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CRM分析とは?必要性と代表的な顧客分析手法を解説

2021年03月03日

CRM分析

本記事ではCRM分析によって顧客との繋がりを深め、事業成長に向けたCRM分析実践の効果について解説しています。皆さんは自社サービスや製品を利用している顧客のことをどれくらい理解しているでしょうか?顧客理解はビジネスの初歩であり、経済構造が大きく変化していこうとしている現代社会において欠かせない要素です。CRM分析を行うことでこれまで知り得なかった顧客のニーズや本音を定量的に把握できるようになります。そして、CRM分析の先に何が待っているのか?「分析」という言葉を聞いただけで難しく感じてしまう方も、この機会にぜひCRM分析の概要について知っておいてください。

CRM分析とは

そもそもCRMとは「Customer Relationship Management」を意味し、意訳すると「顧客との関係性を管理する」ことです。では、「分析」とは何か?これはビジネスを通じて得られる定量的なデータを細分化したり分類したりすることで、同時に発生する事象の発見や、原因と結果の関係性などについて知ることを意味します。

要するにCRM分析というのは、顧客との関係性を維持・向上するために顧客データを分析し、顧客理解に努めてより良いサービスや製品を作り出しながら新しいコミュニケーションの形を築き上げるための取り組みだと言えるでしょう。

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CRMの目的

CRM分析がなぜ必要なのか?ここで1つ、信頼性の高いデータをご紹介します。米シリコンバレーに本拠を構えるZendeskが実施した『Zendeskカスタマーエクスペリエンス傾向分析レポート 2020年版』※によると、特定のブランドや企業に愛着を持っている顧客は74%存在し、また顧客の52%が労力を惜しまずにお気に入りのブランドから商品を購入すると答えています。

このデータが意味しているのは、顧客との関わりを深めるほど競合他社に対する優位性が高まり、LTV(顧客がもたらす生涯的な価値)の増加が期待できるということです。この点を踏まえ、CRM分析の目的を以下にまとめました。

※Zendeskカスタマーエクスペリエンス傾向分析レポート 2020年版
https://www.zendesk.co.jp/blog/zendesk-customer-experience-trends-report-2020/

顧客ロイヤリティを高める

顧客ロイヤリティとは顧客が自社サービスや製品、あるいはブランドそのものに対して抱く愛着心であり、これが高いほど市場での優位性を保てます。顧客ロイヤリティの向上にはまず企業自身が顧客を理解する必要があり、CRM分析はその足がかりになります。ただし、CRM分析を実施したからといって顧客ロイヤリティが高まるのではなく、顧客について理解した上で新しい施策を講じることが顧客ロイヤリティの向上に繋がるという点に注意が必要です。

リピーターを増やす

新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストに比べて5倍かかるという通説があります。また、顧客離れを5%改善すると利益が最低でも25%改善されるという通説もあります。
それらをもとに考えれば、リピーター増加がどれほど重要な課題なのかは明白でしょう。CRM分析により顧客を理解し、顧客ロイヤリティの向上に成功すればリピーターは自然と増加します。また、なぜ顧客離れが起きるのかの要因を知り、分析と改善活動に取り組むことでもリピーターを増やすことができるでしょう。

顧客単価を上げる

リピーターを増やすことと同様に顧客単価を上げることは重要な課題ですが、そのためには顧客が何を求めているのか、「真のニーズ」を見極めるのが不可欠です。営業担当者に対し顧客が本音を打ち明けていない可能性は多分にありますし、顧客との対面が少ないサービスではニーズを掘り下げるのはより難しいでしょう。そこでCRM分析を通じ、顧客の真のニーズを見極めることで有効的なクロスセル・アップセルを展開でき、顧客単価増加に貢献します。顧客自身が気付いている顕在的ニーズと、顧客すら気づいていない潜在的ニーズのどちらも掘り下げられれば、CRM分析の価値は増大するはずです。

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CRM分析で知るべきこと

CRM分析はその名に「分析」と付いているのですから、定量的なデータをかき集めてふるいにかけ、細分化や分類を実施することで多様な事実を発見できます。ここで大切なのは、「CRM分析を通じて何を知るべきなのか?」を理解することです。
分析というのは霧の中において手探りで目的の物を探し出す作業と似ているので、明確な道標が無ければ見つからないどころか、間違った物を掴んでしまう可能性があります。CRM分析を始める前には必ず、「我々はCRM分析を通じて何を知らなければならないのか?」を理解してください。

顧客群を細分化し違いを知る

サービスや製品を大々的に展開している企業の場合、全ての顧客の属性情報を整理して細分化するのは現実的に考えて不可能ですし、手間の割に有効な知見が得られない場合があります。そこでCRM分析では、「顧客群」を細分化してグループごとの違いを知るところから始めます。細分化の方法は多数あり、単純に事業規模等で分ける方法や自社利益に対する貢献度で分ける方法などがあります。ポイントは「分析の先に何を見込んで細分化するのか?」を考えることです。

自社利益への貢献度を単純に細分化したとして、そこから得られた知見を新しいアクションへと繋げなければ全く意味がありません。分析の結果を常に次のアクションへと落とし込んでいくことが、CRM分析によって事業成長するキーファクターとなります。

コミュニケーションの量を最適化する

顧客とのコミュニケーションは事業成長のために欠かせない要素であり、かつ優良顧客を生み出すための貴重なツールです。しかし見方を変えると、過度に関わろうとすることで顧客によっては疎まれる可能性もあります。ですので、顧客ごとに「最適なコミュニケーションの量」を測定することもCRM分析の役割の1つと言えるでしょう。

顧客と自社にとって心地良いコミュニケーション量を把握すると、より高い信頼感が得られるようになりますし、自社ブランドに対する愛着心が持たれやすくなります。特に近年では、企業の購入意思決定プロセスの大部分がインターネット上で完了する時代と言われており、適度な量と適切なタイミングのコミュニケーションが強く求められています。

CRM分析を始めるには

いざCRM分析を始めるとしても、何から手をつけて良いか分からない場合「顧客データを集める」ことから始めます。データがなければ当然ながら分析も不可能です。
その際は定量的なデータだけでなく、顧客ごとのサービス・製品購入目的や営業を通じて知り得たニーズなど定性的なデータも収集しておくと良いでしょう。CRM分析では基本的に定量的なデータを扱いますが、NPS(ネット・プロモーター・スコア)のように定性的なデータを使った分析も時には必要になります。

顧客データベースを整える

次のアクションは「顧客データベースの構築」と、収集した顧客データを入れながら整えることです。顧客データベースの構築は、最初は簡単なもので構いませんしエクセルをデータベース化する企業もあります。ただし、エクセルでは格納できるデータに限りがありますし、データが増えるほど動作が非常に重くなり実用的でなくなる等の問題が発生することから、少なくともアクセスなどのツールを活用した顧客データベースの構築をお勧めします。

また、顧客データベースを整える際は「データ項目」にも留意が必要です。性別や年齢などの顧客属性情報と、購買履歴や購入金額などの定量的情報、そして嗜好などの定性的情報を紐付けることで有効なカスタマーインサイトが取得でき、CRM分析に役立ちます。
どのようなデータ項目が必要になるかは、ビジネスモデルや提供するサービス・商品によって異なるのでその点にも留意してください。データ項目の組み合わせによって導き出される結論は大きく変化するため、最初にCRM分析の目的を明確にするのがベターでしょう。

CRMツールでデータ収集・管理する

CRM分析を行うにあたり最も効率的なのが、「CRMツールの導入・活用」でしょう。新しいシステム導入になりコストはかかりますが、顧客データを収集・管理する工数が大幅に簡略化されることから利用価値は大いにあります。また、高度なCRM分析を実施するにはやはりCRMツールの存在が不可欠であり、多様なツールと連携させることで分析から具体的なアクションへの落とし込みを迅速化できるメリットもあります。データの管理方法も容易になりますし、クラウドサービスを選択すればストレージを用意する手間も省けます。

CRMで使う顧客分析手法

ここからはCRM分析にてよく使用する顧客分析手法をご紹介します。主な手法としては「RFM分析」「CPM分析」「デシル分析」「CTB分析」「セグメンテーション」の5つであり、それぞれの概要を確認していきましょう。

RFM分析

顧客ロイヤリティや自社利益への貢献度等を定量的に表すRFM分析では、3つの指標を掲げて各指標における顧客のスコアリングを行います。その結果から顧客群を細分化し、複数のセグメントを作成してそれぞれに別々の施策を展開するというのが大まかな流れです。

Rは「Recency(直近の購入日)」、Fは「Frequency(購入の頻度)」、そしてMは「Monetary(購入した金額)」をそれぞれ表しています。単純な話で言えば、RもFもMも高いスコアを叩き出した顧客は自社にとっての最優良顧客となるわけです。逆にいずれのスコアも低かった顧客は自社ブランドに対するロイヤリティが低く、積極的にセールスをかけるべきではない顧客として分類されます。もちろん、あくまで定量的な面から見た話なので、過去の失注案件から優良顧客に繋がるケースということもあります。

RFM分析のポイントは「細かすぎるスコアリングを行わないこと」です。例えば各指標において10段階でスコアを付けた場合、10の3乗で1,000通りの顧客セグメントが出来上がります。これに対し1,000通りのアクションを用意できるかというと、やはり不可能でしょう。このためスコアリングはある程度シンプルに行い、他の顧客分析手法を組み合わせながら正しいセグメントを作っていくことが大切です。

CPM分析

「Customer Portfolio Management」の略であるCPM分析。「Portfolio(ポートフォリオ)」とは本来、書類入れや折りカバンを意味する言葉でそこから転じてクリエイターが実績をアピールするための作品集や、金融商品の組み合わせなどを意味します。顧客分析手法としてのCPMは、購買データを中心に顧客を分類し、あらかじめ設定したグループごとにマーケティング等の施策を展開する手法です。

CPMと切り離せない概念が「Customer Nurturing(顧客育成のためのプロセス)」であり、CPM分析によって得られた知見をもとにしながら、「既存顧客をいかにして優良顧客へと引き上げるか?」のアクションを検討します。

RFM分析との類似点が多いので混同されがちですが、RFM分析では上位優良顧客を確定してそれらの顧客に対して積極的にセールスを仕掛けていくための分析手法という側面が強くあります。一方で、CPM分析では顧客が優良か否かに関わらず、それぞれのステージごとに個別のマーケティング施策を用意し、いずれの顧客に対してもセールスの可能性を捨てない分析手法だと言えます。

デシル分析

RFM分析とCPM分析に続き、顧客の購買データをもとに分類する顧客分析手法がもう1つあります。「デシル(Decil)」はラテン語で10分の1を表し、デシメートル(dm)やデシリットル(dl)の語源でもあります。要するにデシル分析は購買データをもとにしながら顧客全体を10のグループで括り、グループごとの利益貢献度を知るための分析です。

例えば顧客が1,000社あれば1グループに対し100社分類し、購買データをもとにして購入金額が高い順に顧客を整理します。グループごとの売り上げ貢献度などを知り、自社にとっての優良顧客群を把握します。ただし、長期間の購買データを基にして分析すると、過去に一度だけ高額購入したがそれ以来取引がない顧客等が含まれる可能性があり、正確なデータが測れません。あくまで直近の購買データから優良顧客を導き出すための顧客分析手法とお考えください。

また、デシル分析はRFM分析の簡易的な分析手法といった位置付けなので、RFM分析を徹底している企業においては活用意義はあまりないと言えるでしょう。

CTB分析

CRM分析を通じて顧客を理解するためには、「顧客がこれから何を買おうとしているのか?」を高い精度で予測し、ニーズを知る必要があります。Cは「Category(商品のカテゴリ)」、Tは「Taste(色やサイズなどのテイスト)」、そしてBは「Brand(ブランドやキャラクターなど)」を意味しており、3つの指標を軸にしながらその顧客が将来的に何を購入するのかを予測していきます。
一般的なCTB分析はウェブマーケティングにおけるペルソナ(ターゲットとなる具体的な顧客像)の高度化や、商品企画や流通への情報反映による最適化などに活用されます。一方で、既存顧客に対してはCTBの3指標を軸にして過去にどのような取引があったかを整理することで、顧客のニーズを掘り下げるなどのシーンで活用できます。

このため、CRM分析にCTB分析を用いる際は提供しているサービスや商品などの商材が多い企業にて、それらの商材を横断的に分析することで価値ある知見が得られることでしょう。

セグメンテーション

最後に、CRM分析およびマーケティングの基礎となるセグメンテーションをご説明します。「セグメント(Segment)」は全体からくり抜かれた1つの部分を意味し、ビジネスでは様々なデータ軸から分類された顧客群を指します。つまりセグメンテーションは、顧客全体から複数のセグメントを作成するための手法ということです。
上記にご紹介した4つの顧客分析手法を使ってセグメントを作成することも可能ですし、あるいは以下に挙げる要素からセグメントを作成することもできます。

  • ジオグラフィック変数
    在住(所在)している地域、地方、気候、人口密度、文化、週間、宗教などの地理的要素
  • デモグラフィック変数
    顧客の年齢、性別、職業、給与、家族構成、世帯規模、学歴などの属性的要素
  • サイコグラフィック変数
    顧客の価値観、社会階層、ライフスタイルなど心理的要素
  • 行動変数
    サービスや商品を使用する場面、利用頻度、購入金額、知識の有無などの行動的要素



セグメンテーションは基本的な顧客分析手法ですが、シンプルなだけに奥が深く、様々な要素を組み合わせることでたくさんの知見が得られる利点があります。その反面、分析の目的を明確にしていないと間違った知見を得る可能性が高いため、分析前にしっかりとした指針を作っておくことが肝要です。

CRM分析についてのまとめ

CRM分析を通じて顧客ロイヤリティの向上やリピーター・顧客単価の増加を目指すにあたり、1番大切なことは「顧客を理解したい」と渇望する気持ちと、自社ビジネスに対する「熱意」です。単に自社の利益を追求するのではなく、自社サービスや商品が顧客に対して何を提供できるのか?顧客のどんな課題を解決できるのか?を熟考し、その意義と社会的責任についても考えなければなりません。これらの要素が一体化してこそ、CRM分析による恩恵を最大限受けることができるでしょう。

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