コラム

【詳しく説明】私たちの生活を便利にしてくれる、IoT住宅とは?

2021年08月03日

IoTスマートホームIoT住宅

「IoT(モノのインターネット)」は「5G(第5世代移動体通信技術)」、「AI(人工知能)」などとともに現在IT業界で注目度の高いワードとなっています。特に私たちの生活では、今後「IoT住宅(スマートホーム)」がより身近な存在になっていくでしょう。

人間の住宅生活における利便性を向上させるIoT住宅市場は、どんどん成長しています。実際調査会社「IDC」では、世界のIoT住宅関連のデバイス出荷台数が2019年度だけで約8億3000万台、そして4年後の2023年度には2倍近くの約16億台にまで拡大するという、IoT住宅の今後の成長を裏づけるデータを発表しています。

今回は私たちの生活を便利にしてくれるIoT住宅とは何か、そしてIoT住宅が何を私たちにもたらすのか、実際にどんなケーススタディがあるのかなどを詳しく解説していきます。

「IoT住宅について詳しく理解して、今後の参考にしたい」という方はぜひご覧ください。

IoT住宅とは

ここからはIoT住宅とは何か、そしてスマートハウスとの違いなどを説明していきます。

IoT住宅とは

IoT住宅とは、「IoTを活用して、居住者の生活上の利便性を向上させた住宅」を指します。言うなれば、今までITとは縁のなかった家の中のモノがインターネットに接続し、データを送信したり受け取ったりして私たちにさまざまなサービスを提供してくれます。

たとえば、2017年以降日本でも一気にシェアを伸ばした「スマートスピーカー」もIoT住宅に関係する機器の一種です。

スマートスピーカーはメーカーが開発したAIを搭載しており、ユーザーの声に応じてさまざまな処理を行えます。たとえば「今日の天気は何?」と聞くと晴れと回答したり、「○○のヒット曲をかけて」と話しかければ、指定されたアーティストのヒット曲を自動的に再生してくれます。

さらにスマートスピーカー経由で、エアコンなど他家電も操作可能になります。このようにスマートスピーカーは、IoT住宅を実現する代表的な機器の一つと言えます。

また「スマートリモコン」も、IoT住宅を簡単に実現できる機器として知られています。 スマートリモコンはデジタル回線を赤外線に変換したりする機能が搭載されています。まずスマホアプリから各家電に命令を出し、スマートリモコンを経由して命令を送信すれば、IoT非対応の機器も疑似的にIoTネットワークに組み込んで操作できるようになります。

スマートリモコンによってはスピーカー機能が搭載されているモノもあり、声で直接各家電に命令を出すことも可能です。他にも人感センサーつきで居住者の出入りを認識し、自動で照明を消したりといった操作が可能なモデルがあります。

このようにIoT住宅では各IoT機器やシステムにより、居住者の暮らしが従来よりもさらに便利になっていくでしょう。

IoT住宅とスマートハウスの違い

IoT住宅と混同しがちな言葉として、「スマートハウス」があります。この2つの違いは、メインコンセプトを理解すれば把握しやすくなります。

スマートハウスでは、「住宅内で使われるエネルギーを効率よく利用する」ことをコンセプトとしています。スマートハウスの根幹を支えているのが、「HEMS(Home Energy Management System)」です。HEMSでは住宅内すべてのエネルギーを管理しており、エネルギー使用中の機器や消費エネルギーなどを逐一把握しています。そしてたとえばモニターにどのくらい電力を使っているか表示したりユーザーの命令を受けて消費電力を下げたりと、エネルギー制御に関するさまざまな処理を行います。

ちなみにスマートハウスよりさらに一歩進んだ概念として、「ZEH(net Zero Energy House)」があります。ZEHでは住まいの断熱性などを上げてHEMSによりエネルギーを管理し、その上で太陽光発電などの再生可能エネルギーシステムを使い住宅内でエネルギーを自給します。そして最終的には、住宅内のエネルギー収支が差し引きゼロになるように調整します。

日本政府は2030年までに、新築住宅には基本的にZEHが実現されている状態にすることを目標に掲げています。ですから今後は、ZEHの観点から建築されたスマートハウスが主流になっていくでしょう。

このようにエネルギーを無駄なく効率よく使えるようにするスマートハウスに対して、IoT住宅ではあくまで居住者の利便性向上に重きが置かれています。ですからIoT住宅はスマートハウスと区別するためにスマートホームと呼ばれ、日本の代表的な住宅メーカーもエネルギー管理可能な住宅はスマートハウス、IoTシステムつきの住宅はスマートホームと区別しています。

ただしHEMSはITシステムの一つであり、IoTと連携も可能です。そしてHEMSから得たデータを解析すれば、IoTのほうにもメリットがあります。

このような背景から最近ではHEMSを搭載し、IoTシステムも併設されているハイブリッド住宅が登場しています。

IoTによる暮らしの変化

ここからは、IoTによって私たちの暮らしがどう変化していくか

  • IoT住宅製品
  • IoT住宅

上記2つの事例から見ていきます。

IoT住宅製品

IoT住宅製品分野では、次のようなモノが各メーカーから発表されています。

  • NA-VX9900(Panasonic)
  • Amazon Echo(Amazon)
  • LS Mini(Live Smart)

NA-VX9900(Panasonic)

NA-VX9900(Panasonic)
NA-VX9900(Panasonic)

「Panasonic」の「NA-VX9900」は、IoT機能つき洗濯機です。

あらかじめ合成洗剤や柔軟剤を入れて置けるタンクが搭載されており、選択する際は洗濯機が自動で判断して適量を使用してくれます。また自動お手入れ機能や衣服に合わせた多様なコース搭載など、単純な洗濯機としても優秀なモデルです。

さらにIoT機能によりWi-Fi接続が可能で、スマホアプリから命令を出せます。たとえば外出先で洗濯機を操作して、時間設定などを行い帰宅までに洗濯を終わらせておくことも可能です。

Amazon Echo(Amazon)

Amazon Echo

出典:Amazon

ECサイトなどを運営する「Amazon」は、「Amazon Echo」シリーズを発売しています。Amazon Echoシリーズはスマートスピーカーブームの先駆けともいえる存在で、ユーザーの用途に合わせたさまざまなモデルが発売されています。

Amazon EchoにはAIアシスタント「Alexa」が搭載されており、ユーザーの命令に合わせてさまざまな処理を行います。たとえば先ほども説明したように話しかけるだけで音楽を再生したり、天気など必要な情報を聞き出したりできます。

また家電と連携して照明を消したり、エアコン温度を調整したりといった操作も音声命令だけで可能になります。

シリーズには

  • スタンダードなEcho
  • 価格の安さが魅力のEcho Dot
  • EchoよりハイクラスなEcho Plus
  • 小型のディスプレイを搭載したEcho Spot
  • 大型ディスプレイで動画などを楽しめるEcho Show


などのラインアップがあり、ユーザーが自由にモデルを選べます。

Amazon Echoを代表としたスマートスピーカーはこれから説明するスマートリモコン系の製品などとともに、IoT住宅の中核を成す存在になります。

LS Mini(Live Smart)

LS Mini(Live Smart)
LS Mini(Live Smart)

「Live Smart」は、スマートリモコン「LS Mini」を発売しています。LS Miniは5,000円前後ほどで購入できる入手のしやすさと、多機能に使える利便性を兼ね備えたモデルです。

専用スマホアプリと連携させれば、赤外線にしか対応していない家電にもLS Mini経由で命令が出せるようになります。アプリ自体ではその場で直接家電操作を行うだけでなく、タイマーを設定して自動で電源オン、オフを行うといった操作も可能で汎用性が高いです。またスマートスピーカーと組み合わせて、スマートスピーカー経由で複数の家電に命令を出せるようにもできます。

さらに、「AI(Adaptive Intelligence)」が搭載されているのも魅力です。LS MiniのAIでは室内状況を自己判断し、前もってエアコンを使って室内を涼しくしたり、逆に暖かくしたりといった操作を行ってくれます。

他にも複数台購入して電波の届く範囲を広めたりと、さまざまな使い方ができます。IoT住宅を手軽に実現したい方は、LS Miniを購入するとよいでしょう。

IoT住宅事例

ここからは、代表的な住宅関連メーカーのIoT住宅事例をご紹介していきます。

パナソニックの場合

パナソニックIoT住宅
パナソニックIoT住宅

家電メーカーの老舗であり、現在IT業界でも大きな存在感を示す「パナソニック」では、IoT住宅に関しても積極的な取り組みを見せています。

たとえばIoT電動窓シャッターを使えば、あらかじめ起床時間を設定することで自動でシャッターが開いて目覚められるようになります。またIoT機能つきの照明やエアコンは、スマホだけで一括操作ができます。

また住宅全体がインターネットに接続しているので、外部からさまざまな操作ができます。たとえば、電源を切り忘れた家電を外出先からスマホですぐオフにできます。また家の鍵を閉め忘れた場合はスマホ経由で「スマートロック」に命令を出して施錠する、といった操作が可能です。

さらに、HEMSとの連携も提案されています。HEMSは、災害時に電気を蓄えたりといった用途にも活用できます。そしてIoTと連携すると災害が発生したときデータを受信し、即時蓄電池への充電などを自動開始して万が一の事態に備えられます。

ちなみにパナソニックでは、上記の考えをさらに推し進めた「Home X」というシステムを開発しています。

Home XはIoT住宅にAIを組み合わせたシステムで、蓄積されたデータをもとに自発的にシステムが有効な提案を居住者に提示してくれます。たとえば洗濯機を使うときに洗濯物に対して最適な操作方法を提示してくれたり、残り物を温める際レンジが有効な温めモードを提示してくれたりと、その場その場でユーザーが欲しいと思えるような情報を提示してくれます。

ミサワホームの場合

ミサワホームIoT住宅
ミサワホームIoT住宅

建築事業だけでなく不動産事業、マンション分譲事業なども取り扱う「ミサワホーム」でも、パナソニックと同じようにIoT住宅に関する取組を進めています。

ミサワホームのIoT住宅では、

  • LinkGates
  • GAINET
  • ミサワでんき

上記3つのシステム・サービスが中心となっています。

「LinkGates」は、IoT住宅のメインコンセプトである生活利便性の向上を目的としたシステムです。

たとえば屋内・屋外にかかわらずスマホやタブレットでクラウドに接続し、クラウド経由でエアコンの温度調整、照明のオン・オフなどが可能になります。さらに家族の帰宅時にアラーム通知を受け取ったり、熱中症など室内の危険を通知したりと自宅の状況を把握できる仕組みも搭載されています。

「GAINET」は、災害時に活躍するシステムです。

計測部分で地震を感知し、揺れや被災のレベルなどがモニターで可視化されます。また外出で家にいないときも、クラウド経由で自宅のリアルタイム被災状況を確認できます。計測データはミサワホームにも送られ、万が一の際は復旧に関するサポートもすぐ受けられるのもメリットです。

「ミサワでんき」は、電力管理に関するサービスです。

消費電力をチェックしたり、省エネするためのアドバイスを受けたりと、ミサワホームの電力に関するさまざまなサポートが受けられます。LinkGatesの住まいのエネルギー管理機能と組み合わせれば、さらに効率よくエネルギーを使えるようになるでしょう。

IoT住宅を活用したサービス創出

IoT住宅分野では、他のサービスと連携させてさらなる利便性を住宅関係者に提供できないか研究する試みも進んでいます。そこでここからは、IoT住宅を活用したサービス創出事例として経済産業省が公開している2つのケーススタディをご紹介していきます。

防災・緊急時対応サービス

最近は火山の噴火、台風、地震など、さまざまな災害が日本国内で発生しています。被害を最小限に抑えるための計画策定を各企業や団体などが進めていますが、住宅メーカーでは居住者の安否確認など、災害時に必要となる作業に多くの手間やコストが掛かっているのがネックです。

そこで災害時居住者が適切に行動できるようになるとともに、住宅メーカーの災害時の手間とコストも削減できるようなサービス研究が行われました。

内容としては、

  1. Lアラート(災害情報発信等に関するシステム)から災害情報がHEMSに通知される
  2. テレビや照明などIoT機器に命令が伝送され、居住者に災害発生を知らせる
  3. 避難勧告が出た場合はHEMSが通知を受信し、避難情報が画面表示される
  4. 居住者が避難済み通知を行うと、住宅メーカー、自治体など関係者に通知が送られる
  5. 住宅被災状況などをシステムが判断し、危険時は継続して居住者に避難推奨を伝える
  6. 住宅メーカーや自治体に各住宅の被災状況が伝達され、復旧作業などの判断材料となる

といった流れで機能するサービスが検討されました。

結果としては

  • 災害情報伝達に関するサービスは、LアラートとHEMSの連携により現段階で実現可能
  • 安否確認に関するサービスは、HEMSと安否確認システムの連携などにまだ課題がある
  • 災害時のカスタマーサポートに関するサービスは、住宅状況を把握するシステム導入に関するコストダウンやルール策定などを行う必要がある

となっています。

全体的には実現はまだ先になりそうですが、LアラートとHEMS連携は今の時点で可能など希望的な観測も見られました。

今後は被災時以外でも地震保険や他IoTサービスなどと連携して付加価値を高めたり、地域の被災状況をビッグデータとして集め、共有・分析などに活用することなどが検討されています。将来的には、高齢者の安全確保などに有効なサービスとなるでしょう。

高齢者生活支援サービス

総務省統計局によると、2019年9月時点で高齢者の総人口は3588万人となり過去最多を更新しています。このように高齢化が進む日本社会では、高齢者に関するサポートコストの増大や介護サービスの不足などが課題になっています。

そこでIoT住宅により高齢者が体調を管理し健康に長生きできる環境を整え、介護関連のサポートを効率化できないか検証するためのケーススタディが行われました。

内容としては

  1. 住宅メーカーがIoT住宅を高齢者に提供
  2. 高齢者の体重、活動量などの体調に関するデータがクラウドに送信される
  3. クラウドとレシピ提案、食材配達、介護サービスなどが連携して必要なサポートを提供

といったようなサービスに関する検証が行われました。

結果的には

  • 高齢者からIoT住宅が必要なデータを取得するためには、将来性も考慮して設備更新やサービス追加などを行っていく必要がある
  • すべてのデータをクラウドに送るのではなく、必要なデータを取捨選択する必要がある
  • 高齢者の快適な生活のためには、IoTだけではなく対面などリアルの交流も重要である
  • AIやロボットなどを活用して、高齢者がサービスを使いやすい環境を整える必要がある

となりました。

今後は情報計測用のIoT製品の開発や高齢者にIoTシステムを含めたリフォームの提案、IoT住宅により団地の活性化を行うことなどが検討されています。

まとめ

今回はIoTとは何か、そしてIoTによりどう暮らしが変化するのかやケーススタディなどをご紹介してきました。

ITに関してはまず欧米が先行しそれに日本が続くというのが通例で、IoT住宅分野でも日本は欧米に比べて取組が遅れ気味なのが残念です。ただしIoT住宅に関する市場は冒頭でご紹介した通りにぎわっており、日本でもIoT住宅に関するサービスが続々登場しています。

政府が推進しているのも後押しとなり、今後は日本でも急ピッチでIoT住宅普及に関する取組が進んでいくでしょう。ぜひこれからも、IoT住宅に関する最新ニュースをチェックしてみてください。

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この記事を書いた人

QEEE編集部

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