コラム

スマート工場とは?IoT・AIを工場で活用するメリットと課題

2021年02月01日

IoTAIスマート工場

スマート工場とは工場の設備や機器をコンピュータネットワークにつないで制御や自動化された工場で、生産性や品質の向上のほか製造におけるさまざまな課題の解決を目指すものです。労働力人口が減少し、技術の継承者も不足するなかで、IoT(モノのインターネット)やAIなどの最新技術を活用して新たな価値を作り出せるスマート工場について解説します。

スマート工場とは

スマート工場とは、IoTで工場の設備や機器、工場同士をコンピュータネットワークにつなぎ、工場の生産ラインをより効率的で、クオリティにも優れた製品の生産を実現する考え方です。機器やロボットにセンサーを付けてデータを収集し、コンピュータで解析してロボットや機器を制御することで、自動化します。AIによって高度な判断可能となるなど、ここ数年でスマート工場に関する技術はさらに進化しています。

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スマート工場という言葉は、元々はドイツで生まれた「インダストリー4.0」と呼ばれる国家プロジェクトから派生しており、今や日本を含め世界的に注目されています。

インダストリー4.0とは

インダストリー4.0とは、ドイツが自国で「第四次産業革命」を起こすことを目標に掲げたことから始まったプロジェクトです。

2011年に初めて提唱されたインダストリー4.0は、製造業のオートメーション化、つまり機器やロボットをコンピュータで自動制御して工場内において人手を必要としないスマートファクトリーが要となっており、これが日本でのスマート工場の考え方へとつながっています。

インダストリー4.0は、生産と生産に不可欠の物流をデジタル化し、コスト削減や故障予知などの予防保全、製造業において高付加価値を生み出す生産方式の洗練化などによる生産性の向上を目指しています。

これらの実現のためにIoTやクラウドコンピューティング、AI、ビッグデータ分析、CPS(サイバーフィジカルシステム)などでの製造業への実用化などがインダストリー4.0を推進する技術群になっています。

工場へのIoTを導入がスマート工場の第一歩

スマート工場の実現において重要なのが、IoTの導入による情報通信環境の整備です。工場内のラインや機器、工場間をインターネットで接続することで、ロボットのパフォーマンスもリンクさせ、無人で無駄のない生産ラインを実現します。

そのためスマート工場では、IoTを用いたデータ収集が重要です。センサーなどからインプットしたデータをもとに、さらなるパフォーマンスの改善や、ファクトリーオートメーション(FA)の実現を促せるようになります。

こうした仕組みを、IoTプラットフォームとして提供する事業者も増えています。

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ビッグデータ、AI、ロボットの活用

IoTによって獲得したデータは、ビッグデータとして記録され続けます。
ビッグデータはそのままではただの大容量データにすぎませんが、これをAIで分析し、有用なデータとして活用できるようになります。

AIによって得られた情報は、ロボットの運用に使用されます。これまでは人力でパフォーマンスの評価とフィードバック、そして業務改善を行っていたのが、全てこれらの技術によって自動化されます。

スマート工場化のメリット

スマート工場を実現することで、製造業界は様々な恩恵を受けられるようになります。

柔軟な計画変更

生産ラインの停止や生産計画の変更には事前の調整が必要ですが、スマート工場のあらゆる生産ラインはネットワークで一元的に管理されるため、意思決定が速やかに実行されます。

多くの工場を抱えていても、一斉にコントロールできるようになるため、速やかな生産計画を実現できます。

データに基づいたリソース配分

スマート工場では生産ラインの稼働状況や人員の配置、生産量やスピードなどをIoTの力でビッグデータとして記録できます。

蓄積したデータを分析し、必要なラインに必要なだけの人員を配置したり、電力などの使用に無駄がないかなど、さまざまなリソースについて、最も効率よく稼働する配分へと最適化が可能となります。

スマート工場は単に工場の無人化を進めるだけでなく、限りある資源の有効活用も促進してくれるのです。

技術や知識のデータ化

熟練の作業員やエンジニアの存在は頼りになりますが、個人のスキルレベルは客観的には把握し難いものです。

スマート工場では彼らの能力についても数値化し、パフォーマンス向上に向けたノウハウやデータの共有に活用してくれます。

熟練技術者のスキルがデータによって可視化されれば、技術の継承も容易になり、ロボットのパフォーマンス改善にも応用されるため、技術者不足や熟練者不足の解消につながります。

異常検知や予防保全

スマート工場においては全ての生産ラインやシステムがオンラインでつながっているため、異常が発生した場合に速やかに検知し、被害の拡大を最小限に留められます。

機器の故障・異常を事前に予防することも、自動化した生産ラインにおいては重要です。センサーのデータを解析し、AIに学習させるなどで、人間では気づかないレベルで予防保全に取り組めるため、インシデントの発生を抑えられます。

スマート工場化のステップ

スマート工場はすぐに実現できるものではなく、段階的にシステムを導入し、工場のスマート化を進めていく必要があります。
スマート工場実現に向けて必要なステップについて、ご紹介します。

可視化(データ収集)

スマート工場がまず必要とするのは、データです。生産ラインや工場の各エリアにIoTセンサーやカメラなどを取り付け、工場内のアクテビティを全てデジタルデータとしてインプットできる環境が基本として求められます。

工場内のアクティビティをデータで見える化することにより、どんな業務に課題があるのか、無駄や負担の大きな時間帯や生産ラインはどこなのかといった、問題発見の糸口がつかめます。

分析

また、収集したデータを利活用できるよう、AIの導入などビッグデータ分析を進められるシステムも重要です。

データを集めただけでは、工場のパフォーマンス向上は進みません。クラウド上にデータを集積し、AI分析にかけることで、有効なロボット運用などの糸口を掴めるようになります。

制御

分析結果から、AIは実際に生産ラインで活動するロボットの制御を実行します。データ収集、分析、実行(制御)という一連のルーティンが完成することで、あとはシステムが自動的に生産ラインをコントロールしてくれるようになります。

何らかの不具合が発生した際も、普段のパターンとの違いを速やかに検知し、リアルタイムでシステムを停止、トラブルシューティングに動いてくれます。
ここまでくると、工場の無人化も大いに進むでしょう。

最適化

スマート化によって組み上げられた生産システムは、完成後もアップデートを繰り返し、さらなるパフォーマンスの改善に取り組みます。

例えば異常が発生した場合には、なぜその異常が発生したかの原因究明と、そのようなトラブルが二度と起こらないようにするにはどうすればいいかを検討できます。

今はまだ全てのトラブルシューティングを自律的に行うことは難しいのですが、速やかに新しいシステムを構築し、ミスのない生産ラインを実現してくれます。

また、日々の生産システムにおける無駄の見直しも進められるので、使用するごとにパフォーマンス改善の余地を見出す可能性も高まります。
使えば使うほど、より優れた生産性をもたらしてくれるのも、スマート工場の魅力です。

スマート工場化の課題

このようなスマート工場を実現するためには、いくつかの課題も乗り越えなければいけません。インフラ構築と人材不足という課題は中小レベルの製造業には重くのしかかりますが、政府の援助などを活用しつつ、導入を進めましょう。

インフラ構築

スマート工場の実現には工場のデータ化が必要ですが、データをインプットするためのセンサーやAIの導入には費用がかかります。

工場が大きければ大きいほどコストも膨らむため、初期の導入費用が最も大きなネックとなるでしょう。

人材不足

また、新しいシステムの導入となると、データサイエンスやAIに強いエンジニア人材も必要になります。

多くの業界がAIやIoT人材を必要としている今、これらに強いエンジニアの存在は貴重です。育成にも時間と費用がかかるため、どのようにして優秀な人材を招き入れるかがポイントとなるでしょう。

まとめ

スマート工場はドイツで生まれた考え方ですが、少子高齢化が進むにつれ、今や日本国内においても重要な製造業におけるソリューションの1つです。

工場の無人化が進めば、生産性の向上と人件費・維持費の減少も見込めるため、大きなコストパフォーマンスの改善も見込めます。課題をうまく解決しながら、導入できるのが理想的です。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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