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今こそ考えたい健康経営とは?先進事例や具体的な実施の流れを解説

2020年11月27日

健康経営ヘルシーカンパニー

働き方改革が謳われるようになったことからも分かるように、日本において「労働」に対する価値観は変化しつつあります。様々な法整備が進み、企業に対してより従業員の健康維持を求める風潮になりました。しかしながら、どのような取り組みをすれば良いかわからないためにとりあえず健康診断だけ行っている、といった企業も多いのではないでしょうか。

健康経営に対する取り組みは、従業員の健康維持以外にも様々な利益を生みます。そこで今回の記事では、健康経営の基本的な知識や先進事例、具体的な実施の流れを解説していきます。従業員に対する健康への取り組みについて今一度考えるきっかけになれば幸いです。

健康経営とは

健康経営とは「従業員の健康管理を経営的な観点から考えて、戦略的に実践すること」を表わしており、離職率の低下や医療費負担の低減などといったリターンが得られる経営手法として注目を集めています。

  • 従業員のストレス耐性の調査結果が低い
  • 離職率が高い、常時人材不足に悩んでいる
  • 体調不良の人や遅刻、欠勤、早退の人が多い
  • 残業や休日出勤が多い
  • 有給取得率が低い


もしも現在上記のような課題を抱えている企業は今すぐにでも健康経営について真剣に検討した方がよいかもしれません。というのも、人財である従業員が心身ともに健康的でなければ、業績悪化にも繋がりかねないからです。

なぜ健康経営が注目されるのか

なぜ、従業員の健康が業績を左右するのでしょうか。健康経営が注目される理由を見ていきましょう。ここでは2つを取り上げます。

アメリカで提唱された「ヘルシーカンパニー」とは

健康経営という考え方はアメリカの経営学と心理学の専門家であるロバート・ローゼン氏によって提唱された「ヘルシーカンパニー」に由来しています。
ローゼン氏は自身の著書のなかで、心身ともに健康的であればあるほど仕事に対するモチベーションや生産性が高く、離職率や企業による医療費負担が少ないという分析結果が提示しました。つまり、健康的な従業員が収益の高い企業を作るという思想を提唱したのです。こうした流れを受けて、従業員の健康維持に取り組むことで企業の発展や成長に貢献する手法として健康経営が広まるきっかけとなりました。

日本社会の変容に対応するために重要視されている

アメリカから生まれ広まった健康経営の考え方は、日本社会の状況や労働に対する価値観の変化も相まって国内でも注目を集めています。

まず1つ目が労働人口の減少が挙げられます。人口減少によって企業側の雇用者も減り、少数精鋭で効率的な業務の遂行が求められるからです。人材不足に陥れば、いま働いてくれている従業員を大切にせざるを得ません。

2つ目が労働に対する価値観が変化しつつあることです。昨今ではワークライフバランスやダイバーシティが着目されています。こうした社会的な意識が変化したことにより、従業員の健康管理の義務化、政策や法整備も進んでいます。

健康経営で得られる効果

重複する箇所もありますが、改めて健康経営がどのような効果をもたらすのかを具体的に見ていきましょう。ここでは4つを取り上げます。

業務効率の改善

1つ目が業務効率の改善のためです。企業が率先して従業員の健康増進に取り組めば、従業員の疾病リスクの軽減やパフォーマンス低下の改善を行うことができます。従業員の健康管理を行うことは業務効率や生産性向上に貢献します。

企業イメージの向上

2つ目が企業イメージの向上のためです。企業として健康経営を推進していることを外部に発信することで、従業員の健康に配慮できる企業だという認知やイメージを拡大できます。延いては、こうした取り組みによって優秀な人材が集まりやすくなります。

離職率の低下

3つ目が離職率の低下のためです。多くの業界で人材不足が嘆かれる中、健康経営は企業における重要な課題の一つとなりました。健康経営によって、従業員の身体・メンタルの失調や不調を防ぐことは離職率の低下にも貢献します。

医療費の適正化

4つ目が医療費の適正化のためです。従業員やその家族の健康に気を配れることで医療費の削減を図ることができるため、企業が取り組むべき課題となっているのです。

健康経営に取り組む際の注意点

健康経営を進めるにあたっての注意点について見ていきましょう。事前準備を怠ると、以下のようなデメリットが顕在化してしまうので注意しましょう。

不公平感によるモチベーションの低下

1つ目が不公平感によるモチベーションが低下してしまう可能性があることです。健康経営のために禁煙成功者や減量成功者など、一部の人にのみ何かしらのメリットやインセンティブが与えられるような制度ができてしまった場合、従業員に対して制度に対する不公平感を与えかねません。こうした不公平感からモチベーションの低下に繋がってしまう可能性が考えられます。

効果を感じにくい

2つ目が効果を感じにくい点です。健康維持や健康管理は数字に表わすことが難しく、かつ劇的に効果を感じられることは少ないでしょう。さらには効果が出るまでにも時間がかかるため、企業は長期的な視点で健康経営をチェックしていく必要があります。

健康経営に取り組む企業事例

健康経営に取り組む企業として、経済産業省と東京証券取引所は「健康経営銘柄」を選定しています。「健康経営銘柄」とは東京証券取引所に上場していて、優れた健康経営の取り組みから選ばれた企業のことです。ここでは、健康経営銘柄2020に選定された3つの企業をご紹介します。

参考:健康経営銘柄2020 選定企業レポート
https://www.jpx.co.jp/news/1120/nlsgeu000004kxf2-att/20200302.pdf

花王株式会社

花王株式会社は中期経営計画やESG戦略において、社員の健康維持増進と安全に配慮した職場の環境づくりを掲げています。2008年から始められて、今では各事業場や支社に「健康実務責任者」「健康実務担当者」を配置して、産業保健スタッフと連携させています。こうした取り組みにより、2015年度に12日だった平均年次有給休暇取得日数が2018年度には15日まで増加できました。

株式会社アシックス

株式会社アシックスは、2017年に「アシックス健康経営宣言」を制定し、健康増進活動を推進させています。定期検診や二次検診の受診率は2年連続で100%を達成しています。2019年1月には敷地内終日全面禁煙と就業時間内完全禁煙を制度化させました。こうした取り組みにより、2018年度の喫煙率は2015年度と比べて5%減少しています。

株式会社ディー・エヌ・エー

株式会社ディー・エヌ・エーは従業員を「大切な仲間」と位置づけて健康宣言を掲げています。経営トップがCHOを兼任しています。定期的な従業員アンケートの結果から、約7割の従業員が腰痛や肩こりに悩まされていたことがわかり、2016年より「腰痛撲滅プロジェクト」を開始しました。また2017年には「ウェルメシプロジェクト」を発足させ、社員の食生活改善にも乗り出しています。
全社一体となって「健康が当たり前の社会」を目指し、「健康」をテーマとした事業化や他社との協業も積極的に行っています。

健康経営への取り組みの流れ

最後に、実際に健康経営に取り組む際の流れについて見ていきましょう。主に4つのステップがあります。

①社内への告知

1つ目に社内への告知を行います。経営理念に基づき、具体的にどのような施策を行うのか指針を示します。従業員の賛同を得られなければ、健康経営がうまく進められないからです。加入している全国健康保険協会や健康保険組合では健康宣言事業所や健康企業宣言を募集しているケースがあります。事前に確認を行ってから、宣言するのがスムーズな流れでしょう。

②組織作り

2つ目に組織作りです。従業員の健康管理を行う組織、あるいは必要に応じて専門部署を作ります。人事部に担当者を配置する以外にも、健康経営アドバイザーなど外部の力を借りるというのも一つの手です。担当者や組織が決まった後は、健康管理研修などに参加させるのも良いでしょう。

③社内の課題の洗い出し

3つ目に社内の課題の洗い出しです。従業員の健康維持・管理を行うために、健康診断やストレスチェックの診断の結果を確認します。その結果から、従業員の健康に関する改善点や課題点を見つけていきます。その場合、部署や役職によって課題は異なる場合があります。残業時間や休日出勤、有給取得率などの労働環境から従業員の健康状態にアプローチすることも大切です。

④計画の立案・実行

4つ目に計画の立案・実行です。③のステップで明らかになった課題点や改善点から具体的な解決方法を立案します。その後、その解決方法のゴールを決めます。ゴールが明確でないと、何をどこまで行ったら良いか従業員が困ってしまうからです。一定期間が過ぎたら、取り組み自体の検証を行いましょう。そしてその検証結果をもとに新たな解決方法を立案していきます。最終的にPDCAをうまく回せるようにするのがベターでしょう。

まとめ

今回は健康経営に関する定義や取り組むべき理由、注意点、企業事例、取り組む際の流れについてご紹介しました。
健康経営に取り組むということは、業務の効率アップや企業のイメージ向上、離職率低下の防止、優秀な人材の獲得に繋げることができます。一方で健康経営に取り組んだからといって、すぐに目に見えるような効果が現れるわけではありません。長い目で見ることが重要となってきます。
本記事を参考に、健康経営に向かって踏み出してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

QEEE編集部

QEEEmagazineはマーケター、人事、エンジニア、営業企画などの企画者に役立つコンテンツをそれぞれ領域のスペシャリストが発信していきます。

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