINK NX-Plus固定資産
【提供形態】
クラウド、オンプレミス
【提供会社名】
株式会社ミロク情報サービス
【特徴】
物件情報に、物件写真や稟議書、廃棄証明書等の関連書類を添付することや、テプラへのラベル印刷が可能です。資産除去債務の計算、資産除去債務の計算、ファイナンス・リースやオペレーティング・リースの管理に対応しています。またオプションになりますが、建設仮勘定の計上、台帳管理、本勘定への振替処理をサポートしています。
【プラン・料金】
お問い合わせください。
固定資産奉行クラウド
【提供形態】
クラウド
【提供会社名】
株式会社オービックビジネスコンサルタント
【特徴】
新旧定率法/定額法、三年一括償却、繰延資産、少額資産、非償却資産などの償却方法に対応しています。また、除却時に自社にあった償却額の計上方法を選択することや、固定資産にかかる現物の写真や書類データを無制限にクラウド保管することが可能です。なお、資産の所在や購入先を詳細に管理できます。圧縮記帳にも対応しています。
【プラン・料金】
お問い合わせください。
おすすめの固定資産管理システム|ERPや会計システムの一部
続いて、ERPの一部として固定資産管理システムを含む製品をご紹介します。
OBIC7固定資産管理ソリューション
【提供形態】
オンプレミス
【提供会社名】
株式会社オービック
【特徴】
台帳登録から分割・売却・除却・移動・休止・資本的支出などの異動管理、減価償却計算、減損処理、資産除去債務管理、法人税(別表十六)・固定資産税申告書作成に至るまで、固定資産を総合的に管理できます。なお、リース資産管理と建設仮勘定はオプションという形で対応可能です。外観写真、契約書類、図面、賃借情報、などの関連情報を合わせて管理できる任意台帳管理機能もあります。
【プラン・料金】
お問い合わせください。
GLOVIA SUMMIT FM
【提供形態】
オンプレミス
【提供会社名】
富士通株式会社
【特徴】
部門や事務所単位の移動、市区町村合併に伴う申告先の変更などについて、固定資産の管理項目を一括して変更できます。また、部門ごとに必要とする情報を登録し、データ出力の際、その登録の抽出結果を表計算ソフトと連携して使用可能です任意の管理情報を設定でき、その管理コード(20種類)を使用してグルーピングすることにも対応しています。
【プラン・料金】
お問い合わせください。
会計指南
【提供形態】
オンプレミス
【提供会社名】
三菱電機ITソリューションズ株式会社
【特徴】
一般会計のサブシステムの一つとして固定資産管理システムを用意しています。また、固定資産管理に加えて、総合償却、減損会計、償却資産管理、申告、資産除去債務の機能が一つにパッケージングされています。なお、支払管理システムと連携することで支払業務の統合にも対応できます。
【プラン・料金】
お問い合わせください。
弥生会計24+クラウド(旧弥生会計21)
【提供形態】
クラウド、オンプレミス
【提供会社名】
弥生株式会社
【特徴】
会計ソフトの一部として固定資産の登録機能があり、毎年の減価償却費を自動計算させることが可能です。30日間お試しで無料体験することが可能ですが、制限事項があるのでご注意ください。また、最大15か月間のあんしん保守サポートがあります。
【プラン・料金】
<スタンダード版(オンプレミス・従業員5名程度の法人向け>
- セルフプラン付き:44,000円(税抜)
- ベーシックプラン付き:44,000円(税抜)
- トータルプラン付き:53,500円(税抜)
<プロフェッショナル版(オンプレミス・従業員10名以上の法人向け)>
- セルフプラン付き:80,000円(税抜)
- ベーシックプラン付き:80,000円(税抜)
- トータルプラン付き:94,800円(税抜)
<プロフェッショナル 2ユーザー版(オンプレミス・従業員10名以上の法人向け)>
- セルフプラン付き:105,000円(税抜)
- ベーシックプラン付き:105,000円(税抜)
- トータルプラン付き:118,400円(税抜)
<ネットワーク版(クラウド・多機能な会計ソフトを3台以上のネットワーク環境でご利用したい方向け)>
お問い合わせください
ZeeM(ジーム)会計
【提供形態】
オンプレミス
【提供会社名】
株式会社クレオ
【特徴】
償却資産申告の際、eLTAXに対応しています。また、リース資産管理に対応している他、配賦基準登録、配賦処理、配賦事項リストや配賦先推移表の作成といった、原価計算の必要な会社に有利な機能があります。その他、外貨伝票入力、各種外貨残高管理表、為替評価替処理等の外貨を扱う会社に役立つ機能もあります。
【プラン・料金】
お問い合わせください。
Galileopt NX-Plus
【提供形態】
オンプレミス、クラウド
【提供会社名】
株式会社ミロク情報サービス
【特徴】
「財務を核としたマネジメントシステム」の一部として、資産管理業務をサポートしています。取得予定・除売却予定の資産を含めた償却費や物件単位での配賦計算が可能で、取得予定・除売却予定の資産を含めた償却費や物件単位での配賦計算にも対応しています。また、20年先までの償却費シミュレーション機能を実装しています。
【プラン・料金】
お問い合わせください。
マネーフォワード クラウド固定資産
【提供形態】
クラウド
【提供会社名】
株式会社マネーフォワード
【特徴】
経理担当者だけではなく、総務やIT部門、営業所や工場の現場職員まで固定資産管理業務に関わるすべての人の業務効率化をサポートします。コメント機能がついており、部署間のやり取りが可能になっています。また、償却資産税申告や、法人税別表16など、税務担当も安心の機能を搭載しています。なお、日本基準にもIFRSにも対応可能です。
【プラン・料金】
お問い合わせください。
まとめ
固定資産管理システムと一言で言っても、会社の形態によって、運用方法は変わってきます。
まずは固定資産の管理にかかっている工数や人員数、それから固定資産の数量を見直してみましょう。
その上で、固定資産の管理を経営者の視点から見直し、どのようなシステムがあれば会社全体の業務効率化が図れるかを考えてみましょう。
そこまで計画を詰めていけば、あとは会社の予算と照らし合わせて、システムの導入、運用へと突き進むだけです。
固定資産の管理は、企業であれば必ずと言っていいほど発生する業務です。
今回ご紹介した固定資産管理システムの中から、御社にとって最適のシステムを探してみてください。