日本のスパコン「富岳」世界ランキング1位、世界初の2期連続4冠
理化学研究所は17日、計算科学研究センター(神戸市)のスーパーコンピューター「富岳」が、性能ランキング4部門で前回6月に続き世界1位になったと発表しました。2期連続の4冠は世界初。
4冠は、すでに多く利用されている計算能力のスピードや安定性だけでなく、AIやビッグデータ処理にも優れていることを示しています。
他の日本勢は、TOP500の14位に産業技術総合研究所の「AI橋渡しクラウド」、19位に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「TOKI―SORA」が入っています。
「富岳」は新型コロナウイルス対策の研究に優先的に利用されており、治療薬や飛沫経路のシミュレーションなどの研究が行われ、マスクの効果などの研究成果を得たことでも話題になりました。
【「富岳」 が1位になった4つの性能ランキングの解説】
TOP500
世界で最も高速なコンピュータシステムのランキング。計算能力と信頼性を総合的に示していると言われる。
LINPACKというプログラムを処理する際の実行性能を指標としており、1993年にスタートして毎年6月と11月に更新。今回が第56回。2011年6月には日本の「京」が1位となった。
HPCG(High Performance Conjugate Gradient)
演算能力を主に評価するベンチマーク。TOP500の指標よりも新しく実際性の高い指標として、2014年11月から正式にランキングとして発表されている。
産業利用など実際のアプリケーションでよく用いられる共役勾配法と呼ばれる処理速度の国際的なランキング。
HPL-AI
TOP500やHPCGとは異なるルールで能力を測定するもので、AIの計算などで活用されている能力も加味した計算性能を評価する。2019年11月に制定。
GPUや人工知能向けの専用チップなどに使われる計算性能を測定するベンチマークで、AIの計算やビッグデータ解析の研究基盤として高い性能があることを示す。
Graph500
ビッグデータの解析において重要な大規模グラフ解析に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキング。2010年に始まり、毎年6月と11月に更新される。
グラフ解析は多種多様で、例えばソーシャル・ネットワーキング・サービスで「誰と誰がつながっているか」といった関連性のデータを解析したり、IoT(Internet of Things)技術で取得された大量のデータを高速処理する際に用いられる。
スーパーコンピュータ「富岳」TOP500、HPCG、HPL-AIにおいて2期連続の世界第1位を獲得:理化学研究所
スーパーコンピュータ「富岳」がGraph500において2期連続で世界第1位を獲得:理化学研究所
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