レポート

第4次産業革命を担う重大要素、IoTとAIの組み合わせの必要性などを徹底解説

2020年02月06日

第4次産業革命IoTAI

現在トレンドとなっている「IoT(Internet of Things)」、「AI(Artificial Intelligence)」は、ビジネスでも重要な要素です。今後企業が「デジタル・トランスフォーメーション(ITによる、企業体制まで含めた抜本的な組織改革)」を進めるには、IoTとAIをいかに取り入れビジネスに活かせるかがポイントになってきます。

IoTとAIを活用するにはまずその違いをはっきり理解し、具体的な活用方法も知っておくと参考になります。今回はIoTとAIの違い、そして組み合わせの重要性や各国の導入状況、関連する第4次産業革命についてまで幅広く解説していきます。

「自社でIoTとAiの定義や違いを理解し、ビジネスでも活用できるようになりたい」という方はぜひご覧ください。

IoTとAIの違い

まずは混同する方も多い、IoTとAIの違いを理解しておきましょう。

IoTとは

IoTとは直訳すると「モノのインターネット」という意味で、私たちの身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながる仕組みのことを指します。具体的には照明やエアコンなど各モノにインターネット接続用のモジュールを装備し、インターネットから命令を受けたり、「センシング(センサーで周囲の状況を計測すること)」してインターネットにデータを送信したりできるようにします。

IoTはスマートウォッチやAIスピーカーなど、さまざまなデバイスに活用されています。そして今後は新時代の通信技術「5G」普及により、IoT化が社会でますます進んでいくでしょう。

AIとは

対してAIとは、「人工知能」と訳されます。定義はさまざまですが、平たく言うと人間の脳の処理を電子部品やプログラムなどで真似て、コンピューターで同じような処理を実現する仕組みです。

AIはずっと昔から研究されていた技術ですが、一般にも脚光を浴びるようになったのは「ディープラーニング」が登場してからです。ディープラーニングとは「機械学習」の手法の一つです。機械学習とはコンピューターがデータを自己分析し、推論・判別を行えるようにするために実施する学習のことで、以前は機械学習によりAIが獲得できる処理レベルに限界がありました。

しかしディープラーニングでは従来の機械学習とは違い、人間が分析用のデータを加工せずとも与えただけでAIが自己学習を行い、その後の推論・判断に活かせるようになります。これによりAIは人間にも考えつかないような複雑な思考を行うことも可能になり、例えば「Google」がディープラーニングを用いて作成した「アルファ碁」は当時の囲碁世界チャンピオンを対戦で破ったりなど、輝かしい実績を納めています。

IoTとAIの違い

AIは主に人間の行っていた脳処理を代行するために、IoTは主に現実世界から情報を取得し、データ化して収集するために使われます。

例えば、人間は本を読むことで知識を深めていきます。その際まずは目で活字を確認し、その情報を脳に伝達して知識を吸収、今後の判断などに活かせるようになります。これをIoTとAIに置き換えるとIoTは目、AIは脳の役割を果たします。

このようにIoTは周囲の環境からデータを収集して活用するためのもの、AIはコンピューターがデータを人間のように高度に処理できるようにするためのもの、という点で大きな違いがあります。

IoTとAIの組み合わせ

先ほどの本を読む人間の例のように、IoTとAIは組み合わせ可能です。

まず本の活字を目で読み取るように、IoTにより周囲状況をセンシングします。そして脳に情報を伝達するようにデータをAIに送信し、脳に該当するAIは処理を行います。その後脳が本から受け取った情報を生活で活かせるようになるように、AIもセンシングされたデータから思考を行い、有益な処理を行えるようになります。

AIが進化するには、質のよい情報を大量に与えることが重要です。インターネットの普及によりユーザーのデバイスから大量の情報を取得できるようになり、AIは発展しました。さらにIoTを組み合わせると、AIはさらに賢くなります。

IoTで取得できるデータは、情報量だけでなくその種類、そして変動頻度の多さにも優れています。AIにとってデータの多彩さや変動は重要な要素であり、そういった重要な要素を兼ね備えているIoTデータは、非常に質の高い情報です。そしてユーザーもAIと組み合わさったIoTデバイスを使うことで、デバイスから従来より有益な情報を取得できるのでより生活や仕事が便利になります。

このようにIoTとAIの組み合わせは、私たちの社会に大きな影響を与えます。
IoTとAIの組み合わせの重要性がよく分かる事例の一つに、スマート農業があります。スマート農業はITを使って生産性の高い、人に負担のかかりにくい農業を実現する試みです。

スマート農業ではまず、農地内に取りつけたセンサーで温度や湿度、土壌内水分量など生産にかかわるデータを収集します。そしてAIにデータを渡し処理をさせることで、「今の段階では農薬をまいた方がよい」といった適切な判断が可能になります。

農業では人によって判断が異なり、生産の成否が大きく分かれ収益にも影響するというネックがありました。AIにIoTデータを送信し思考させれば、データに基づいた確実な作業判断が可能になり収益安定・成長にも貢献します。また無駄のない作業が可能になり、農業を営んでいる方の負担も和らぎます。

IoTとAIの各国の導入状況と予定

総務省では「情報通信白書」として、情報通信の分野の現状や政府政策などを文書としてまとめており、毎年公表しています。そして最新の「平成30年版情報通信白書」では、各国のIoT・AI導入状況及び今後の予定がグラフで示されています。

各国のIoT・AI導入状況及び今後の予定
出典元: ICT によるイノベーションと新たな. エコノミー形成に関する調査研究
各国のIoT・AI導入状況及び今後の予定
出典元: ICTによるイノベーションと新たな. エコノミー形成に関する調査研究
各国のIoT・AI導入状況及び今後の予定
出典元: ICTによるイノベーションと新たな. エコノミー形成に関する調査研究
各国のIoT・AI導入状況及び今後の予定
出典元: ICTによるイノベーションと新たな. エコノミー形成に関する調査研究
各国のIoT・AI導入状況及び今後の予定
出典元: ICTによるイノベーションと新たな. エコノミー形成に関する調査研究
各国のIoT・AI導入状況及び今後の予定
出典元: ICTによるイノベーションと新たな. エコノミー形成に関する調査研究

上記各グラフデータは、「総務省ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)」で示されているグラフを元に、独自の加工を施しています。

「プロセス」は企業内部の業務工程にIoTやAIが導入されていること、「プロダクト」は企業の生産しているモノやサービスなどに対してIoT・AIが導入されていることを表現しています。

上記グラフでは世界的にIoT導入がAIに対して先行していること、そして年を経るにつれ、IoT・AIとも導入割合がどんどん大きくなっていく予定なのが分かります。今後企業にとって、IoT・AIを活用した業務工程の改善、生産物への付加価値の創造などは必須となっていくでしょう。

また全体的に見てみると、今回対象になっている米国・英国・ドイツ3先進国に対して、同じ先進国である日本が将来的にどんどんIoT・AI導入率において引き離されていく状況が予想できます。日本が今後世界各国に対して負けないような経済効果を得るためには、国内企業が今までより積極的にIoT・AI導入を進め、デジタル・トランスフォーメーションを目指していく必要があるでしょう。

第4次産業革命

第4次産業革命とは

第4次産業革命とは、

  • 第1次産業革命・・・農耕社会の工業化を促す
  • 第2次産業革命・・・鋼鉄、石油などの産業の拡大、さらなる大量生産の発展
  • 第3次産業革命・・・情報産業の拡大


に続く、第4の産業革命を指します。2016年に開催された「世界経済フォーラム」で初めて登場しました。

第4次産業革命では第3次産業革命がさらに発展するような形で、インターネットなどの情報技術が活用されるだけでなく、社会自体を変革していきます。

例えば先ほど説明したスマート農業もIoTやAIを活用し、農業の在り方自体が大きく変改しているので、第4次産業革命の事例の一つと言えます。またネットサービスを通して車などの資産を他のユーザーと共有し有効活用する「シェアリングエコノミー」も、私たちの消費活動を大きく変える可能性のある第4次産業革命の産物です。

このように第4次産業革命ではビジネスに限らず、私たちの生活の在り方が情報技術により大きく変化していきます。

第4次産業革命におけるキーワード

第4次産業革命におけるキーワードとしては、主に次の4つが挙げられます。

  • IoT
  • AI
  • ビッグデータ
  • ロボット

IoT

IoTは第4次産業革命において、現実世界とネットワーク世界の橋渡しを行う重要な役割を果たします。

従来の情報技術というのはデータ収集もネットワーク内が中心であり、現実世界と密接に関係を持ちながら処理を行うのには限界がありました。しかしIoTでは現実世界からセンサーを通してさまざまなデータを取得し、ネットワーク世界に送信したりできます。

IoTより現実世界のあらゆるモノをデータ化し、現実世界とネットワーク世界を密接に連携させられるようになります。

AI

AIはIoTデータなど、あらゆるデータを処理するために必要になります。そして第4次産業革命の中核を担う情報技術です。

蓄積されたデータは、AIの判断材料となります。AIはデータから最適な解を導き出し、今まで人間にしかできなかった行動を代行してくれます。そしてデータが集まれば集まるほど、AIはより最適な解を出せるようになり、人間を超えるような処理が可能になる場面も出てきます。

将来的にはAIによりさまざまなサービスが自動化され、ビジネスに付加価値を与えていくでしょう。そしてサービスの質も向上し、私たちの暮らしもますます便利になっていきます。

ビッグデータ

第4次産業革命を実現するには、AIの発達が重要な要素となります。そしてAIの発達に大きく影響するのが、「ビッグ」データです。

ビッグデータは現時点でも企業の収益に大きく影響していますが、第4次産業革命以降はより重要な存在となっていくでしょう。IoTデータを始めとしたビッグデータの質によって、AIが大きく発達するかしないか決まっていくためです。

ビッグデータはどこまでを企業間で共有し、どこまでを機密として企業の独自情報としていくのか線引きが課題ですが、今後はその線引きの仕組みも含めてビッグデータのさらなる活用が進んでいくでしょう。

ビッグデータはどこまでを企業間で共有し、どこまでを機密として企業の独自情報としていくのか線引きが課題ですが、今後はその線引きの仕組みも含めてビッグデータのさらなる活用が進んでいくでしょう。

ロボット

パソコンやスマホといった従来のデバイスでは、人間をサポートできる範囲に限度があります。そこで今後より高度な処理を元に行動できる存在として注目されているのが、ロボットです。

ロボットはものづくりの現場などですでに使われていましたが、AI搭載のロボットが登場したことにより実行可能な行動が高度化していき、その利用範囲が広がっています。

例えばタブレット学習などの「ICT(情報通信技術)」活用が進んでいる教育分野では、AIロボットを使った学習の取り組みも行われています。AIロボットを活用することで、例えば数学のどの分野に問題があり、どういった方法で解決すればよいかをロボットが自動で思考し、提示してくれます。

また介護の現場ではAIロボットが高齢者を運んだり、読み聞かせを行ったりして現場スタッフをサポートする試みも行われています。

このように第4次産業革命では、限られた範囲で使われていたロボットがより身近な存在になり、人間の仕事や生活をサポートしてくれる心強い存在となっていくでしょう。

第4次産業革命における課題とは

第4次産業革命は私たちのビジネスや暮らしを大きく変化させ、便利なものにしてくれますが、同時にいくつか課題も抱えています。

例えばAIの普及により私たちの仕事がどんどん代行され、職を失う方が増えていく危険性が指摘されています。また逆にAIなど最先端のITを扱える人材は不足しており、今後は第4次産業革命を担う人材のさらなる育成が必要不可欠となっていくでしょう。

まとめ

今回はビジネスにおいて今後重要となっていくIoTとAIの違いや組み合わせの重要性、そして世界各国の導入状況や第4次産業革命についても解説してきました。

さまざまな観点からIoTとAIについて説明したので、IoTとAIに関する理解が深まったと思います。またIoTとAIの組み合わせは、今後第4次産業革命が成功するかどうかを決める重要な要因となっていきます。

ぜひIoTやAIの特性をよく理解し、あなたの会社のデジタル・トランスフォーメーションに活用してください。

この記事を書いた人

QEEE編集部

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