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IoTプラットフォームとは?多様なサービス内容とベンダーの分類、特徴を解説

2021年08月26日

IoTプラットフォーム

モノをインターネットにつなぐことを意味するIoT(Internet Of Things)は、モノをインターネットにつないでデータを収集し、モノを動かしたり制御したりする技術です。さまざまなIoTサービスが登場していますが、IoTサービスを提供するにはIoTプラットフォームが必要です。「IoTプラットフォーム」と呼ばれる製品やソリューションは多種多様であるため、理解するのが難しいかもしれません。この記事ではIoTプラットフォームとは何か、基本の技術要素、特性による分類の解説と、主要なIoTプラットフォームベンダーと製品の特徴について紹介します。

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IoTプラットフォームとは何か

IoTプラットフォームとは、IoTの技術要素である「モノ」と呼ばれるIoTデバイス、ネットワーク、アプリケーションを接続してデータを収集し、活用するための基盤です。
ICT(情報通信技術)がITを通じたコミュニケーション技術で、人がデバイスを使ってインターネットに接続するのに対して、IoTはモノそのものをインターネットにつなぎます。このとき、モノから情報を収集して解析し、さらにモノを制御するための基盤となるのがIoTプラットフォームです。

IoTの技術要素

IoTは階層構造のようになっていて、技術要素として次の要素で構成されています。

  • デバイス
  • センサー
  • ネットワーク
  • アプリケーション

デバイスとセンサー:モノのデータを取得

デバイスは機械や設備、スマホ、自動車など、人間が扱うモノのことです。
センサーはデバイスに組み込まれています。
温度や湿度、重さや圧力、速度や回転数、振動、光や電磁気、電流、電圧など、さまざまな状態をデジタル化して、コンピュータで扱えるデータとして取得します。計測する内容に応じて多種多様なセンサーが用意されています。
データの取得としては、画像認識やバーコード、RFIDなどを読み取ってデータを取り込む技術もあります。

ネットワーク:データを送信

センサーを使って取得したデータは、ネットワークを介してインターネットに接続され、サーバーに送信されます。その際に利用されるのは無線または有線のネットワークで、一般的には無線ネットワークが採用されます。

無線ネットワークでは
BluetoothやRFID、Zigbeeなどの短距離向けのものやWi-Fi、N12など中距離向け、通信キャリアのモバイル回線を利用した方式もあります。有線ネットワークではADSLや光ファイバー、電力系回線を用いた方式があり、それぞれ通信距離や通信速度、通信規格、消費電力などに応じて通信方式が選択されます。

また、デバイスとインターネットの接続方式に関しては、デバイス自体がインターネットに接続する「直接通信方式」と、ゲートウェイとなる機器を設置してデバイスからゲートウェイに接続させる「デバイスゲートウェイ方式」があります。

アプリケーション:データの管理と利用

デバイスからデータを取得し、ネットワークを介してサーバーなどに送信されたデータは、アプリケーションで適切な形式に変換されます。データを整理し、解析や最適化を行うことによって、人が理解しやすいグラフや図などの形式にまとめられます。
また、AIが判断する場合もあります。

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IoTプラットフォームの役割

IoTプラットフォームの役割は、上記のようなIoTの階層の中でデバイスを接続させ、データを蓄積・分析し、データの活用基盤となることです。
ただ、プラットフォームによってどの範囲まで対象とするかは異なっています。
それぞれの役割について解説します。

デバイスマネジメント

IoTプラットフォームの役割の中で重要となるのは、デバイスやセンサーをインターネットに接続させることです。デバイスやセンサー単体では、システムとして稼働することができません。
デバイスやセンサーを接続させるためには、必要なハードウェアを統合します。障害対応や保守対応も含め、安定的に稼働するIoTプラットフォームを用意することで、デバイスやセンサーをネットワークに接続し、データを収集することができるようになります。

データを加工・保管する

デバイスから収集されたデータは、ネットワークやを介して、データセンターのサーバーに送られたり、クラウドの仮想環境に送信されます。収集した膨大なデータを利用可能な状態に加工したり、蓄積するにはIoTプラットフォームが必要となります。

アプリケーションの基盤となる

IoTサービスにおいては、数千〜数万個といった大量のデバイスを接続することがあり、収集するデータの量が膨大になります。そういった膨大なデバイスのデータ処理や解析を行う。
複数のマシンを同時に稼働させて分散処理を実行するオープンソースのプラットフォーム「Hadoop(ハドゥープ)」など、IoTプラットフォームによって素早く効率的なデータ処理が可能になります。

IoTプラットフォームの現状とは

IoTプラットフォームの現状について、海外と日本では違いがあります。今後のIoTプラットフォームがどうなるかも含め、IoTプラットフォームの現状をご紹介します。

図:IoTプラットフォームを提供するプラットフォーマーの所在地域とベンダー間連携

IoTプラットフォームを提供するプラットフォーマーの所在地域とベンダー間連携

出典:「IoTプラットフォーム」とは何なのか?(PLAZMA)

図の見方:黒枠はIT系ベンダー、緑の二重線枠はメーカー系ベンダー、黒枠の破線は通信系ベンダー。矢印はベンダー間の連携を示す。

海外では提携による利便性向上が進んでいる

海外ではIoTプラットフォームを提供している主要ベンダー(アメリカのマイクロソフトやAmazon、ドイツのシーメンスなど)の間で、協力関係が築かれています。1つの企業のみであらゆるIoTプラットフォームを用意するのは難しく、他社と連携することで、同一のプラットフォームで稼働するIoTアプリケーションや扱えるIoTデータを増やす戦略です。

今後淘汰されるプラットフォームもあり得る

IoTプラットフォームは世界中で提供されており、数も多くあります。海外のようにベンダー間での連携が進むことによって、より高機能で信頼度が高く、実績が豊富なIoTプラットフォームサービスに注目が集まり、選ばれやすくなります。
そういったプラットフォームと比較してメリットの出せないIoTプラットフォームに関しては、今後淘汰されていく可能性があるでしょう。

日本のIoTプラットフォームベンダーについて

日本でも国産のIoTプラットフォームは、実は数多く存在します。海外のベンダーとの大きな違いは囲い込みモデルになっていることで、海外のような協力関係の構築が進んでいません。

IoTプラットフォームベンダーの相関図を2015年から作成している鍋野 敬一郎氏は、

IoTの本質はつながってエコシステムを作ることで、幅広いIoTデータとIoTアプリケーションを利用可能にすること

https://plazma.red/what-is-iot-platform01/

としており、ベンダー間の連携が必然であるとしています。

IoTプラットフォームベンダーの分類

IoTサービスにはさまざまな技術分野があるため、IoTプラットフォームは提供しているベンダーの得意分野によって特性が異なります。
また、IoTプラットフォームを利用する企業側も、産業に特化したIoTプラットフォームを開発するケースがあります。
こうした観点から矢野経済研究所では産業用IoTプラットフォームを次の四つに分類しています。

  • 水平・業種フルカバレッジ型
  • 垂直・機能フルカバレッジ型
  • 垂直・アプリ提供型
  • 垂直・基本機能提供型


図:産業用IoTプラットフォームの種類

産業用IoTプラットフォームの種類

出典:Yano ICT 調査レポート

ここでは、この4つのIoTプラットフォームの分類をご紹介します。

水平・業種フルカバレッジ型

「水平・業種フルカバレッジ型」のIoTプラットフォームは、さまざまな業種に適用できる汎用性が特徴です。クラウドサービスの基盤とデータの収集や分析に必要な基本的なアプリケーションが用意されており、ユーザーが自身の業種に適した形にカスタマイズして利用していきます。
「水平・業種フルカバレッジ型」の代表的な例だと、コンビニや駅で利用される監視カメラの映像分析なプラットフォームがあります。

垂直・機能フルカバレッジ型

「垂直・機能フルカバレッジ型」は、業種に特化して必要な機能をカバーしたIoTプラットフォームです。特定業種に対する機能性が高く、IoTサービスの開発・導入サポートやネットワーク、クラウド基盤、保守運用までワンストップで提供しており、オーダーメイドのサービス構築も可能です。
一方で、汎用性には乏しく他の業種で水平展開するのは難しいため、事業転換があった際には全入れ替えが必要になります。建設業界向けのオープンプラットフォーム「LANDLOG」などが、「垂直・機能フルカバレッジ型」の例にあたります。

垂直・アプリ提供型

「垂直・アプリ提供型」は、「垂直・機能フルカバレッジ型」から開発、導入、運用サポートの部分を除いたプラットフォームです。システム開発が不要の動作環境のみを提供するため、自社の業種で必要となるIoTサービスを利用する形式となります。

垂直・基本機能提供型

「垂直・基本機能影響型」は、特定業種の特定の機能に絞られているシンプルなプラットフォームです。フルパッケージのIoTシステムは不要だけれども、リモート監視システムや予防保全システムなどの一部の機能のみを利用したい場合に、「垂直・基本機能影響型」が選択されます。特定の機能のみが提供されるため、他のプラットフォームに比べて低コストで導入することが可能です。

代表的なIoTプラットフォームベンダー

世界的に利用されている代表的なIoTプラットフォームベンダーをご紹介します。

AWS IoT(Amazon Web Services)/Amazon

AWS IoT(Amazon Web Services)_Amazon

出典:AWS IoT(Amazon)
Amazonの「AWS」は、世界で多くのユーザーに使われているIoTプラットフォームです。既存サービスとのスムーズな連携が可能で、MTQQという通信プロトコルに対応したスピーディーなデータ通信が行えるのが特徴です。ユーザー数が多いため運用事例が豊富な点も、「AWS」の優位性と言えるでしょう。

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Azure IoT/Microsoft

Azure IoT_Microsoft

「Azure IoT」はマイクロソフトが提供するIoTプラットフォームです。同社のクラウドサービス「Microsoft365」との連携ができる他、AIによるリアルタイムな応答や、「Azure Machine Learning」という機械学習のIoTプラットフォームを簡単に利用できる点がポイントです。

Watson IoT Platform/IBM

Watson IoT Platform_IBM

IBMの「Watson IoT Platform」は、高度なAI解析ができるクラウド基盤のIoTプラットフォームです。Iotデバイスを簡単に活用できるように設計されており、アプリケーションを利用して迅速な可視化、管理を行うことができます。ブロックチェーンに保管されるデータは改ざんリスクが少なく、セキュアなIoTプラットフォームが構築できます。

Google Cloud IoT(GCP)/Google

Google Cloud IoT(GCP)_Google

「Google Cloud Platform(GCP)」ではGoogleが提供する最先端のサービスを利用することができます。エッジとクラウドの両方でデータに接続することができ、データの処理、保存、分析などフルマネージドのクラウドサービスで構成されています。「Cloud Machine Learning Engine」では機械学習を適用することができ、高度な分析が可能です。

Vieureka(ビューレカ)/パナソニック

Vieureka(ビューレカ)_パナソニック

「Vieureka(ビューレカ)」は画像解析に特化したIoTプラットフォームです。映像からデータを生成し、分析、活用することができます。高度な画像分析と、クラウドでの分散処理、クラウドからの個別管理の3つの要素を土台とし、パソコンや設備レスによるコスト効率化、クラウドを使った遠隔アップデート、プライバシーの保護を実現します。

産業用IoT(IIoT)プラットフォームの主要ベンダー

産業用IoTプラットフォームの主要ベンダーをご紹介します。

LANDLOG/ランドログ

LANDLOG_小松製作所、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティム

「LANDLOG」は小松製作所、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムの4社の合弁会社が作った土木・建設業界向けのIoTプラットフォームです。地形の変化量、スタッフの作業内容などのデータを収集・解析します。さまざまなプロバイダーがアプリ開発・実装することができるプラットフォームで、土木・建設業界を支える多岐に渡る連携が可能です。

Lumada(ルマーダ)/日立

Lumada(ルマーダ)_日立

「Lumada(ルマーダ)」はさまざまな業界で活用できるIoTプラットフォームで、業務システムから制御システムまで幅広いノウハウを持つ日立の特徴が活かされています。デジタルソリューションのスピーディーな開発・実装ための基盤となるプラットフォームとテクノロジーを提供し、新しいビジネスモデルの創出を支援します。

ThingWorx/PTC

ThingWorx_PTC

「ThingWorx」は、さまざまな企業と協力関係を築きながらサービスを拡張させている産業用IoTプラットフォームです。リモートモニタリングや設備稼働率最適化、RFIDなど実用的なソリューションの構築が実現できます。主要なIoTプロトコルだけでなく150以上のプロトコルに対応しているため、さまざまな産業用機器を連携することができます。

MindSphere/シーメンス

MindSphere_シーメンス

シーメンスの「MindSphere」は、ベンダーとの協力体制を築くことで機能を充実させているオープン性の高いプラットフォームです。さまざまなデバイスと企業システムに接続できるプロトコル、アプリケーション、高度な分析、PaaS機能とAWSクラウドサービスへのアクセスを活用した開発環境を提供しています。

Predix/GEデジタル

Predix_GEデジタル

GEデジタルの「Predix」は、エッジコンピューティングの機能が充実しているIoTプラットフォームです。「Predix Edge Manager」では単一コンソールから最大20万台のデバイスを接続し管理することができます。さまざまな業界のデータを収集し、高度な分析が可能で、高速で効率的な処理が可能です。

日本国内のIoTプラットフォームベンダー

日本国内のIoTプラットフォームベンダーについてご紹介します。

IoT-EX/IoT-EX株式会社

IoT-EX_IoT-EX株式会社

「IoT-EX」はIoT-Hub、デバイスドライバ、エッジゲートウェイで構成されるクラウド間相互接続サービスです。IoT-Hubとデバイスドライバではプロトコルの違いを吸収することができるため、異なるメーカーのデバイスやアプリの連携が可能です。バーチャルデバイス(仮想デバイス)の機能により開発工数の大幅な短縮を実現します。

Symphonict/NECネッツエスアイ株式会社

Symphonict_NECネッツエスアイ株式会社

「Symphonict」はNECネッツエスアイのデジタルトランスフォーメンション事業の新ブランドです。デジタルとクラウド技術を組み合わせたサービスで、最先端技術を組み込んだIoTプラットフォームを提供しています。デバイスやサービスのIoT化に加えて、データの一元管理や蓄積データの可視化により、現場の課題解決に貢献します。

SORACOMプラットフォーム/株式会社ソラコム

SORACOMプラットフォーム_株式会社ソラコム

「SORACOMプラットフォーム」は、IoTデバイス向けの無線通信を提供しています。携帯通信網、LPWA(LoRaWAN、Sigfox、LTE-M)を1回線から利用することができ、従量課金制の料金プランによって低コストで柔軟な運用を実現します。クラウド環境で動作し、AWSやその他のクラウドサービスと連携して迅速なシステム構築が可能です。

Things Cloud/NTTコミュニケーションズ株式会社

Things Cloud_NTTコミュニケーションズ株式会社

「Things Cloud」はさまざまなビジネス環境に合わせたデバイス接続、データ収集、可視化、分析、管理などがパッケージ化されたIoTプラットフォームです。IoTサービスに必要な基本機能が搭載されており、ノンプログラミングで開発・構築が可能な他、テンプレートが充実しているので、IoTの専門知識がなくても利用することができます。

まとめ

IoTプラットフォームの活用によってデバイスのデータをスピーディーかつ安全に収集し、膨大なデータの蓄積、分析を効率的に行うことができます。それらの分析結果は、現場のビジネス課題の解決や新しいビジネス創出に役立てることができるでしょう。

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参考URL:
https://plazma.red/what-is-iot-platform02/
https://www.digital-transformation-real.com/blog/what-is-iot-platform.html
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1704/18/news038.html

この記事を書いた人

QEEE編集部

QEEEは、INTLOOP株式会社が運営するビジネスの総合ポータルサイトです。 多様なコンサルティング実績をもつINTLOOPのノウハウを生かし、あらゆる経営課題・ビジネスの悩みを解決するサービスを提供しています。 QEEEマガジンでは、マーケター・人事・エンジニア・営業などの各職種に向けて、SaaS比較やビジネスコラムなどのコンテンツを各領域のスペシャリストが発信しています。

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