
資格には、国家資格や民間資格、国際資格などのほか、法律で企業(事業所)に必要と定められた必置資格、取得者以外名乗ることを許されない名称独占資格など、種類もさまざまです。数ある資格から「資格取得を目指したいがどんな資格を選ぶべきか分からない」という方もいるでしょう。この記事では、資格取得時の注意点を解説したうえで、目的や分野別に分けておすすめの資格25選を紹介します。

おすすめの資格とは?

生活様式や仕事の形が変化する中で、キャリアアップやスキルアップを目的に、資格を取得しようと考える方もいるかと思います。しかし、数ある資格の中でどの資格を選ぶべきなのでしょうか。
残念ながら万人に共通する「おすすめの資格」はありません。
従事する業界・業種や目指したいキャリアの方向性、これまでの経験などを踏まえて自分に合った資格を選ぶことになります。
資格を取得する際の注意点4つ

資格を取得するには、よほど簡単でなければ、勉強する時間やお金がかかります。
中には資格をもっているだけでは評価に繋がらず、転職やキャリアアップに直結しない資格もあるため注意が必要です。
その一方で、資格が直接評価されない場合でも、資格の取得によって業務や人間関係を改善できれば、結果的に評価に繋がると言えます。
「とりあえず」で選んでしまった資格は、特に役に立たず費やしたお金や時間が無駄になってしまうこともあります。取得の目的や各資格の特性を確認して資格を選びましょう。
取得する資格を選ぶ時の注意点を以下の4点にまとめました。
資格を取得する目的を明確にする
資格取得を目指す場合、なぜ資格を取りたいのかを明確にしましょう。転職のため、キャリアアップのため、独立するためなど、明確な目的を定めることが重要です。
やりたい仕事に関係のない資格ばかり取ってしまったことがマイナス評価となる場合も考えられます。きちんと目的を定め、資格取得後の目的達成まで見据えた計画を立てて取り組むのが良いでしょう。
真に役に立つ資格を選ぶ
資格を選ぶ際は、自分にとって本当に役に立つ資格なのかを考えて選ぶと良いでしょう。
冒頭でもお話したように、「おすすめの資格」は各個人によって異なるものです。いくら人気が高く稼げると評判の資格であっても、誰もがその資格を活用できるわけではありません。資格を取得する目的を踏まえて、自分にとって真に役立つ資格を見極めましょう。
資格の難易度を把握する
資格の取得には、綿密な計画を立てることが効果的です。実現性のある計画を立てるには、資格の難易度を予め把握しておく必要があります。
公式サイトやSNSなどで試験の難易度の目安を確認できる場合もあるほか、過去問題や合格率なども難易度の参考にできます。公開されている情報だけで判断するのではなく、自分の経験やスキルを踏まえて合格難易度を把握しておくのが良いでしょう。
受験資格・取得方法を理解しておく
資格は講習を受けるだけで取得できるものから、試験だけのもの、試験前後に講習・研修があるものなど取得方法はさまざまです。
また、試験の受験資格(要件)として実務経験や特定の学校の卒業などが定められている場合もあります。実務経験が必要な場合には、全く違う業界に従事しながらの取得は難しいと言えるでしょう。専門学校等の卒業が必要なものも、仕事をしながらでは難しいと言えます。
受験資格によって取得が現実的でない場合や時間がかかる場合もあるため、要件や受験制度について確認しておくことが重要です。
ビジネススキル向上におすすめの資格試験6選

ここからは、目的別・分野別におすすめの資格を紹介していきます。
まずはビジネススキルを向上したい人におすすめの資格です。比較的幅広い業界・業種で活用できる資格を6つ紹介します。
- 日商簿記検定
- TOEIC
- MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
- ITパスポート
- アンガーマネジメント
- メンタルヘルス・マネジメント
日商簿記検定
簿記は、企業の経営状況や財政状態を明らかにするものです。会社を経営していく上でのビジネスコストを考えていくことができるので、経理業務だけでなく、幅広い業種で活用できます。
経営・経理に関する知識を深めたい人、会社を経営したいという人におすすめです。
TOEIC
TOEICは英語能力を測るための世界共通の基準です。合格判定ではなくスコアで判定されるのが特徴です。試験は定期的に実施されています。
転職など、資格として役立てるには700点以上のスコアが必要と言われています。企業によっては一定の点数以上で資格手当が支給されることもあるでしょう。
TOEIC公式サイト|(一財)国際ビジネスコミュニケーション協会
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
MOSは、ExcelやWordなどの「Microsoft office」の技能レベルを証明する資格です。
さまざまな業種でMicrosoft officeを利用する機会があると考えられます。MOSを取得することで、業務の効率化に繋げることが可能です。
事務職等でパソコンスキルを高めたいという人におすすめです。
ITパスポート
ITパスポートは情報技術に関する基礎知識を問う資格です。
情報処理技術者試験の1つで、コンピューターのシステムからマネジメント、経営戦略や法務についてなど出題範囲が幅広いことが特徴です。
情報処理に関する基本知識を身に付けるうえで、初めに取得する資格としておすすめです。
アンガーマネジメント
アンガーマネジメントとは怒りの感情をコントロールするための心理トレーニングです。これは「怒らない」という意味ではなく、「必要以上に怒らない」ということです。
怒らなければならない時にしっかり怒れるように、そして怒る必要がない時は怒らないということを学びます。
職場でのカウンセリングやメンタルヘルス、パワハラ防止など精神的な面で人を助けたいという人におすすめです。
アンガーマネジメントの資格は、認定講座を受けることで取得可能できます。認定講座は、「アンガーマネジメントファシリテーター養成講座」「アンガーマネジメントティーンインストラクター養成講座」「アンガーマネジメントキッズインストラクター養成講座」の3種類です。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会では、資格認定のない講座も提供されています。
メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験
メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、職場内で必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処法を習得する資格です。仕事のストレスなどによる心の不調の未然防止や、職場の活性化を目的としています。
試験のコースは3種類あります。一般社員が対象のⅢ種(セルフケアコース)、管理職が対象のⅡ種(ラインケアコース)、人事や経営幹部が対象のⅠ種(マスターコース)です。自分の役職や状況に合わせて受けるコースを決めましょう。
事務職におすすめの資格試験2選

続いて事務職におすすめの資格を4つ紹介します。
- キャリアコンサルタント
- 衛生管理者
事務職といっても業務内容は幅広いです。特に中小企業は、人事や経費、職場の環境の管理など、1人でさまざまな仕事を担当しなくてはならないことが多いと考えられます。会社の状況や業務内容に合った資格を選ぶのが良いでしょう。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、労働者のキャリア設計や能力開発・向上に関する相談に応じ、助言や指導を行うための資格です。相手の適性や今までの職業経験などから、どのような仕事が最適かを探していきます。
合格した後はキャリアコンサルタント名簿に登録すると「キャリアコンサルタント」と名乗れます。人事や教育などで活躍できるほか、
キャリアコンサルタント試験には、講習の受講または実務経験などの受験資格が設けられているため注意が必要です。また、名簿登録後も、5年ごとに講習を受けて登録の更新が必要になります。受験資格や登録更新については以下参照元をご確認ください。
衛生管理者
衛生管理者は働くために適した環境を作ることが仕事です。労働条件や労働環境の整備などを行います。事業場の規模に応じた人数を選任することが義務付けられている設置義務資格です。
衛生管理者には「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」があります。「第一種衛生管理者」はすべての業種で、「第二種衛生管理者」は有害業務と関係が少ない金融業や小売業などで衛生管理者として業務ができます。
受験資格として卒業学校等に応じた年数の実務経験が必要になるので注意が必要です。受験資格の詳細は以下参照元をご確認ください。
安定した需要のある資格試験3選

続いて、資格を活用して転職・就職したいという方向けに、比較的需要が安定している資格を3つ紹介します。
- 登録販売者
- 介護福祉士
- 社会福祉士
更新・失効制度のない資格であれば、一度離職したとしても復職時に活用しやすいと言えます。
登録販売者
登録販売者は、一般用医薬品の販売などを担う専門家です。薬局やドラッグストアで販売されている風邪薬・胃腸薬などの一般用医薬品を安全に使用するための説明・指導を行います。
登録販売者試験の受験には学歴や実務経験などの要件はありませんが、1人で薬の販売ができる正式な登録販売者になるには、2年以上の実務経験が必要です。
介護福祉士
介護福祉士国家試験は、介護福祉士として必要な知識・技能を問われます。介護福祉士の業務は、身体上または精神上の障害があることで日常生活を営むのに支障がある人の介護や、本人とその介護者に対する介護に関しての指導です。
介護福祉士の資格は、養成施設での知識・技術の習得を必要とするものや実務経験を必要とするものなど、4種類の取得ルートが設定されています。自分の現状に合ったルートを選んで取得するのが良いでしょう。いずれのルートも受験に必要な要件をしっかり確認しておくことが必要です。各ルート・受験資格の詳細は以下参照元をご確認ください。
介護福祉士国家試験|公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
社会福祉士
社会福祉士は、身体や精神上の生涯や環境上の理由によって日常生活を営むのに支障がある人の福祉に関する相談に応じたり、医師などに対して相談する際の援助を行うための資格です。
受験資格として、福祉系大学等の卒業や実務経験、養成施設等での知識・技能の習得が定められているため、確認が必要です。受験資格の詳細は以下参照元をご確認ください。
社会福祉士国家試験|公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
おすすめのIT系資格試験2選

IT関連のスキルは、いろいろな企業で重要視されてきています。機密情報や個人情報などの情報漏洩を防ぐことも、情報化社会では重要です。IT関連の資格には、そういった点で活躍できる資格が多く存在します。
ITとは直結しない業界・業種においても、取得によって業務の幅が広がることもあるでしょう。
基本情報技術者
基本情報技術者の資格は、ITエンジニアとして働くための基本を身に付けるための資格です。
情報技術を活用した戦略立案やシステムの設計・開発などを、上位者の指導の下で実施できるレベルの技術が求められます。
基本情報技術者試験(FE)|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理安全確保支援士
情報処理安全確保支援士はサイバー攻撃への対策を推進する人材の資格です。
サイバー攻撃がどんどん複雑になっていく中で、経営リスクの軽減や社会的責任を担うべく、攻撃への対策ができる人材が多く必要とされています。
資格取得の難易度は高いと言われていますが、サイバーセキュリティ分野でのスペシャリストであることを証明できる資格です。
国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」とは│IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
金融・不動産業におすすめの資格試験6選

金融業界や不動産業界では、専門的な知識を求められる場面が多く、専門の資格を持っていなければできない業務もあります。
ここでは金融・不動産業で活躍できる資格を紹介します。活用できる業務がそれぞれ異なるため、目的に合わせて選びましょう。
FP技能士(ファイナンシャルプランナー)
FP技能士はファイナンシャルプランナーとして働くうえで必要とされる技能の習得レベルを評価する資格です。FP技能検定には3級から1級の3等級があり、合格した等級ごとに「FP技能士」を名乗ることできます。ファイナンシャルプランナーとは、税金やローン、保険、年金など家計・お金に関するアドバイスや資産設計、実行援助を行う仕事です。
ファイナンシャルプランナーに関連する資格は、FP技能士の他に、日本FP協会が認定するCFP®資格、AFP資格があります。
中小企業診断士
中小企業診断士は中小企業の経営に対して、専門知識をもって課題の診断や助言を行うための資格です。
企業を成長させるためにアドバイスし、計画を立てて実行を支援します。行政や金融機関とのパイプ役も担うので幅広い知識が必要になります。
公認会計士
公認会計士は財政に関する監査や会計業務の専門家です。
会計はもちろん、監査や経営などの知識を利用して企業が公開する財務情報が確かかどうかを見極めます。公認会計士は、税理士登録をして税務業務を行うことや、経営コンサルタントとして働くことも可能です。
資格登録されるには、短答式試験・論文式試験試験の合格に加え、業務補助等の実務経験(2年以上)、実務補習と修了考査への合格が必要になります。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は宅地建物取引における重要事項の説明や契約を行うための資格です。不動産会社など宅地建物取引業者は、事務所の規模等に応じた人数の宅地建物取引士の設置が義務付けられています。
不動産業界では入社時に取得を命じられることや転職時に要件となることがある資格です。宅地建物取引士の知識によって、不安のない不動産取引が実現します。
宅地建物取引士資格試験(宅建試験)とは│一般財団法人 不動産適正取引推進機構
土地家屋調査士
土地家屋調査士は、不動産表示の登記について土地や家屋の調査・測量を行うほか、手続きの代理などを行います。不動産の状況を正式に登記することで、安全な不動産取引の実現と、不動産所有者の財産を明確化することが土地家屋調査士の使命です。
土地家屋調査士試験に受験資格はなく、誰でも受けることができます。筆記試験と口述試験に合格し、日本土地家屋調査士連合会の名簿に登録を受けることで、土地家屋調査士になることが可能です。
マンション管理士
マンション管理士は、管理組合の運営や管理関係者の支援など、マンションの維持・管理を使命とする資格です。
管理・建替に関する法令や実務、管理組合の円滑な運営、建物の構造や修繕など、マンション管理に関するあらゆる知識が必要とされます。
マンション管理士とは?│公益財団法人 マンション管理センター
独立におすすめの資格試験6選

独立開業して稼いでいく場合、専門性の高い知識が必要となる場合が多いと考えられます。法律や労務管理といった分野で専門性の高い資格は比較的難易度が高い資格です。合格までは大変な道のりとなりますが、取得すれば大きな武器になるでしょう。
司法書士
司法書士は登記や供託手続の代理、裁判所や検察庁などに提出する書類の作成などを行います。国民の権利の擁護と公正な社会の実現が司法書士の使命です。
司法書士試験は、受験資格は設けられておらず、誰でも受けることができます。合格率3%台の難関資格ですが、有資格者にしかできない独占業務をもつ、就職・独立に活用できる資格と言えます。
行政書士
行政書士は官公署に提出する書類の作成や提出手続きの代理などを行うための資格です。資格や知識をもたない人が官公署などに書類を提出する機会が増えたため、行政書士による正確かつ迅速な作成・手続きのサポートが必要とされます。
行政書士になる方法として、行政書士試験の合格だけでなく、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士の資格をもつ人は、名簿登録をすることで行政書士になることが可能です。行政書士試験は「行政書士の業務に関し必要な法令等」と「行政書士の業務に関連する一般知識等」について問われる筆記試験によって行われます。
社会保険労務士
社会保険労務士(社労士)は企業の人材に関する専門家です。労働・社会保険手続・年金・労働管理に関する相談や指導など、業務範囲は多岐に渡ります。
社会保険労務士試験は、学歴、実務経験または厚生労働大臣の認めた国家試験合格が受験資格として定められています。取得を目指す前に確認しておきましょう。
電気工事士
電気工事士は電気設備の工事をするための資格です。電気工事の欠陥による災害を防ぐために、電気工事士法によって定められています。
電気工事士の資格には、第一種と第二種があります。第一種電気工事士は最大電力が500kw未満の工場やビルなどの電気工事に従事でき、第二種電気工事士は600ボルト以下で受電する一般住宅や店舗などの電気工事に従事可能です。第一種電気工事士の資格内容には、第二種電気工事士が従事できる電気工事の範囲も含まれています。
電気工事士試験は、マークシート方式の筆記試験と、実技技能試験によって行われます。
電気工事士の資格と範囲│一般社団法人 電気技術者試験センター
ネイリスト技能検定試験
ネイリスト技能検定試験は、ネイリストとしての知識や技術を測るための試験です。
3級から1級までの3段階に分かれています。3級はネイルケアやネイルアートに関する基本的技術/知識、2級はサロンで通用するレベルの技術/知識、1級はトップレベルのネイリストとして必要な技術/知識が問われる試験です。飛び級や同時受験はできず、2級・1級は前段階の取得者のみ受験できます。
試験は実技試験と筆記試験です。実技試験は見た目の美しさやクオリティだけでなく、普段の手入れや器具の扱い方法も採点されています。
専門調理師・調理技能士
調理技術技能評価試験に合格すると「専門調理師・調理技能士」の称号が与えられます。調理師養成施設校の教員資格も併せて与えられるので、自分で調理するだけでなく教えることもできる資格です。調理師として技術・技能の向上、食文化の発展などに貢献することを目的とします。
受験資格として、調理師免許を取得したうえで一定期間の実務経験が必要です。
調理技術技能評価試験の概要│公益財団法人 調理技術技能センター
目的を明確にして真に役立つ資格を取得しましょう

キャリアアップや人生の充実を目指すうえで、資格取得は選択肢の1つになります。資格の取得を目指す際は、転職や社内でのキャリアアップなど、明確な目的をもつことが重要です。
資格の中には、受講料や受験料がかなり高額なものも存在します。取得のためにかけた時間やお金を無駄にしないためにも、本当に必要な資格かどうか見極めることが必要です。さらに、難易度や受験資格(受験要件)を調査して取得が現実的であるかも確認しておきましょう。
目的や条件に合った資格を見つけられたら、計画的に挑戦してみることをおすすめします。
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