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SFAとCRMの違いとは?それぞれの機能を比較して解説します

2021年03月10日

SFACRM

SFAやCRMのツールとして認知度の高いセールスフォースやハブスポットは、SFAとCRM双方の機能を有していますが、それぞれプランが分かれています。SFAとCRMはどちらも顧客情報を管理するので違いを明確に理解するのが難しいかもしれませんが、目的によって明確に使い分けるべきものです。今回はSFAとCRMの違いは何かを解説していきます。

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SFAとCRMの違い

SFAとCRMは、どちらも顧客情報を管理するツールであることからそれぞれの役割の違いを理解するのは難しいものです。さらに近年ではSFAとCRMを統合したツールが登場し、両市場の境界線を曖昧にしています。違いを明確にするにはまず、SFAとCRMの言葉そのものに着目してみてください。

SFA=Sales Force Automation / セールス・フォース・オートメーション
CRM=Customer Relationship Management / カスタマー・リレーションシップ・マネジメント

SFAとは「営業部隊の自動化」を意味し、CRMでは「顧客関係の管理」を意味します。このように、顧客情報を同じように管理していても、SFAとCRMには明確な役割の違いがあるのです。
それでは具体的にどのような違いがあるのかを整理していきましょう。

SFAとは

日本ではSFAを「営業支援システム」と呼ぶのが一般的です。ただし、これを日本企業の営業プロセスになぞって考えると「営業日報作成等をシステム上で行うためのツール」という誤解が生じるので注意してください。SFAは営業日報などの営業の事務処理を支援するためのものではなく、営業の非効率を解消し、営業パーソンが個別に抱えている顧客情報を企業資産として活用するものです。
SFAが誕生したのは、1990年代初期の米国です。当時はパソコンやサーバー等の小型化によりビジネスにおけるOA(Office Automation)化が急速に進んだ時代であり、次第に「営業プロセスの非効率さ」へ注目が集まるようになります。

また、営業パーソンが抱えている顧客情報は企業にとって大切な資産であるものの、それら情報が属人的に管理されていることへのリスクと懸念もありました。
これらの問題を解消することを目的としてSFAの概念は広まり、1993年にはシーベル・システムズ(後にOracleが買収)が初となるSFAを開発。当時こそ有用なツールとして見られなかったものの、2000年代には多くの企業がSFAに価値を見出し、Oracleに買収されるまでに約4,000社が利用するツールへと変貌しています。

時代の流れから考えるに、SFAはそもそも「営業プロセスの効率化」と「情報資産の統合的運用」を目的としたツールです。現在のSFAでは2つの根幹的な役割に多くの付加価値が加わり、営業プロセスの仕組み化を図ったり、営業パーソン同士の情報共有機能により組織的な営業活動を展開したりするためのツールとなっています。

CRMとは

日本と世界にCRMの概念が広まったのは1998年頃、総合コンサルティングファームのアクセンチュアが発表した著書「CRM―顧客はそこにいる (Best solution)」がきっかけです。本書は現在でもCRMの古典として親しまれ、多くの企業がその概念を参考にしながら今日の顧客関係を築いています。では、CRMとは具体的に何なのか?本書ではそれを、次のように説明しています。

“CRMは個別の顧客に対して個別的な対応を取ることで、活動の価値を高め、収益の幅とレベルを向上させようとするもの。”

引用 CRM―顧客はそこにいる (Best solution) 第236項

著者に未来を予知する力があったかどうかは不明ですが、情報通信技術の発達により顧客とのコンタクトポイントが激増した現代において、CRMの概念は非常に欠かせないものとなりました。そしてその概念をシステム上で実現するのが、ツールとしてのCRMです。
このためCRMの目的は「徹底した顧客視点」から企業と顧客の関係性を構築するために、あらゆる情報とコンタクトポイントを管理します。情報は定量的にデータベース化され、コンタクトポイントの統合を図ることで一貫性のあるカスタマーサービスを提供するのです。最終的にはマーケティング活動に紐づけることで、個別最適化されたサービスへと昇華させていきます。

SFAとCRMの機能

SFAとCRM、両ツールの機能からそれぞれの違いを知ると、その役割が浮き彫りになっていきます。また、なぜSFAとCRMを統合したツールが多くなってきているかも自然と知れるでしょう。それではSFAとCRMの機能的違いを整理していきましょう。

SFAの標準的な機能

顧客管理

SFAの顧客管理機能では様々な情報をシステム上に登録し、それらの情報は全て営業組織内で共有されます。これは現代ビジネスにおける営業パーソンの役割が、個々に業績を競うものではなく組織的な営業プロセスにより効率性と利益を最大化するものへと変化しているからです。では、具体的にどのような情報を管理するのか?

<SFAで管理する顧客情報>
営業先担当者の氏名
担当者の連絡先及び名寄せ
担当者の役職や決裁権の範囲
決裁権を持つ人物
担当者との商談履歴
案件の具体的な内容
営業先が抱えている課題(健在的・潜在的)
自社プロダクトへの興味及び関心
営業パーソンの所見
営業マネージャからのコメント

案件管理

営業先ごとの案件内容と、進捗状況等を管理するための機能です。また、この機能を中心に営業パーソンや営業マネージャとコミュニケーションを図り、次のアクションについて共に考えていきます。旧来の営業プロセスでは案件内容等が不透明だったことから適切なコミュニケーションが取れず、故に営業パーソンの成長も鈍いものでした。営業育成の観点からこの機能をフルに活用することで、効率的に優秀な営業パーソンを育てることにも繋がります。

行動管理

営業パーソンは自己分析を行い、営業マネージャは部下のパフォーマンスを管理する。行動管理では営業パーソンが1日ごとにどのような行動を取ったのかを管理し、アポイントや訪問数、商談やクロージングの回数などを定量的に管理することで全体としての受注率などを導き出すことができます。各要素を細かく観察しながらKGIとKPIを適切に設定し、営業パーソンごとの活動をデザインしていく機能です。

営業予算・実績の管理

組織的な営業プロセスが必要とされているとは言っても、営業パーソンごとの評価を下すにはやはり予算に対する実績の割合が一番の参考になります。また、営業組織全体としての目標を個々の目標へと落とし込んでいくにあたり、整合性を取るためには営業予算と実績の管理機能が欠かせません。営業パーソンにとって納得感のある予算設定と実績の明確化は、モチベーションアップの強い要因になります。

日報管理

営業日報を「日本企業の悪しき風習」として不要なものと断言する営業コンサルタントは、確かに存在します。しかしながら日報作成によって顧客との関係性構築・維持を達成している企業が存在することもまた事実です。日報管理機能は企業によって要不要が分かれますが、必要な場合は日報作成やそれに対するコメントをシステム上で行えることで、上司と部下のコミュニケーション円滑化に役立ちます。

スケジュール管理

人間は管理されることを嫌う生き物です。そのため、スケジュールを100%管理されることに抵抗感を持つ営業パーソンも存在します。しかしスケジュール管理は営業パーソンを監視するための機能ではなく、組織内で個々のスケジュールを共有することで、コミュニケーションを円滑にするのが目的です。スケジュールを共有することはデメリットよりもメリットの方が圧倒的に多いので、積極的に活用したい機能の1つでしょう。

データ分析

SFAのデータ分析では主に、営業パーソンの予算や実績、あるいは行動などから得られた定量的データからレポートを作成する機能です。これまでの営業プロセスの「何が良かったのか?」あるいは「何が悪いのか?」を定量的に分析することで、次に取るべきアクションの課題が見えてきます。

CRMの標準的な機能

顧客管理

SFAの顧客管理機能では属性情報などを管理するのが基本でした。これに対してCRMの顧客管理機能では、属性情報などの定量的なものに加えて、顧客の定性的な情報なども管理します。その中心になってくるのが「カスタマーサービスにおける対応履歴」です。
顧客が何を求めて自社に連絡したのか?それに対してどのような対応を取ったのか?などを情報としてまとめ、顧客情報へと紐付けます。コンタクトポイントごとに分散していた情報を統合することで、サービス全体を通じた顧客の統合化を図り、一貫性の高いサービスを提供しながら顧客満足度を高めていきます。
CRMは今や非常に幅広い概念になっているため、ツールごとに提供される顧客管理機能は異なります。また、BtoC向けのCRMでは顧客の属性情報からネット上での行動履歴なども管理しながら、マーケティング施策へと反映させていく機能があります。

メール配信、プロモーション機能

既存顧客に対するマーケティング施策では今でもメール配信が基本です。CRMでは全顧客への一斉配信はもとより、メールマガジン配信や個別のメール配信にも対応しています。また、MA(Marketing Automation)ツールとの連携により、ステップメールなどより高度なマーケティング施策が可能です。

キャンペーン管理

製品やサービスの様々なキャンペーンを打ち出す中で、その告知と効果測定が可能です。高度な機能によって顧客ごとにキャンペーンの告知方法を選択し、告知内容を変更することもできます。キャンペーンを通じて実際にどれくらいの反応があったか、キャンペーン経由での売り上げはどれくらいかを測定することで、次のアクションに繋がるような知見を得てみましょう。

ソーシャルメディア連携

FacebookやTwitter等のソーシャルメディアは、もはやマーケティング領域で欠かせないツールです。多くの企業や消費者はソーシャルメディア上での情報収集を行い、コンタクトを望んでいます。情報収集にけるスマートフォンの平均利用時間は1日あたり126.6分であり、サービスをソーシャルメディア・検索エンジン・メディアに分類すると利用率はいずれも75%を超えることが、Glossomデータインサイトラボの調査※で判明しています。ソーシャルメディアの連携により大々的なマーケティングを実施しながら、反応をつぶさに観察できます。

※スマートフォンでの情報収集に関する定点調査2020(Glossom株式会社)
https://www.glossom.co.jp/news/5f169519.html

顧客サポート機能

この機能ではアンケート調査の実施や集計を行いながら、顧客が自社の製品やサービス、あるいは企業そのものに抱いている所感などを知ることができます。また、CRM分析と合わせてアンケート結果を用いることでより深いインサイトを得ることができ、顧客との関係性構築に大きく寄与します。

データ分析

顧客との関係性構築・維持を成功させる要になるのがCRM分析です。これはビジネスを通じて得られるあらゆるデータを分析し、結果と原因の関係性等に関する知見を得ることでマーケティングの個別最適化に活用します。マーケティング要素の強いCRMではソーシャルメディアやブログ、ランディングページなどチャネルごとのデータ分析が可能であり、各マーケティング施策の最適化にも有効です。

まとめ:SFAとCRMどちらを使うべきかの判断ポイント

ここまで解説したように、SFAとCRMには明確な違いがあります。それぞれの役割を理解し、自社にとって必要なツールは何かを見極め導入することが、ビジネスの成長性向上へと繋がるでしょう。とはいえ、SFAとCRMのどちらを使うべきかの判断はなかなか難しいものです。選定を誤れば、現場に混乱を招く結果にもなりかねません。そこで、3つのシーンからSFAとCRMの使い所、判断ポイントをご紹介します。

営業活動の効率化、ボトムアップはSFAが必要

自社のビジネス構造を分析し、現状として「営業プロセスに問題がある」と判断した場合はSFAが必要になります。前述のようにSFAは営業プロセスの効率化と情報資産の集約・共有を起点にしながら、営業組織と営業パーソンを支援する機能が盛り込まれています。
また、ボトムアップ式の営業プロセスを構築したい場合にも有効です。一般的な営業組織では、売上高に対するトップの意見があり、それを基にしながら予算案が編成され、営業パーソン各人の目標へと落とし込まれます。これには「営業現場の現状が見えていない」ケースも多々あり、それが個々のパフォーマンスに悪い影響を与えることも。ボトムアップ式の営業プロセスでは「営業パーソンの頑張りがあって売上が成り立っている」という考え方から、営業現場の実態を常に把握しながら将来的な予算案などを編成していきます。これを実現するには「誰が」「いつ」「何をして」「何に貢献し」「どれくらいの売上を上げているか」を明確にできるSFAが欠かせません。

顧客データを幅広く使いたい場合はCRM

顧客データを扱いたい部門は営業だけではありません。今では組織全体が一貫性のある顧客データを参考にしながら、部門ごとのプロセスを最適化することが重要だと考えられています。古くからある「お客様は神様」という精神論的な話でビジネスを進めるのではなく、データに裏付けされた顧客の意思や要求を汲み取り、それらを組織全体が活用することで本当の意味での「顧客至上主義」を実現できます。
さらに、部門横断的に統一された顧客データを扱うことで一貫性の高いサービスを展開でき、顧客視点から見てより価値の高い製品やサービス、企業として映ることでしょう。

統合型ツールで一貫したCXを提供する

今日の企業・消費者は、卓越したCXを常に求めています。自身にパーソナライズされた情報・製品・サービスこそが欲しているものであり、企業はそれらの要求へ最大限応えるためにSFAとCRMの統合型ツールという手段を持ち合わせています。
オープンソースCMSを中心としたクラウドサービス事業を展開するアクイアの最新調査※によると、消費者の34%が以前よりもオンラインでの購入が増えたと回答し、マーケターの53%は消費者コミュニケーションのパーソナライズが最優先課題と回答しています。オンラインを巻き込んだCX改善は喫緊の課題であり、これからの企業が目指すべき姿でもあります。SFAとCRMを統合したツールではそれぞれの役割を果たしながら相互補助の関係を築き、さらにはMAツール等と連携することで一貫性のある素晴らしいCXが実現可能です。

※CXトレンドレポート(日本語版): ニューノーマルな時代に求められる、デジタル・カスタマーエクスペリエンス
https://www.acquia.com/jp/resources/ebooks/cx-trends-report-japanese-edition-digital-experiences-disruptive-times

SFAとCRMの今後の流れとしては、恐らく両市場の境界線がより曖昧になっていくと考えられます。その時、企業は何を選べば良いのか?まずは自社ビジネスにおいて何が重要課題なのかを明確にし、課題解決のアプローチとしてデジタル技術をどう活用できるのかを考えてください。その上でSFAとCRMの各種ツールの機能を洗い出し、自社にとって欠かせない要件を定義していきましょう。そうして「SFAか?CRMか?」の焦点から、「自社をより成長させるツールは何か?」の焦点へとシフトさせることで、より正確な目利きを身につけていただきたいと思います

この記事を書いた人

QEEE編集部

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