経営企画

今さら聞けないXaaSを解説!注目の背景や様々なXaaSも紹介

2020年10月09日

IaaSPaaSSaaSRaaSXaaSEaaSCaaS

PaaSやIaaS、SaaSといった様々な「XaaS」について耳にすることが多くなった昨今ではありますが、実際にXaaSとは何か説明することができないという方も多いのではないでしょうか。XaaSに分類されるサービスは日々増え続けており、今後のビジネスにおいて重要な概念になるのは間違いありません。

そこで今回の記事では「XaaSとは何か」「なぜ注目を集めているのか」「どのような種類があるのか」などといった基礎的な知識を解説していきます。

XaaSとは

XaaS(ザース)とは、Everything as a service、通称EaaSとも呼ばれ、サービスを構築するすべてがインターネット上で完結しているシステムや仕組み、サービスや概念総称です。後述するPaaS、laaS、SaaS、CaaS、RaaSなど、as a serviceの前のXの部分に、それぞれの仕組みを意味する単語の頭文字を置き換えて略して表現しているのが一般的です。クラウドコンピューティングと同じような意味合いで用いられることもあります。

サービスを提供するための処理やデータ管理をクラウド上で行うことで、手元にあるデバイスに最小限のシステムを構築やインストールするのみで様々なIT技術が利用可能になります。身近なもので言えばGoogleの提供するG Suite、マイクロソフトが提供するOffice365など、今まではパソコンにインストールしていたようなソフトウエアをブラウザのみで利用できるものが挙げられます。

クラウドサービスの市場規模

日本国内におけるクラウド市場は年々成長しており、2019年度で2兆3572億円、2024年度は5兆3970億円と約2倍強となる数値が予測されています。

新規システムの構成方針
新規システムの構成方針

大手企業においてもAWS、Azure、GCPの利用したシステム開発が標準となっており、大企業の87.2%がクラウドサービスを利用てシステムの開発や構築を行っているというアンケート結果も出ました。

また、2020年初頭の新型コロナウイルスの発生により、IT関連の企業以外でもリモートワークやテレワークの需要が高まり、クラウドサービスの利用が増えたこと、同様に顧客やユーザー側もオンラインで完結する仕組みに興味を持ち始めたことも、この先の市場規模を成長させるような影響を持つことも想像に固くありません。

参考:国内クラウド市場は2024年に5兆円超え ≪ プレスリリース | 株式会社MM総研
https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=434

なぜXaaSに注目があつまるのか

次になぜXaaSに注目があつまるのか2つの視点から見てみましょう。

自社の環境を整えやすい

XaaSは異なるサービスを併用しながら必要な機能のみを集めて利用することができるため、自社の環境を整えやすいというメリットがあります。同時に不要なコストを支払わずに済むことから、コストパフォーマンスにも優れていると言えます。

例えば、自社でサーバーを用意して、セキュリティや保守、物理的なサーバーのメンテナンスや維持費用のコストよりも、AWSの各種サービスを利用して従量課金によるコストに切り替えた方がサーバーやシステムの保守やセキュリティにおけるコストを削減できる可能性があります。

その他にも日常の業務において利用するメールやスケジュール管理をG Suiteで統一してマルチデバイスで活用できるようにしたり、オフィスソフト関連の業務をOffice365でオンライン化や共有化しやすくしたりすることで、単なるコスト削減だけでなく、効率化や最適化にもつながることが期待できます。

柔軟な働き方を可能にする

クラウド上のサービスはインターネット回線さえあれば、時間も場所も問わず利用できるため、柔軟な働き方を可能にしてくれます。

・オンラインストレージでデータ共有
・カレンダーやToDoでスケジュールの確認や調整
・ビデオ会議ツールでオンライン会議や接客
・仮想オフィスツールで話しかけやすい環境の実現
・チャットツールや社内SNSで情報の蓄積や共有

上記はあくまでも一例ですが、オフィスで仕事するのとほぼ同じような環境を自宅や近所のワークスペースに構築できます。言い換えれば雇用側も自宅なら働ける方や遠隔地の優秀な人材の雇用も可能であり、働く側もライフワークバランスに合わせて働くことを可能とします。

XaaSの種類

次にXaaSの種類について見ておきましょう。ただし、XaaSに分類されるサービスは多岐に渡るため、今回の記事では一部のXaaSに分類されるサービスを紹介となります。

PaaS

PaaSはPlatform as a Serviceの略称であり、システムやソフトウエアの構築や運用の基盤を提供するサービスを指します。社内や組織内にサーバーを設置するオンプレミスと比べてもTCOに優れる可能性があること、アップデートやメンテナンス、保守やセキュリティについてもサービスを提供する側に任せられるのが利点です。

PaaSはインターネットを介して開発環境や実行環境を仮想的に利用できる仕組みであり、開発から運用までクラウド上で処理が完結します。PaaSを利用することで物理的なサーバー環境への設備投資不要になるため、アイデアはあるけどシステムを構築して運営するサーバーがない場合など、事業のスタートアップにも活用されています。

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IaaS

IaaSはInfrastructure as a Serviceの略称であり、仮想的なサーバー基盤やコンピューター基盤、ネットワークを提供するサービスを指します。OSやミドルウエア、データベースなど、システムそのものを比較的自由に構築できるため、開発環境や実行環境そのものを利用者側の好みに合わせて構築できるのが利点です。

PaaSと同様に物理的なハードウェアについてはサービスを提供する側が管理してくれるので、サーバーに関する物理的な初期投資やランニングコストが抑えることができます。しかし、ソフトウエアやシステム面については利用者側が管理する必要があります。サイバー攻撃に関するセキュリティ対策や各種脆弱性への対処、情報漏洩などのセキュリティインシデントに対応できる人材が必須と言えるでしょう。

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SaaS

SaaSはSoftware as a Serviceの略称であり、クラウド上に構築されたシステムやツール、ソフトウエアを提供するサービスです。既に構築されたソフトウエアを利用できるため、開発や構築の過程を通り越して運用段階に入ることができます。

SaaSは物理的なハードウエアと、ソフトウエアを構築するシステム面をサービスを提供する側が管理してくれること、ソフトウエアについても改善やアップデートも行ってくれるのが利点です。

開発環境や実行環境から構築できるのがIaaS、開発環境や実行環境が用意されすぐにソフトウエア開発に入れるのがPaaS、ソフトウエアが用意されすぐにソフトウエアを利用できるのがSaaSと言えます。

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DaaS

DaaSはDesktop as a service及びData as a serviceの略称です。

Desktop as a service

Desktop as a serviceは仮想デスクトップ環境を提供するサービスです。VDI(Virtual Desktop Infrastructure)との違いはVDIは自社のホスティングサーバに仮想デスクトップ環境を構築するタイプであり、DaaSはサービスを提供する側が仮想デスクトップ環境を構築するタイプである点です。インターネット環境があれば比較的スペックの低いデバイスでも仮想デスクトップ環境を利用できること、仮想デスクトップ環境の一元管理をしやすいのが利点です。リモートワークや学校のオンライン授業などにも利用しやすく、環境を統一したり、整えたかったりする場合や自宅や個人のパソコンで作業をさせたくない場合に向いています。

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Data as a service

Data as a serviceは様々なデータをインターネット上で共有、管理、提供する仕組み、またはビックデータの処理や分析、再利用や活用する仕組みを提供するサービスを指します。Data as a serviceは各種センサーによって取得し蓄積されたデータと、IoT(モノのインターネット)技術を組み合わせることで生まれる新しい技術の基盤としての役目も期待されています。

CaaS

CaaSはContent as a service、またはContainer as a ServicやCar as a Serviceの略称です。

Content as a service

Content as a serviceはコンテンツの配信や管理するシステム提供するサービスを指します。VOD(ビデオオンデマンド)やサブスクリプション型の配信サービスなど、配信する側と配信を見る側に合わせた環境を構築することができます。

Container as a Service

Container as a ServiceはKubernetesやDockerといったコンテナを用いたシステムを提供するサービスです。コンテナ技術を用いたシステムの構築やサービスの展開が可能になります。立ち位置的にはPaaSとIaaSの間に属すると言われている技術です。

Car as a Service

Car as a Serviceは車に関連する仕組みやシステムを提供するサービスを指します。Uberと呼ばれるスマートフォンのアプリで車に乗りたい人と車に載せて稼ぎたい人をつなぐ仕組みが代表的です。その他にもレンタルカーを乗り捨ててもOKな仕組み、カーシェアリングなどもCaaSに含まれます。また、将来的には5Gなどのリアルタイムかつ高速なインターネット回線やIoTを利用したサービスも期待されており、完全自動運転や街中や車自体に設置されたセンサーのデータの応用や活用した技術の開発も進んでいます。

RaaS

RaaSはRetail as a Service及びRobot as a serviceの略称です。

Retail as a Service

Retail as a Serviceは小売に関連する仕組みを提供するサービスです。ECやカートシステム、モールなどのオンライン通販、または各ブランドが持つノウハウや顧客データの蓄積や再利用する仕組みなどが挙げられます。その他にもEC事業における商品の在庫管理のようなデジタルデータによる一元管理やサポートするツールもRetail as a Serviceと言えるでしょう。

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Robot as a service

Robot as a service、またはRobotics as a Serviceはロボットを利用した仕組みやシステムを提供するサービスを指します。インターネットを介して遠隔でロボットを操作できる仕組みであり、ロボットアームによるモノの移動、ドローンを利用した監視や遠隔地の状況の確認などが挙げられます。

IDaaS

IDaaSはIdentity as a serviceの略称であり、ID管理を意味します。具体的にはIDやパスワードなどの認証情報を管理する仕組みを提供するサービスです。

IDaaSはID管理や連携、シングルサインオン、アクセスコントロール、ログ管理機能などを備えています。身近なもので言えば、ログインや登録型のWebページやサービス、アプリにおいてGoogle連携、Twitter連携、Yahoo!ID連携など、既に登録しているオンラインサービスやクラウドサービスのIDと紐付けすることで、簡単に登録できる仕組みや、ログインしているID状態を元にワンクリック・ワンタップでログインできる仕組みが挙げられます。

また、IDaaSはアクセスコントロール機能によりセキュリティ強化が可能となる側面もあり、多要素認証やIP制限などと組み合わせることでセキュリティに関するリスクを軽減することも期待できます。

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MaaS

MaaSはMobility as a Serviceの略称であり、モノやヒトの移動に関するシステムや仕組みを提供するサービスを指します。前述したCaaS(Car as a Service)とも関係性が深い技術であり、UberはCaaSとMaaSの両方に属するサービスとして分類されることもあります。

MaaSの身近な例としては、出発地点から到着地点までの距離や時間、運賃の表示、またはオンラインによるレンタカーの予約や飛行機や新幹線のチケットの予約などが挙げられます。

その他にもゆりかもめのような自動運転による輸送システム、将来的にはトラックやバスの自動運転などもMaaSに含まれます。また、首都圏や主要都市の交通渋滞の解消や地方都市における交通手段不足の解決にもつながることが期待されている仕組みです。

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XaaSの利用で注意すべき点

次にXaaSの利用で注意すべき点についてご紹介します。既にXaaSに属するサービスを利用している場合やこれから新しく使い始める場合にお役立てください。

セキュリティ対策

XaaSを利用する場合はセキュリティ対策が取られているかチェックしましょう。同時に信頼できる提供元であっても、多くのユーザーがクラウドにアクセスして利用するサービスの場合、サイバー攻撃の標的となり、情報漏洩するという懸念も理解しておくべきです。

また、サービスによっては個人情報を利用してサービスを提供することもあります。例えば登録した個人情報やパーソナルなデータを他社や第三者機関と共有する旨や、クラウド上に保存したデータの二次利用を許諾する旨が規約に記載されていることもあります。社内や組織内のデータを悪用されないためにも、利用前には規約を確認しましょう。

サービスの終了

前述した通りにXaaSは市場規模の拡大や成長している段階であるため、同業他社やライバルである似たようなサービスの提供元との競争に負け、結果として利益や売上を確保できずサービスが終了してしまうことがあります。同時に便利でユーザー数が多いサービスでも利益を生み出せずに負債によって倒産や廃業となることも考えられます。

対策としてはなるべく企業や組織として重要な部分を依存しすぎないこと、同じようなサービスを併用していくつかのサービスを利用しておき、サービスが終了しても業務に支障がないよう工夫をしておくのがおすすめです。

その他、サービスが終了した時のために日頃から各種データを手元にバックアップしておき、最悪いきなりアクセスできなくなっても大丈夫な状況を構築しておきましょう。

まとめ

今回はXaaSに関する基礎知識や主なXaaSの種類、XaaSの利用で注意すべき点についてご説明しました。

XaaSはブラウザやアプリで簡単に利用できたり、デバイスを問わず利用できたりするため、その利便性を業務効率化や最適化につなげやすいという利点があります。使い方次第で金銭的なコスト、時間的なコストの削減になることも事実です。しかし、提供元や規約によっては企業や組織における大切な情報、もしくは個人情報を預けることが危険であることも理解しておかなくてはなりません。

その他、クラウド上のみにデータやファイルを保存するのではなく、何らかの形でバックアップしておくことも大切です。同時にXaaSが突然停止した場合でも代替となる手段を用意しておき、業務に支障や遅延が起きないようにすること、取引先や顧客、ユーザーに迷惑をかけないようにすることも意識してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事がXaaSについて知りたかった方のお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人

QEEE編集部

QEEEmagazineはマーケター、人事、エンジニア、営業企画などの企画者に役立つコンテンツをそれぞれ領域のスペシャリストが発信していきます。

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